完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~
*121*
「殺す……?君にそんなことできるわけないじゃんっ!!!!」
「……これは………」
―――ビキビキビキ。
氷の床から何かが出現していた。
しかも、1体だけではない。
10、20,30、いや、それ以上の数の――――……。
「じゃあこっからは君を殺すゲームだ。ここにいる俺の氷分身は1万人。このドームの温度はマイナス20度だから10分以内に出ないと凍傷起こしちゃうよ〜」
「何度も言わせるな。その10以内にお前を殺すのみ」
ガンガンとガンスタイルで秀也はイリヤの氷分身を撃ちぬく。
だが、撃たれた部分がゆっくりだが元に戻っていた。
イリヤはからかい半分でドームに背持たれる。
「そいつらは全部粉々にしないと消滅せずに回復するよ。だってここは氷のドーム内なんだからいくらでも復活できるんだしさ。残念だったね」
(……かぐやから氷の主のソウルブレイブについては聞いていたが……話以上だな。これ以上ここにいたら確実に死ぬだろうな)
ジャコッとガンスタイルを下す秀也。
そして、その場にドスッと座り込んだ。
そんな彼にイリヤはヒュウッと口笛を吹いた。
「どうしたの?もうあきらめたの?」
「とりあえず10分は手を出さないことにした」
「はあ?意味わかんないんだけど」
イリヤの怪訝な顔に比例するように氷分身たちも首を小さく傾げていた。
(……頼んだぞ、仁、美也子!)
※
「秀ちゃん……」
「美也子。責任を感じんだったらさっさと秀也をあそこから出すぞ。なんかやばそーだ」
座り込んでいた仁が立ち上がる。
同じように先ほどの自責の念からまだ顔こそは上げたが体は立ち上がらない美也子。
仁は無理矢理美也子を立たせると、目の前にそびえたつ氷のドームを見据えた。
「俺は秀也ほどの頭はねーからよ、この壁をぶち壊すって選択肢しかねぇ!」
ガガガガガガ、と槍で思い切り突きまくる仁。
美也子はポカーンとしてその様子を見ていたが、彼の右腕を見てハッと目を大きく見開いた。
なぜなら、彼もイリヤの攻撃を受けていたためだ。
仁の右腕は薄く氷が張っていた。
槍を持つだけでもやっとだろうに。
それを見た美也子は覚悟を決めたように立ち上がり、輪廻を構えた。
「――仁ちゃん!闇雲に攻撃してちゃダメ!同じところに集中的に攻撃すれば壊せるかもしれない〜」
「……OK!それで行く!」
槍の突きと輪廻の銃撃が氷のドームに打ち込まれる。
ドンドン、と大きく響き渡った。
「あー、これ、外部からも攻撃しちゃってる系?無駄なのにねぇ、隊長が攻撃を放棄して……っておい!何する気……」
「よくやった仁、美也子!」
ドンドンと聞こえる場所に秀也は口に弧を描くように笑った。
そして、それを止めようとしたイリヤの前にすかさずガンスタイルを撃ち込む。
ピシッと罅が入った。
そして、それを如月で思い切り斬り伏せた。
「しま……った……!」
「外部からでも内部からでも破壊できない。だったら同時に外内部から攻撃すればこんな氷壊せる。簡単な話だな」
パキン、と氷のドームが割れ、秀也は仁たちの所へと歩み寄る。
その様子を見てイリヤは歯を食いしばりながらブルブルと拳を握り、震わせていた。