コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- あ、そうだ!
- 日時: 2015/01/01 00:00
- 名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)
はじめましての方が多いと思います。
いろんな作品を書かせて頂いている夕陽です!
自分の作品の一つが終わったのと新年になったので前々から考えていた作品を書こうかと。(といっても考え始めたのは12月中旬くらいからですが)
内容は生徒会メンバーが巻き起こすイベントみたいな感じです。
よろしくお願いします!
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- Re: あ、そうだ! ( No.40 )
- 日時: 2016/01/31 18:55
- 名前: 夕陽 (ID: 2PmCSfE.)
9月 あ、そうだ! 体育祭をしよう!
「あ、そうだ! 体育祭をしよう!」
生徒会室で美琴はまるで今思いついたように叫んだ。
「いや、元々体育祭は生徒会行事でやる予定のものだ。美琴の一存で変えることは出来ないぞ?」
その言葉に聡は呆れたように返す。
普段、美琴の思いつきに振り回されているが今回は元々去年から受け継ぐ正式な伝統。
手を加えるにしても教師が他の行事より厳しくチェックするのでそんなに突飛なことにはならないだろう。
「分かってるよ! でも今回は、運動が苦手でも大丈夫なように知能を使う競技も加えようと思うんだ!」
美琴は元気一杯に宣言する。
「それはいいですね!」
その宣言を聞いて運動が苦手な望が賛成する。
いつも希と勝負をして負けているので勝てるチャンスと思っているのだろう。
「そっか。それじゃあ今回は勝負はお預けだね」
残念そうに希が言う。
希は運動に関しては学園一といっても過言ではないが頭脳に関しては後ろから数えた方が圧倒的に早い。
「なんでだよ! いつもはみーから言ってくるくせに」
「だって頭脳じゃ確実に負けるもん。それに私と望絶対種目被らないでしょ」
「……確かに。僕は頭脳系の競技にしたいけどみーは絶対クラス対抗リレーと色別対抗リレーだもんな」
リレーは運動が満遍なく出来る希の特に得意な分野だ。
走るのが早く、皆をまとめるのも上手いのでチーム全体の足の速さが少しくらい劣っていても勝利に導ける。
「で、肝心の頭脳を使う競技の内容は決まっているのか?」
「それを今から考えよう!」
聡は呆れつつも美琴はいつもそうだったと思い直す。
「じゃあ、今日の議題は『新競技について』だな」
* * *
なかがき
お久しぶりです。
1,2月は忙しいのであまり更新が出来ません……。
更新ゆっくりだと思いますが見ていただけると嬉しいです!
- Re: あ、そうだ! ( No.41 )
- 日時: 2016/03/04 17:11
- 名前: 夕陽 (ID: LZf.dg50)
9月 あ、そうだ! 体育祭をしよう!2
「というわけで、一応新しく作る競技の条件だけ書くね」
そう言って美琴は自分の席の丁度後ろにあたるホワイトボードと向き合った。
聡のおかげで、いつも備品は使えなくなる少し前に買い換えられている。
なので黒いインクは掠れることなく鮮明にホワイトボードに浮かんだ。
『新競技の条件
・知力が重視される
・順位の判別が簡単』
「確かにその二つ、特に下の方は重要だよな」
大きい学園だからか、体育祭に本気で取り組む生徒も少なくない。
そんな生徒は引き分けではなく勝ち負けどちらか分かりやすい方がトラブルもないだろう。
「確かにそうですね。私のクラスは毎回“優勝狙うぞ!”張り切ってますし」
「まあ、みーがいればクラスの成績間違えなくトップだしね」
聡の言葉に希が頷く。
希は自身の運動能力は勿論、リーダー性もあるのでクラスの得点は今まで毎回希のクラスがトップだった。
ちなみに水花学園の体育祭は、4色(赤・青・黄色・白)があり、総合優勝はそれぞれの色の合計点数でトップが決まる。
また、それとは別に“団結賞”というものもあり、それは団結したクラスが選ばれる。
それは大抵クラスの合計得点が多かったところだ。
なぜなら得点を取れる=団結していると考えられるかららしい。
「じゃあ、どうするか?」
美琴はやや強引に話を戻す。
「普通に早押しクイズじゃだめなのか?」
聡は一番簡単な方法を言う。
「それは私も考えたんだけどね……。流石に何も動かないのはまずいなあと思って」
美琴は困ったように言った。
わざわざ炎天下でやる意味もないし……と美琴の意見に聡はなるほど、と頷いた。
「じゃあ、障害物競走みたいにしたらどうですか? ネットとか平均台の代わりに問題を置いて解いたら次に進める……みたいな」
望の発言に美琴は少しの間考えた。
「……それ、いいかもね! まあ、問題は学年別に考えなきゃいけないのがめんどくさいけど……」
「確かにそうですね。でも体育祭は中等部と高等部だけなので6学年分でいいですが」
水花学園は小等部から高等部まであるが、あまり大人数でやるとトラブルが起こる可能性もあるため小等部は別なのだ。
「問題は私だけじゃ流石に偏りそうだし皆にもお願いしていいかな?」
美琴は手を目の前に合わせてお願いした。
「当たり前だろう。ただ国語や数学などの本当に勉強一色にするのか、雑学などの学校で習うこと以外の知識も出していいのか決めておいたほうがいい」
「私は雑学も含めたいと思っているけど……。望もそれでいい?」
美琴は提案者の望に意見を求めた。
「いいですよ。というかそっちの方が面白いと思います」
望が賛成したので、1週間後それぞれ問題を10問ずつ作って来る事にして解散した。
* * *
なかがき
お久しぶりです。
忙しくて更新できませんでしたが、3月はわりと更新できそうです。
まあ春休みの宿題の量にもよりますが……。
次回は問題多めになりそうです。
- Re: あ、そうだ! ( No.42 )
- 日時: 2016/03/29 10:00
- 名前: 夕陽 (ID: IhITrV6o)
9月 あ、そうだ! 体育祭をしよう!3
一週間後、4人はそれぞれが考えた問題を持ち寄った。
「じゃあ、私から発表するね!」
美琴は色々調べたことを書いたであろう紙を掲げて言った。
「ちなみに私はなぞなぞ系ばっかだよ!」
そう言って読まれたものは……、
「まず第一問! 海と空の間にあるものは?」
「陸ではないのか?」
美琴の問題に聡がすかさず答える。
「残念! それだとなぞなぞにならないでしょ?」
得意げな顔をする美琴に聡は若干イラついたが表情には出さなかった。
「と、ではないですか?」
少し考えてから答えたのは望。
「正解だよ! 望!」
「え? な、なんで?」
美琴が大きく丸を作る。
希は説明を求めるように望を見た。
「簡単だよ。海と空の間にあるもの、これはこの文章の海と空の間にあるものという意味になるんだ。海、空の間にあるのはとだからね」
「うーん、難しい……」
望の解説に希は微妙な表情をした。
「まあ、なぞなぞってまともに考えたらダメって所あるし。頭の柔軟性が必要だよね」
「書記が一番苦手そうですね」
希は苦笑いで聡を見た。
「確かに、周りの人から頑固と言われるが……」
「まあ、頑固さがさとちゃんのいいところであり悪いところだよね!」
複雑な表情をしている聡を差し置いて、美琴は進めた。
「さて、第二問! あんぱん、食パン、メロンパン。この中で話を聞けるのはどれ?」
「どれも聞けないだろう」
「これは私も知ってます! 食パンですよね?」
聡が真面目に答える中、希は意気揚々と回答を告げた。
「だって食パンだけ耳——茶色い部分——がありますから」
「正解! 希もすごいね!」
「えへへ、ありがとうございます」
美琴が褒めると希ははにかんだように笑った。
普段は熱血系でも尊敬する人に褒められて照れているらしい。
そんな調子で10問目まで続き、次は聡になった。
「僕はどちらかというと理系が多いな。……もちろん中1でも分かるレベルにしてるぞ?」
「本当〜? さとちゃんいつもそう言って難しい問題出すじゃん」
美琴は疑うように目を細める。
その目を見ずに聡は淡々と問題を読み上げた。
「数直線で右になるほど数字は大きくなるか、小さくなるか?」
「確かに二択だから簡単だね! 答えは大きくなる!」
「ああ」
意外と簡単な問題だと美琴は内心安堵した。
聡のことだから「421と785の最小公倍数は?」などと地味にめんどくさい問題が出るのではないかと危惧していたのだ。
「次。空気の割合。多い順に窒素、酸素、○○、二酸化炭素。○○に入るのは?」
「えっ。空気の割合って窒素と酸素と二酸化炭素以外に何があるんですか!?」
希は驚いたように目を見開いた。
「アルゴンでしょ? 確か0.9%位。二酸化炭素は0.03%位だった気がする」
さらりと美琴は解答する。
「そうだな。というか光田、これ位常識だぞ?」
ため息をついて聡は言った。
「え? むーは知ってた!?」
「まあ。パーセントまでは知らなかったけど」
望に確認すると望は戸惑い気味に頷いた。
こうして聡の分の問題は終わった。
「次は私ですね!」
勢い良く席から立ち上がったのは希。
「私は体育関係多いです。第一問! 野球は1チーム何人でしょう?」
「これは簡単だ。9人だろう?」
「確かに簡単すぎましたかね……。ちなみにもう一問。トライアスロンの種目を三つ答えなさい」
あっさりと答えられて項垂れるも、すぐに新しい問題を出す。
「確か長距離と自転車と後一つなんだっけ?」
望が思い出すように言うが全部は分からなかった。
「あとは水泳だね。順番は水泳、自転車、長距離」
美琴は当たり前のように答える。
「まあ、これは知らない人もいるかもね。野球よりは難易度高いかも」
苦笑い気味に補足した後、美琴は望の方を向いた。
「望の問題は?」
「僕のは英語系が多い……というか全部です」
そう言ってノートを出す。
「mentalの意味は?」
「精神」
聡が即答した。
「早いですね……。じゃあstruggleは?」
「もがく」
またまた聡が答える。
それを数問繰り返すと聡は淡々とこう指摘した。
「というか、英単語だけだと簡単すぎないか?」
「え、私には全く分かりませんでした……」
「光田は論外」
「そ、そんな……」
ダメージを負ったような顔をしたがすぐに戻った。
「でも単調ではありますね」
「とりあえず、この問題を元にして問題作るか!」
美琴の言葉で色々な問題作りが始まった。
* * *
なかがき
更新早く出来そうとか書いたのに遅くなってすみません……。
次は体育祭本番になりそうです。
追記(3月29日):題名に9月を付け忘れたので追記しました。
- Re: あ、そうだ! ( No.43 )
- 日時: 2016/03/29 10:02
- 名前: 夕陽 (ID: IhITrV6o)
9月 あ、そうだ! 体育祭をしよう!4
そして9月の第二土曜日、体育祭当日。
生徒会メンバーは体育委員と早朝から打ち合わせをしていた。
「問題を書いた紙は封筒に入れて会議室にあった机を使えばいいですよね?」
「うん。先生には許可とったし大丈夫! 机運ぶ係はそっちで手配してくれた?」
「はい。体育委員は体育祭が一番忙しいので今日はしっかり仕事しますよ! しかもほとんどの委員は運動部で体力もありますし」
美琴は体育委員長というよりは図書委員長のような少女と話していた。
「あの人、本当に体育委員長なの?」
「うん。見た目は思いっきり文系なのに結構体育会系らしいよ」
双子は小声でこそこそ話していると、
「委員長、道具のチェック済みました」
「ありがとう。じゃあ後は皆準備体操していて。今年も委員会対抗リレー絶対優勝するから!」
その言葉を聞いて双子は(本当に体育会系だ……)と思った。
委員会対抗リレーはその名の通り委員会別の対抗リレーだ。
各委員会中等部から6人、高等部から6人選出して競争するのだ。
男女比は問わないが大体半々の割合が多い。
そしてこのリレーは異色でのチーム編成なのでポイントは入らない。
本気で勝ちをとる委員会はほとんどないのだ。
「よし、じゃあ私達も最終チェックするか! 封筒にしっかり紙が入っているか確認して」
美琴の指示で3人は動き始めた。
中の文字までは見なくていいが、それ故に逆に単調な作業。
「全部確認終わった?」
美琴は素早く自分の分を確認し終え、他の人の手伝いをしようと顔を上げた。
「私はあと少しです」
「僕も」
双子はあと2、3枚。
これなら手伝う余地もないだろう。
「さとちゃんは?」
「僕は終わった」
「いや、それ絶対終わってないでしょ!」
1人20枚という振り分けをしたのに聡はまだ10枚近く残っている。
どうやら原因は彼の確認の仕方にあったようだ。
「さとちゃん、わざわざ問題文まで見なくていいから!」
几帳面な性格からか、問題の書かれた紙を広げて全て読んでいるのだ。
「あとは私がやる!」
美琴は奪うように確認をした。
「そ、そんな……」
聡は驚いた顔で美琴を見たが、
「はい、終わり!」
美琴はすぐに確認を終えた。
「もう問題文の中身の確認は済んでいるんだしこれでいいの!」
と呆れ気味に諭した。
「会長、こっちも終わったよ!」
「ありがとねー」
どうやら全部終わったようだ。
美琴は、
「じゃあ、次の集合は新競技のときね!」
と自分の応援席に走っていった。
* * *
なかがき
やっと体育祭本番がかけました……。
次は新競技になると思います。
9月はあと2話位で終わりそうです。
……あくまで予定ですが。
更新ゆっくりですが、これからも見ていただけると嬉しいです!
- Re: あ、そうだ! ( No.44 )
- 日時: 2016/04/17 17:15
- 名前: 夕陽 (ID: IhITrV6o)
9月 あ、そうだ! 体育祭をしよう!5
「ふう、いよいよだね」
美琴は役員席で呟いた。
その顔は新しいおもちゃを与えられた子供のようだ。
「ああ。とりあえず進行は放送委員に任せているから僕達は見守っているだけでいいが」
美琴の言葉に答えつつ、険しい顔で運動場を見るのは聡。
基本、彼の力でここまで導いてきたので最後の最後に失敗しないか心配なのだろう。
「でもフォローはいつでもできるように準備万端ですよ!」
先ほどまで放送委員と最終打ち合わせをしていた希が笑顔を見せる。
全く失敗を疑っていない無邪気な笑顔だった。
「そろそろ始まりますね」
望の言葉に一同はスタートラインに視線を移す。
学年ごとになっているので、最初は中等部からだ。
高校生に比べて幼い顔がある者は緊張気味に、またある者は自信満々にスタートラインに立っていた。
「位置について。……よーい、ドン!」
旗が上がると同時に、一斉に駆け出す。
ほとんどのものがいかにも頭脳派で最初の100mトラックはそこまで盛り上がらない。
ただ、一人速い人がいた。
その人はすぐに手近にあった封筒に手を伸ばした。
中身を見た瞬間、その人の眉根がかすかに寄った。
「苦戦してるね〜」
美琴はニヤニヤと笑う。
「人の苦しんでいるのを笑うとは悪趣味だな」
聡が冷たい眼差しで美琴を見た。
「私が笑っているのは、私達が作った問題が難しいと確信出来たからだよ」
最初に出された問題ではあまりに簡単すぎる、とかなり高レベルの問題にしたのだ。
そして数秒後、全員が同じラインに並ぶ。
一応観客席の生徒に聞いてもいいが、観客席はやや遠く、少しひねった問題なのですぐに答えられるか分からない。
そんなことを美琴が考えていると一番最後についた人が審判の人に正解を告げて残りの100mを走り終えていた。
「やっぱりいいよね〜。逆転劇は!」
興奮気味に机に手をついて乗り出す。
「美琴、落ちるぞ?」
聡の注意は全く聞かない。
この調子で新競技は幕を閉じた。
* * *
なかがき
今回は特に事件もなく終わりました……。
あと1話しかないので起こせなかったというのもありますが。
次回はエピローグです。
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