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*119*
――――ズガガガガガガ!
――――ドドドドドドド!
目に負えないスピードで秀也はガンスタイル、美也子は輪廻でイリヤを取り囲むようにブレイブを連射した。
「おらぁぁぁぁぁぁぁっ!」
―――ガキィ!
2人の援護を受けながら仁は槍でイリヤに攻撃する。
だが、当のイリヤはフウと呆れたようにため息をついた。
「……この程度?」
ブワッ!と強烈な冷風が3人を襲う。
仁も、秀也も美也子も吹き飛ばされていた。
もちろん銃弾も。
「秀ちゃん、私たちの銃弾もあの氷の盾で防がれちゃうよ〜。どうする?」
「それはいつものパターンでいいだろ。俺がアイツの形成を崩してそこに打ち込めばいい」
「打ち込めないからこうやって話しているんだ」
「……へーい」
ぴしゃりと言い放たれた仁。
美也子はへにゃりとしまりのない顔で苦笑した。
そんな2人にも構わず秀也はツンとすまし顔だ。
(……そんな顔見せずに笑えばいいのにさ。かぐやの前でも)
戦闘中に何を考えているのだろうと自分でも思う。
だが、なぜかふと思ってしまうのだ。
そんなことを考えているとき、イリヤが再びため息をついた。
「はーあ。こんな張り合いのない奴らと戦うんだったらあのかわい子ちゃん……じゃなくて、かぐやって子と戦いたかったよ。興味あったのになぁ」
(あ)
「……なん…だと……?」
「かぐや」と言ったイリヤの言葉に唸るように秀也は呟く。
そしてスクッと立ち上がった。
仁は自分のことのように口を押えた。
「貴様ごときが軽々しくその名を出すな。虫唾が走る」
「なんでお前がそんなこと言うの……ああ!そうか、かぐやが好きなんだ、お前」
「―――黙れ」
イリヤの氷より氷点下のような秀也の声が響いた。
その瞬間、秀也はイリヤのすぐ真下にいた。
(―――こいつ、はや―――……!)
―――ズバン!
如月による秀也の斬撃はイリヤの氷の盾を貫いて彼の頬をかすった。
幸い、イリヤの氷の盾は厚かったため、その程度の傷で済んだ。
すかさずイリヤは床から氷の突起を出すが秀也はヒラリと避ける。
「あわわわ……。あの子、秀ちゃんのNGワードを〜……!」
「いや〜、ただ単に秀也が嫌なだけなんだろ。ほかの男に自分の好きな女の名前出されるのが」
「なにそれ怖っ」
「聞こえているぞ」
ヒソヒソと耳打ちしあう仁と美也子。
そんな2人を秀也は横目でじろっと睨んだ。
イリヤは悪鬼のような笑みを浮かべて秀也を指差した。
「……OKOK、お前らの実力は把握した」
ヒュウウウウウ……。
と、さらに冷たい冷気が彼を吹き抜ける。
フワフワと浮く彼の髪の毛はまるでメデューサのようだった。
「お前らも聞いたろ?伝説の話」
さらに、冷気は高まる。
「でもさ、俺は伝説に忠誠を尽くしてるんじゃないよ。あいにく信仰心なんか欠片も持ち合わせちゃいないから。だけどクローディア様が神を蘇らせるつもりなら古の神は確かに存在したんだろうし、俺はそのためにならなんだってする。……つまりはそう、それを邪魔するてめェらは問答無用で片っ端から敵ってことだ!!」
ギラリとした目を浮かべながらカッとイリヤは目を大きく見開いた。
No25 不器用