二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

<稲妻11> 初夏夜空 <リク受付中>
日時: 2011/07/02 14:14
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: qJY1uOvM)
参照: http://to-a.ru/aMtdrQ/img1

 ■ロックすることにしました。立て直す予定なのでその時はよろしくです!>>226


 +作者より
  クリックしてくれた皆様、初めましてorこんにちは、作者の桃李トウリです。詳しくは、>>27でどうぞ。
  このスレでは、主にイナズマイレブンの夢小説を扱っていきます。長編や短編、いろいろな夢が置いてあります。たまにNLなど。
  暇つぶしのお供になれれば、嬉しいです。コメ、感想、お待ちしております。
  参照1900突破、本当にありがとうございます!

 +大事なお話
  01.すっごい不定期更新。でも早いなんて事は、絶対に有り得な(ry
  02.作者は、"王道"や"ありきたり"が大好物です。驚きや刺激を求める人は、『戻る』にLet'Go!
  03.読んでいて哀れになる程の駄文。同情するなら文才をくれ!←
  04.荒し&悪口コメは駄目!!だって下手だなんて解りきってるもの♪(タヒ
  05.スレタイは、気に入るものが見つかるまでコロコロ変更。突っ込んだらアウトーっ!!
  06.一行コメはご遠慮下さい。

 ≫お知らせとか
  01.プロローグ>>4を少し変更しました。
  02.自分のための情報>>108
  03.リクエスト受付開始しました>>170…4/4
  04.新長編ねたうp>>201

 大事なお話を把握した&大丈夫というお客様はどうぞ!

*。+*。+*。+

  +長編一覧 夢が主です。

 【夜桜よ、咲き誇れ】>>212
 ——…夜桜中学サッカー部。
 そこは、かつて"FF、もう一つの優勝候補"と謳われた幻のサッカー部だった。
 そんなサッカー部のキャプテンと雷門の、『夜桜のストライカー』を巡る長いお話。


 【剣士と少女と江戸の町っ!!】>>160
 ——時は、江戸時代にまで遡る。
 舞台は、人で栄えた江戸の町。そこへやってきたのは、少女剣士と連れの娘。彼女らとそこに住む愉快な仲間達との長いお話。イナズマキャラが江戸っ子になって登場!!
 江戸時代をベースに進めていきますが、実際とはかなり違うので覚悟してください←


  +中編一覧 だらだら続く短編置き場

◇The tears which I forgot
   Ⅰ〜The words pierce him>>151
   Ⅱ〜The boy who was pushed>>164
   Ⅲ〜I cried in secret>>
 (帝国のお二人さんのgdgd話。シリアス風味でよくわからない)

◆Coward search >>162-163 >>165 【end】
 (オリさんとブレイク組が下僕になってるよ、みたいなw王国物?ツボった)

◇バッドエンドの塗り替え方>>173 >>174
 (ちょっとよくわからない。出演者もよくわからない←)

◆粉雪はらり。
    01*巻雲もくり>>175  02*粉雪はらり>>
    03*雨粒ぽたり>>     04*春風ふわり>>
 (珠→吹桃/白恋/シリアス、微甘、微ほのぼの/自己満足!)

◇見えない症候群/四編製……かな?
 —司令塔少年編—>>181 —偽愛少女編—>>182


  +短編一覧 夢とNLなどを取り扱っています。

◆スレ作成日〜2011/04/21までの更新分(21コ)>>179-
○夢幻泡影>>180 (風→円豪っぽくなった/歪んだ風丸さんが書きたかっただけ)
●さよならラヴソング>>184 (秋ちゃんが怖い)
○ありがとう!( 、そしてサヨナラ ) (円秋なのに円冬。恋を知らない円堂さんが秋ちゃんを振り回すイメージ)
●流星ヴォーイと葵ちゃん。>>190 (どう考えてもおふざけw)
○涼風が吹かなかったとある夏休み>>191 (涼野さんだよ☆←)
●涙の味がした、>>193 (※練習文)
○題名未定>>194 (バンレアだよっ!)
●ブレイク!>>202 (ブレイク組+葵/短いしほぼ会話文)
○その目は何も映さない、>>206 私には、きみが眩しい


  +企画小説
●キャラソン組×夢主企画>>219


  +リクエスト小説!
○愛されお兄様! 【鬼道さんと未来ちゃん/ほのぼのを目指したのにギャグ/しずく様リク】>>186
●私と彼女と、恋のお話 【秋ちゃんと桃花/ほのぼのだよ!←/しずく様リク】>>197-198
○茜色カルテット 【鬼道さんと弥生ちゃん/甘/海穹様リク】>>200


  +頂いたお題

〜ひふみ。様より〜>>176 消化中。。。


  +めも。
 【Platonic love】>>吹雪×桃花(→)←アツヤ
 【春色前線】??×春奈ちゃん
 【初夏夜空】??×夏未さん
 【夕闇秋景】??×秋ちゃん
 【粉雪幻冬】??×冬花さん

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43



江戸物語w ( No.157 )
日時: 2011/03/21 21:08
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: G1Gu4SBX)
参照: ひと段落つきましたお^^


   第十四話【お天道様と出会いと別れ】

 ひんやりとした室内。畳の懐かしい香りが鼻腔を漂う。日本の美だと葵は言い、桃花も相槌を入れる。それがいつもの、二人のやり取りだ。が、今ばかりはふざけてもいられない。

「あの〜……どうして僕たちは正座させられてるのかな?」
「問答無用」

 勇気を振り絞り、威圧された空気の中投げかけられた疑問は、簡単に一刀両断された。二人は、罪を犯したことも無ければ、人を傷つけたことも無く——葵に関しては複雑なところだが——とにかく、説教されるような真似をした覚えが無いのだ。逃げたことが悪かったのだろうか? こうなることがわかっていたならば、葵が意地を張ることもなく、桃花が率先して手を引くようなことも無かったはずだ。つまり、今の状態は二人にとって予想外の現実になる。

「せっかくこうして巡り合えたんだ。お前の経歴について語り合おう」
「……だからお前たちには関係無いって。長い話、疲れるから言いたくなーい」
「問答無用」

 右手が掛けられた豪炎寺の刀。カチャリと音をたてた刀に対して、葵はおおげさに「ひぃっ」と声を上げる。が、顔はまさに無表情で怯えているようには見えない。そんな適当な態度も、堅実な剣士には気に食わないのだろう。尚更、眉間にしわが寄っている。足をもぞもぞと動かし、酸っぱい顔になった葵は、隣の桃花を覗き込んだ。さすがは春崎家の一人娘。長時間(と言っても、十分も経っていないのだが)座っていても、涼しい顔に変わりは無い。自由奔放に生きてきた葵にとって、正座とは永遠に勝ち目が無い天敵なのだ。
 一向に話し始める雰囲気の見られない葵に、少年達も痺れを切らしたようで。標的を変えるようだ。吹雪はふんわりとした笑顔で桃花に話しかける。
 
「じゃあ桃ちゃんは、葵ちゃんが剣士になった理由、知ってる?」
「桃ちゃん……?」

 数秒程経って、はっとする桃花。気付いていなかったのかよ、等の突っこみは控える方向で一致した。俯き、しばらく考えていた様子の桃花だが、急に首をひねった。

「私が出会った時から葵さんは、剣士だったんですよ」

 詳しく聞いたことが無いのでわかりません!
 にっこりと笑う桃花を釈放するよう命じる豪炎寺。すかさず食ってかかる葵だったが、虎丸に諌められた。どうやら、相手は本気らしい。暑苦しいのは自分に似合わない。改めて思う葵だった。

「……と言うか、どーでもよくないですかぁ? 刀を握った時期が早かろうが遅かろうが、技術向上に一番必要なのは"努力"だろう?」

 まともな意見を返された少年は、それもそうだと考えさせられる。だが、それでは相手の思う壺だ。ここで退いてはいけない。思考を巡らせる彼等には可哀想なことだが、当の葵本人には、そんな意思などこれっぽっちも無い。が、そこまで相手を読もうとする意識は、やはり剣士ならではなのだろう。黙って葵の反応をうかがう少年たちに、ようやく諦めてくれたようだ、と勘違いした葵は、響木に向かって叫ぶ。

「おやっさーん、その刀、早く直せるでしょう? 二本もあるけど徒弟もいるようだし」
「悪いが、かなり遅くなるぞ」

 は? と声を漏らす葵。響木の仕事はいつも早い。むしろ、仕事を溜め込むような柄では無いのだ。そこを見込んで、葵はわざわざ、旅を中断してまでも江戸へ立ち寄ってきたのだから。目が点状態の葵に対し、円堂が答える。

「師匠、最近までぎっくり腰で寝込んでて……仕事が溜まってるんだよ」
「じゃあ、いつまで江戸に滞在しなきゃならないの?」
「悪いな葵。目途が立てられないほど、溜まってるんだよ」

 雑な仕事をしたら、お前が一番怒るだろう?
 葵を見据えて、響木は言う。「そんな〜」と肩をがっくりと落とした葵は、かなり哀れに見えた。葵と桃花は旅人故に、お金に余裕が無い。いつまでも旅館に滞在できるほど、裕福な身分では無いのだ。野宿も、日が続くときつい。かと言って刀を修理して貰わないと、旅に出る事ができない。これからどうしたものかと、必死に頭を回転させる葵。桃花の困り顔を見ると、余計に不安は募っていった。

「お前等、泊まるとこ無いのか?」

 ようやく状況を理解した円堂は、無邪気に尋ねた。返ってきたのは、重苦しい溜め息だったのだが。そんな彼女等を救ったのは、今までずっと黙っていた少年だった。

「……なら、『菓子屋 雷雲』に頼んでみたらどうだ?」
「鬼道?」
「住み込みで働きながら、そこに住まわせて貰えばいいだろう」

 そうしてもらえたら、どんなに楽なことか。だがしかし、この少年にそんな権限があるのだろうか? 舞い上がりそうになる自分を押さえ込み、冷静に対応する。

「でも、いきなり押しかけたら迷惑だし」
「安心しろ。春奈に俺から頼んでおくから」

 鬼道の口から"春奈"が飛び出したことには驚きだが、良い案であることに変わりない。ペコッと頭を下げる桃花を見て、慌てて自分も真似する葵。足の痺れが消えないらしく、畳に足を投げ出している。剣士たちの監視の目も、いつの間にか緩んでいたようだ。

「これから、お江戸で暮らせるんですね!」

 きゃいきゃいとはしゃぐ桃花。生活費が削られる心配が無いことに、ほっと胸を撫で下ろす葵。それぞれ喜ぶ観点は違うのだが、はしゃいでいることに違いは無い。江戸町民の先輩として円堂は手を差し出した。疑問符を頭に浮かべた二人に対し、円堂がにかっと笑いかける。

「じゃあ、これからよろしくな!葵、桃花!」

 

 ———ひょんなことから始まった少女二人のお江戸生活。

 果たしてこれから待ち受けるのは、幸か不幸か。どんな出会いがあるのだろうか。どんな別れが待ってるのか。全てを知るは、さんさんと降り注ぐお天道様以外、いるはずが無い。



【江戸物語】-哀しき旅人 ( No.158 )
日時: 2011/03/25 20:02
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: aBT3sVDq)
参照: 今回から一話がめっさ長くなります。




 太陽が、だんだんと高い位置へ上っていく。時折、南のほうから吹いてくる暖かい風が、ふんわりと少年達を撫で、名も無き遠い町へと去っていった。橙色の瞳にかかった水色に近い髪を、少年が空いているほうの手で耳にかける。極自然に行われた行為だが、隣の少年は小さく吹き出した。途端、笑われた少年が鋭い視線で相手を睨みつける。

「なんだよ、突然」
「悪いな、なんだか今の佐久間、本当に女っぽくて」
「余計なお世話だ」

 憎まれ口を叩きながらも、佐久間と呼ばれた少年は歩みを進める。置いていかれた少年は、「悪い悪い」と平謝りを繰り返している。佐久間の隣まで駆けて行き、再度「ごめん」と謝った。対する佐久間は、特に許したような素振りも見せず、ツンとした態度のまま、表情を変えない。女らしい、と言われることが何よりも嫌いのようだ。

「そろそろ関所だぞ。あと半刻歩けば、江戸につくな」
「わかりきっている情報をどうもありがとう、源田」

 源田は、然程怒ったような表情をせず、"これでお相子だ"と笑っていた。が、その後二人の間で会話らしいことは一切無く。まだ機嫌の悪い佐久間と、江戸への期待を膨らませる源田。二人の少年は、黙々と歩き続けた。
 涼しいそよ風が、田の稲穂を揺らし、のどかな田園風景に華を添える。地面と睨めっこを続ける百姓が思わず二度見をしてしまうほど、珍しく、そして恐ろしい武器が、その平和な風景をぶち壊しにしてしまうことだけが、残念で仕方が無い。

「源田、お詫びにこの槍、持て」
「弓矢だって重いんだ。男なら自分で持つんだな」
「……なんだよ、こんな時ばっかり」


*。+

 同時刻、江戸の町にて。

「桃花さん、やっぱり上手ですよ! 本当に経験、無いんですか?」
「そうね、私も初めてとは思えないわ……私より上手かも」
「これでだいぶ、個人の負担分が軽減されるわね!」
「その腕なら、当分、雷雲に居候して構わないですよ」

 店の看板娘四人に褒められ、普段照れることが少ない桃花も嬉しそうに頬を赤らめていた。

 ここは、葵と桃花の居候先に決まった『菓子屋 雷雲』の調理場である。部屋を貸し与える代わりに、仕事分担をすることになったのだが、どうやら桃花は、従業員として大いに働いてくれそうだ。"雷雲"の文字が描かれた前掛けが、やけに似合う。人見知りしてしまう癖もあるが、基本的には大丈夫そうなので給仕人としても活躍の見込みがある。桃花は、雷雲にとって大事な人材になりそうだ。簡単に他人を褒めたりしない瞳子店長までもが、彼女の手際の良さを褒めている。

 対するは、葵の不器用さだ。
 幼い頃から剣術の手ほどきを受け、女に必要である一般的な教養に経験の無い葵にとって、料理など持っての外なのであった。給仕人としては使えそうだが、態度の悪い客に喧嘩を売ってはいけない。そう夏未が伝えると、葵は真っ先に辞退したらしい。雷雲に部屋を借りてから早一日。彼女に与えられた仕事内容は、"掃除"と"買い物の荷物持ち"のみだ。

「自分の不器用さは把握してたけど……ここまで使えない奴だと、僕でもへこむなぁ……」

 店先の掃除を任されていた葵は、溜め息をつきながら独り言を漏らした。たくさんの人が駆けるような速さで横切っていく通り。最初は珍しいのだが、十分も経てば飽きるものだ。落ち葉さえ無い綺麗な町が、逆に恨めしく思えてくる。一刻ほど前から絶えず聞こえてくる、桃花を賞賛する声が主な原因なのであろうが。葵は再び、大きな溜め息を盛大に吐き出すと、気分転換に青空を見上げた。混じりけの無い純白を保つ雲が、のんびりと空に浮かんでいる。

「何か面白いこととか……そーだな、懐かしい出会いとか起きないかなぁ」

 彼女の何気ない呟きは、青空に吸い込まれるようにして、脆くも儚く、消えていったのだった。



 +あとがき(っていうか報告!)+

はい、帝国二人組編がスタートしました!江戸時代ベースだし、リアリティを大事にしたいので、素朴な感じを書き表したいとか思ってます。まあ、無理だけどね☆←

そこで一つ、お知らせなのですが……

参照にも書いたように、一話を長くしたいと思います。ようするに【夜桜よ、咲き誇れ】みたいな感じになりますってことです。
どーでもいいお知らせ強制終了ですw
この回で葵ちゃんと桃花ちゃんを江戸っ子に馴染ませたいとか思ってるので、アドバイス等、よろしくお願いします。結構、切実です(

 さよなら、 ( No.159 )
日時: 2011/03/25 20:45
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: aBT3sVDq)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=xEiqkmW0HQI




 ———天気予報も嘘を吐いた。

 私がいつも見ているニュース番組は、よく当たる天気予報が売りなのに。雨宿りさせてもらおうと駆け込んだ本屋さんの出入り口。ガラスとにらめっこをしながら、ハンカチで濡れた髪や体を拭く。大粒の水滴は、容赦なく私の体を冷やしていった。ほんと、雨って大嫌い。
 駅まであと少しだったのに。忌々しいことを思い出させてくれちゃう折り畳み傘。吹っ切る勇気が無い私は、鞄から取り出すこともできなくて。ぼんやりと、駅の方向を見つめていた。
 静かに濡れていく世界。その中でよく目立つ赤い傘。折り畳み傘なのかな。私と似てる、なんて。ちっちゃく笑いかけて、息をのむ。そして———溜め息を零した。

「……レン、くん」

 二人でよく通った、駅までの道のり。そこから電車に乗って、色々な場所に行って、たくさんの思い出を作ったね。

 呼び止めたい。また、あの時みたいに優しく名前を呼んで欲しい。好きって、言いたい。
 バカだな、私。レンくんにはもう、「好きだよ」なんて伝えられないのに。もう二度と、言えないし言ってもらえないのに。なのにどうして、目できみを追ってしまうのかな? あーもーほんとに、私ってバカ。レンくんはもう、あの子の傘の中なのに。想いは、届かないのに。息が詰まりそうだよ、苦しいよ。もう、死んでしまいそう。きみがまだ、大好きだから。

 そう、だから。
 私は、きみに笑っていて欲しい。その笑顔が私に向けられないとしても、私は彼を忘れないから。忘れられない、から。ミクちゃんにしか向けられないんだよね。もう恋なんてできないけど、せめてきみを大切にしたいの。
 今でもこんなに好きだから、私はもう、振り返らないよ。想いはちゃんと、胸に抱きしめるから。


 ———バイバイ、恋心。さよなら、レンくん。


 想いを断ち切ろうとして切りすぎちゃった前髪を指で弄りながら、私は呟いた。頬に大粒の雫を、零しながら。


 *。+
失恋メルトをリンちゃんが歌ったver.です。切ないよおおお!
URL、貼っておきますね!

【剣士と少女と江戸の町っ!!】 ( No.160 )
日時: 2011/06/03 17:19
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: COldU63y)
参照: 纏め直します!



 ———時は、江戸時代にまで遡る。

   始まるは刀を握る少女と、理想を追求し続ける少女の、出会いと別れの物語。
   時代に反逆し、自らの道を貫き通す姿は、さながら、侍のようだった。


   「自分の骨が折れようが、血を吐くことになろうが、それでも良かったんだ。その代償は、並みの人間が手に入れられるものじゃ無かったから。けれど今、そのせいで俺たちは……逃げるしかなくなった。結局のところ、欲望を叶える為と称した戦いは———、自己満足の正義だったんだ」


   「"春"を告げる存在になりなさいと、母様はおっしゃいました。その言葉の意味を知りたいが為に、私は今、ここにいるのです。もう、守られているだけの毎日は嫌なの…… では、貴方は教えてくれますか? ———真の、"優しさ"を」


   「どれだけ腕を磨いても、所詮僕が"女"であることに違いは無い。父上から託された夢を、僕は"また"叶えることができないんだ。でも、絶対に、これだけは追い求めてやる。名誉なんかいらない。人が追求するべきものは、———本当の強さ、だ」


     【剣士と少女と江戸の町っ!】

+説明とか補足とか
 江戸時代をベースに進める、時代物語です。
 ほのぼの、ギャグ、シリアスなど色々混じると思います。でも基本、ほのぼのギャグで突っ走りたい。
 主人公はオリキャラです。しかも二人。有り得ないとか言われても、今更どうしようも無いのでご了承を。

+上の「〜」は、これからのお話の予告もどき。二つはオリキャラ編で、一つは【哀しき旅人】編。多分、ころころ変わってると思う。作者が優柔不断だから。


 【主人公紹介!】

*藤浪 葵 (フジナミ アオイ)

 本作における主人公の一人。女子であるが、とある事情で名刀「???」を所持するようになる。
 黒髪をショートボブにしており、瞳は蒼色。黒と青を基調とした着物を着ており、デザインはいたってシンプル。付けることはほとんど無いが、母親から受け取った簪を持っている。お金に困ったら売り飛ばすらしい。
 刀を所持しているだけでなく、実力も確かである。が、女故に力ではどうしても勝てない。技術の力は未知数。っていうか、まだ本編中でまともに戦ってない。
 どうして刀を持っているのか、剣術を誰から教わったのか。気になる人は、本編をチェックし続けよう!(

*春崎 桃花 (ハルサキ モモカ)

 本作におけるもう一人の主人公。葵の語りによれば、良いご身分の娘だが、なぜか旅を続けている。
 明るい茶髪のセミロングで、瞳は薄桃色。着物は、黒と白と淡紅色がベース。ほどよくお洒落なデザイン。
 家事炊事が大得意な、女の子らしい女の子。やや天然だが、悪いわけじゃない。居候先の『雷雲』では、重宝されることになる。極度の方向音痴。が、いつも運良く、誰かに助けられる。
 どうして旅を始めたのかは、本編をチェックしよう!(ちょ



  【稲妻キャラ紹介!】

+円堂 守
 刀鍛冶職人の徒弟。明るいバカ。桃花は共に天然なため問題ないが、なぜか葵はよく振り回される。
 仲間思いの良いヤツ。暑苦しいところもあるが、そこはご愛嬌。

+豪炎寺 修也
 名高い剣士。名刀「???」を所持。実力は江戸で一、二番を争う実力者らしい。
 ただ、噂故に確認できていない。無口だが、口喧嘩強そう。

+鬼道 有人
 江戸でも有名な、大きな商店の跡取り息子。春奈とは、実の兄妹らしい。
 南蛮渡来の奇抜な物を着用している。言動に無駄が無い。

+吹雪 士郎
 詳しいことは不明な美少年。が、迷子になっていた桃花を助けるなど、心優しい場面も見られる。
 剣術を心得ているかも不明。

+宇都宮 虎丸
 豪炎寺に憧れている少年剣士。いつも行動を共にしている。虎の屋の一人息子で母親想い。
 剣術の腕は年上を凌ぐ程だが、まだまだ歳相応に幼い面もある。

+木野 秋
 『菓子屋 雷雲』の看板娘。いつも穏やかで、面倒見の良いお母さんタイプ。
 何だかんだで皆、秋に頼ってる。葵の良き、料理の先生。

+雷門 夏未
 『菓子屋 雷雲』の看板娘。上品なお嬢様タイプだが、どこか素直じゃない。
 料理は不向きだが、経営管理などの仕事は、お手の物。

+音無 春奈
 『菓子屋 雷雲』の看板娘。いつも明るく元気一杯。トレンドチェックは早く、情報収集能力は江戸一番(?) 
 鬼道の妹。桃花は、その快活さに振り回される。が、いつも気付いていない。

+久遠 冬花
 『菓子屋 雷雲』の看板娘。優しい女の子で、雰囲気がほんわりしてる。癒し系女子。
 ただ、何を考えているのかが読めないので、たまにビックリ発言が飛び出す。その時、辺りはシーン。


+佐久間 次郎
 【哀しき旅人】編より初登場。槍を所持していること以外、詳細不明。

+源田 幸次郎
 【哀しき旅人】編より初登場。弓矢を所持していること以外、詳細不明。


  【お店紹介&その他!】

+『菓子屋 雷雲』
 お江戸で大人気の菓子屋。店長は瞳子。秋、夏未、春奈、冬花が看板娘。
 桃花も良い店員に近付いている。葵の活躍の場は、残念ながらここには無い。できる事と言ったら、掃除と買出しと出前。

+『虎の屋』
 お江戸の食堂の一つ。虎丸の母親が営んでいるが、病弱なため、乃々美が手伝いを行っている。
 葵と桃花が初めて食事をした場所で、美味しい。出番は少ないが、ちょびちょび出ると思います。

+『鬼道屋』
 鬼道有人が後継人である商店。名の通り、鬼道一族が営んできた。ちなみに、鬼道家は江戸では有名な商家である。
 詳しいことは作者本人もよくわかっていないが、江戸時代のスーパーとでも思っていただければ、良いと思う。


【江戸時代!】

+徳川家康が天下を握った時代。
 ちなみに、かの有名な織田信長や徳川家康が活躍した時代は、"安土桃山時代"と呼ぶ。
 キリスト教は禁止されていた。が、隠れキリスタンは存在していた模様。

◇随時更新してる……はず。


  【目次!】+序章から第十四話まで+

【序章】>>32
【詳しい事】>>160
【第一話】意外と窮屈な江戸の町>>44
【第二話】迷子の少女>>47
【第三話】見つからない>>50
【第四話】女剣士の人助け>>51
【第五話】雷門大橋>>52
【第六話】江戸の噂>>60
【第七話】その人、自分なんですけど>>63
【第八話】宝探しじゃありません>>78
【第九話】嘘を吐くのが下手な人>>94
【第十話】菓子屋にいたのは顔見知り>>98
【第十一話】再会?目撃者との対面>>103
【第十二話】ここに開幕、大江戸合戦!>>124
【第十三話】果たして、勝利は誰の手に>>154
【第十四話】お天道様と出会いと別れ>>157
【第十五話】哀しき旅人>>158 >>161 >>171

【江戸物語】-哀しき旅人 ( No.161 )
日時: 2011/03/28 09:54
名前: 桃李 ◆J2083ZfAr. (ID: aBT3sVDq)





「あれ……春奈、どっか行くの?」
「ちょっとお兄ちゃんのところまでです。葵さんも一緒に来て下さい!夏未さんに許可は取ってありますから!」

 『雷雲』の店先、暖簾をくぐって出てきたのは春奈であった。出かけるらしく、手には巾着が握られていた。そして、空いているほうの手で葵の手首をしっかり掴んでいる。箒を持ちながら、呆然と立ちすくしている葵を、春奈は「早く行きましょう!」と急かし、引っ張り始めていた。仕方なく葵は、箒を持ったまま歩き始める。傍から見れば、滑稽な姿なのであった。




 しばらく歩いていくと、見覚えのある店につく。ここはどこ? と尋ねるよりも先に、春奈は店を紹介してくれた。

「ここは、葵さんが私を助けてくれた場所ですよ。そして、このお店は……お兄ちゃんが継ぐことになっている商家、"鬼道一家"が営む『鬼道屋』ですよ」
「……なんか、まんまの名前だね」

 嫌なことを思い出したのか、顔をしかめた葵。が、そんなことは気にせず、春奈は店へと入っていく。遅れた葵は、慌てて春奈の背中を追いかけた。暖簾をくぐるとそこは、骨董品やら何やらで、溢れかえっていた。どうも、有名な商家らしい。ぼんやりと考えていると、春奈に再度、置いてけぼりを食らい、せかせかと歩き出す。
 春奈は畳に腰を下ろすと、店員を呼び出した。いつもそうしているのか、店員のほうも流れるような作業で会話を続けている。勿論、初めて店に入る葵には、その様子をじーっと観察することしかできず。しばらくすると店員は去り、見覚えのある顔が奥から出てきた。

「お兄ちゃん!」

 嬉しそうに呼ぶ春奈を見て、鬼道も厳しい口元を緩める。そんな様子を見ていると、兄弟に憧れてしまうのは仕方が無いことだろう。

「いいね〜、可愛い妹がいて」
「どうしてお前まで来たんだ。店先の掃除でもしてろ」
「ふっ、僕は春奈と二人っきりでここまで来たんだ! 羨ましいだろ!」

 刹那、紅い瞳が微かに揺れる。こういう視線を殺気と呼ぶのだと、葵は思い知ることになった。とは言え、女にまで嫉妬をするとは、何とも妹思いな兄である。鬼道の弱みは、妹なのだろう。鬼道絡みで何かあった時は、春奈に仲立ちをしてもらおう。そう考える葵だった。

「ねえ、お兄ちゃん。新商品に使う小豆が欲しいんだ。手配できる?」
「小豆か……この間、一軒と契約を解除したからな。少し遅くなると……」

 口を濁す鬼道に対して、春奈は「お兄ちゃん!」と期待を込めた熱い眼差しを送る。すると鬼道は、態度が一変し、見栄を張るような、そんな魂胆丸見えの声色で、

「俺に任せろ!」

 と、珍しく大声で豪語したのであった。横では春奈が、「さっすがお兄ちゃん!」と手を叩いて賞賛の声を送っている。そんな様子を、店員たちは呆れた表情で見ていた。おそらく、鬼道の春奈に対する見栄っ張り症候群は、いつものことらしい。
 ふと店の外を見ると、人々の顔が恐怖に歪んでいた。そして、どこか騒がしい。

「何かあったのかな?」
「女剣士が侍を二人、斬り捨てたんじゃないのか」
「き、鬼道……」

 戸惑いながらも、葵は店の外へ出てみる。大人達の背中でよく見えないが、空に向かい垂直に伸びる"それ"が、ざわめきの原因らしい。何故か今まで掴んでいた箒。掃除をしているふりをして、野次馬の先頭へと出て行く。そんな葵の前に現れたのは……———

「確か、ここらへんのはずなんだけど……」
「記憶力無いのかお前は」
「槍持ったくらいでへばる奴が言うな」

 見慣れぬ武器を持った少年二人であった。

「……あれ? な〜んか見たことある二人」

 長い槍を所持した少年は、橙色の瞳をしている。そして右目を、黒い眼帯で覆い隠していた。弓矢を背負った少年は、茶色の髪を風になびかせていた。どちらも特徴的な容姿である。箒を握りながら、必死に記憶を呼び起こしていると、橙色の瞳を目が合う。その瞬間、すべてを思い出しだ。

「おまっ……藤浪!?」
「あ、えーっと、お久しぶりで〜す」

 苦々しい笑みを浮かべる葵。驚いたように目を見開く少年。動き出したのは、どちらが速かったのだろうか?



Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43