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*39*
「これ、何だと思う?零奈」
「……映画的だったら魔法少女になるアイテムか……それともホラー映画的に行けば死者の遺品……。この世の未練を果たすために花江を」
「わーっ!やっぱり何でもない!!」
零奈に聞くんじゃなかったと後悔しながら急いで花江は先程キャッチした首飾りを懐に仕舞う。
まじまじと花江を見つめる西園寺に彼女は少し後ずさった。
「やっぱり、幽霊が……」
「違うよきっと!そうだ、隊長に聞いた方が速いよ!うん、そうしよう」
「私がどうかしたのかい?」
ザッと太腿まである黒髪に青い目をした美しい容姿を持つ女性――雁渡朔揶(かりわたしさくや)は靡く髪を抑えながら微笑む。
彼女は花江と西園寺を率いるAランクの隊長である。ポジションはオールラウンダー、女子チームとしても有名だった。
彼女に駆け寄ると花江はすぐさま先程あった出来事を話す。
フムフムと話を聞くと、どこか思い当たる節があるのか雁渡しは無線で誰かと連絡を取っていた。
「ええ。そうなんだ。近くに?じゃあ、来てくれるとうれしいかな」
3分もしないうちに無線を切る雁渡。
「……持ち主が……近くにいるのですか……?」
「そうだよ。もうじき来ると思うんだが……」
「も、もしかしてこんな高級そうな首飾りってことは…お金持ち?」
「面白いことを言うね花江。残念だけどお金持ちではないね。君も知っていると思うよ」
クスクスと笑う雁渡に花江と西園寺は首を傾げた。
「……どうして雁渡さんは持ち主の連絡を知っていたのですか……?」
「そうですよ。僕も気になります」
「直にわかるさ。まあ、正確に言えば……持ち主の幼馴染と連絡を取っていたのだけれども」
「……?ますます意味が」
釈然としない雁渡の物言いに花江が一歩踏み出そうとすると。
ヌッと背後から大きな影が現れる。
影は間違うことなく殲滅者で――――。
「しまっ……」
「大丈夫だよ。花江、零奈。武器を持つ必要はない」
「……え……?」
西園寺は目を丸くする。
そして一瞬もしないうちに空を切るような音がした。
――――ギィィィン!!
「ちょっと……ジャマよ!!」
上空から姿を現したかぐやの斧の一振りによって殲滅者は瞬殺される。
やっと雁渡の意味が理解できた花江と西園寺はポカーンと彼女を見つめた。
「いやー。すみませんね雁渡さん。かぐやの迷惑で」
「気にしていないさ。発見したのは花江だからね」
「元はと言えばアンタが外に出ようとするから!」
かぐやの次に現れた郡司にフッと微笑む雁渡。
彼の物言いが気に入らないかぐやは頬を膨らませた。