コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- あ、そうだ!
- 日時: 2015/01/01 00:00
- 名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)
はじめましての方が多いと思います。
いろんな作品を書かせて頂いている夕陽です!
自分の作品の一つが終わったのと新年になったので前々から考えていた作品を書こうかと。(といっても考え始めたのは12月中旬くらいからですが)
内容は生徒会メンバーが巻き起こすイベントみたいな感じです。
よろしくお願いします!
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
- Re: あ、そうだ! ( No.45 )
- 日時: 2016/06/06 17:12
- 名前: 夕陽 (ID: 6BUDRFrq)
9月 あ、そうだ! 体育祭をしよう!6
「無事終わって良かった〜」
美琴はまとめの書類を書いている聡を見つつ、椅子の上で大きく伸びをした。
「まだ書類が終わってないぞ」
「なんのこと?」
聡は苦い顔で言うが美琴はしらばっくれた。
「美琴さんは競技中働いていましたし」
「最後の片づけ位は僕たちも手伝いますよ」
美琴の代わりに手伝いをかってでてくれたのは意外にも双子だった。
「意外だな。では、このプリントに書いてある備品が戻っているか確認してくれないか」
聡は驚きつつも手元のプリントを一枚、望に渡した。
「これ、もしかして体育館の倉庫まで行かなきゃいけないやつ?」
望が書類を見て溜息を吐く。
「そうだ。僕が行ってもいいがこっちの仕事もあるからな」
「じゃあ、美琴もついてく! 体育館倉庫ならよく知ってるし」
体育館の倉庫と聞いた瞬間、美琴は先ほどまでのだらけぶりが嘘のように立ち上がった。
「美琴さんがついてきてくれるなんて心強いです!」
「会長、体育館倉庫に詳しいんですね」
双子はそんな美琴の姿を見て嬉しそうに言う。
「どうせならさとちゃんも一緒にいこ? その書類すぐ終わるでしょ?」
美琴が聡に声をかけると、
「確かにもう終わったが……」
「よし、決定! 今から行くよ!」
美琴は聡を引っ張って元気よく歩みだした。
それに続くように双子も歩く。
こうして体育祭は無事終わることができた。
* * *
あとがき
更新遅くなってすみません。
これで体育祭は終了です。
次回は10月。
何が起こるかお楽しみに!
- Re: あ、そうだ! ( No.46 )
- 日時: 2016/07/03 08:57
- 名前: 夕陽 (ID: 6BUDRFrq)
10月 あ、そうだ! 合唱コンクールをしよう!
「あ、そうだ! 合唱コンクールしようよ!」
美琴は、生徒会室でそう発言した。
「そういえばもうそんな季節か」
美琴の言葉に聡は壁際のカレンダーに目をやる。
「うん。だから文化委員の人はとっくに動いてくれているんだけど、そろそろ私たちも本格的に動かなきゃまずいかなって」
「確かに私たちのクラスでも1か月ほど前に曲決めて、2週間前くらいから練習始めました」
「え? みーのクラス早いね。僕のところは、最近始めたばかりだよ」
練習は中等部までは音楽の授業があったので一斉に始めていたが高等部は選択授業でとっていない人もいるので練習はクラスにより違う。
早いところ(これは部活が終わった3年生に多いが)は1か月前から、遅いところは1週間前まで練習しないというところもある。
「ちなみに合唱コンクールはほとんど文化委員がやってくれるから生徒会がやることなんて最終チェック位だけどね〜」
「基本生徒会の仕事は最終チェック位だろ。美琴が余分な行事を立てるから今年は生徒会が大変なんだ」
聡はため息をついていう。
美琴のたてた行事の全ての企画書を聡が担当している。
はじめは美琴が自分で書こうとしていたのだが、10回ほど没をくらって諦め、今後聡の仕事と定着したのだ。
「ごめんって。だってさとちゃんが書くほうが通りやすいし」
美琴は悪びれもなく言う。
その言葉に聡はまた大きくため息をついた。
「で、その最終チェックを今日からしようと思うんだよ」
企画などはすでに決まっているが、プログラムに間違いはないか、会場の確保は出来ているかなど細々としたものが必要だ。
美琴は依頼されたプリントを鞄から取り出した。
その量はざっと10枚ほど。
「まずはじめに、役割分担を決めるか。私は司会者の子と打ち合わせする約束するからそこ行くけど。さとちゃんは、会場の運営に関するのお願い。双子は各クラスの文化委員とプログラム内容があっているか確認してきて」
美琴はそれだけ言って生徒会室から去った。
司会者の子の打ち合わせに行ったのだろう。
三人はそれぞれ自分の仕事を始めた。
* * *
なかがき
10月は合唱コンクールです。
合唱コンクールは歌決めるだけで盛り上がる気がします。
私の学年では「空駆ける天馬」(?)がすごく人気で1クラス以外全クラスがそれを選んでいましたw
それでは水花学園の合唱コンクールはどうなるのか楽しみにしていてください!
- Re: あ、そうだ! ( No.47 )
- 日時: 2016/09/20 18:01
- 名前: 夕陽 (ID: tCwHjG.M)
10月 あ、そうだ! 合唱コンクールをしよう!2
「それにしても、今回はつまらなくなりそうだな〜」
美琴は廊下でそうつぶやいた。
既に帰宅部の者は帰っており、部活動の生徒はそれぞれの活動場所にいるため廊下に人影はない。
「やっぱり生徒会も仕事がしたいっ。また新しくイベント考えたいっ」
そんなことを言いつつ歩いているとすぐに文化委員が集う教室までついた。
文化委員は文化祭の関係もやるが、合唱コンクールも文化委員の管轄内だ。
そのため、司会者は文化委員の人がやる。
「多分ここにいるよね? 失礼します」
美琴はノックをしてから入ろうとした、その時だった。
「お願いです! なぜ駄目なんですか!?」
大きな声が教室から聞こえてきたのは。
美琴は気になってドアに耳をつけて少しでも会話を聞こうと試みた。
周りに人がいたら変人だが幸い人がいない。
「ですから、合唱コンクールはクラスでの発表が主です。流石に部活動としての活動を認めるわけには……」
この言葉で美琴は大体を察した。
きっと合唱部がこの機会に合唱をしたいと持ち掛けたのだろう。
今までこの例がないわけではないが、それは決まって大きなコンクールで受賞した時だった。
今年は県大会レベルまではいったがそこで残念な結果になったと美琴は聞いている。
「確かに、私たちは今年大きな賞は取れませんでした。ですが、次こそは全国大会にいきたい一心で練習に取り組みました。その練習の成果の披露とともに大会の練習として合唱コンクールの場を借りたいのです」
「その主張は何回も聞いてます。ですが私の一存で決められることではありません」
「……そうですか」
そこで会話が終わったのを感じ取り、美琴はいかにも今来ましたよ、という様子でノックをした。
「はい、どうぞ」
中から声をしたので美琴はドアを開けた。
中では案の定、文化委員長の加藤 梨咲と合唱部の部長である工藤花音がいた。
「会長、打ち合わせですか?」
「うん、いきなり来ちゃってごめんね?」
「では、私は失礼します」
花音は美琴が来たのを知るとすぐに一礼して出て行ってしまった。
「なんかあったの?」
美琴は空気を読まず問いかける。
「まあ、色々と。合唱コンクールに関することで」
「あの子、合唱部だよね? 合唱コンクールに出たいとか?」
「会長、もしかして聞いてました?」
美琴の指摘に聞いていたということが分かった梨咲は素直に頷く。
「まあ、そうです。でも水花学園の合唱コンクールは基本クラス単位なので断らせていただきました。確かに努力しているのは知っているんですけど……」
「実力がないと駄目だと」
「早い話がそうです。合唱部を許したら他の音楽関係の部活や個人で組んだバンドなどもやりたいと訴えるかもしれません」
実際そんなことはない、と美琴は言いそうになるが、美琴を生徒会長に選んだ生徒たちだ。
もしかしたらやるかもしれない。
何せ美琴は「面白いイベントをたくさん作ります!」と公約していたのだから。
「そっか。文化委員長も大変だね」
「会長ほどではないですけどね」
ここで話を打ち切って美琴と梨咲は段取りの打ち合わせに戻った。
主にクラスの入退場や、クラス曲の紹介などの確認だった。
* * *
「それにしても、面白いことが起こってきたなあ」
梨咲と打ち合わせが終わり帰るとき、美琴は満足げな笑みを浮かべた。
脳裏に思い浮かぶのは必死に訴えてた合唱部の部長。
「悩んでいるなら解決しないとね!」
太陽が沈み始め、赤い光が入ってくる廊下で美琴はそう決意した。
* * *
あとがき
最終更新から既に2か月も経っていました……。
待っていた方がいたら本当に申し訳ないです。
さて、今回は合唱コンクールで美琴が何か思いついたようです。
何を思いついたのか、楽しみに待っていてください!
次回は早くて今週の木曜日、遅くても年末には(←おい)更新したいと思ってます。
- Re: あ、そうだ! ( No.48 )
- 日時: 2016/11/25 19:07
- 名前: 夕陽 (ID: tCwHjG.M)
今回は私がここで小説始めてから3年経ったので記念番外です。
本編ではないですがそれでもいい方はどうぞ。
美琴と双子の出会いです。
あ、そうだ! 体験入学に行こう!
「君たちはここを受験しなさい」
幼稚園の時、お父さんに見せられたパンフレット。
そして、その体験入部に参加したのが彼女との出会いだった。
* * *
「わあ! おっきい!!」
初めてその校舎を目の当たりにしたとき、私は思わず歓声をあげた。
隣でむーも口を開けている。
「みー、迷子になっちゃだめだよ」
さっきまでむーも驚いていたくせに。
双子である私たちにどちらが上とかないのだけれど、どちらかというとむーが上という周囲の認識があるのでいつも私を年下扱いしてくる。
背は私のほうが少し高いのに……。
恨めし気に睨むがむーはもうこっちを見ていない。
今にも校舎に入りたそうな目をしていて、あっちが迷子になりそうだ。
ちなみに、お母さんも一緒に来ているのだが、大人と子供で別れることになった。
お母さん達は少し難しい話をするらしい。
その間私たちみたいな子供は自由に(もちろん授業を邪魔しない範囲でだけど)校舎内を見ることができるのだ。
「早く早く! 行こう!」
いつものお兄さん面はどこかに吹っ飛んでしまったようだ。
これでついていかないと「みー、勝手にいなくなったら駄目じゃないか!」と理不尽に怒られそうなのでついていくことにした。
むーだけならいいけどそれで喧嘩してお母さんにまで怒られたらいやだし。
「はいはい」
こんな感じなのにむーのほうが年上扱いというのが不本意だ。
* * *
「ここどこ……?」
私はいつの間にか林らしきところに来ていた。
これは全てむーが悪い。
だってむーが「あそこに木がいっぱいある! 楽しそう!」と走ったのを追いかけたからこうなったんだから。
きっと最近見たテレビのジャングルでも思い出したのだろう。
心の中で悪態をつくが状況は変わらない。
こういう場合、あまり動かないほうがいいのかな……。
でも、もしかしたらここから脱出できるかもしれないし、動いてみよう。
私は気の思うままに進んでみる。
しかしなかなか出口が見えない。
どうしよう、このまま一人でここをぐるぐる回ることになったら……。
不安が自分の心の中を占める。
私が泣きそうになった時、
「どうしたの? あなた」
上から声が降ってきた。
顔を上げるとそこには、人影が見える。
しかもかなり小柄。
「あ、説明会来た子?」
木から降りてきて彼女は私の顔を見る。
ぱっちりした瞳が私の顔を映した。
え、なんでこの人木なんかに登っていたんだろう……?
この人の着ている服はここの制服だからこの学園の人だろうけど。
ここ一応お金持ちのお坊ちゃんとかお嬢様が通うところだって聞いたはずなんだけど、こんな野蛮なことする人いるのかな……?
突然の出来事に私は涙が引っ込んだ。
不安の代わりに出てきたのは戸惑い。
「あなたが来ている制服、美琴も行っていたところだしかなりお金持ちだよね。しかもこの学園にくる子多いし」
学園の制服を着た人は私が黙っている間に一方的にしゃべりかけてくる。
その声音に若干の心配が混じっているのを感じた。
「あなたと似た顔で男の子を見たからその子を探しているんだよね? 今から美琴が連れてくるよ!」
一人で納得してまた木に登ってどこかに行ってしまう。
嵐のような人ってこんな人を言うのかなあ……。
でも、探してくれるのはありがたい。
私はここで待ってよう。
少し落ち着いて私は周りを見回してみた。
そこで私ははっと気づく。
むーは大丈夫なのだろうか?
私のことばかりで全く気にも留めなかった。
むーはお兄さんのふるまいは上手いのだが私と同い年だ。
もしかしたら一人で寂しく泣いているかも……。
あのお姉さんだってすぐには見つけられないだろう。
違った不安が込み上げてきた。
「よかった、動かないでいてくれて!」
先ほどは木の上からした声が後ろから聞こえた。
この声は……、
「みー、勝手にいなくなったら駄目じゃないか!」
「いや、むーが勝手にこんなところに入ったんでしょ!」
さっきのお姉さんと一緒にむーもいた。
泣いていると思って目の周りを見るが赤くなっていない。
もちろん鼻も。
私の目線に気付いたのかむーが、
「別に怖くて泣いてなんかいないし!」
と怒られた。
やっぱ双子だし考えていることが分かるのだろうか? 謎だ。
「ふふふっ。強がりたい年頃だもんねえ」
笑い声がしてお姉さんの方を向くとちょっと意地悪そうに笑っていた。
その言葉にむーが真っ赤になる。
どういうことだろう……?
「じゃあ、私がここから出るまでの道を案内するよ。ここ、広くはないけど、歩きやすい道は少ないからね」
そういって歩き出す。
私たちは置いていかれないように急いで後に続いた。
* * *
「はい、到着!」
こちらを振り返って嬉しそうに笑う。
外にある時計を見ると既にお母さんたちの話が終わる10分前になっていた。
これ以上の見学は無理そうだ。
『ありがとうございました』
私たちは声をそろえてお礼を言う。
「流石双子! 息ぴったりだね!」
なんだか感心しながらお姉さんは言った。
「もし、この学園入ったら何かあったら美琴を頼ってもいいからね。ここで会ったのも何かの縁だし」
「ありがとうございます」
「ちなみに美琴の名前は歌田美琴! 小学一年生だからあなたたちの一年先輩だよ」
誇らしげに胸を張る。
一年先輩かあ。
ってそれよりも大事なことをさらりと言われたような。
「歌田ってあの歌田カンパニーの歌田さん……?」
「うん、あの歌田カンパニーの歌田です」
堂々と答える歌田さん。
歌田カンパニーってかなりすごい会社だったはずだ。
難しい話はよく分からないけど歌田カンパニーの物を使わない日がないって言われるくらいたくさんのものを作っている。
「私は光田希です」
「僕は光田望です」
私たちも慌てて自己紹介する。
「二人とも名前似ているね〜。女の子のほうが希ちゃんで男の子のほうが望君?」
『はい』
「覚えておくね。何かあったら遠慮なく頼って!」
それだけ言って歌田さんは去ってしまった。
歌田さんはあんなことを言ってくれたけど多分雲の上の存在で関わることなんてできないだろう。
私はそう思ってこの学園の体験入学を終えた。
* * *
「って思っていたのにまさか生徒会で関わるとは……」
「確かに。あの時からすごい人だったよなあ」
食卓で二人で話す。
両親は忙しいからよくあることだ。
ふと会長との出会いを思い出しむーに話してみると、やっぱり同じことを思っていたようだ。
確かに最初は遠巻きに見ているだけだった。
本当に関わることなど出来ないと思っていた。
けれど、私たちが高校に上がってから生徒会にスカウトされた。
最初、会長が私やむーのクラスの前に来た時の驚きはどれほどか言い表せない。
会長は「美琴に頼っていいよって言ったのに美琴が頼むことになっちゃうんだけど……」と申し訳なさそうに言っていたのは今でも覚えている。
私たちは目立つことがそこまで嫌いではないし、尊敬している人からの誘いということも重なって二つ返事で引き受けた。
「私たち会長の役に立てているかな?」
「さあ。美琴さんに聞いてみないとわからないよ。けど、そうなるように努力しないとね」
夕ご飯を食べる手を止めてむーが言った。
私はその言葉に納得してこれから頑張ろうと決意を新たにした。
* * *
あとがき
久しぶりに3000字越え書きました……。
そして二か月ぶりに文章書きました。
早ければ一週間以内に更新できるとか書いていたのに遅くなってすみません。
次回はまた本編の続きに戻ります。
- Re: あ、そうだ! ( No.49 )
- 日時: 2016/12/03 18:00
- 名前: 夕陽 (ID: tCwHjG.M)
10月 あ、そうだ! 合唱コンクールをしよう!3
「というわけで相談に来ましたっ!」
「だからって私の家に来るのやめてくれる?」
美琴の敬礼に美里は嫌そうに返す。
「というか今来客中だから帰って」
「もしかして依頼者?」
「違うわよ。なずな」
「ああ、なずなさんか!」
なずなとは、美琴とも面識のある美里の親友である。
「そう、だから帰って」
「まあ、なずなさんがいるならしょうがないか」
流石に美琴も旧友と会っているのを邪魔するほど非常識ではない。
「じゃあいつ開いてる? その時にまた来るよ!」
「私は基本忙しいんだけど」
「分かった。日曜日に来るねっ」
「ちょっと美琴、少し位話聞きなさい!」
「じゃあまた明日〜」
美琴の背中に美里はため息をついた。
* * *
「こんにちは!」
「やっぱり来るのね……」
「だって言ったでしょ?」
美琴は悪びれもなく言う。
「それに、依頼されると思うよ。美里おねえちゃん」
「確かに生徒会に依頼できないことだけど。というか何? 私に言ってどうするつもりなの?」
「いや、私としてもやらせてあげたいんだよ。だからお姉ちゃんに知恵を借りようとここまで来ましたっ」
「というかそういいつつもうプランあるんでしょ」
「うん、あるよ。でも、私の書いたやつじゃなかなか通らないから。美里おねえちゃんに考えてほしいのは提出する書類の書き方」
美琴の言葉に美里はため息をつく。
「あのねえ、生徒会長が書類の一つもかけなくてどうするの!? 普段はどうしてるのよ」
「さとちゃんに頼んでる」
「はあ……」
美里はさっきよりも深いため息をついた。
「お願い! 他の人には頼みづらいことなの!」
しかし美琴はいつものような自信満々な態度ではなく困っているようだった。
そんな姿を初めてみた美里は、
「……しょうがないわね、いいわよ」
と答えてしまったのだった。
「ありがとう、美里おねえちゃん!」
後悔した美里だったが始めて見る美琴の表情でどうでもよくなった。
「だからそんな風に書くから見る人が怒るんでしょ! 敬語ってものを知らないのっ!?」
「だって、敬語じゃこの面白さ伝えられないもん!」
「そういっても擬音ばっかとか、話し言葉は有り得ないから! 面白いのは十分伝わるけど公の書類としては駄目なの!」
「しょうがないなあ……」
「そんなんだったら、素直にほかの人に頼みなさい」
「分かった、言われたとおりにやるから見捨てないで! お姉ちゃん!」
美里は怒りながら数々の指摘をし、美琴はその通りに直していく。
もともと美琴は頭がいいほうなので書類は2時間もかからずに終わった。
「ふう、本当に世話が焼ける子ね」
「わあ! まるで私のじゃないみたいだよ! ありがとう、美里おねえちゃん!」
美琴は書類を見て歓喜の声を上げる。
それは内容はほとんど変わらないまま、丁寧な表現になっていた。
「じゃあ、明日出すね。今日はありがとう」
美琴はそう言って自分の家へ帰った。
「あの企画、確かに楽しそうかもね」
美里は美琴が出て行った後、普段は妹に見せないような優しい顔で呟いた。
* * *
なかがき
なんと今回は前回から更新が1カ月も空いてません!
まあ、昔はそれが普通だったんですけどね……。
今回は久しぶりに美里さんにも登場してもらいました!
そして美里さんの友達のなずなですが、もしかしたら知っている人もいるかもしれませんが私の小説にちょくちょく登場する秋山なずなです。
実は私が初めて書いた小説からいます。
そしてその後書いた小説(つまり2作目)にもいます。
更に喫茶店EGGでは主役になりました。
なのでなずなはサブキャラとしての出番も数えればこれで4作目の登場ということに……。
たくさん出せるかは分かりませんが美里さんが絡んだときは出したいなと思ってます。
次は美琴の案が提出されます。
どんな案なのかお楽しみに!
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
この掲示板は過去ログ化されています。