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デッドバスター 
作者: KING ◆zZtIjrSPi.  (総ページ数: 151ページ)
関連タグ: 友情 バトル 
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*131*

「その眼……。どうやら覚悟ができたみたいだな」
「ああ。済まなかったね。不甲斐無い戦い方をしてしまった」
「構わん。ただ私の信念は1つ―――我が主の命を果たすのみ!」
「避けろ!」

――――ズバン!
 再びゴットフリートの攻撃が飛ぶ。
 雁渡の声とともに花江と西園寺は大きくジャンプした。
 そしてそのまま西園寺は空中でガンスタイルを発砲した。

「ぐっ!」

 弾をゴットフリートは腕で受け止める。
 タン、と西園寺が着地するとホッと一息ついたように呟いた。

「やっと……一撃いれられた……」
「さっきの攻撃で大体はわかったよ。確かにあなたの攻撃は凄まじい。だけどあなたのその剣の範囲に入らなければ問題ない!」

 そう言って雁渡はサイクロンの刃を伸ばし、そのままゴットフリートを居合切りする。
 居合切りした彼女は後方ジャンプへ遠ざかる。
 ヒュンッと勢いよくリカバリーの弓を弾く花江。

「さっきのお返しさ!」
「ぐおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 雁渡の十文字切り。
 そして花江の100にも及ぶ弓矢。
 それを直撃した彼は痛みに悶えていた。
 しかし、胸に手を置き、不気味に笑う。

「いいぞ……私が求めていたのは……!我が主よ!この国もまだ捨てたものではなかったぞ!月の綻び“ムーン・アルテミス”!!!!」

――――キィィィィン……。
 と、モスキート音のようなものが3人の耳に入ってくる。
 そして……。


――――ズドドドドドドドドドドド!!!!!!!

 その瞬間、周りにあるすべてのものが切り刻まれていく。
 地面も、建物も。
 どれが空でどれが地面がわからなくなるほどに。

「わ、わあああああっ!隊長!」
「……足場が……!」
「落ち着いて、2人とも!さっき、私が言ったとおりにするんだ」

 冷静な雁渡の言葉にハッと顔を上げる2人。
 そして静かに頷いた。




             No33     勇者たち




「この技で私は国を1つ落とした。この最大と言える技でな。だが……あと2回しか使えん。その1回は……貴様らを殺すために使おう」

 崩れ落ちる雁渡達にゆっくりと歩み寄るゴットフリート。
 首だけ起こして3人は彼を睨みつけていた。

(……さっき、あれほどダメージを食らったのに……タフネスすぎないか!?)

 立ち上がろうとガリ……。と土ごと引っ掻く花江。
 そして隣にいる雁渡のスゥと息を吸う音が聞こえた。

「今だ!走れ!」

 その言葉を聞いて、花江と西園寺は一気に走り出した。
 しかも、ゴットフリートの目の前、1列になって駆け出す。
 彼はひどく驚いていた。

「真正面から……!?まさか!」
「ああ、そのまさかさ!」
「「はああああああああああああああああ!!!!」」

 花江は、リカバリーを構える。
 違う点は先ほどまで広範囲重視の分散型攻撃だったが、今回は攻撃力を高めるためにストライドを込めた一撃を放った。
 そして西園寺も同様、複数の発砲を止め、ストライドを込め、一撃を放った。

「うぐうっ!?」

――――−ドパンッ!
 と、それらを直撃されたゴットフリートは後方へ吹き飛ばされる。
 そして、最後に―――……。

「行けええええええええええええっ!」

―――スパァァァァァンッ!
 雁渡によるサイクロンの一撃がゴットフリートの心臓を貫いた。
 立ったまま、血を流す彼は不思議そうに雁渡を見た。

「……どうして月の剣の弱点がわかった?」
「私たちを攻撃した瞬間、気が付いたのさ。月、と言っても満月。円型のようにしか攻撃できない。だから、あなたへの真正面はガラ空きだったわけさ……」
「……天晴れだ」

 ズシャッと、サイクロンが抜かれる。
 そのまま崩れ落ちると思っていた。
 しかし。
 彼はガッと力を込めて雁渡の肩を掴んだ。

「!?」
「隊長!」

 その様子に花江が驚き、駆け寄ろうとするが彼の範囲内だ。
 迂闊に手が出せない。

「言っただろう。全身全霊。月の綻びはまだ終わらない!」
「雁渡さん……っ」

 西園寺が手を伸ばした。
 もうだめだ。
 そう思った瞬間だった。

「その手を放してもらおう」

――ザシュッ!

「ぐあああああああっ!」
「何……」

 上空から斬撃が飛んだ。
 ゴットフリートの両手は切り裂かれていた。
 驚いた花江と西園寺は上を見上げた。
 そこには通常ブレイブ最強の男、梶原一心が降り立っていた。

「……光栄だ……最後に……一心……。貴様に出会えて……このゴットフリート……一生に後悔……無し…」

 ゴフッと血を流しながらゴットフリートはそういうと、今度こそドサッと倒れ込んだ。
 彼を見ながら梶原は雁渡達を見た。

「3人とも、大丈夫か!?酷いけがだ、医務室へ行こう」
「あの」

 花江が傷口を手で押さえながら呟いた。

「かぐや達は大丈夫でしょうか……?」
「ああ、アイツらならきっとやってくれるさ。絶対に」




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