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神の能力者
日時: 2011/04/23 20:50
名前: メゾ (ID: viAVUXrt)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?590552

はじめまして!メゾといいます。
小説を書くのは初めてだけど、読んでくれると嬉しいです♪
参照は、この物語の主人公・トレアちゃんのイラストです!もし宜しければ見てくださいね^^
それでは、「神の能力者」始まります><

*ストーリー*
人間を超えた存在、「特殊能力者」。主人公、トレアも人間を超えた存在。同じ存在の仲間と共に弟、リュランの仇、『月の騎士』を倒そうとする。

*前回までの物語*
「超」の能力者のトレアは、「炎」の能力者、コルルと「氷」の能力者、ソマリを仲間にする。
「無」の特殊能力の持ち主、ナタリーも仲間にし、ゆっくりと動き出そうとした矢先、学園がテロリストに襲われる。なんとか生徒たちを非難させることができ、月の騎士を捕まえようと、計画を立てていたところにミュリがペルソナとともに現れる。自分が皇女だということが知られ、ミュリは裏切られたと思い、復讐のため、月の騎士の一味になる。「死怨」という名をもらい、「操」の能力をかけられ、完全な僕となった。

目次>>54
登場人物紹介>>55
トレア、コルル、ソマリのプロフィール>>21

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Re: 神の能力者 ( No.44 )
日時: 2010/12/21 21:50
名前: メゾ (ID: dSN9v.nR)

第三十二話  「死怨」

暗く、明りはない。真っ暗な部屋。音もなく、静かだ。辺りは妖しい空気に覆われている。人影はあるようだが、動きもなにもない。まるで死んでいるようだった。
しばらくすると、ボボッとろうそくの火がついた。ようやく顔が見えるようになった。皆、目は藍色。トロンとしている。その人たちの中心に一人の青年が座っていた。
「では、新しい幹部の紹介をしよう」
声がかかると、一斉に一人の少女の方に視線がいった。少女は堂々と開いた道を歩く。そして、青年の隣に並び、自分の名前を言った。
「ミュリ・アーバン」
淡々と。感情のこもっていない、冷たい声。学生としての明るさはなかった。月の騎士はニヤリと笑い、指をパチンと鳴らした。ミュリの目が大きく開く。体をくの字に曲げ、頭を抱え出した。
「ううう。つぅ……」
唸り声が響く。しかし、誰一人動揺しなかった。いたって普通にその様子を見ている。この人々は「操」の能力によって人形となった一般人である。「操」の能力は、人の潜在能力を普段より高めることができる。つまり、ここにいる人は皆、力は強く、身体能力が高い。月の騎士はこれが目的で「操」の能力を使っていた。
すべてはエテリアル帝国の実権を握るため———
「うぁぁ」
ようやく唸り声が止まった。ミュリは立ち上がり、顔を上げる。その顔はさっきとは違っていた。
右目が藍色、左目が茶色。どう見ても不自然だった。月の騎士は再び指を鳴らす。
「試しだ」
今度は両目とも藍色になる。だっと走り、一人の男を斬った。ブシュッと血が舞う。血が彼女の顔についた。ほう、と息をつき、
「君はもうミュリじゃない。君は『快楽殺人鬼』になるんだ」
少し間を開け、手を広げて言った。
「君の新しい名前は———『死怨』だ」
「我々はお互いを漢字の名で呼ぶのだ。悪くはないだろう?」
死怨はゆっくりと振り返る。月の騎士はまたパチンと鳴らした。
すると、バタバタと人が倒れて行った。死怨以外は。目が元にもどり、彼女は口を開いた。
「何故私以外の人を倒した?」
口調が全く違う。藍色の目が鋭く光った。すると、彼はただ一言だけ言った。
「ペルソナ」
は?と聞き返したくなったが、そのまま彼は出て行ってしまった。残された死怨は自分の顔を触る。
ぬるっ
気持ち悪い感触。べっとりしている。何これ?と思い、指を見る。
赤い液体がついている。下には斬られた人が転がっている。これは———
「私が…。したの…?」
この見知らぬ人を自分が?何故?
違う。これは人形。指や顔に付いているのはただの赤い絵の具。そうだ。
自分を守ろうとする。しかし、心の中はこう叫んでいた。
人殺し!! 死神!! 悪魔!! 鬼!!
違う!! 違う違う違う違う違う違う違う………

ようやく結論にたどりついた。これをしたのは…自分。
そして自分はもう死神になっていたことを。
そう思うと何故か笑えてきた。
「ふ…。あは。あははは。あはははは、あはは、あははははははは」
しばらく笑い声が絶えなかった。倒れた人々の真ん中に立つ少女。
自分の存在を確認するために血のついた手で顔や手や首を触る。
彼女はいつの間にか血だらけになっていた。笑いながら考える。

自分は完全に狂ったんだ。人を殺しても笑っていられる。
そうだ。これで復讐ができる。狂った自分ならなんだってできる。
自殺だって、人殺しだって。一つの罪と十の罪は同じようなものなのだから。
必ず——————
トレアを殺してみせる。
あいつを殺すのは月の騎士ではなく、自分だ。



*後書き*
今回はトレアちゃん中心ではなく、ミュリちゃん、いえいえ、死怨ちゃん中心でしたね。
恐ろしい名前に、と考えていると、ふと「死」という言葉と「怨」という言葉が思いついたので「しおん」と言う名前でつけさせていただきました。
ネーミングセンスのなさをどうか見逃してください。
次回は新キャラ登場です。敵キャラなんで、どうぞよろしくお願いします。
眠くなってきたのでそろそろここまでにしときたいと思います。
あ、すみません、ここ最近、後書きを書いていないものがあります。ヒマがありませんでした。ごめんなさい。
第三十二話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
              メゾ  








Re: 神の能力者 ( No.45 )
日時: 2010/12/22 11:56
名前: メゾ (ID: dSN9v.nR)

第三十三話  「心」

「ですってー。ペルソナぁ」
風通しのよい、とあるビルの屋上。ロングスカートをはき、全身真っ黒でまとめている女が一人、柵に座っている。
女はセミロングの髪にサングラスをかけている。スタイルは抜群で、真っ赤な口紅をつけている。妖艶だった。
しばらくすると、真っ黒なマントをはおった青年が現れた。
「その呼び方はやめろ。魔鬼」
「その名はもう捨てた名だ。でしょう?」
女——魔鬼は読みとったかのように言った。やがて柵から下りた。髪がなびく。しばらくの間、二人はずっと黙っていた。
「さすがだねー。あなたのような人は二人といないだろうねぇー」
沈黙を突き破るようにのんきな声が出た。月の騎士はさっきとは違う、穏やかな顔で、呆れたように言った。
「お前…。何でもかんでも『読もう』とするの、やめろ。何も考えないようにするの、すごくきついんだよ」
魔鬼はふふっと笑うとサングラスを外した。緑色の鋭い眼がのぞく。その外したサングラスを、細く長い指で遊びだした。まるで、小さい女の子が遊んでいるような仕草だった。月の騎士は、はあ、とため息をつく。
「まったく。お前のような奴は扱いにくいよ。だって?失礼ね」
サングラスをいじくりながら言った。「読まれた」彼はげ、という顔をする。
「お前、あんまり使いすぎるのはよくないぞ」
すぐに表情をもどし、極めて冷静に言った。その言葉を聞いた途端、遊ぶのに夢中になっていた彼女が顔を上げた。
緑色の特殊能力の目。魔鬼は「心」の能力者である。妖怪で言う、「サトリ」のようなもので、心を「読む」ことができる。彼女は月の騎士に出会う前、この能力を生かし、人をだましたりしていた。相手の心を読み、動揺したところを襲う。今までそうやって生きてきた。これからもそうやって生きて行くつもりだった。
ある日、「ペルソナ」と呼ばれる青年にあった。いつものように心を読み、動揺するだろうと思っていると、
「なるほど。君が『心』の能力者か」
逆に自分が「読まれた」ようだった。青年はずっとこちらを見ながら笑っている。もう一度「読もう」とした。しかし、
「読めなかった」読もうと、読もうとするたびにもっと読めなくなった。
どうして——。
自分が動揺していると、青年は
「僕に仲間にならないかい?」
と言った。一人だった彼女は、意味もわからずに頷いた。
これにより、「魔鬼」という名前をもらい、「幹部」という位置を取ることができた。

「新しい幹部の子はどうなの?」
話題を変えた。もう一度サングラスをかけなおす。月の騎士は
「使えそうだよ。僕の敵の親友だったみたいだからね」
と、今度は不敵に笑いながら言った。魔鬼はうーんと伸びをしながら
「トレアちゃんの親友?ふーん。すごいね」
「あくまで思いこみかもしれないけどね」
少し彼女は月の騎士の顔を見たままだまった。しばらくすると、真剣な顔になり、口を開いた。
「あのさ。気をつけないと、あなたも殺されるかもしれないよ」
彼はちらっとその真剣な顔を見ると、また目線をもどし、
「平気さ。一応能力は使っているし、まさか心配してくれてる?」
「してない」
即答だった。つれないねぇと言う顔をする。魔鬼はあきれ、月の騎士の横を通り、階段を下りて行った。残された彼は、
「君は自分の名前を忘れているようだね」
と、つぶやいた。
「悪いと思ったけど、能力を使って聞き出させてもらったよ」
しばらく間をおき、さらっと言った。
「フォーミシェル」



*後書き*
すみません。今回もトレアちゃんが出てきません。
それと、あんまり時間がないので、今回はここまでにしていきたいと思います。
ありがとうございました。
               メゾ

Re: 神の能力者 ( No.46 )
日時: 2010/12/24 14:14
名前: メゾ (ID: dSN9v.nR)

第三十四話  「貴族」

トレアの部屋。四人がそれぞれ椅子に座っている。コルル、ソマリ、ナタリー。
「ミュリと月の騎士についての報告」
パソコンを眺めながらぶすくれた顔で言った。その画面にはその少女の画像が映っている。
「あれからの行動記録。あの事件から一度も家に帰っていないみたい。それに、目撃情報。両目の色が違っている。片目は藍色。片目は茶色」
「両目の色が違う?」
「ミュリは両目とも茶色だったよな?」
二人が質問する。ナタリーはその様子を見て、ピッ、と携帯のボタンを押した。他の三人のパソコンに画像が送られる。それは、両目の色が違う少女の写真だった。コルルとソマリは、はぁー?という顔をし、あんぐりと口を開けた。
「これは、『操』の能力が半分かかった状態。普通なら、両目とも同じ色になる。そうなると、意識まで操られるからほぼ何も喋らないし、行動も最低限しかしない。けど——」
少し間をおいてからトレアは言った。
「このように、片目の色を残しておくと意識までは操られない。けど、命令をすれば必ず動くし、潜在能力は高まったままの状態」
「えっと…?それはつまり…?」
ソマリが訳分からないというように聞いた。
「彼女は私たちと同じ、人間を超えた存在になっているってこと」
特殊能力者と同じ、という言葉を聞いた途端、しーんと皆黙った。
しばらくの間、黙っていたが、ピリリ、という音でその沈黙はやぶられた。
ナタリーの携帯だった。彼女はピッピとボタンを器用に押し、画面を見た後、つぶやいた。
「…………明日、高等部に転校生」
「転校生?」
コルルがまた?という表情でナタリーに言った。すると彼女は画面を他の三人につきだしてきた。
何かのサイトの書きこみ。それには、こう書かれていた。
『明日、私、エジュネリート学園の高等部に転入するんです。楽しみなんですよ。友達がたくさんできるように頑張ります!!』
「ふーん。いたって普通の女の子だね」
ジュースを飲みながら言った。トレアもコルルもドサッともう一度椅子に座りなおした。ナタリーは携帯をいじり始める。
またピッピ、という音しか聞こえなくなった。コルルとソマリは机に教科書やノートを広げ始め、トレアに質問をし始めた。
二人は初めて高校に通い、始めて勉強というものをした。そのため、訓練とこういう報告会の時以外はほとんど勉強に費やし、少しでもついていけるようにしようとした。聞くときはたいていトレアで、ナタリーが現れると、かってに彼女が自分らの宿題をしてくれる、ということで宿題はすませていた。
しかし、トレアも皇女なので、あまりヒマではない。なので、こういう時にしか質問することができないのである。
少しの間、ワアワアしていたが、ナタリーが急にトレアのパソコンを触りだした。
「えっ?ちょっ、ナタリー?!」
慌てて止めようとするが、彼女はキーボードを叩き始めた。物凄いスピードで画面に文字が並ぶ。やがて一人の少女の写真が映った。
その写真が出てくると、ナタリーは打つのをやめた。





*後書き*
すいません。物凄く長くなったので、ここできりたいと思います。
次回はこの続きなので、短いです。
やっとトレアちゃんが出てきてくれました。
ですが、次回のその次にまた死怨、魔鬼、月の騎士が出てきます。
ごめんなさい。このシーンはどうしても入れたくて…。
また新キャラ登場です。このキャラが落ち着いたら、また可愛いキャラを出したいと思っています。
第三十四話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
                    メゾ




Re: 神の能力者 ( No.47 )
日時: 2010/12/27 13:03
名前: メゾ (ID: Btri0/Fl)

第三十四話  「貴族」 続編

全員がその写真を食い入るように見る。
「ティナ・キヒステン…?」
英語で名前が表示される。
「なに?これ?」
トレアが聞くと、ナタリーはその画面から目をそらし、カシャッと携帯のカメラ機能を使った。そして小さく
「この書き込みの主。高級貴族の女の子」
と言った。コルルとソマリはそれで?という顔をしたが、一人だけ違った。
「まずい…」
青ざめた顔でつぶやく。高級貴族は、色々な集まりなどに参加し、かなり皇女の顔を見ている。テレビではあまり顔は写されないが、貴族は生で見ているため、正体がばれやすい。
ようやくそのことに二人も気付き、「あっ」という顔をする。ソマリはうーんとしばらく考え込み、
「なあ、いっそのこと、学園全体にばらしたらどう…ぐはっ」
言った途端、すぐにコルルに腹を殴られた。うめき、腹を抑える。殴った本人は、すごい剣幕で睨みつけている。
「あのね。ばらすと、周りの皆が変わるの。『今まで通りに接してください』って言っても、絶対に道を開いたり、『トレア様』って言うようになる。それが嫌だから、今までずっと、ミュリにさえも言わなかったの」
少し悲しそうに目を伏せる。ソマリはすぐに謝った。
「ご…。ごめん…」
トレアは首を横に振り、いいの、と言った。それからは皆、これからどうするかずっと考えてきた。ふと、コルルが口を開いた。
「あのさ、こっちからあの人だけに打ち明ければ、ばらされずにすむんじゃないか?」
ばっとみんなが彼の方を見た。ナタリーは見なかったが。
それから色々そのことについて話をしていた。すると、全然話に入ってこなかったナタリーが突然口を開いた。
「今日、高級貴族は他の国に行ってる」
「え…」
ぴたっと三人の動きが止まった。彼女はもう興味を失ったらしく、また携帯をいじりだした。すると、トレアがバン、と机を叩いた。
「よし。ま、とりあえず相手は私のことを知らないということの方が大きいと思うから、打ち明けずに普通に接するね」
決まり、と言わんばかりにみんなの顔を見回した。
そして、この話が終わり、今日は解散した。



*後書き*
長かったですね。まさかこの回がここまで続くとは思っていませんでした。
話は変わりますが、クリスマスが終わりましたね。私は「ペンタブ」というプレゼントをサンタさんからもらいました。嬉しかったです。
またまた話が変わりますが、私、今、怪我をしているんです。玄関のドアの端っこで「ザクッ」と足を。
お陰で全然歩けないし、大量出血はするわで大変でした。皆さんも、こんなことのないよう、気を付けてください。(私のように、ドジではありませんから大丈夫ですよね)^^
さて、今回はここまでにしておきたいと思います。
ありがとうございました。
                 メゾ 








Re: 神の能力者 ( No.48 )
日時: 2010/12/27 13:55
名前: メゾ (ID: Btri0/Fl)

第三十六話  「興味」

空をずっと見ている。もう何時間も。地面に寝転んでいるから首は疲れない。何度か少し眠ったり、起き上がったりしたが、結局また空を見ていた。
「はーい。死怨。おやつ一緒に食べない?」
死怨の背後から、だて眼鏡をかけた女が、クッキーやジュースをトレイに乗せ、持って立っていた。近づいて来ると、隣に座った。
「魔鬼」
短く言うと、女はにこっと笑い、クッキーをパクンと食べた。
「あなた、もう十時間近くここにいるよ。飽きないの?」
もっともな質問をした。死怨はジュースを手に取り、首をかしげた。
彼女は自分がここに十時間ここにいたことすら気づいていなかった。ときどき何か考えようとしたが、考える内容が思いつかなかった。
しかし、一つだけ考えることがあった。
トレアのこと。
どう殺そうとか、どうおびき寄せようとか、そういうのではなく、ただふわっと顔が頭の中で浮かび、今までの会話や出来事を思い出していた。
「ほえー。なかなか友達としての中は良かったようだね」
「読んだ」魔鬼が言った。死怨はきっと彼女を睨む。それでも彼女は気にせずにパクパクとお菓子を食べ続ける。
少し脅すか…。そう思い、いつも持っているナイフに手をかける。ふと、
「あのさぁ。驚かないで聞いてほしいんだけど」
という声がかかった。ナイフに手をかけたまま、
「何?」
と言った。その言葉を聞いて、今までお菓子を食べるのに夢中になっていた彼女がピタッ、と食べるのをやめ、真剣な顔でこちらの方に向いた。
「トレアちゃんの通っている学園に、転校生が来るんだって」
それで?という風な顔をしていると、にっと魔鬼が笑い、
「転校生は高級貴族の女の子。しかも、トレアちゃんがいることを知っている」
死怨の目が大きく開いた。ナイフから手を離し、とっさに左目を抑える。肩が震えだした。
殺せ 殺せ 殺せ 殺せ 殺せ………
心の中でこの一言が繰り返される。しだいに茶色の目が濁り始め、藍色に近くなってきた。
パチンッ
すぐ後ろで指が鳴らされた。なったとたん、死怨の濁っていた目は元に戻り、きれいな茶色になった。
「ねえ。もうすぐで私、殺されるところだったんですけどぉ」
ふてくされながら後ろの人物に言う。そう言われた人物は、元に戻った彼女の顎をつかみ、
「もう少し強めにかけておこうか」
そう言って、「操」の能力をかけた。死怨はかかった瞬間、ドサッと横に倒れた。
魔鬼は倒れた死怨を起こしながら
「ね。気をつけないと暴走して、あなたも殺されるよ」
と言った。「操」の能力者は、
「僕はこの国、いや、この世界を支配するまでは死ねないよ」
と答えた。ふーんと彼女は頷き、緑色の目を光らせながら
「あのさ。トレアちゃんと転校生の様子、見たいんだけど。いい?」
と、少し控えめに言った。「操」の能力者——月の騎士は
「構わない。だけど、死怨は連れて行くな。暴走して、オリビアを殺すかもしれない」
後ろをクルリと向き、マントを翻しながら帰ろうとした。魔鬼はその後ろ姿を見ながら
「わかったーー」
と叫んだ。それからすぐに表情をもどし、考えた。
何故彼は実権を握りたがるのだろう。何故そこまでトレアにこだわるのだろう。
あの人ならすぐにあの能力でこの世界を支配できるはずなのに。
それほど彼女が強いということなのだろうか。
いや——あの子はただの人間。所詮は苦しみなど味わったことのない、ただの凡人。
苦しみを味わって生きて行くことこそ価値がある。
もしかして彼は———
それをわからせようとしているのか?
過去に何かあったから————。

そこで死怨が起きたため、魔鬼は考えるのをやめた。
「帰ろっか。疲れちゃった」
にこっと笑い、立ち上がった。







*後書き*
は〜。疲れました。 もうすぐ正月ですね。はやい〜^^
最近ヒマでヒマで仕方ありません。
「パソコンが友達の一人」と言っても過言ではないと思いますね。
話は変わりますが、風邪をひいたみたいです。
咳をたくさんします。皆さんも風邪には十分気を付けてください。
寝込み正月にならないように…。
さあ。今回もトレアちゃんが出てきません。
でも、ここで死怨ちゃんのことを出しておかないとあとあと大変になるので書かせていただきました。すいません。
疲れたので今回はここまでにしておこうと思います。ありがとうございました。
                     メゾ
 


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