ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- バッドエンドアリスの招待状
- 日時: 2021/02/02 23:46
- 名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: vQ7cfuks)
僕の親愛なるアリス。
どうしても君に真実を伝えることができない。本当に申し訳ないと思っている。
君の悲しむ顔を見たくないだけなんだ。
どうか、君が何も知らないまま幸せに生きてくれることを願う。
ねえ、アリス。ずっと君はそのままで。何も知らない幼気な子供のままでいてくれ。
秘密は絶対に解き明かしてはいけないよ。
「 お客様 」
すーぱーうるとらすぺしゃるさんくす!!!!!!!!!!!!!!(意味不明)
コメントありがとうございます。励みになります。
読んでくださる皆様もありがとうございます。もしよろしければ、もう暫くお付き合いくださいませ。
■電波 様
□小夜 鳴子 様
藍色の宝石 【中編集】/5作品目
(1作品目)優しい蝉が死んだ夏 >>003
(2作品目) 深青ちゃんは憂鬱だ。 >>029
(3作品目) 意地悪しても、いいですか。 >>039
(4作品目) 恋のつまった砂糖菓子 >>057
- Re: 優しい蝉が死んだ夏 ( No.24 )
- 日時: 2017/08/23 21:55
- 名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: a0p/ia.h)
◆小夜 鳴子 さん
初めまして、初めまして。と言いつつ、いつもお世話になっております。
すごく綺麗なフレーズですね。ぴったりすぎて感動しました。蝉のなくという漢字が「鳴く」より「泣く」を使うところ、わたしの好みにドンピシャです。ありがとうございます。
プロローグを気に入っていただけて嬉しいです。そこだけ異常に力を入れました(笑
ビンゴですビンゴ。無名のわたしに気づいてくださるとは、やはり鳴子さんは強者。あぁ、やっぱり癖ってありますよね。けれど自分では分からないという……。
いやいや、嬉しいです。実は「マキ」が下の名前であるような錯覚ができればと思い、苗字を槙野にしたのです。ああ、すごい嬉しい^ ^
御門はいい子のように見えるように、ただそれだけを思って書きました。イケメンです、何の文句もつけられない優男ですムカつく。マキへの愛情が強い部分がキモいなと作者の罵りを受けながらも懸命に生きてます((殴
風子はイラっとするキャラですよね。ちなみにわたしも風子とは絶対に友達になれないです。バンジージャンプとか言って飛び降りる子と仲良くなれる気がしない(汗
好きになると鬱陶しいくらい一途なんです。悪い子じゃないんですけどね。御門に愛されない悲しみでどんどんねじれていきました。
全く無関係の二人が姉妹という関係を成立させている。その異常さが、この作品の売りだと思っています。血も繋がってないし、直接的な関係なんて御門を通しての恋愛絡みのものだけ。それでもこれだけお互い依存しあっているって素晴らしく気持ち悪いなと思ってます。
湊かなえさんの作品は映像化されたものしか見たことがないので、一度は本を読んで見たいなと思ってます^ ^
うおおおお、大人向けですか。昔書いてた作品も対象年齢もうちょい上でもいいんじゃないかと言われたのですがアレです。わたしの文章はどちらかというと「柔らかい」っていうか、難しい言葉があまりにも少ないので(語彙力の欠如)、複ファの素晴らしい小説と一緒に並べると恥ずかしいのです(〃ω〃)
優しい蝉が一体どういう意味になるのかは、もう本当ね読んでほしいのです。人によって捉え方はそれぞれになるのですが、鳴子さんがどう解釈するか楽しみにしてまする。そして突然やってくるラップ!マキがやらかしたことについての真実もこれからありますので、是非読んでいただけたらと思います。
今日も玄関の前で蝉の死骸を見つけました。それくらい私たちにとって蝉って身近なものだし、死に最初に触れる生き物のような気もします。踏み潰すことも無きにしも非ずですよね。こればかりは仕方がないです(汗
そうなんですよ。死人はよくて思い出にしかなれないんです。だんだん忘れられるし、永遠に記憶に残ることはないんじゃないかとも思います。どれだけ悲惨な事件が起きても一ヶ月もすれば人々の記憶からは忘れられますし。所詮、そんなものっていうのがわたしも考え方です。
やもおって漢字で書けないですよね。未亡人がやもめって言いますし、そんな感じかな。
そう言っていただけて光栄です。これからも頑張っていこうと思えます。
そうですよね、わたしも最初違和感だった風子三人称事件(笑) でも、風子のわがままな性格を表すために「あたし」とかではなく「風子」っていう自分の名前がを人称にしたかったんです。気になりつつ、どうしても譲れなかった部分ですお恥ずかしい()
初めてスマホでぽちぽち打って完成させた小説ですので、わたしも「うわ、またやってる!」ってくらい誤字が多い作品です。見つけ次第直してるのですがきりがなくて、ほえええ申し訳ないです。早く修正せねば。
あと三話ほどで完結ですので、もうちょっとだけお付き合いくださいませ。
本当に読み込んでくれていることがわかる感想で、感動しました。ありがとうございます!
はい、これからもどうぞよろしくお願いします。
- 9 ( No.25 )
- 日時: 2017/08/24 21:36
- 名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: KG6j5ysh)
- 参照: 遠野風子の秘密
マキが死ぬ前日の日付で、手紙が来た。赤い封筒のその便箋の中には一枚の手紙が入っていた。
「その嘘では風子が幸せになれないと思い、最後に手紙を残します」
一行目の文字で心打たれた。
この人は風子のついた嘘にいつ気づいたのだろう。
無性にその手紙をぐしゃぐしゃにして、ゴミ箱に捨てたいと思った。やらないけど。
「御門にはわたしが殺したことにしよう。風子がちゃんと口裏を合わせてくれるなら、どうせ最後だし、全てわたしがやったことにすればいい」
煙草に火をつけて、続きを読んだ。
「前に風子が病室に来たときにわたしが出した紅茶に薬を入れた。それを飲んで風子のお腹の子供は流産した。ちゃんと御門にはそう言うように」
短い手紙だった。用件だけ書かれた冷たい手紙。
いつまでも続かない嘘だった。マキにもどうせ最後にバレる嘘を作ったつもりだった。
キスもエッチもしなかった。御門くんとしかしたくなかった。風子が好きなのは御門くんだけ、今も昔も変わらない。
きっと風子はまだ青春に、囚われ続けている。
だから、妊娠もしていない。ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから、御門くんにこっちを向いて欲しかった。マキだけしか見てない御門くん、それでも好きだった。だけど。
どうしようもない。この醜い感情を風子はどこにも追いやることができなかった。
マキが言った「おめでとう」は、きっと妊娠のことじゃなかったんだ。
「やっと、解放されたんだねって、ことだったんじゃん」
バカだ。最低だ。
風子はマキのことを嫌いながらも、マキが風子を救ってくれることを信じていた。都合が良すぎる願いを、ずっとマキに。
目の縁に涙がたまる。グッとこらえても今すぐこぼれ落ちそうだ。
ごめんなさい……。ずっと御門くんが欲しくて欲しくて仕方がなかった。風子が望むものをなんでもくれたマキが唯一くれなかったのが、御門くんだった。それだけ大事だったんだ、御門くんのこと。
こんなのわがままだって気づいてた。それでも、どれだけ嫌われたっていい。どれだけ憎まれたっていい。
風子はマキの一番になりたかった。
なれなかった現実と、なろうと努力できなかった後悔で力が入ったのか手紙はいつの間にか皺がたくさん入り、くちゃくちゃになっていた。
「もしもし、御門くん」
溢れそうになった涙を引っ込めて、スマホのパスコードを御門くんの誕生日であける。
二回目のコールで御門くんは電話に出た。
「あのね、赤ちゃん流産しちゃったんだ」
マキがついた最後の嘘は、誰も気づかないままでいいと思った。風子だけが気づいていればいいと思った。
◇遠野風子 19歳
- 10-1 ( No.26 )
- 日時: 2017/09/04 21:36
- 名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: KG6j5ysh)
- 参照: 槙野つくもの結末
ずっと考えてることがある。わたしの人生は不幸だったのか否か。考え始めたのは中三の夏。母親の再婚話を聞いたとき。
「じゃあ、もうわたしはいらない?」
最後に海に行きたいとお母さんにいうと、無言で彼女は運転し、海に連れていってくれた。潮風の匂いと、波の音。お母さんの顔は笑ってなかった。
「そうよ」
短く答えたお母さんは、そろそろ行くわよと先に車に戻った。
わたしは海の前に立ってゆっくり前進した。履いたサンダルが水で濡れる。それでも前に進んでいった。腰のあたりまで水に浸かって、ふと気がついた。
自分は決して死にたいわけじゃないのだと。
捨てられるのが無性に怖かった。いらないって言われるのがただただ怖かった。
「……っあ、……うぅ、あぁ」
冷たい。気持ち悪い。
施設に捨てられたときに気づけばよかった。もうお母さんは、わたしのことなんていらないのだと。また一緒に暮らせるなんて期待しなきゃ良かった。どうせ、叶わない願い事だし。
溢れる涙が止まらずに、声を殺して泣いた。悲しいと言う感情よりは悔しいという感情の方が大きかった気がする。
わたしがここで死んだらきっと、お母さんの記憶には絶対に残る。永遠に忘れられない記憶となるだろう。
でも、無駄だ。こんなことしたって無駄なんだ。
「バカだなぁ、わたし」
カバンに入れてあったタオルで水を拭き、車に戻った。濡れたスカートは別のに替えたけれど、お母さんは一切気がつかない。
お母さんの好きな九十年代のアイドルの音楽が流れる車内で、タバコの臭いと無言の圧がわたしを苦しめた。
*
「風子」
血だらけの風子を見て、わたしは吐き気に襲われた。バンジージャンプとかふざけたことを言って飛び降りたあの子は、黒板に大きく死ねと残し空を飛んだ。
「わたしに死ねって言ってるみたいだよ」
黒板消しで必死に消した。誰にも気づかれないように。
救急車で運ばれていった彼女を見て、わたしはあまり何も思わなかった。
ただ純粋に、死ぬんだな、って思った。
死ななかった風子を見て少し落胆した自分がいた。多分、心のどこかで死んでほしいと思っていたのだろう。酷い女だ、わたしは。
「死んだら、風子は幸せになれる。きっと解放されるよ」
お母さんの束縛から解放される方法は、きっと死ぬことしかない。それはわたしも風子も同じなんだ。考えることは一緒。だけど、行動を起こしたのは風子だった。
羨ましかった。飛び降りた風子が羨ましかった。
- 10-2(終) ( No.27 )
- 日時: 2017/08/26 20:18
- 名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: QLMJ4rW5)
御門に結婚しようと言われた日、すぐに荷物をまとめて姿をくらませた。同情されたとは思わなかったけれど、御門の人生の汚点にはなりたくなかった。
「風子に会いたいなぁ」
御門の家から出て一ヶ月経ったある日、無性に風子に会いたくなった。一種の自慢だ。わたしは風子より先に死ねるんだよ、いいでしょうって、そういう自慢。
風子にとっての死は、お母さんからの解放だけど、わたしは違う。
お母さんの記憶に一生残る、最悪な記憶となって束縛する。そういう死だ。
「久しぶり」
メロンソーダばっかり飲む彼女は、前に会った時と変わらない。
変わったのは髪の毛の色と長さ。黒髪のショートカットになった風子は、最初誰かわからなかった。
「結婚するの?」
風子が泣いたことに少しだけ優越感を感じた。一番大事だと言いながらも、きっとわたしは一番風子のことが嫌いだったのだ。
「するよ」
御門と結婚するなんて考えてもなかったけれど、その言葉は簡単に出た。
*
御門のことは好きだった。大好きで大好きで仕方なかった。唯一、風子にあげられなかったのが御門だ。
それくらいに愛してた。誰にも渡したくなくて、必死にしがみついてたのはわたしの方だった。
だから風子の気持ちが痛いくらいにわかった。
御門を好きな気持ちは一緒だから。
風子が妊娠してないことはすぐに気がついた。嘘をつく時、いつも風子は耳の後ろをかく。わたしだけが知ってる癖。
だから、風子のマグカップに「風子の嘘がバレませんように」と魔法をかけて、持っていった。薬も何も入れてない。
御門だけには気づかれませんように。
風子の一世一代の決心が鈍りませんように。
わたしだけが悪者になりますように。
「喉、乾いた」
御門に飲み物を買わせにいって、ゆっくりと息を吐いた。胸のあたりがすごく痛かった。自分のしたことが間違いだらけだと今になって気づく。
ゆっくりわたしは目を閉じた。おやすみなさい。誰もいない病室で、一人で呟いた。
涙は出なかった。
蝉が死んだ夏。わたしが死んだ夏。
- 優しい蝉が死んだ夏(あとがき) ( No.28 )
- 日時: 2017/09/03 20:48
- 名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: kXLxxwrM)
【 あとがき 】
初めまして。ちゃんとした挨拶はこれが初めてな気がします。
立花と申します。
七月からこちらのサイトで小説を書き始めて、これが最初の作品になっております。
このスレッドは「藍色の宝石」という中編集になっておりまして、二か月ごとに色々な小説を書いていこうと思っています。
気が付けば暗い作品になることが多いのですが、頑張ってコメディにもチャレンジしたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
七月〜八月 「 優しい蝉が死んだ夏 」
とにかく暗いお話です。
百合のようで百合じゃない。恋愛感情のように見えて、実はただの執着心、共依存。そんなのがこの上なく好きな私の性癖が垣間見える本作。
( ストーリー)
※時間軸が分かりにくい作品ですので、簡単に
主人公のマキは小さいころに母親にネグレクトを受け、施設行きに。暫くして彼女は一人の少年に出会います。それが御門です。
彼は優秀な兄が死んでしまい、悲しむ親たちに「兄のようになれ」と強要されて悩んでいました。親から「自分の存在を否定された」という点で同じ彼らはいつの間にか恋に落ちていました。
高校生になって「いつでも別れる」を条件に付き合いだした二人。でも、そんな関係はきっと長く続かないだろうとお互いわかっていました。
そんな時に一人の少女が現れます。風子、というマキの母親の再婚相手の連れ子です。御門のことを好きになった風子はマキに対抗心を抱きますが、御門が自分のほうには絶対に振り向いてはくれないという事実を突き付けられショックを受けます。
その日の夏、風子が突然マキの前で飛び降り自殺を図りました。死ななかった風子を見て、マキは少しだけショックを受けました。
マキが二十歳になり、自分が病気であり、寿命が残り少ないことを知ります。それをきっかけに御門に結婚を申し込まれ、どうしようもなくなり姿をくらませます。
しかし、結局自分はどうあがいても御門のことが好きで、風子にも誰にも渡したくないという感情が抑えきれなくなり、マキは御門と結婚することに。
死ぬまでにやりたいことをすべてやったマキは最後に風子に会います。彼女はどうやら妊娠しているらしく、最後にマキは彼女と御門と自分の三人分の紅茶を入れます。
マキが死んだあと、御門の携帯に風子から電話がかかってきました。「流産した」という内容とともに、マキが最後に入れた紅茶に薬が入っていたということが風子の口から伝えられます。
−−− キャラクター −−−
マキの風子への感情は、半分が愛情で半分が憎悪でした。マキの一番好きだった相手はきっと母親(美夜子)でした。マキは母親が異常な人格の持ち主だと知っていました。きっと風子は母親に苦しめられていると知りながら助けなかったのは、きっとそれすらも羨ましかったからなのだと思います。子供はいつだって親に愛されたいと思っていますから。その典型が愛されなかったマキなのだと、私は考えます(おい作者)
風子は典型的な嘘つきです。御門のことが好きすぎて、他を傷つけても何も思わない、そんな子でした。義母である美夜子からの異常な愛情に耐えられなくなり、一度自殺を図りますが、未遂に終わります。マキのことを恋愛がらみでは敵対視していますが、心のどこかでは自分を救ってくれるヒーローだと思っていました。最後についた妊娠のウソは、きっとマキなら気づいてくれると信じていたのでしょう。面倒くさいツンデレがこの子の本性です。
一番よくわからないのが御門です。マキのことを愛しているし、それに絶対ウソ偽りなんてありません。風子のことを大切にするのは、きっとマキの妹であるから。そういう部分はちょっとマキに心酔してる気がします。マキからの最後の手紙で、マキは自分よりも風子のことが大切だったのだと気づきます。それで、妊娠がウソだということに彼も気づいてしまいました。ですが、こやつは賢いのでそれを絶対に口にはしません。未亡人になって、永遠マキを愛し続ける気がします。
まぁ、簡潔に言えば「幸せ」って何かなって話です。
突然現れた大好きな母親の新しい娘。いつかいなくなってしまうだろう恋人。現実にはないようで、ある話。
個人的にこの話は落ちもないし、面白いかって問われたら面白くないいって私は答えます。でも、誰かの心に触れられる作品になった気はします。次は「面白い」と自分でも思える作品を書けたらなと思います。
また、夏の小説大会で次点をいただきました。初めての作品で入賞(?)することができ感激です。また、次の作品で会えることを願っております。
立花
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