二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- <稲妻11> 初夏夜空 <リク受付中>
- 日時: 2011/07/02 14:14
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: qJY1uOvM)
- 参照: http://to-a.ru/aMtdrQ/img1
■ロックすることにしました。立て直す予定なのでその時はよろしくです!>>226
+作者より
クリックしてくれた皆様、初めましてorこんにちは、作者の桃李です。詳しくは、>>27でどうぞ。
このスレでは、主にイナズマイレブンの夢小説を扱っていきます。長編や短編、いろいろな夢が置いてあります。たまにNLなど。
暇つぶしのお供になれれば、嬉しいです。コメ、感想、お待ちしております。
参照1900突破、本当にありがとうございます!
+大事なお話
01.すっごい不定期更新。でも早いなんて事は、絶対に有り得な(ry
02.作者は、"王道"や"ありきたり"が大好物です。驚きや刺激を求める人は、『戻る』にLet'Go!
03.読んでいて哀れになる程の駄文。同情するなら文才をくれ!←
04.荒し&悪口コメは駄目!!だって下手だなんて解りきってるもの♪(タヒ
05.スレタイは、気に入るものが見つかるまでコロコロ変更。突っ込んだらアウトーっ!!
06.一行コメはご遠慮下さい。
≫お知らせとか
01.プロローグ>>4を少し変更しました。
02.自分のための情報>>108
03.リクエスト受付開始しました>>170…4/4
04.新長編ねたうp>>201
大事なお話を把握した&大丈夫というお客様はどうぞ!
*。+*。+*。+
+長編一覧 夢が主です。
【夜桜よ、咲き誇れ】>>212
——…夜桜中学サッカー部。
そこは、かつて"FF、もう一つの優勝候補"と謳われた幻のサッカー部だった。
そんなサッカー部のキャプテンと雷門の、『夜桜のストライカー』を巡る長いお話。
【剣士と少女と江戸の町っ!!】>>160
——時は、江戸時代にまで遡る。
舞台は、人で栄えた江戸の町。そこへやってきたのは、少女剣士と連れの娘。彼女らとそこに住む愉快な仲間達との長いお話。イナズマキャラが江戸っ子になって登場!!
江戸時代をベースに進めていきますが、実際とはかなり違うので覚悟してください←
+中編一覧 だらだら続く短編置き場
◇The tears which I forgot
Ⅰ〜The words pierce him>>151
Ⅱ〜The boy who was pushed>>164
Ⅲ〜I cried in secret>>
(帝国のお二人さんのgdgd話。シリアス風味でよくわからない)
◆Coward search >>162-163 >>165 【end】
(オリさんとブレイク組が下僕になってるよ、みたいなw王国物?ツボった)
◇バッドエンドの塗り替え方>>173 >>174
(ちょっとよくわからない。出演者もよくわからない←)
◆粉雪はらり。
01*巻雲もくり>>175 02*粉雪はらり>>
03*雨粒ぽたり>> 04*春風ふわり>>
(珠→吹桃/白恋/シリアス、微甘、微ほのぼの/自己満足!)
◇見えない症候群/四編製……かな?
—司令塔少年編—>>181 —偽愛少女編—>>182
+短編一覧 夢とNLなどを取り扱っています。
◆スレ作成日〜2011/04/21までの更新分(21コ)>>179-
○夢幻泡影>>180 (風→円豪っぽくなった/歪んだ風丸さんが書きたかっただけ)
●さよならラヴソング>>184 (秋ちゃんが怖い)
○ありがとう!( 、そしてサヨナラ ) (円秋なのに円冬。恋を知らない円堂さんが秋ちゃんを振り回すイメージ)
●流星ヴォーイと葵ちゃん。>>190 (どう考えてもおふざけw)
○涼風が吹かなかったとある夏休み>>191 (涼野さんだよ☆←)
●涙の味がした、>>193 (※練習文)
○題名未定>>194 (バンレアだよっ!)
●ブレイク!>>202 (ブレイク組+葵/短いしほぼ会話文)
○その目は何も映さない、>>206 私には、きみが眩しい
+企画小説
●キャラソン組×夢主企画>>219
+リクエスト小説!
○愛されお兄様! 【鬼道さんと未来ちゃん/ほのぼのを目指したのにギャグ/しずく様リク】>>186
●私と彼女と、恋のお話 【秋ちゃんと桃花/ほのぼのだよ!←/しずく様リク】>>197-198
○茜色カルテット 【鬼道さんと弥生ちゃん/甘/海穹様リク】>>200
+頂いたお題
〜ひふみ。様より〜>>176 消化中。。。
+めも。
【Platonic love】>>吹雪×桃花(→)←アツヤ
【春色前線】??×春奈ちゃん
【初夏夜空】??×夏未さん
【夕闇秋景】??×秋ちゃん
【粉雪幻冬】??×冬花さん
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- Coward search ( No.162 )
- 日時: 2011/03/30 20:15
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: Ph3KMvOd)
- 参照: 思い浮かんだから書いただけのネタ。多分、また書くかも。
柔らかい陽射しながら、太陽は少女の黒髪を艶やかに照らし出した。短く切られた髪が、そよ風に靡く。少女の顔は、自分の体を抱きしめている腕に埋められている。表情はわからないが、雰囲気からして、酷く落ち込んでいるようだった。
「なあ、もういい加減に城に戻れ」
そう声を掛けた少年は、堂々とそびえる王国の城をバックに、静かに話しかけた。しかし、少女はピクリとも動こうとしない。見かねたように、遠くでその様子を見守っていた少年二人が、少女の傍に駆け寄った。
青空を覆いつくす深緑のカーテンが風に揺らされる度に、木漏れ日はきらきらと、宝石のような光を少年少女達の頭上に降り注ぐ。少女は自然を愛していたが、今はこんな風景にさえ、顔を上げようとしない。
城から少し離れた森の中。誰にも解決できない悩みが、少女を襲っているのだ。残念ながら少年達は、その悩みを知っていながら、共に苦痛と戦う事ができない。だからこそ、無理にでも城へ帰そうとしているのだ。
「あれは、お前のせいじゃない。そうだろ?」
「俺も、円堂と同じ意見だ」
円堂の発言に対し、賛同する鬼道。豪炎寺も、隣で頷いている。不器用ながら、必死になって慰めているのだが、少女は変わらず、黙ったまま。
「あれは、事故なんだ。そろそろ現実を受け入れろ……———なあ、葵」
名前を呼ばれたからなのか、葵と呼ばれた少女は、少なからず反応を示した。だが、すぐに元の体勢に戻り、尚一層、小さな体を縮ませる。そんな彼女の右手には、この国の頂点に君臨し、国民から絶大な人気を誇っている王女を飾るアクセサリーと、瓜二つのシンプルなロケットが、しっかりと握られていた。鎖が手の腹に食い込む痛みも、感じていないらしい。いや、彼女が受けた精神的な苦痛よりも、格段に軽いものなのだろう。
円堂は、葵の肩に手を置くと———こっそりと、左手で熱を持った目頭を押さえた。
*。+
童話を読んでたらこーなりました。いやあ、思いつきって怖い。
- Coward search ( No.163 )
- 日時: 2011/03/31 15:32
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: Ph3KMvOd)
- 参照: 思い浮かんだから書いただけのネタ。多分、また書くかも。
「王女はきっと、誰よりもお前を好いていたな」
紅い瞳を揺らしながら、鬼道は淡々と話し出した。この言葉が、葵を立ち直させるための嘘なのか、同じ"仕える者"としての立場にあった彼女への本音なのかは、わからない。見事なまでのポーカーフェイスは、少女を過去の記憶へと旅立たせる。
自分の名前を嬉しそうに呼び、駆け寄ってくる彼女。王女の地位についた彼女だが、実際は葵と歳の変わらぬ、まだまだ幼い少女だった。召使に同い年が少ないせいか、王女は葵を気に入っていたのだ。葵の休日までもを奪い、隣にいるように命じていた。仕事柄、葵は王女の命令に従順に従っていたが、それをよく思わぬ大人もいる。その人物の存在が、王女と葵を壊すことになる事件の、原因なのだ。
「王女様は、僕に優しくして下さった。下僕の身分にある僕を、褒めてくださったのだ」
だから、もっと笑顔でいてもらいたかったんだ。
葵のくぐもった呟きは、悲痛なほどにはっきりと少年達に届く。円堂は少なからず、表情を歪めた。他の二人に変化は見られないが、唇をきゅっと噛み締めている。
「紅茶が美味しいと言って下さったから、もっと味わって頂こうと、鬼道に美味しい紅茶の入れ方を教わった。胸が苦しいと泣き出した時の為に、医術知識豊富な豪炎寺に対処法を指導してもらった。大切な人が落ち込んでいる時に掛ける言葉を、仲間想いの円堂に聞いた。自分の中でも、どうしようもないくらい、王女様の存在は膨らんでいたんだよ」
弱々しくもはっきりと、葵は嘆く。歯切れの悪い言葉は、ぽつりぽつりと空へ消えて。円堂は、葵の肩に置いた手を離した。そして、葵の前に周り、手を差し伸べる。ほんの少し、彼女は顔を上げる。だが再度、視線を落としてしまった。
「じゃあお前は、なおさら王女の元へ———城へ帰らなきゃならない」
決然とした口調。しかし、そんな彼の言葉も、葵を突き動かすには不足していた。葵はもぞもぞと動き出すと、悲しみの影を落とす円堂の瞳を、覗き込むかのように見つめ始めた。そして、まくし立てるように言葉を吐き捨てる。
「僕が帰る意味は、もう無いんだよ? 僕を必要としてくれていた王女様は、もういない」
震え始めた声色で、葵は告白した。いや、この事実は城に仕える者ならば誰でも知っていることだ。王女は、御自分を失われた。だがしかし、その原因は事故である。知っていても尚、葵は自分の考えを信じているのだ。信じている、ではなく、認めようとしない、と言ったほうが正しいのであろう。彼女は、真実を拒絶し続けるのだ。
生暖かいそよ風が、四人を撫でて去っていく。
「僕が王女様を、殺したんだから」
重苦しい発言をも、風はさらって行ってしまった。また顔を埋めようとする葵の前に、豪炎寺はかがみ込む。じっと視線を交差させると、彼は溜め息を吐き出した。
「……もう一度だけ言う。あれは、事故だ。それに王女は生きているだろ? お前を連れ戻せと、俺たちに命令を下したのは、お前が知っている王女なんだから」
切れ長の黒い瞳が、少女の蒼い瞳を捕らえる。しばらく沈黙が流れ、小鳥のさえずりだけが辺りに響いた。この間もまだ、少年は少女を見つめ続ける。葵の言葉を待っているのだ。それに気付いたらしい葵は、重々しげに唇を開く。
「……王女様の宝物が何だったか、知ってる?」
「その話は関係無い。早く、王女の元へ帰るんだ、葵」
無理に葵の言葉を遮ると、豪炎寺は葵の右肩に視線を移した。円堂も鬼道も把握していることだが、この黒い皮の上着の下、肩から腕にかけて、葵は怪我を負っているのだ。剣の刃をまともに食らったらしい。本来ならばきっと、動かす度に激痛が走ることだろう。そんな腕に、彼女は顔を埋める。小刻みに体を震わせながら。
「王女様はね、命の次に"記憶"が大事だと言っておらっしゃった」
泣きそうになりながら、葵は笑う。いや、彼女は泣いていた。涙も流さず、嗚咽も無く、ただただ静かに、声だけが泣いていた。それは、葵の昔からの癖で。泣けば楽になれるだろうに、彼女は自らの"負の感情"を、胸に押し込めるのだ。少年達は、この表情を見る度に苦しむことになる。昔も今も、彼女と自分達は仲間なのに、と。信頼とはそんなものなのか、と。
「だからね、王女様を殺してしまったのと同じ罪を犯したんだよ、僕は」
———王女様は、何も覚えていらっしゃらない。
吐き出された息と共に、葵は心の内をさらけ出す。ただ、どうしても少年達には、彼女を理解しきれないのだった。それはきっと、受け止めることができる純粋な心を、"嫉妬"という感情が曇らせてしまっているから、なのだろう。
- The tears which I forgot ( No.164 )
- 日時: 2011/03/31 16:20
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: Ph3KMvOd)
ぼんやりと視界が歪む。ああ、俺は本当に弱虫だ。バッドエンドの主人公と自分を重ね合わせて、挙句の果てには、作り上げた悲しみに身を委ねて。そして、泣きじゃくって。誰かに慰めてほしい、なんてさ。
もう、どうすればいいのかわからない。確かに俺は、弱虫だ。悲劇の主人公ぶってる愚か者だ。だけど、悲しみへの浸り方は知ってるくせに、笑顔への帰り道はわかっていない。知らない、いや、忘れてしまった。
じっと自分の両手を眺めてみる。あいつがいたから、今この瞬間があるのに。どうして疑ってしまうのだろうか。あの言葉は拒絶じゃないと何故、言い切れない? 帝国で過ごしたあれだけの時間さえ、何の意味も見出す事ができなかったのだ。
生温かい液体が頬を伝い、そして唇に触れたとき、自虐的な笑みが零れる感覚を覚える。結局、こんなものだ。溢れる涙を拭うことさえ忘れ、壊れた俺は、ただひたすらに笑い続けた。
* * *
罪悪感なんて、これっぽっちも無かった。
自分の心からの願いに素直に従った結果が———"エイリア石"だった。
FF一回戦敗退後。鬼道が帝国イレブンを抜け、俺自身も怪我でサッカーどころじゃなくなって、毎日毎日、白い天井とにらめっこ。静寂が虚しく広がる日々を、病院にて送っていた。こう言うと、普通に療養しているように受け取られるのだろうが、実際は違う。雑音さえ届かない、孤立、隔離された"病室"という名の空間は、たとえ隣に源田がいても、俺には恐ろしく思えた。軽い怪我で済んだ帝国メンバーが時折、見舞いに来てくれたが、面会時間が終了し、ガラガラと閉められるドアの音を聞くと、どうも哀しくなって。気晴らしに窓の外を眺めても、俺に背中を向けている源田が視界の隅に映りこみ、風に散った枯れ葉が、無敗伝説の終わりと重なって、どうしようもない喪失感を抱え込むことになった。そのたびに、怯える俺。
あの日、———不動に誘われ、影山に再会したときは、俺に貼られた"敗北者"というレッテルを引き剥がそうと必死だった。そんな心情の影響も少なからずあったのだが、何より源田がいてくれたおかげで、後悔なんぞ欠片も無かった。
これで、真の強さが手に入れられる! 何とも言えないほど、幸せだった。すべてを失った空っぽの体に、久々に満ち溢れる優越感。
だから、気付けなかったのかもしれない。怪しげな光を放つ、正八面体が映りこんだ、灰色の瞳が、ほんの少し寂しげだったことに。
+ The boy who was pushed ( 2/3 )
- Coward search ( No.165 )
- 日時: 2011/04/01 22:24
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: Ph3KMvOd)
- 参照: なんか自分でもよくわからなくなってきたw
「お前はいつも、そうだよな」
再度、震える体に顔を埋める葵。そんな彼女を見た円堂は、ただぽつりと独り言を呟くかのように、話し始めた。視線を、葵から野草や花が咲き乱れる地面へと落とし、ゆっくりと目を伏せる。気付くと、小鳥のさえずりさえもが消え、何も聞こえなくなってしまった。ここにいる四人のみが、この世界から隔離されてしまったかのように。風も治まり、一瞬、時さえも止まったのではないかという錯覚を覚える。
「俺たちが"下僕"の身分である以上、これは仕方の無いことだけどさ、お前は王女を優先し過ぎたんだよ」
微かだが、葵の体がピクリと動いた。円堂は、そのことに気付くことなく、話を進める。
「……葵、お前はさ、王女を殺したのは自分だって言っただろ? 確かに、意味は同じようなものだ。だけど、その法則でいったらお前は———自分自身を王女に壊されていることになる」
驚いたように顔を上げ、すぐに腕の痛みからか表情を歪ませる葵。聞き捨てならない、と言わんばかりに円堂に非難の視線を向ける。眉間にしわを寄せ、唇をきゅっと噛み締める姿に、円堂はまた、心を痛めることになる。
「昔のお前は、どんな時だって仲間を非難するような真似をしなかった。だけど、今はどうだ? 王女以外、全ての者が"敵"に見えることに気付いているんじゃないのか? そしてそのことに、そんな自分に、怯えているんじゃ……」
「そんなことない!」
すくっと立ち上がると蒼色の瞳を細ませ、円堂や他の二人を睨みつける。が、威勢がいいのは言葉だけで、すぐにふらつく葵。右肩を左手で押さえ、泣き濡れた瞳で三人を見つめる。円堂の言葉は、図星なのだろう。
「……どんなにちっぽけな人間にも、命に換えてまで守りたい存在がいるんだ」
ぽつりと、吐き捨てるかのように葵は語る。恐らく、彼女が言う"守りたい存在"とは、王女のことを言っているのだろう。地面から城へ視線を変え、葵はゆっくりと息を吐いた。力が抜けてしまったのか、もともと丸い肩がさらに丸みを帯びた形に変わる。
鬼道は、そんな彼女に手を差し伸べ、語りかけた。
「……王女から逃げよう」
「え?」
瞳を見開き、鬼道を眺める葵。他の二人にとってもこんな発言は予想外だったらしく、豪炎寺が慌てて、鬼道に尋ねる。
「お前……本気なのか?」
「ああ、そうだ。王女の傍にいては、葵は自分を取り戻せない」
お前達は帰れ。
巻き込むつもりはないのか、鬼道は二人をあしらうかのような眼差しを寄こした。葵はまだ、突然の提案に戸惑っている。
円堂と豪炎寺は、互いに見合い、悪戯っぽい笑みを浮かべた。どうやら二人の間でも、答えが決まったらしい。円堂は一歩、前へ進み出ると、鬼道に手を差し出した。
「俺たちも、行こう」
紅い瞳を少なからず見開いた鬼道。が、言って聞くようなやつじゃないとわかっているのか、「勝手にしろ」と承諾する。
「街へ行って必要なものを準備しよう。食料は虎丸に、剣は響木さんに頼もう。服は、雷門に譲ってもらうか」
「なら急がねば。記憶が無い王女が頼れるのは、今は葵しかいない。もはやお前は、国の重要人物だ。そうなれば、王女は俺たちに追っ手をつけるだろうからな」
ばたばたと走り出す三人。取り残された葵は、呆然と立ちすくしていた。どうやら、自分の意見は採用されぬらしい。三人の強引ぶりは、前々から知っていることだが、ここまで大騒ぎになるなんて。呆れ気味だが、仲間とは良いものだと改めて思った。そして「あ、」と気付く。
「久しぶりだなぁ……あの三人を"仲間"だと信頼できるなんて」
いきなりすぎて、腹をくくりきれていないのが現実だが、とりあえず実行しなければ前へは進めない。
「おーい! 置いてくぞー!」
「ま、待ってよ〜」
二カっと笑う円堂に呼ばれ、腕の痛みも忘れた葵は駆け出した。旅が長引こうとも、豪炎寺は王宮に仕える医師である。追っ手の作戦がどんなに協力であろうと、国の頭脳と呼ばれし鬼道がいる。へこたれかけても、泣きたくなっても、自分を信じてくれる円堂がいる。最高の仲間が、ここに揃っている。
葵は、おそらく最後となるであろう城を見つめ、小さく呟いた。
「……さよなら、」
その後、召使四人が消え、そのうちの一人が国の未来に関わると気付いた大臣が、王女に代わって王軍を派遣したのは、また別のお話です。
———Coward search———
( 弱虫な僕だけど、仲間と一緒なら大丈夫 )
【end】
- Coward searchの後書き ( No.166 )
- 日時: 2011/04/01 22:16
- 名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: Ph3KMvOd)
時代は、ほとんどの国が王家に治められている時代。
つまりは、お姫様とか王子さまが本当にいる時代っていう設定です。童話みたいな感じ。
あ、でも魔女とか魔道師とかいないよ?←
で!主人公は夢さんですオリです。葵ちゃんは城に仕える"召使"さん。ブレイク組は同僚みたいな感じです。
王女さんは葵ちゃんお気に入りで、休日を与えないくらい、大好きだったんですお。話が合う的な意味で。
最初は気が引けてた葵だけど、だんだんと打ち解けていくんですねー。自分大嫌いだったんだけど、王女様が認めてくれたことで、自分を好きになれたーみたいなw
大臣とかも「仲良しくらいなら大丈夫だろw」って感じだったんだけど、人生そう甘くない。
幼い頃から母親と引き離されてた王女さんは、だんだん葵ちゃんに依存していったんですねーはい。
王女さんの、まあ一種の、「本当に信頼できる人の前でしか見せない我が儘」が徐々に爆発していくと。
ブレイクはそんな葵ちゃんを気に掛けるんだけど、"召使"と"王女"っていう関係柄、「無理」だなんて言えない。結局、自分に嘘を吐き続けて、本音か偽りかわからなくなってくる。
それが「自分自身が壊される」ってことです。うはあ、わかりづらい。
そんなある時、お忍びでお出かけしてた王女様に事故が起こった。山賊だが反政府グループだかに襲われちゃうんです。「うわあああああ!」って←
その事件で葵ちゃんは腕を負傷。王女を守ろうとして斬られちゃいました。(剣術は未経験っていう設定。江戸とは違うよ?)
事件の光景は、怪我人続出で大変なことに。しかも、依存相手の葵ちゃんが怪我したショックで王女さんは記憶を失っちゃうんです。いわゆる記憶喪失。あるらしいです、ショッキングな光景を目の当たりにして、記憶を失ってしまうことが。まあ、うろ覚えなので信用しちゃダメですけど。
で、葵ちゃん凹むと。
その後、ブレイクと一緒に自分探しを始めましたみたいな(雑な説明だなおい
Coward searchの意味は、"弱虫探し"。本当の自分(弱虫)を探しにいこう。怖いけど、キミたちがいてくれれば大丈夫だからさ。みたいな意味合いでつけました。うわぁ、低クオリティ☆
……こーゆうの楽しいです。でも中編大変だあああああ(ry
ブレイク+葵ちゃんがツボったとか内緒w
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