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デッドバスター 
作者: KING ◆zZtIjrSPi.  (総ページ数: 151ページ)
関連タグ: 友情 バトル 
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*85*

「これで満足か?飛来」
「満足も何も……この結果を生み出したのはかぐやだ。俺は関係ないよ」
「関係ない?まるで他人事だな。竜堂が落ちた時助けるのも可能だったはずだが……?」

 郡司と勇魚しかいなくなった会議室。
 ジトッと勇魚は飄々とした態度を崩さない郡司を睨みつける。
 勇魚の言葉に郡司は困ったように頭を掻いた。

「俺はどうすることもできなかったよ。秀也にしかできなかったことだ」
「そういうのは……最高戦力【トップエデン】のことか?それとも古文書のことか……?」
「どっちもですよ」

 バッサリと言い放つ郡司。
 てっきりどこか誤魔化すような口ぶりをするのかと思っていた勇魚は少し驚いたように目を少し大きく開いた。
 そんな勇魚を見た郡司はますます困ったような表情をし――ベランダの空を見上げていた。
 まるで、救いを求めるように。

「かぐやと秀也のことは大事に思ってる。勿論聖とか、バスターのみんなも。……でも、でもさ」



「―――――俺はトップエデンに【依存】しているし、運命“騎士”に従うのも、嫌だったんだ。どうしても」








「んん……?」

 パチッとかぐやはゆっくり目を開く。
 先に目に入ったものは白い天井。この天井には見覚えがある。
 聖と花京院を運んだ医務室の天井だ。
 そのことに気が付くと首だけを動かした。

「……わたしも落ちぶれたものね。一応元エースなんだけど」
「その減らず口からして目は覚めたようだな」
「!!」

 淡々とした声が耳に入る。
 ガバッとかぐやは起き上がる。
 彼女の右隣のベッドには秀也が寝ていた。
 かぐやは酷く驚いて、口をパクパクさせていた。

「い、いつ起きたのよ!?というか起きてるんなら声かけなさいよ!」
「……起きたのはさっきだ。仕方がないだろう。お前の声で目覚めたのだから」
「悪かったわね」

 独り言が恥ずかしかったのかかぐやはそっぽを向きながら顔を赤くした。
 秀也はクシャッと布団を握りしめると、顔を伏せた。

「……今までのこと、済まなかった。お前は、逃げたわけでも裏切ったわけでもないのに……。俺はお前のことを殺そうとした。謝って済む問題ではないと思うが――」
「もういいの」

 言い切っていない秀也の言葉を制止して、かぐやはふんわりと微笑んだ。
 そんな彼女に秀也は呆気にとられる。
 そしてかぐや同様ガバッと起き上がり、バン!と手を胸に充てる。

「なぜそんなことが言える!?今の俺はお前に何をされても仕方のないことをしたんだぞ。厳罰を受けたって仕方ない。なのにもういいだなんて……」
「秀也、殺すとか言っておいて結局非殺傷ブレイブでわたしと戦ったじゃない。……確かに勇魚さんの命令だったとはいっても首飾りを奪おうとした。でもさ」

 痛む体に耐えながらかぐやはゆっくり立ち上がり秀也の手をそっと握った。

「だってわたしたち幼馴染じゃない!……友達、じゃない。だから厳罰とかそういうの関係ない!わたしがしたいからこうしてるだけ!秀也はそれじゃ嫌なの!?」

 秀也はギョッとした。
 なぜならかぐやはボロボロと泣き出していたからだ。
 いつも気丈な彼女が。初めて見る涙だった。

「わたし……確かに秀也たちを裏切ったり1人にしたりしたけどみんなを忘れた日なんて1日もなかったわ。でも、郡司に戻って来いって言われてうれしくて。でもアンタは私のこと、憎んでるって思って……っ」
「憎んでない!!!!」

 思わず秀也は叫んでいた。
 そして思わず彼女の肩を思い切り握っていたのだ。

「俺は……俺はただ昔みたいにお前と話したかっただけだ。けど、ちゃんと向き合えずにいて本当に申し訳ないと思ってる」

 ポカーンとするかぐやなど露知らず、秀也はパッと肩から手を離すと恥ずかしそうに視線を下に向けた。
 そして言いにくそうに呟く。

「……もう1度。もう1度。俺と一緒にいてくれないか……?」

 その言葉に少しの間、かぐやは真顔でいた。
 だが、しばらくしたらバシッと両手で秀也の顔を抑え込んだ。

「当たり前じゃない!アンタがなんて言ってもずっといるからね!郡司も、仁も聖も!みんないるにきまってるじゃない!!」
「――――ああ、」

 そう言われた秀也は儚げに、嬉しそうに優しく笑った。







「思ったよりも元気そうだな」
「2人とも仲直りしたみたいだしね」

 モニター室から監視する草薙と麗。
 そんな2人の背後に嬉しそうに笑う瀬良と梶原がいた。

「……一件落着、ってとこですかね。梶原さん」
「ああ。エースも、塞ぎ込んでいた三城も復活して安心だ!」


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