二次創作小説(紙ほか)

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originalダンガンロンパ キャラアンケート 
日時: 2013/09/19 17:42
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)

 皆様こんにちは。
初めましての方は初めまして。
以前、お付き合いくださった方はお久しぶりです。
編集などの都合で以前、別サイトに移転していたのですが、今回こちらでも活動を再会させていただくことになりました。
(わがままを言ってすみません)

 注意書きを読み、以下の内容にご理解いただけた方のみ、この作品を閲覧ください。



 最初に、公式とは一切関係ありません。
ダンガンロンパが好きで、その世界観に惹かれたファンの二次創作です。

 次に、モノクマを除いてすべてオリキャラのみのダンガンロンパになっています。
キャラクターの称号が公式と思いっきり被っていますが気に止めないでください。
(実はダンロン2公開前から執筆していたため、数名被っています)
また、本編【ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】と【ダンガンロンパ ゼロ】のネタバレが出る可能性があります。
クリアしていない方、苦手な方はお控えください。
なお、スーパーダンガンロンパ2のネタバレはありません。

 主人公は速水刹那(はやみ せつな)=[超高校級の警察官]とし物語は展開します。
 もちろんダンガンロンパであれば、推理やおしおきのシーンが前提としてありますが、作者は推理小説に触れたことがありませんので、無茶な推理や、矛盾点も多くありますが、ご了承いただけるようお願いいたします。
キャラ紹介の内容は話が進むごとに増えていきます。


以上のことを了解した方は、読み進めていってください。

……コメントいただけると喜びます(主に作者)





*お知らせ

>>96 >>97を追加 9/19
・次回の更新予定は未定です。

☆アンケート中 >>69 >>89

・コメント返信
>>17-18 阿部様
>>46-47 >>56-57 >>79 >>91-92 モノクマ様
>>50-51 >>58-59 >>67-68 >>79 >>82-83 >>84-85サニ様
 


プロローグ-
>>1

第一章 絶望のハジマリ
>>2 >>3 >>4 >>5 >>6
>>7 >>8

キャラクター紹介編
>>9-13
>>40 キャラクターイメージ

第二章 殺人ゲェム

一日目 日常編
>>14-16 >>19-21 >>22-24
>>25-27 >>28-30 >>31-33
>>34-36

二日目 日常編
>>37-39 >>41-43 >>44-45
>>48-49 >>52-53

三日目 (非)日常編
>>54-55 >>60-62 >>63-65

三日目 First学級裁判
>>73-74 >>75-76 >>80-81←おしおき編
>>86-87 >>88


キャラ劇場
>>90 >>93-94


第三章 サイコポップハイスクール

四日目 日常編
>>95-97

Re: originalダンガンロンパ ( No.22 )
日時: 2013/07/06 10:11
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)

「では、最後は僕たちだ!僕たちは二階の東側を調べてきた」
「それでね、二階に上がって、すぐに焼却炉があったよ。
 焼却炉は朝と夜の9時から10時までしかついていないみたいだから、その間にゴミは捨ててね」
「向かい側の部屋はランドリーだった。乾燥付きの洗濯機があって……  既に干されていた洗濯物が何枚かぶら下がっていた」
「そうそう。だれか洗濯した人いる?」
「わたしはやってないわよ」
「私の服は特注ですから、洗濯なんてできませんわ」
「オレも。スーツだしな」
「……そもそも、この状況下で悠長に洗濯している輩がいるのか?
 いたとしたら、頭のネジが相当危ないんだろうなぁ……なぁ、マヌケ?」
「なんでわたし?」
「お前ほど呑気なやつはこの世にいない」
「えーと……誉め言葉?」
「けなされてるだろ。明らかに」


“悠長に洗濯”か。確かに、それが普通の反応だ。
いきなり、こんな不気味な場所に連れ込まれて、そんな余裕があるようには思えない。
だとすれば、あの洗濯物は犯人の物と考えた方が自然だろう。

 おれは先程のランドリーの光景を引っ張り出した。
あそこに吊るされていたのはズボンやセーター、スカート……そして米倉の持っていた女物の下着。
つまり、犯人は女性、となる。
 ただ、常識的に考えて、おれたち15名を連れ去ろうとすれば女手一人では不可能だ。
おそらくは複数犯の可能性が高いだろう。
そう仮定すれば、洗濯機や焼却炉に使われた跡があることもなんら不思議ではない。


「こら。雑談はほどほどにしろ。ここからが重要なんだぞ!」
「重要……だと?」
「ああ。あと発見したものは三階に続く階段とトイレと……これだ」


 おれは先程、男子トイレで見つけた見取り図をみなの前で広げてみせた。


「これは……?」
「“希望ヶ峰学園第79期生寮 見取り図”だ」
「見取り図?」


何人かは近寄り、もう何人かは遠くから見取り図をじっと眺める。


「少し変わっているが……ほとんど一緒だな」
「どういう……こと……ですか?」
「おれもよく分からない。ただ、これが“本物”であれば、間違いなく希望ヶ峰学園のものだろうな」
「いや、図はここ建物としてもだ。名前だけ変更したって可能性もあるんじゃないか?」
「ううん。希望ヶ峰学園のもので間違いないと思うよ〜」


 疑わしい目つきの間を抜け、間宮は手の出ていない白衣の袖を振りながら、見取り図をおれの手から取り上げた。


「ほら。希望ヶ峰学園の特製印があるでしょ?これは、希望ヶ峰学園の所有物って証。よって、ここは希望ヶ峰学園っていう速水の仮説は証明されたわけだね〜」
「えぇ?でもさ、しぃちゃん。ここが希望ヶ峰学園なら、どうしてこんなことになってるの?」
「さぁ…?僕はここが希望ヶ峰学園が分かったくらいだし」
「ま、まさか……実際の希望ヶ峰学園は超高校級の連中を集めてこんなことさせるのか?」
「いや、それはない。僕の先輩で“石丸 清多夏”という方がおられるが……つい先日お会いしたときにここの学校生活を楽しんでいる、とおっしゃっていた」
「あ、その人聞いたことがあるよ。
確か“超高校級の風紀委員”だったよね?」
「ああ、米倉 澪、その通りだ。
とても尊敬できる、素晴らしい人だよ!」
「ははぁ……。無駄に暑苦しいやつだな、そいつ」
「なっ!?笹川辰美、なんて失礼なっ!
石丸先輩は、僕たちの先輩だぞ!!」
「はっ。その尊敬できる先輩は俺様たちを助けに来るってのか……?」
「絶対来てくれる!先輩は質実剛健な方なんだ!!こんな事態を黙って見過ごす人じゃない!!」


 石丸という先輩を本当に信頼しているらしく、安積の発言に一切迷いは感じられない。


「それに、よく考えてみるんだ。僕たちがいなくなったことで、少なくとも僕たちの家族は心配しているはずだ。
 警察だって動くに違いない」
「はっ。まぁ、一人はここにいるけどな?」
「……そうだな」


 不動の嫌味を受け流し、おれはふと時計を見る。
時計の針は11時を指していた。
あの悪夢のような入寮式からまだ2時間しか経っていない。


−「ジャン。万が一、お前の身になにかあればわたしから国際刑事警察機構に連絡を取る。気をつけろよ?」
−「分かりました。いってきます」


 国際刑事警察機構。別名、インターポール。
現在の時刻では、時差の関係でまだ昨晩だろう。
 長官、ようはおれの上司に当たる人はおれの身になにかあったとき、彼らと連携して捜査に乗り出すとおっしゃってくれた。

 インターポールとあれば、いくら希望ヶ峰学園といえども捜査を拒否することはかなわないはず。
そうすれば、きっとすぐにここから出られるはずだ……。

Re: originalダンガンロンパ ( No.23 )
日時: 2013/07/06 10:12
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)



「大丈夫かな、わたしたち……」
「逃げ口もなかったからな。手詰まりってやつ?」


 とはいえ、やはり今すぐここから出られない事実に変わりないため、小ホールに流れる空気は重い。
特に、東雲は顕著で、青白い顔色のまま小さな体を震わせていた。


「怖い……です……。早く……出たい……」
「菊。助けは絶対来るって!もし、危なかったらおれが菊のことは守ってやるからさっ!」
「は…はいっ!」
「あら、頼もしいわね」
「そうか?弱いやつを守るのは当然だろ?」
「そうだ!男子は女子を守るのが義務だ!!」
「いや、義務まではさすがに思ってないけどさ」
「ほお?とーま、ずいぶんと大層なこと言うが、さっきおれの性別思いっきり間違えたよな?」
「うっ……。そ、それは君がおれなんて一人称を使うからだっ! 喋り方も男だし、女らしいところも皆無だろ!?」
「例えば?」
「……そう、だな。……体つき、とか」
「「っ!?」」


 プツリと糸が切れたような音がしたのは気のせいだろうか。
笹川の顔が一瞬だけ真顔に戻り、渇いた笑いをこぼす。


「あ、安積……」


 失礼だぞ。
おれがそれを言葉にするには一歩遅かった。
 笑顔を張り付けた笹川が安積の前へ詰め寄り、予告なく安積の腹部に握り拳を突っ込む。


「ぐほぉっ!?」


ゴスッと鈍い音と同時に、安積の目が大きく見開かれ、膝を落とす。
おそらく、急所に入ったのだろう。
安積は腹を押さえたまま、びくとも動かなかった。


「男と間違われたことは散々あるが、そこまでストレートに言われたことは初めてだぜぇ?
それになぁ、男に二言はないって言葉、知ってるか?」
「うぐぐ……。そ、それは知ってるが、君は女を捨ててるみたいなことを米倉澪に話していたじゃないか!!」
「それとこれとは話が別だっ!」
「な、なにを……!?こ、こらっやめろ!!や、やめないかっ!?」


 声の荒々しさとは裏腹に、笑顔である笹川の腕が安積の脇へ伸び、指先を素早く動かす。
途端に、安積の引き締まった口元は緩み、その体はゴロリと小ホールに転げ落ちた。


「あ、あははっ!?や…やめっ!そこは弱っ、あはははっ!」
「ほう?ここが弱いのか?こちょこちょこちょ」
「さ、笹川辰美ぃっ!!や、やめろっ!やめてくれ!あはははっ!ひぃっ!あはははっ!!」


 笹川のくすぐりに我慢できず、安積は腕を床にたたきつけながら、大声をあげてのたうちまわっている。
状況が状況であるせいか……かなりシュールな光景だ。


「なぁ……止めなくていいのか、あれ?」
「いいのではありませんか?非常に滑稽で愉快ですわ」
「しかし、安積が笑い死にという可能性も……」
「いや、笹川ならほどほどに止めるだろう」
「っていうか、笑い死にするくらいくすぐり続けるのも相当大変じゃないか?
まぁ、そもそもあいつの発言が悪かった訳だし」
「そうね。乙女心は複雑だものね」
「乙女心……か」


 アヤメの発言に、数名の男子が苦しそうに笑い転げる安積に哀れみの混じった視線を送る。
 おれも乙女心に理解があるタイプではないが……あそこまでやられては安積が不敏でならない。
例え原因が本人のせいだとしてもだ。


「あ、あの…みなさん、いいですか?」


 と、そんな珍妙な雰囲気を取り繕うように微笑んだのは石蕗だった。


「もうすぐお昼ですね。よかったら、僕が作りましょうか?」
「おお、マジ!?」
「超高校級の料理か。美味そうだねー」
「どうだか。毒でも入っているんじゃないのか?」
「見る限り、毒系の食材はなかったぜ。フグとかキノコとか……。つーか、そもそも毒物なんざ一体どこで」
「部屋にあるだろう」
「……え?」


 安積と笹川を除き、みなの視線が一斉に不動に集中する。


「どういう……意味、だ?」
「はっ。そうか、てめぇらは分からねぇよな?だったら教えてやらねぇよ。
俺様が使ったとき、ばれないためにもな。もっとも……既に俺様以外の人間も気づいているだろうがな?」


文字通り不敵な笑みをみせ、対して不動は射抜くような目つきで全員を見返していた。
この中に裏切り者がいる。そう言わんばかりに。


「不動。お前はどうしてわざわざ自ら不利になろうとするんだ?」
「はっ。てめぇに話す義理はねぇよ……。じゃあな」
「あ、まーくん。危ないよ」
「雅。あんなやつに、何を言ったって無駄だ。さっきもそうだっただろ?」
「でも……」
「相変わらず学習能力が無いらしいな、マヌケ。
俺様はだれも信用なんかしちゃいない。それと、目障りだ。失せろ」
「不動!お前は雅になんてことを言うんだ!!雅はお前を心配しているんだぞ?」
「心配してくれ、なんて頼んだ覚えはないが?
それが同情、好意というなら要らないお節介だ。早くくたばれ」
「お前ぇ!」
「まゆゆんっ、だめ!」


 篠田がいまにも不動に殴りかかりそうなところを、雅がその腕を掴んで止める。
それから、雅はぺこりと頭を下げた。


「まーくん、ごめんね。もう、ついていかないから。でも……気をつけてね?」
「……ふんっ。最初から、そうしていろ。……俺様以外に殺されるなよ」


 不動は最後にそう吐き捨てると、あのときと同じように堂々とおれたちの前から立ち去っていった。


「あいつ、絶対許さん!」
「落ち着きなさいませ、篠田様。あのような方はほおっておくのが一番ですわ」
「俺様以外に殺されるな、か。ずいぶんとヤンデレな発言だな。言われた方はちっとも嬉しくないが」
「はぁ……はぁ……。ふ、不動正治め……っ!医者の癖に、なんて暴言をっ!げほっ……」
「闘真くん、大丈夫?」


 笹川の気が済んだのか、安積の笑い声が止み、二人ともおれたちの会話に割り込んでくる。
ただ、安積は相当くすぐりの刑が応えたらしく、息もだえだえに小ホールの床でのびていた。


「安積、立てるか?」
「あ、あぁ……。ありがとう、速水刹那……っ。げほっごほっ」


 一応、おれの肩を貸して立たせてみたが、まだ安積の顔色は悪い。

 笹川……やり過ぎだ。
 おれは何事もなかったように輪になじむ笹川を一度見てから、息をつく。
不動の目立った行動に気をとられているせいか、大半の連中は安積が目に入っていないらしい。
実際、おれと米倉以外、だれも安積を気に掛けるやつはいなかった。
 

「はぁー……。本当、飯前に嫌な感じだぜ。石蕗、早く作ってくれよ〜」
「はい。それでは、12時に食堂に来てください。お待ちしています」
「石蕗……一人、危ない。おいも……行く」
「あ。大山さんありがとうございます」
「わたしも手伝うよ」
「わたしも行くーっ」
「とりあえず、自由解散でいいかしら?ボクサーさん」
「あ、ああ……一時解散する。また12時に集まろう」
「はーい!」
「また後でな」


 安積の閉会の言葉を合図に、各自それぞれが小ホールを後にする。
みな顔にはそれほど出しはしなかったものの、怖かったらしい。
この狂気に満ちた空間で不動のように孤独を貫く者はだれ一人、いなかった。


 こうして、波乱に満ちた一度目の報告会は終わりを告げた。
まだ何が起こるか油断はできないが、不動を除いて少しずつみなの気持ちは結束しつつある。
時間はかかるかもしれないが、きっと全員無事に出られるはずだ。

 おれはそのときそう思っていた。
 しかし、その希望がモノクマの用意していた秘密兵器によって絶望に転げ堕ちることは……まだだれも知らなかった。

Re: originalダンガンロンパ ( No.24 )
日時: 2013/07/07 07:49
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)

 報告会が終わった後、小ホールにはおれと安積が残っていた。
さすがに15名いても広々した空間だけあり、2人だけともなるとわびしい。


「みんな行ってしまったな……」
「ああ、そうだな」


 今頃、いなくなった大半の者は食堂で石蕗の手伝い、あるいは昼食を待っていることだろう。
不動に関しては、無事を祈るばかりだ。


「安積、もう大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。すまないな、速水刹那。僕のために貴重な時間をとらせて」
「気にするな。おれの好きにしただけだ」
「そうか。君は優しい男だな」


 小ホールの床に足を伸ばして座る安積を見る。
その屈託のない笑顔に、おれはひとまず安心した。
舞台前の壁にもたれていた体を離し、安積へ右手を差し出す。


「ほら、掴まれ」
「ありがとう、っと……」


 掴んできた安積の手を握りしめ、上に引き上げる。
すると、安積はしっかりと両足で自らを支えて立ち上がった。


「その……さっきは見苦しい所をみせたな。まさか、あんなことになるとは……」
「ああ……」


 手を宙で離し、安積が頭をかく。
 おそらくは、彼が笹川にくすぐられて大声を上げながら暴れていたあのことだろう。
どことなく困惑した面立ちだ。


「安積。あのとき、どうして笹川の手を払わなかった? 嫌なら振り払っても……」
「あ、ああ。確かに、そうなんだが……。僕にはとても……」


 安積が首を横に振り、ため息をつく。


「……できない、のか?」
「ああ。その…笑わないでくれよ?僕は、女子に触れないんだ」
「……女性恐怖症、なのか?」
「そ、そういうわけじゃない……っ!その、僕は今まで男子校に通っていたから、どうしてやればいいか分からないんだ。
そもそも、女性に手を出すわけにもいかないだろう!?」


 安積の顔がわずかに赤くなり、おれから目線を外す。
 ランドリーでの件といい、笹川での件といい、安積があまり女性に慣れていないことは分かっていたが……なるほど、そういうことか。
それならば、安積が例の言葉を口走ってしまったことも、なんとなく理解できる。


「速水刹那。少し君に聞きたいことがある」
「…どうした?」
「笹川辰美はどうして怒ったんだ?彼女が僕の言葉に怒ったことは分かったんだが、どの言葉で怒ったのかよく分からないんだ」
「………ああ」


 神妙な顔で何を言うかと思いきや、想定内の言葉におれは口を閉じる。
安積は、やはり笹川の言葉の裏が分かってなかったらしい。
もちろん、おれも本人に直接聞いた訳ではないが、ある程度なら推測できる。
笹川が、安積に自らの体を指摘されて怒っていたことに。


「笹川は、自分の体つきを指摘されたことが気に食わなかったと思うぞ」
「体つき?女性らしさがない、と言ったところだな。だが、彼女は自分は女だと思ってないと言っていたぞ?」
「……まぁ、な」


 その発想が、彼女をますます怒らせてしまったんだがな…。
 その言葉は喉に押し込み、おれはどう説明してやるべきか、言葉を推考する。
 安積はおそらく、今回の笹川の言葉をありのままの意味でで受けとっているのだろう。
そう考えれば、笹川が怒った理由がまるで分からないことも、今の返事もつじつまが合う。


「そうは言っても、やはり笹川は女性だ。本人にしては、女らしくないことはやはりショックだったんじゃないか?」
「そう……なのか?」
「ああ。分かりにくいが、女性の心はそういうものらしい。おれも、まだよく分からないが……」
「いや。参考にするよ、ありがとう。とりあえず、まずは謝りに行かないとなっ」
「そうだな。確か……笹川は米倉と一緒だったから食堂にいるはずだろう」
「そうかっ!よし、行くぞ。速水刹那!」


 一刻も早く食堂に行きたいのだろうか、安積はさっそうと小ホールの入り口にまで走り、大声で呼びかける。

 元気なやつだ。
おれはそう心で呟いてから、表では頷いて安積の元へ向かった。
急かすように呼びかけてきた安積と小ホールを出て、正面に延びる廊下を走る。
そうして、程なく突き当たりに見えたものにおれと安積は立ち止まった。

 食堂に繋がるだろう扉の前に、よく個人経営の飲食店の表で本日のオススメメニューを紹介するような立て板が置かれている。
 立て札には白いチョークでコック帽を被ったモノクマの絵が描かれていて、こう書かれていた。

『絶望食堂によーこそ!』

 ……ずいぶんと嫌な名前を付けたな。
おれは消してやろうかと思い手を伸ばす。
そこで、ふと立て札の下に書かれた文字が目に入った。

『あ、ちなみに消そうとする人にはエクストリームなおしおきだからね!!消しちゃいやーよ!? by学園長』


「まったく、なんてやつだ!」
「そうだな……」
「落書きとは……なんて幼稚な悪戯を!!」


 そっちか。
おれは安積の発言に内心、突っ込みを入れると、立て札をそのままに扉を開けた。


「これが食堂か!」


 扉を開けると、まずオレンジ色の暖かい光がおれたちに降り注いだ。
廊下が薄気味悪い蛍光色の光で照らされていただけあって、それだけでずいぶん心が休まる気がする。

 御剣の言っていた通り、食堂は15名で使うにはずいぶん広かった。
ザッと見る限り、小ホールとあまり変わりないかもしれない。

 おれたちを照らす光は天井面に直接つけられた円盤上のシーリングライト(リビングルームなどに取り付けられているあれだ)から発せられているものだった。
その光の下には白いテーブルクロスのかけられた長テーブルが部屋を半分に切り分けるように置かれている。
テーブルには、青いガラスの細長い花瓶が左右に一つずつあり、今が春の季節のためか、花瓶には菜の花が一本ずつささっていた。
そして、イスはどれも背のついた木製のもの、床はフローリングで、白い壁には果物の絵画が縁に入れて飾られていた。

 ずいぶんとアットホームな雰囲気だな。
おれはそれも犯人の策略ではないかと考えながら、先に走っていった安積に遅れて長テーブルに近づいていった。


「おぉ。お前さんたち、ようやく来たのか」


 長テーブルに近づいたおれたちに、最初に話しかけてきたのは御剣だった。
紫色の液体が入ったワイングラスを傾け、テーブルに組んだ足を載せて座っている。


「御剣隼人。一体何を飲んでいるんだ?」
「見ての通りジュースだよ。ジュ・ウ・スだっ!」
「ああ……。酒が飲めない代わりか?」
「あったりまえだろっ! じゃなきゃ、どうしてわざわざワイングラスにジュースなんか入れるんだ!?」


 ドンッとテーブルを叩き、御剣は深々とため息をついてカウボーイハットを下げる。
気分だけでも酒が欲しくてしょうがない、ということなのだろう。


「まったく……少しは静かにできませんの?」
「はは、ごめんよレディ」
「ってか、酒にこだわり過ぎだろ。あんなまずいやつよりかお茶の方が断然上手いと思うけど?」
「るせぇ、お子ちゃまはすっこんでろ」


 呆れたような呟き、おそらくは北条と花月のものか。
御剣が首を向けた先を見ると、奥には予想通り北条と花月が間をあけて座っていた。
 北条の前にはティーカップ、花月には湯のみがそれぞれ置かれている。
いかにも、彼ららしい飲み物だ。


「他のみなは?」
「奥で昼食の手伝いをしていますわ」
「不動はいないけどな」
「で、君たちはどうしてここに座っているんだ?」
「私はお料理なんてしませんわ。そもそも、どうして私があんなことをしなくてはいけないのです?」
「ははー……。さすがはお嬢様だ。
オレは自慢のトークで歌音ちゃんを口説いたら眞弓ちゃんに怒られてねぇ。追い出されたのさ」
「おれはつまみ食いして、笹川に追い出された」
「……そうか」


 なんともコメントしづらいので、それだけしか言えず、おれは奥の厨房に視線を移す。
このアットホームな食堂に合わせてか、厨房の方もフローリングの床の上に設置されていた。
出来上がった料理を置くカウンターを越えた先には、ぐるりと周りを取り囲めるキッチンと、色とりどりの野菜や果物といった食材が箱の上に積み上げられている。

Re: originalダンガンロンパ ( No.25 )
日時: 2013/07/07 07:52
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)


「……ふむ。さすがは希望ヶ峰学園だ。すごいな」
「ああ」


 おれと安積でカウンターの傍に向かい、思わず頷く。
より近くで見ると、キッチンの奥は冷蔵庫や食器用の棚はもちろん、調味料専用の大棚もあることが分かった。
15名の寮にしては、充分過ぎる設備だといえる。


「あ、刹那くん」
「あづみんもいるよっ!」


 カウンターに近い米倉と雅がおれたちに気づいたのか、こちらに駆け寄ってくる。


「それは…サラダか?」
「うんっ。グリーンサラダだよ〜。みーちゃんとわたしが作ったの」
「ドレッシングは優くんが作ってくれたんだよ。今はメインデッシュの味つけとデザート作っているの」
「へぇ。僕たちに手伝えることはないか?」
「そうだね……。そういえば、まだ食器を出してないからあるからそれを運んで欲しいな。フォークとか、ナイフとか」


「分かった。安積、こっちだ」
「ああ」


 安積を手招きした後、おれはカウンターの端につけられた扉をくぐってキッチンに入った。
安積が来たと同時に扉を一応閉め、食器棚のある奥に向かう。


「お前たち、来ていたのか」
「安積と……速水……だな」
「あら。安積と速水だったのね。てっきり、花月か御剣だと思っていたわ」


 その途中、米倉たちの反対側、電子コンロのある方にいた篠田とアヤメに話しかけられ、おれは顔を向けた。
篠田はメインプレートににんじんを添え、アヤメはスープを容器に注いでいる。
そして、篠田の後ろには荷台に料理を載せている大山と、フライパンから上がった炎と格闘している石蕗の姿があった。


「どう見たらその二人と僕たちを間違えるんだ?」
「うふふ。そうね、ごめんなさい。ここからだと外側はあまり見えないのよ」
「確かに……そうだな」


 おれは首を回し、食堂を見る。
 アヤメの言う通り、この薄暗いオレンジ色の光の中では、何かがいるのは分かるものの、だれなのかは判別しにくい。
現に御剣がいる出口付近の席だと、陰が色濃くて人がいるのかも特定できないほどだ。


「ふふ。そういえば、安積……」


 楽しそうなアヤメの笑い声に胸騒ぎを覚え、おれは思わず首を戻す。
彼女が目配せした先では、笹川と東雲が黙々とウサギ林檎を皿に盛りつけていた。


「笹川はあっちよ。がんばってね」
「なっ!? なにを唐突に!?」
「あら、てっきり彼女に用があると思ったのだけど?」
「そ、それは……まぁ、そう…だが………」
「けっ」


 笹川が一度だけおれたちを睨み、そっぽを向く。
明らかに、不機嫌な様子だ。


「……速水刹那」


戸惑いがちに顔を向けてきた安積に、おれは大丈夫だと、頷きだけ返し笹川を見遣る。
それで、安積は決心したらしい。
まだ困惑した様子だったが、大きく深呼吸をして彼女の前に歩み寄った。


「笹川辰美」
「………」
「辰美ちゃん……呼ばれて……ますよ?」
「笹川辰美っ!聞こえていないのか!?」
「そんだけ声上げて、聞こえないわけないだろ?」


 笹川がようやく体を安積へ向け、やけに落ち着いた様子で言い放つ。


「で?なんだよ?」
「あ、その……さっきはすまなかった。僕の不用意な発言で君のことを傷つけてしまって……」
「……ふーん」


 まだ怒っている…のだろうか。
笹川は口を真一文字に結んだまま、それ以降言葉を続けようとしなかった。


「「………」」


安積もさすがにああ切り返されては言いづらいだろう。
そのため、できあがったのは二人が真っ向から睨み合うという、傍から見ている人間にとっても重苦しい状況だった。


「た、辰美ちゃん……」
「ね、ねぇ、タッツー。許してあげなよ。あづみん、謝ってるんだからさ」
「笹川……もう……」


 あまりの気まずさに、彼女の隣にいる菊を始め、雅や大山が助け舟を出す。
その会話におれも入ろうとしたところで、気づいた。笹川がわずかに口元をほこばせていることに。


「くく……っ。ちょ、もう無理っ」


 堪えきれない様子で安積を眺め、笹川が吹き出す。
それに安積はもちろん、おれも、みなもただ呆然としていた。
今の流れでなにがおかしいのか……見当もつかない。


「ははっ。お前って、本当に正真正銘の馬鹿だなっ」
「なっ!? そ、それはどういう意味だっ!?」
「どっかの恋愛シュミレーションで出てくるキャラか、ってこと。真面目過ぎるんだよ」
「れ、恋愛しゅみれーしょん?」
「なんだ、そういうゲームも知らないのかお前?」
「あ、当たり前だっ! 僕はゲームなんてまったくしてないんだぞっ!
それに、あれは目を悪くするじゃないかっ!」
「ぷっ。ちょっ……まんま同じ台詞っ。もう、笑わせんなってのっ!」


 笹川が安積の肩をばんばん叩き、笑い声をあげる。
しかし、対して安積は今にも頭を抱え込みそうなほど、戸惑いがちな表情を浮かべていた。
周囲も、同じような顔つきだった。


「な、なにがおかしい!? 訳が分からないぞっ!?」
「だーかーらっ! とりあえず、しゃべるなってこと」
「む…」


 笹川は安積の口に人差し指を当て、ニヤリと口を曲げる。
それから、彼女はうさぎりんごを載せた皿を彼の手に押しつけた。


「ほら、今からあっちに料理運ぶから手伝え」
「あ……ああ。分かった」


 いつの間にか機嫌を取り戻した笹川に言われるまま、安積はうさぎりんごの載った皿を運びはじめる。


「じゃ、菊。おれも運ぶから、残りのやつは任せたぜ」
「あ……は、はい……」


そうして、笹川もうさぎりんごの皿を二枚持ち上げるとさっさと手前の食堂に向かっていってしまった。


「えへへ。あの二人、仲直りできたね」
「……あれは仲直り、か?」


 一人嬉しそうに微笑む米倉に、篠田が怪訝そうに二人を見遣る。
おそらく、今この場にいる米倉以外の全員は篠田の心境に近いだろう。
見る限り、全員が困惑した面立ちで彼らを見据えていた。


「まぁ…確かに、仲直りはできたみたいね。終わりよければ全てよし。そういうことにしましょ」
「ああ」
「そう…だな」


 結局、きれいにまとめたアヤメの意見に頷き、元の作業に戻る。
元から料理に従事していなかったおれは、最初に米倉たちに頼まれた食器類を運ぶことにした。
ナイフとフォークが入った編みカゴをまず運んで、長テーブルに並べ、続いてグラスを引き取って同じように一人分ずつ並べていく。


Re: originalダンガンロンパ ( No.26 )
日時: 2013/07/07 07:54
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)


「……そういえば」


 相変わらず長テーブルでのんびりと過ごしている花月、北条、御剣の三人を傍目に、おれは首を傾げた。


「間宮はどうしたんだ?姿が見えないが」
「間宮?」


 お茶をすすっていた花月が湯呑みから口を離し、ああ数学者のやつか、と頷いてみせる。


「あいつなら部屋に戻ったぜ。なんかひらめいた、って言ってノートにすごいスピードでなんか書いてたし」
「一人で帰ったのか?」
「いや、歌音ちゃんと眞弓ちゃんが部屋前までついていったらしい。
うらやましいよなぁ。レディに送り迎えしてもらえるとは」
「じゃあ、今度はお前に迎えに行ってもらおうか?」
「のお!?辰美ちゃん、冗談を。悪いけどボクは野郎を迎える趣味はないんで」
「働かざる者食うべからずだぞっ、御剣隼人!」
「嫌なもんは嫌なんだよっ!!
第一、犯人がいつ襲われるか分からないってとこに一人で行くとか、危ないだろうがっ!?」
「なら、おれも行こう」


 グラスの配置も完了し、他にすることもない。
それに、御剣の言うことも一理ある。
犯人がどこに潜んでいるかも分からない状況で、一人で行動するのは危険だ。
そういう意味で、名乗り出たつもりだったのだが……かえって御剣の顔色は一層険しくなっていた。


「えー……また野郎と一緒かよ」


ワイングラスに入ったジュースを傾け、ちまちまと口をつけて飲みながらため息をつく。
どうやら、迎えに行くよりも俺と行くことが不満のようだ。


「どんだけ男嫌いなんだよ、お前」
「だって考えてもみろよ。半分は麗しのレディたちがいる中で、なぜか野郎としか組んでないんだぜ!?
おかしくないかっ!!」
「どうしたの?」


 テーブルを叩いて熱弁する御剣を余所に、何も知らない米倉がサラダの取り分け皿を両手に載せてやって来る。
そこで、御剣の態度は急な変化をみせた。


「やあ、澪ちゃん。ちょうど今、間宮を迎えに行こうと思ってたんだ。よかったら一緒にどうだい?」


 不満そうに刻まれた眉のシワが消え、ニコニコと爽やかな笑みで語りかける。
おれが一緒に行こうと言ったときとは随分な差だ。


「なにいってるんだ君は!?速水刹那が行こうと言ったときは、とても嫌がっていたじゃないか」
「オレがいつ迎えに行くのが嫌だなんて言ったんだ?」
「屁理屈かよ。よく言うぜ」
「それはそれ、これはこれ。で、澪ちゃん。一緒に間宮クンを迎えに行かないか?」
「えーと……」


 渋い表情の安積と笹川を軽く受け流し、御剣はどうしようか迷っている米倉にウインクを送る。


「今なら特別に超高校級のホストの一級の接待付きだぜ?」
「あら、そうですの。だったら、そのお相手は私にしてくださらない?
ちょうど紅茶が飲み終わりまして。早くお代わりを注いで欲しいのですけど?」


 特別な接待、という言葉に、北条は笑顔を浮かべるとスッと空のティーカップを御剣の前に突き出した。


「え…?ええと……その、ごめんよレディ。オレは今から間宮クンを迎えに行く義務が」
「あら、レディを待たせる気ですの?それが一流のホストだなんて、信じられませんわ。
間宮様のお迎えは速水様と、米倉様を寄越せばよろしいのではなくて?」
「そ、そいつは…」


その場をやり過ごそうとする御剣に毒を含んだ言葉を浴びせながら、流れるような動作で扇子を広げる。
 その姿はお嬢様と言うより、女王様と言った方がしっくりくるだろう。
会話の流れを完全に掌握した彼女は、優雅な微笑みを絶やさないまま、鋭い目線で御剣を睨みつけていた。
御剣はというと、蛇に睨まれたカエルのように顔を強張らせ、押し黙っている。


「……わ、分かりましたよっ。お相手させていただきますって!」
「うふふふ……。それがいいですわ」


 しかし、最終的に北条に逆らえないことを悟ったのか、彼はがっくりと両肩を落として承諾した。
ティーカップを丁寧に持ち上げ、急ぎ足で台所に走る。
その後ろ姿を見送りながら、ぼそりと花月が呟いた。


「やっぱ女ってこえぇー……」
「なにか言いまして?」
「いや、別にー」
「ええと…それじゃ、式くんを刹那くんと一緒に迎えにいけばいいんだよね?」
「そういうことだ。米倉澪」
「えへへ、また一緒で嬉しいなっ。それじゃあ、行こう刹那くんっ!」
「ああ」


 米倉が一人一人の取り分け皿を並べ終わったのを見計らって、おれは彼女といっしょに食堂を後にした。
やはり相変わらず、廊下は悪趣味な蛍光色の光で照らされており、食堂と一線を越えて一層不気味さを増している。
見たところ、おれたち以外にはだれ一人として廊下にはいないようだ。


「やっぱり、ここは怖いね…。照明が変なせいかな?」
「そうだろうな」
「だよね……。ねぇ、刹那くん、唐突だけどクイズを出してもいい?」
「クイズ?」
「そう。わたしに関するクイズだよ」


 寒気さえする廊下を並んで歩きながら、おれは口を結び、しばし返答の言葉を考える。
おそらく、米倉のことだから悪意はないのだろうが、なぜ急にクイズに発想が至ったのかよく分からなかった。


「……別にかまわないが。どうして急に?」
「まだお互いのことあまり知らないから、クイズに出した方が楽しめるかなって。ほら、テレビでもよく盛り上がっているでしょ?」
「そう…なのか?」
「あれ? 刹那くんはバラエティ番組とか見ないの?」
「そうだな。ここ数年は見ていない。おれはずっとアメリカに暮らしていたし、仕事で忙しかったからな。あまり日本のテレビ番組は知らないんだ」
「へぇ〜っ!それじゃ、刹那くんって英語が得意なの?」
「ああ。現地にいても困ることはない」
「すご〜いっ!!でも、日本語もすごく上手だね?」
「父さんが日本人だからな」
「お父さんが日本人……。ということはお母さんは」
「アメリカ人だ」


 おれがそう告げると米倉は顔をパッと輝かせてみせた。


「ということは、刹那くんってハーフだったんだね!
  てっきり日本人だと思ってたよっ!」
「ああ。肌の色も黄色だし、日本の名前だからな。米倉はどうなんだ?」


 階段を上りながら、プラチナブロンドの髪に青い瞳の彼女に尋ね返す。
名前を聞けば日本人だが、見た目はどう見ても純粋な日本人ということはないはずだ。


「わたしの家族は日本人だけど、おじいちゃん一人だけイタリアの人なんだ!
 それじゃあ、唐突だけど、ここで問題っ。刹那くんがハーフならわたしはなんでしょう?」


 祖父が外国人で、それ以外の親族が日本人……。
つまり米倉は換算して四分の一の遺伝子を受け継いでいるわけだから……。


「”クオーター”、だな」
「正解!刹那くんには簡単だったかな?」
「そうだな。これくらいは一般常識だ」


 米倉にそう返し、おれは前に視線を戻す。
それぞれの個室に繋がる廊下に出たらしく、左右に扉が一定間隔を開けて並んでいた。


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