コメディ・ライト小説(新)
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- 憑きもん!~こんな日常疲れます~【更新停止】
- 日時: 2024/01/26 23:11
- 名前: むう (ID: F7nC67Td)
中学2年生の私・月森コマリには一つだけ悩みがある!
それは、世にも珍しい【逆憑き】という体質なこと!
なんとなんと、自分の行い全てが悪い方向に行くみたい。
自分の存在自体が悪い妖怪とかを呼び寄せてしまうんだって。
治すには、悪い妖怪と一緒に集まってきた、いい妖怪か幽霊さんの力を借りるべし。
でもなかなか、そんな優しい幽霊来ないんですけど———!?
悪運強すぎJCの日常ラブコメディはじまりはじまりっ。
―-----------
《2023年夏☆小説大会
2023年冬☆小説大会 銀賞入賞!》
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作者とキャラの感想はコチラ→>>54
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>>23
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>>09 >>47
※不定期更新です!
※視点変更をメインとした展開です。毎話ごとの主人公がいます。ご了承ください。
※若干のシリアス描写がありますが、基本は日常コメディです。
---------------------
【目次】一気読み>>01-
〈第1章:新たな出会いは疲れます! >>01-17〉
プロローグ>>01
第1話「ヘンな同居人」>>02-04
第2話「誰だお前」>>05-06
第3話「ヘンな協力者」>>07-09 >>10
第4話「変化」>>11-17
〈第2章:新たな関係は疲れます!>>18-33〉
第5話「要らない力」>>18-21
第6話「契り」>>22-24
第7話「プレゼント」>>25-28
第8話「側にいれたら」>>29-33
アフタートーク>>34
閲覧数1000突破記念★キャラトーク>>46
閲覧数1400突破記念★キャラ深堀紹介>>51
閲覧数2100突破記念★○○しないと出られない部屋>>65-70 >>71-75
〈第3章:〔過去編〕疲れたきみと僕の話>>35-57〉
第9話「幽憂レコード:前編」>>35-38
第10話「幽憂レコード:後編」>>39-40
第11話「禍と鳥:前編」>>41-45
第12話「禍と鳥:中編」>>47-50
第13話「禍と鳥:後編」>>52>>53>>55>>56
アフタートーク>>57
〈第4章:新たな試練は疲れます!>>58-〉
第14話「転校生がやってきた」>>58-60
第15話「素直になれない僕らは」>>61-64
第16話「違和感」>>76-
【重要なお知らせ ※必読お願いします】>>81
[記録Log]
2023年1月11日、本編執筆開始。
2024年1月13日〜更新停止
[参考文献リスト]
・新訳:古事記
・妖怪大辞典
・京都弁(YouTube講座)
- Re: 憑きもん! ~こんな日常疲れます!~ ( No.1 )
- 日時: 2023/12/17 11:00
- 名前: むう (ID: F7nC67Td)
【プロローグ】
「ねえ、私呪われてるのかな?」
小学六年生のとき、近所の神主のおじいちゃんに尋ねたことがある。
いきなりのことだったので、おじいちゃんは目をぱちぱちさせながら私を見た。
「どうしたコマリ。またテストの点が悪かったんか?」
「だってどの教科ずぅーっと44点なことある!? 台風が毎回うちを直撃するし、この前の修学旅行は新築ほやほやのホテルだったのに、急に全部屋停電するし!」
まだ小っちゃかった私は、彼の袴にしがみついてわめく。
加えて運動会では未だに晴天をおがめず、誕生日に限って熱が出るし、一緒に登下校していたお友達は皆引っ越すか転校しちゃう。だからいつもひとり。
「……国語、算数、理科、社会ぜんぶ44点なの」
今回は5教科だけだったけど、家庭科でも音楽でもこうだった。
「ひとつだけ聞くけど、しっかり勉強はやったんよな」
おじいちゃんの眉間にしわが寄る。
私が馬鹿だと疑っているのだ。失礼!
「50点満点のテストだったりとかは」
「100のうちの44。もうこれ死ぬかなあ!? きちんと復習しても、塾に通っても44のままなの。めっちゃ不吉」
最初は自分の努力が足りてなかったのかなとも思ったけど、同じ成績が六年間続くと流石に努力とかそういうものではないと確信した。
授業もしっかり出てノートもきちんと取ってるし、宿題も毎日やってる。なのに点数は毎回なんとも微妙な数字。
「ね、やっぱ悪霊のしわざだよ。なんか憑いてるよぉ! おじいちゃん霊感あるんでしょ。教えてよ」
するとおじいちゃんは難しい顔になって、顎に手をあてる。
「うーん。でも、見た感じ悪霊の気配はしないんだよなあ」
霊の存在を否定された。
ってことはつまり、『おまえのせいだ』ということなのかな。
「えぇ!? ちがうよ私馬鹿じゃないよ!」
「もしかしてあれか? んー、じゃがあれはかなり確率が」
「なに? なんなの?」
神主のおじいちゃんはモゴモゴと口を動かして、言おうか数分間迷っていたけど、私の強い視線にとうとう根負けして口火を切った。
「【逆憑】何万人に一人、なるかならないかの、とんでもなく珍しい体質だ」
- Re: 憑きもん! ~こんな日常疲れます!~ ( No.2 )
- 日時: 2023/12/17 11:02
- 名前: むう (ID: F7nC67Td)
【第1話:ヘンな同居人】
「おーいコマリ、もしかして俺のカップラーメン食った?」
学校から帰って部屋に入るなり、床に寝そべってスマホゲームをやっていた男の子がチッと舌打ちした。
黒いパーカーに、ジャージのズボンというラフな格好に、ピンクに染めた髪がなんとも似合って……ない!
本人はおしゃれと思っているようだけど、めちゃくちゃアンバランスだ。
「え、あれ? キッチンのカウンターに、『食べて下さい』的な感じでおかれてあったら、食べるに決まってんじゃん」
私は悪びれずに答えると、肩から学生鞄をおろして軽く伸びをする。
「バッカお前!! あれは俺のだっつーの」
「おいしかったー。明日も買って来てね」
「はあ!? お・ま・え・なぁ……わさびでも入れればよかった……」
とため息をつく同居人を軽く受け流すのが日々の日課。
私の名前は月森コマリ・14歳。
現役の、ちょっと変わった女子中学生です。
□■□
私は、お父さんの知り合いが経営しているアパートに住んでいる。
去年までは普通に家族と一軒家で暮らしていたんだけど、毎年毎年台風の影響を受ける家で過ごすのは、かなりお父さんたちも怖かったようで。
「というわけで、コマリはそのアパートに住みな。お父さんとお母さんはおばあちゃんちに行く。 自分のせいでこうなったって思うのもしんどいだろ」
職業柄なのか、心理カウンセラーをやっているお父さんは、娘を困らせないよう、ゆっくりと説明してくれた。
「お前の言う『ギャクツキ』がなんなのか、お父さんはわかんないし霊感もないから、力になれなくてごめんな」
「いやいや、お父さんが謝ることじゃないし……。あと毎回家を半壊しにして、ごめんなさい」
逆憑きというのは、自分の行いや行動全てが悪運を引き起こしてしまうというあまりにも迷惑な体質だった。
神主さんが言うには、悪い霊などは向こうから人間にとり憑くが、私の場合は霊が大好きな「負のオーラ」を自らまとっているらしく、それは『憑いてもいいですよー!』というサインにもなるみたい。
よって、悪運に次ぐ悪運で、負の連鎖。
自分が死なない限り、この運命から抜け出せる道はないとのこと。
(なんでそんなまた面倒な体質に———!?)
娘のせいで、家の屋根は風で吹っ飛ぶわ、雨漏れするわ。
これじゃ一生親孝行できないし、お腹を痛めて生んでくれたお母さんにも申しわけなさすぎる。
お母さん自身はのんびりした性格で、「あら~レア引いた?」とゲーム感覚で呟いてたけれど。
「お父さんの知り合いの時常さんとこの息子さん、霊感あるらしいから、同じ部屋にしたけど大丈夫かな? コマリももう14だし、さすがに男の子と一緒は……」
「ううん、大丈夫! 私恋愛マンガより少年マンガ派だもん」
「そ、そんな基準で大丈夫なのか?」
「平気!」
とまあ、こんないきさつで、現在私は(二歳上の霊感バチバチの)男の子との生活をすることになったのだった。
ちなみに時常さんちの子なので、縮めて「トキ兄」と呼んでいます。
□■□
「トキ兄さぁ……」
トキ兄がゲームをしている横で、私は今日配られた教科書に名前を書く作業を始める。
「んだよ」
「いや、自ら髪染めて校則やぶって退学とかよくやるなって思って」
時常美祢という優等生みたいな名前なのに、彼の過去はかなりぶっ飛んでいる。
小学生の時は沢で釣ったザリガニを学校に持って行って、教室を水浸しにした。
中学校の時は【ミネ・ダークネス】と自分で名乗り、恥ずかしくなってその後学校に行けなくなった。
高校生になって、高校デビューを決めようと思って髪を染めたあとで校則に気づき、現在に至る。
「馬鹿なの……?」
「馬鹿って言うな44点ガール」
「だってそうじゃん! 色々と痛いし、全然似合ってないし。黒髪に戻したほうが良くない?」
初めて会った時の衝撃ったらなかった。
エクステとか、髪の一部分だけではなく、全体蛍光色のピンクなのだ。
『わぁー……』が第一声となってしまった私も失礼だけど、あれは仕方なかったと思う。許してください。
「もう吹っ切れたからいーの。似合わねえって笑われても自分的にはかっけえと思ってるし」
こう言う人に限って時々とんでもなく良い名言を言うものだから、私はいつも反応に困る。
「………そ、それならいいけど……」
「てかお前、いつになったらマシな幽霊連れてくんの? なんか、泣きながら『一生のお願いですいい幽霊見つけて下さい頼みます』って足つかまれたの、マジ怖かったんだけど」
逆憑きの対処法は二つある。
一つ目は『死ぬこと』。
色々大変だけど、人生は楽しい。私はまだまだ生きていたいので、これはナシ。
二つ目は『いい妖怪や幽霊を見つけて、その力を借りること』。
逆憑きに惹かれて集まってきた霊の中に、もし縁起のいい妖怪とかがいればの話にはなるけれど、彼らに土下座するなりなんなりして、協力してもらう。
そうして、日々起こる危険を守ってもらうことで、安心して生活できるってわけ。
んで、霊感のあるトキ兄の力でなんとかならないかなーっと踏んでいたのですが、残念ながらそう都合よくはいかなくて。
「あのなあ、俺も霊が見えるだけで神様じゃないんだからさぁ……。ボディーガードするだけでも疲れるっつーの」
「ま、まあまあトキ兄、拗ねないでよぉ。私はトキ兄がいてくれて助かってるよぉ」
悪運強すぎる中学生と、素行悪すぎる霊感男子。
これをネタに誰かが漫画を描いてくれることを祈ります。なんてね。
- Re: 憑きもん! ~こんな日常疲れます!~ ( No.3 )
- 日時: 2023/12/09 09:27
- 名前: むう (ID: F7nC67Td)
翌日は土曜日だったけれど授業がある日で、私は眠い目をこすりながらクラスの入り口の扉を開ける。
ガラガラッ!
ものすごい音が部屋内に響き渡った。
うちの学校・ともえ中学校は今年開校六十周年を迎える。おかげで建物のいたるところに隙間が出来ていて、冬場はけっこう寒いのだ。
「あーコマちゃん。おはよー」
「おはよー月森」
「お、杏里に大福。相変わらずラブいねぇ」
声をかけて来た、ゆるいハーフアップの穏やかな女の子が星原杏里。
幼稚園からの腐れ縁で、英語教室やスイミング、書道などたくさんの習い事をしている。くわえて吹奏楽部でフルートも吹いているので、華奢な見た目の割にめちゃくちゃタフ。
その横で、椅子ではなく机の上に腰かけているチャラそうな男の子が福野大吉。縮めて大福。
この二人、お母さん同士が友達なのもあって、一緒にいることが多い。性格的には杏里が大福に振り回されそうだけど、全然そんなことはないのだ。
よって、クラスメートの一部の人の間で、『早く甘い展開が見たいわ~。和菓子組』と呼ばれたりもしてる。
「お、そういや月森! 昨日の【怪異探偵Z】観た? エンディング変わってたぜ。チョーかっこよかったよな!」
大福が話題を振る。
怪異探偵Zというのは、少年漫画誌で大人気連載されている、漫画原作の怪異コメディアニメ。
そう、コイツと私は少年漫画好き仲間なんだ。
「ううん。私昨日は観てない……」
教室の最後尾の机にいったん鞄を降ろし、私は二人に近寄った。
さてさて、通例行事・二人の話に入るとしましょうか。
「めずらしいね。コマちゃんがテレビ観ないなんて。放課後カフェ寄ろうって言っても、『アニメやるから』ってキャンセルしてたじゃん~」
のんびり口調の杏里だからこそ、言及されると心に来るものがある。
私は言葉を詰まらせながら、そうっと視線を横にずらした。
「いやぁ、そのことはいいじゃん」
「よくない―。私わざわざ時間作って話しかけたのに」
「ご、ごめんって杏里~!」
両手を合わせて必死に頼み込むこと数分。ようやく彼女のお許しが出た。
この子、真面目で頑固だから、約束を破るとこうやって言及してくる。
私がオフの日は杏里の方で予定があり、なかなか一緒に遊べない。
大雑把な自分は、今日みたいにちょくちょく親友を無意識に傷つけてしまうことがあって。
「ふうん。じゃあお前、あの回観てねえのな。神回だったぞ」
「え、ちょっとネタバレは! ……ああ、昨日、トキ兄とちょっともめててリアタイ出来なかったんだよ」
カップラーメンを黙って食べてしまったことが逆鱗に触れたようで、あの後おつかい……ああいや、パシリに駆り出されたのだ。
ほんっと、あの人人使い荒いんだから!
「「トキ兄……?」」
杏里と大福の声がピッタリと重なる。
お互い首を傾げて、腑に落ちないって感じで腕を組んでいる。
「誰そいつ。おまえ兄ちゃんいたっけ?」
と聞かれて、私は自分のミスに気づく。
そうだった!
今日は新学年になって初めての土曜日。引っ越しやら始業式やらでバタバタしてて、同居生活のことを話し忘れていたんだっ。
(ど、どどど、どうしよう………!??)
お父さんの時のように漫画を理由には出来ないし、かといって素直に伝えたら、恋バナ好きの杏里は絶対食いついてくるだろう。
となれば大福も当然杏里と一緒に問いただしてくるから……。
「ねえねえコマちゃん」「おい月森」
あぁぁぁぁぁぁぁ! やばい、やばいよぉぉぉ。
「「もしかして、好きな人でもいるの?」」
………………は??
- Re: 憑きもん! ~こんな日常疲れます!~ ( No.4 )
- 日時: 2023/01/19 19:40
- 名前: むう (ID: viErlMEE)
す、好きな人?
なんのこと、なんの話??
私は二人から放たれた言葉に、一瞬めんくらう。
え!? 男の子と女の子が一緒に暮らしてたら、好きな人ってことになる世の中なの? それがふつうなの?
戦隊ものやアクションバトルに毒されて育ったのが、月森コマリという人間。こういうときにどういう反応をしていいかすらわからない。
なんでみんな、色恋沙汰にしちゃうの??
「だって、知らない男の子と暮らしてるなんて、好きな人以外ありえないよね」
と、杏里は言う。
「え、コマちゃん、どんな子がタイプなの?」
勝手に風呂敷を広げないでください。
好きなタイプ? 人をパシリに使わない優しそうな子かなぁ……。
「ちちち、ちがうよ! アパートの大家さんの息子さん! ちょっといろいろあって、引っ越すことになって、その、まあ同棲ってことにはなるけど、全然、全然そんなんじゃ!」
慌てて返したけれど、残念ながらフニャフニャと萎れた声では何もごまかせず。むしろ、言い方のせいで、更に誤解を生みそうだ。
と。
「アパートの……」
まだなおも獲物を狩るハンターのように目を輝かせている杏里を、大福が止めた。
「おい杏里、もうやめようぜ」
杏里の右手を掴んで、手元に引き寄せる。不意を突かれて、杏里は足をもつれさせ、「おっとっと」とよろける。
「えぇー、この先おもしろくなりそうなのに」
「人の話に突っ込み過ぎるのもアレだろ」
大福の言葉に私はウンウンと深くうなずいた。
さっすが大福! やっぱ持つべきものは仲間だよ。
これでやっと話を終わらせることができる。
いきなり幽霊が、妖怪がなんて言ってこわがらせるわけにもいかないし、この二人とはこうやってバカやってる方がこっちとしては楽でいい。
しかぁし。
「ってことで月森、放課後こっそり俺に彼氏の写真送ってくれ」
「!??」
類は友を呼ぶ。
幼なじみの言動を背後から見守っているこの男は、杏里の行動を真似する傾向にあるのです。
キーンコーンカーンコーン
「お、朝礼始まるぜ。じゃあまた後でな!」
「ちょ、ちょっと……」
うまいこと交わされ、右手を伸ばした状態のまま固まること数分。
その間、チャイムの音に合わせて、教室の後ろでおしゃべりをしていたクラスメートが自分の席へ戻っていく。
朝の元気はどこへやら。
まだ朝礼も始まってないというのに、私のやる気はすっかり削がれてしまいました。
自分の席へと進む足取りの重いこと重いこと。
『……おまえぇぇぇ。ふざけんなよ』
制服のスカートに忍ばせていたスマホがブブッと震動する。
私は席に着くと、机の引き出しの下でこっそりとスマホを開き、その画面―テレビ通話画面を確認する。
わがボディーガードの眉間には、深いしわが刻まれていた。
嫌だいやだとあれだけ叫んでいたのに、真面目なのか不真面目なのか。
『おじさんに頼まれて、わざわざ家から電話繋いでやってるのに……おい、あそこはせめて否定しろよ!? おい、どうすんだよ!? 俺ら、そんなハートフルな付き合いじゃないってのに!』
「それは充分把握しております……」
夜な夜な、部屋にひとつしかないテレビの視聴権をかけて〈叩いて被ってジャンケンポン〉をしている仲だもんね。
『最悪だよ! 引き受けるんじゃなかった! どうするよ、お友達の中で俺らがカップルに変換されるんだぞ責任取れよ!』
「新展開ラブコメディってことにすればナントカ」
『なーに受け入れてんだお前ぇぇぇぇぇ!! ミネ・ダークネスは色々とアウトだろーがっっ』
……あーあ、ことごとくついてない。
こんなので本当に、私の人生上手く行くのかなあ!?
- Re: 憑きもん! ~こんな日常疲れます!~ ( No.5 )
- 日時: 2023/12/17 11:13
- 名前: むう (ID: F7nC67Td)
テスト勉強の休憩時間に書いてます。
テスト大嫌い! うわん。
今回はミネ・ダークネス主役なのでお楽しみに。
毎日投稿できなくてごめんなさい。
-------------------------
【第2話:誰だお前】
〈美祢side)
机の上に置かれたパソコンにケーブルをつなぎ、横にはペットボトルのコーラをセット。眠くなったとき用にブランケットを椅子の背もたれにかけて準備完了。
時常美祢流・ネットワーク環境の完成だ。
俺の父親の知り合いである月森さんちの娘・コマリと暮らすことになって早一週間。
生まれながらの悪運体質によりことごとく人生を棒に振っている彼女を危険から遠ざけるべく、今俺はこうしてコマリを監視している。
「いやこれ一歩間違えればストーカーだろ……」
考えたら終わりということはすでに理解済みだ。
なにも知らない奴からしたら、電話を繋いでまで女の子と話したい痛い人間だと思われるのに違いない。
そもそもこの同居生活は、俺へのダメージがデカい。
コマリが引っ越して一週間になるが、家のあちらこちらから変な音が聞こえたり、電化製品が次々と壊れたりと、逆憑きの影響をモロに受けている。
明らかにお互いの得失が嚙み合っていないのだが、コマリの父は俺の父さんの大学時代からの友達。「無理です。俺の負担がでかすぎるんで」と言えたら良かったのだが、幼少期に遊びにつれて行ってもらったこともあり、彼のお願いに嫌と言うことが出来なかった。
あー! 頼みごとを断れない自分の性格が憎い!
「えーっと。とりあえず強い霊力は今んとこないな」
俺は小さい時から霊感があり、霊の気配を感じることができる。この能力は写真や動画など画面越しでも使える便利能力だ。
スマホの画面を再確認する。
コマリは授業中だというのにノートも取らず、堂々と配られたプリントで紙飛行機を作っていた。
幸い先生は、列の間を歩かず一時間教卓前で位置固定するタイプなので、気づかれてはいないようだけど。
「アイツ…自ら災いの種をまいてやがる。逆憑きなのを怠ける理由にするとは。だから44点取るんじゃねーの?」
カップ麺を無許可で食うわ、失言は多いわ授業はさぼるわ。
少しはましな行動を取れないのかコイツは!
「おいコマリ。霊じゃないけど悪い気配を感じる。古典の石橋先生は怒ると怖いぞ」
コマリの通っている中学は公立なので、俺も昔はそこに通っていた。現在コマリのクラス担任兼古典教師の石橋先生は、俺が中1だったときの学年主任の先生だ。
ああ、あの時怖かったなあ……。
あの先生の目の前で「必殺★ウルトラダークネススマッシュ!」と右手を突き出した思い出、今でも忘れられないぜ……。はは。
『えっマジッ? バレてる??』
「なぜバレてないと思ったんだ。一番後ろの席は意外と見えてるもんだよ。ほらほら、石橋先生が眉をしかめたぞ。早く教科書出せ」
いつもふんわり笑顔の優しい石橋先生は、ムッとした唇を嚙んでいる。スマホ越しでもわかる不機嫌そのものの態度。
ガサガサッ。
コマリが慌てて通学カバンをまさぐったのと、石橋先生がパンパンと手をたたいたのがほぼ同時だった。
『つーきーもーりーさぁん?」
ひどく間のびした声は、暗く重い。
『教科書140ページ開いてって言ったよね。そんなんだと、ゴールデンウイーク明けのテスト赤点になっちゃうけど大丈夫なの?』
『……うう』
コマリは苦虫を嚙み潰したような顔になって、視線を宙にさまよわせる。
『トキ兄めえ』
『月森さん? 教科書開いてね?』
俺の専門はお化け関連なので、これに関しては完全にお前のせいだ。
バーカ。ざまあみろ、バーカバーカ。
パートナーに反して、俺の心は有頂天。
毎度毎度俺を困らせている罰だ、とっとと報いを受けろ!
「ふふ、ふふふふふ」
「あのー」
「あはははははは、その間抜け面! あはははははは」
「あの!!!」
と。
パソコンに向かってニヤニヤしていた俺を、とある声が我に返らせた。甘ったるくてちょっと滑舌の回っていない幼い声。
「ぎゃああああああっっ!? だ、だ、誰ッ!? え、なに!?」
俺は後ろを振り替え……(いいや、椅子がローラー付きだったので正しくは椅子が回転しただけだが)、背後にいたその人物の姿を視界にとどめる。
「え、えっとお。こ、こんちゃですっ」
声の主―茶色の髪を低い位置で二つ結びにした少女は、宙に浮きながら右手を振る。
「あ、あれ、あの、えっと。うち、月森コマリって子に用があって訪ねたんですけど、お留守ですか、ね」
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