ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- もしもきみが、ここにいたら
- 日時: 2011/02/03 16:38
- 名前: とある板の住民 (ID: y0p55S3d)
移転しました
キーワード「空前絶後のこの世界で」
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
- Re: もしもきみが、ここにいたら ( No.14 )
- 日時: 2010/10/27 15:17
- 名前: からあげ ◆qTm8IKA.tA (ID: d3Qv8qHc)
これから勉強期間に入るので更新頻度がノロノロになります
- Re: もしもきみが、ここにいたら ( No.15 )
- 日時: 2010/10/27 15:42
- 名前: からあげ ◆qTm8IKA.tA (ID: d3Qv8qHc)
__第七話「マネージャー」
「失礼しまあーす」
そう言ってから、扉を押し開ける。豪華で少し大きなその扉を開けるのは、いちいちめんどくさい。今度、扉を簡単なものに変えてもらおうかな。
扉を開けた先に続くのは、カーペットが敷かれた上にソファや仕事する為の大きな机があったり……いわゆるここは、社長室みたいなものだ。
部屋には一人の男がいた。黒髪の、賢そうな顔をした男。男はソファに座りながら、僕の方を見た。
「……遅いぞ、正木(まさき)」
少し怒ったような顔をしながら、彼はそう言った。
僕はいつもの通り、ヘラヘラ笑ってみせる。
「そんなん言わんといてくださいよ、統括。僕だって例の子の件を、自分の仕事キャンセルしてまで探してるんやから」
「統括マネージャーとしてそれは当たり前だっ」
「堪忍してやー、統括!」
彼は僕らの統括。そして僕は統括マネージャーとして彼を支えているけど、仕事はそれだけではない。
僕は統括の前にあるソファに座り、
「例の子やけどな、まだ見つからへんねん」
「……組織全員で探しても見つからないってことは、やはり奴の元に行ったということか?」
「まあ、そういうことになるやろうな〜……居場所を突き止める能力とか、あったらええのに」
「甘ったれるんじゃない。念のために、神社に行け」
「神社? 例の子の家ってこと?」
統括は首を左右に振り、否定した。
「グレイが調べてくれた結果、例の子が連れて行かれる前に、ある男と接触していたことがわかった」
「そんなん僕もグレイに聞いたけど……それがどうしたん?」
統括は声を低くして、
「そいつを組織に連れてこい」
悪人面というかなんというか、ちょっとこわい顔だった。
そんな彼でも、最後まで支え続ける。
僕はソファから立ち上がり、にっこり笑ってやった。
「はいはい、了解。僕一人で行ってくるから、統括は茶菓子でも用意して待っててなっ」
語尾にハートマークをつけたような口調でそう言うと、統括はうっとうしそうな顔をしながら「早く行け」とだけ怒鳴った。
僕は重い扉を開け、部屋を出る。
さあ、始まる。
もしかしたら、これからかもしれない。
僕の人生が変わるのは。
- Re: もしもきみが、ここにいたら ( No.16 )
- 日時: 2010/11/02 18:23
- 名前: からあげ ◆qTm8IKA.tA (ID: d3Qv8qHc)
__第八話「最初のわかれみち」
砂利道を踏みしめながら歩く。昨日の時と同様に、あまり人はいなかった。平日の昼間だから、という理由もあるが、もともと人口の少ない村のような場所だし、人とすれ違うことも少なかった。
「あやめ……」
神社の鳥居を見上げながら、俺は思いふける。
……このまま、あやめが見つからなかったらどうしようとか、無事なのかとか……心配なことばかりだ。
あやめと笑いあっていたのは、つい昨日の出来事。俺は普通の生活を送っていたはず。なのに、その生活から突然、太陽が失われた。
誰かいないだけ、いいや、あやめがいないだけで、こんなにも気分が沈む。心配になる。孤独になる。情けない自分を恨む。
ため息をついてから、振り返って足を進める。
これ以上神社にいたら、神主さんが出てきそうだったからだ。
……逃げる、という言い方が正しいのかもしれない。神主さんに話しかけられたら、俺はどう反応すればいいのかわからん。自分の孫と最後に行動してた俺と鉢合わせになるなんて、嫌な展開だ。
きっと、神主さんも……俺を恨んでいるかもしれない。俺のせいで、あやめがいなくなったのだと、俺を恨んでいるかもしれない。
恨まれたって仕方ない。先生はああ言っていたけれど、俺のせいかもしれないのだから……
重い足取りで、適当に歩く。時折あたりを見ては、また自分の足に目を落とし、ただただ歩く。
あとどれだけ歩けば、あやめに会えるんだ——?
と、その時だった。
「もしもし、そこのあんた」
聞きなれない男の声が、背後から聞こえた。俺は立ち止まり、後ろを振り向いてみる。
「そうそう、あんたやあんた」
ヘラヘラ笑いながら関西弁で喋るその男は——俺より年上のようで、黒いスーツを着ている。中の白いワイシャツの胸元ははだけていた。
俺は少し睨みながら、
「……なんですか?」
「ちょっと聞きたいことがあるねん」
意味もなく浮かべるその笑みは、あやめの笑顔が与える印象と全然違った。見るからに怪しい男だった。
男は自分の茶髪をボリボリと掻きながら口を開いた。
「えぇっと……四十川 瞬くん?」
「……見知らぬ人に名前を言う意味はないと思いますが」
冷静に言い返したのに、その男は可笑しそうに笑った。
「そんな冷たいこと言わんといてやー。僕の名前は、正木 圭吾(まさき けいご)。どう? これで僕はもう見知らぬ人ちゃうやろ?」
不審者に絡まれるのは当然のごとく初めてだったので、どう対応すればいいのかわからない。このまま逃げるか?
——そう思った時に、男はスーツのポケットからくしゃくしゃになった紙を一枚取り出した。
その紙はメモ帳の一枚を大雑把に切り取ったようなもので、紙の裏表には字がびっしり書いてあった。
「四十川 瞬、十七歳……母子家庭、父親はいない。八歳の時にこの町に引っ越してきた。性格はいたってクールで無愛想……か。うん、性格ピッタリ合ってるわ! 四十川 瞬くんは、あんたで間違いない」
男はそう言い終わると、ニッと笑った。
……間違いなく俺の個人情報だった。しかも性格までなぜか知られていることに、俺は驚きを隠せなかった。
「ビックリしたかー? そんな眉間にシワよせてたら、かっこいい顔が台無しやで? ん?」
俺は少し焦りながらも、冷静を装った。
「なんのことですか? ひとまちが——」
言いかけてやめた。いや、最後まで言おうとしたら、邪魔された。
男は一歩二歩と俺に近づいてくると、ニヤリと笑った……気味が悪くて、一瞬言葉を失った。
「なーんでそない嘘つくんや? ……僕に嘘が通用するとか思ったらあかんで……?」
「嘘なんて、ついてません。俺、気分悪いんで帰りま……」
言い終わる前に、男に手首を掴まれた。痛みを感じない程度に掴まれた手首は、振りほどけなかった。
男の薄気味悪い笑顔が、迫ってくる。
「気分なんて、悪くないよな? なんで平日のこの時間帯に学生が歩いてるんや?」
「だから、気分が悪くて……」
男はフッと鼻で笑った。
「ちゃうな——探そうと思ったんやろ?」
その言葉は、静かに放たれた。
俺は驚き、抵抗することを忘れた。
「ほうほう……幼馴染が行方不明になったのが自分のせいやと思って、早退してまで探しに来てるんか。あんたにとって、よっぽど大事な幼馴染なんやな……」
心の中を読まれているようだった……いや、読まれていた。他人に言った覚えのない、自分の心にだけ潜めていた考えが、その男の口からペラペラと繰り出される。
いったいなにが起こっているのか、理解できなかった。
「やけど、俯きながら探したってなんも見つからへんで。まあ、もっとも……もうこの町に、あんたの探してるお嬢さんはおらへんけどな」
俺はその言葉で、我に返る。
「どういうことだ!?」
さっきまで呆然としていた自分と違って、そこだけは反応できた。状況を理解できていなかったけど、その言葉にだけは言い返すことが出来た。
男は俺の手首から手を離すと、ニッコリと笑った。
「あんたの探してるお嬢さんは、゛七比良あやめ゛ちゃん——あたってるやろ?」
不審者らしきその男の笑顔に騙されているような気もしたが、黙って頷いてみる。こんなことを言うのもなんだが、まるで自分はしつけされている犬のようだった。
「うんうん、素直になれるやん。正直、僕のこと不審者やとか変態やとか思ってるやろ?」
まったくその通りである。俺は表情を濁らせながらも、嘘はつけないので黙りこむ。この男に嘘をついても無駄なのだと、俺は思い始めた。
男はハハハと笑いながら、小さく微笑んだ。
「君の目に映る僕が、不審者だろうと変態だろうと何だっていい。逆にいえば、僕の目に映る君が無愛想な少年だろうとただのイケメンやろうと、関係ないねん」
何となく説得力のある言葉だった。
普段、こういうことを口にする人は身近にいないせいだろうか。
「四十川くん。君は今、僕を必要としてるんとちゃうか? ——僕が七比良あやめちゃんの情報を握ってるって、もう確信してるやろ?」
心を見抜かれている。それとも、俺がわかりやすいだけか? そこまで助けを求めるような顔をした覚えはないが……男の言葉に、頷いてしまう。
俺は小さく息を吸ってから、
「あんたが何者だっていい。でも、あやめのことを知っているのなら、どうでもよくはない」
と言い放った。
……すると、男は満足そうにニヤニヤと笑いだした。おもしろいことを言った覚えはない。
この人の笑顔は最初薄気味悪いと思ったが、今はそうでもなかった。
「いい答えや。じゃあ、教えてあげるわ、うん……でも、その代わりにな」
男は少しの間を置いてから、また口を開く。
「僕たちも、君が必要やねん」
その時、俺は何となく悟った。
ここで俺がイエスかノーか、どちらか答えることによって……
運命が大きく分かれる、と。
- Re: もしもきみが、ここにいたら ( No.17 )
- 日時: 2010/10/27 16:45
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
探し出しました〜!……やっとです
さてどんなものか……上手っ!
すごい上手じゃないですか、私の比じゃないですよ!?
- Re: もしもきみが、ここにいたら ( No.18 )
- 日時: 2010/10/28 17:07
- 名前: からあげ ◆qTm8IKA.tA (ID: d3Qv8qHc)
ああ一度名前を変えたので…言うの忘れてましたw
いえ、私なんてまだまだですよw本当に
展開が早いし描写はわかりにくいし…
Neonさんのほうが確実にうまいです
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
この掲示板は過去ログ化されています。