二次創作小説(紙ほか)

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originalダンガンロンパ キャラアンケート 
日時: 2013/09/19 17:42
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)

 皆様こんにちは。
初めましての方は初めまして。
以前、お付き合いくださった方はお久しぶりです。
編集などの都合で以前、別サイトに移転していたのですが、今回こちらでも活動を再会させていただくことになりました。
(わがままを言ってすみません)

 注意書きを読み、以下の内容にご理解いただけた方のみ、この作品を閲覧ください。



 最初に、公式とは一切関係ありません。
ダンガンロンパが好きで、その世界観に惹かれたファンの二次創作です。

 次に、モノクマを除いてすべてオリキャラのみのダンガンロンパになっています。
キャラクターの称号が公式と思いっきり被っていますが気に止めないでください。
(実はダンロン2公開前から執筆していたため、数名被っています)
また、本編【ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】と【ダンガンロンパ ゼロ】のネタバレが出る可能性があります。
クリアしていない方、苦手な方はお控えください。
なお、スーパーダンガンロンパ2のネタバレはありません。

 主人公は速水刹那(はやみ せつな)=[超高校級の警察官]とし物語は展開します。
 もちろんダンガンロンパであれば、推理やおしおきのシーンが前提としてありますが、作者は推理小説に触れたことがありませんので、無茶な推理や、矛盾点も多くありますが、ご了承いただけるようお願いいたします。
キャラ紹介の内容は話が進むごとに増えていきます。


以上のことを了解した方は、読み進めていってください。

……コメントいただけると喜びます(主に作者)





*お知らせ

>>96 >>97を追加 9/19
・次回の更新予定は未定です。

☆アンケート中 >>69 >>89

・コメント返信
>>17-18 阿部様
>>46-47 >>56-57 >>79 >>91-92 モノクマ様
>>50-51 >>58-59 >>67-68 >>79 >>82-83 >>84-85サニ様
 


プロローグ-
>>1

第一章 絶望のハジマリ
>>2 >>3 >>4 >>5 >>6
>>7 >>8

キャラクター紹介編
>>9-13
>>40 キャラクターイメージ

第二章 殺人ゲェム

一日目 日常編
>>14-16 >>19-21 >>22-24
>>25-27 >>28-30 >>31-33
>>34-36

二日目 日常編
>>37-39 >>41-43 >>44-45
>>48-49 >>52-53

三日目 (非)日常編
>>54-55 >>60-62 >>63-65

三日目 First学級裁判
>>73-74 >>75-76 >>80-81←おしおき編
>>86-87 >>88


キャラ劇場
>>90 >>93-94


第三章 サイコポップハイスクール

四日目 日常編
>>95-97

Re: originalダンガンロンパ (非)日常編開始 ( No.72 )
日時: 2013/08/14 08:41
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html

>サニさん

了解です。
ちょっとカオスになりますがご了承ください(`・ω・´)


>モノクマさん

犯人分かりましたか?
本日種明かしをするので、お楽しみくださいね。

Re: originalダンガンロンパ (非)日常編開始 ( No.73 )
日時: 2013/08/14 08:46
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html

 一階に向かうと、一階の階段の裏手に地下に繋がる階段が現れていた。
何度も通ったが、このような通路は見かけたことがない。
おそらく、モノクマが今まで隠していたのだろう。

 階段の先に向かうと、紅い箱を取り囲むように黒い槍が突き刺さっているような装飾が施された、エレベーターと思しきものにぶちあたった。
既にその中には東雲を残しておれたち以外のメンバーの全員がそろっている。
 初めての捜査に次いで初めての裁判。
大半のメンバーの不穏な様相だ。


「本当に……やるしかないのかよ」


 各自の不安を先駆けて御剣が言う。
それに、おれはこう答えるしかできなかった。


「仕方ない……おれたちの命がかかってるんだ」
「でも嫌だよぉ……。みんなを疑うなんて」
「だったら死ねよ、マヌケ」
「うう……それも嫌だよぉ」
「不動くん、そんなこと言ったらダメだよ。歌音ちゃんは仲間なんだよ」
「そのお仲間を信じた結果がこれだろ?
 それに、いつから俺様がてめぇらの仲間になったって?」
「おい。もっとマシな言い方できないのかよっ!!」
「事実だろ。あのカマはおまえ等の誰かに殺されたんだからな」
「あら、自分は犯人じゃないって言うのね」
「当然だ。俺様は犯人じゃないからな」


 ぼそりぼそり、と不動を中心にざわめきが起こる。
よく見ると、ほとんどのメンバーは彼に対して疑いの眼差しを向けていた。

こいつが花月を殺した犯人ではないか。と。

 先入観に任せた議論が進まなければいいが……。
おれがそう危惧する内に、エレベーターが大きく揺れる。
どうやら目的地に着いたらしい。


「ここは……」


 重々しく開いた扉の先に広がっていたのは、他の場所と違い異質な場所だった。
 部屋は円形で下には赤い絨毯が引かれ、壁には白黒のモノトーンカラーのブロックで埋め尽くされている。
所々、壁に赤いカーテンを携えたアーチ型の窓が並んでいるが、ここは地下。窓本来の意味をなさない。
代わりに、天井にぶら下がったシャンデリアが煌々と照らしているため、部屋は昼間のように明るくなっていた。

 中心には16台の教壇が円形に並んでおり、幼稚園児がクレヨンで書いたような平仮名のネームプレートが置かれている。
教壇は学校で見かけるようなものではなく、裁判所で証言台に使われるものだ。
お遊びのような物言いの割には、随分と手が込んでいる。


「あれ、なにかな?」


 米倉が指差した方向にある教壇。
東雲とアヤメの間の席に、ちょうど花月の身長程の高さの看板が掲げられていた。
看板の先には遺影と言うべきか、花月の顔写真が飾られ、大きく×印がつけられている。


「おそらく……あれは花月の席だったんだろう」


 相変わらず、趣味が悪い。
恐らくはだれもがそう思ったときだった。


「やぁやぁ皆さんお集まりですか!? うんうん。無事に揃ってるね」
「わっ、出たぞ」
「なにを〜人をゴキブリみたいに! いや、この場合はクマをゴキブリのように、かな?」


 ちょうどおれと正反対の石蕗の教団の後ろ側にある一回り高い位置の玉座からモノクマが飛び出してくる。


「学園長さん、ちょっと聞きたいことがあるのだけど」
「はい、なんでしょう?」
「あそこの花月の写真。あれは一体どういう意味?」
「ああ。あれはね、死んだからって仲間はずれにするのは可哀相でしょっ! 
 友情は生死を飛び越えるんだよっ」
「どの口が友情を語るんだが……」
「では、あちらの空席はなんでしょうか?
 名前もありませんし、私たちは15名です。なぜ16席もあるのでしょう?」
「ああ。それは深い意味はないよ。ただ単に16名が収容可能なだけ」


 16席目……パンドラの席だったのか?
 おれは無名の教壇を眺め、思索する。
16部屋の件といい、やはり本来はやつもここにいたのではないか。
そう思えてならない。


「さてと、前置きはこれくらいにして、早速やっちゃおっか!!
 みんな首を長くして待ってるわけだしさっ!!」


 だが、おれはすぐに現実に引き戻された。
玉座を見ると、モノクマが嬉しそうに小躍りしている。
そこで、おれはこの場にいない人物の名前を挙げた。


「モノクマッ。それよりも、東雲はどうした?」
「東雲菊さん? ああ、彼女なら……ほら連れて来ましたよ」


モノクマが指差した方向を見ると、窓と思わしき赤のカーテンの中から東雲が現れる。


「菊ちゃんっ!」
「菊っぴっ、もう大丈夫な…の!?」


 米倉と雅が東雲に近づくも、二人の動きが途中で止まる。
おれたちも彼女の姿に、目を見張った。

 東雲の顔は蒼白というレベルではない。
まるで空の青を映したように真っ青だ。
それに加えて、ガタガタと震えており…今にも倒れそうにみえる。


「って、全然大丈夫じゃないじゃないかっ!!
 なにしたんだてめぇっ!!」
「そうだ貴様ァ!! 東雲菊に何をした!!
 場合によっては許さんぞっ!!」


 安積と笹川がモノクマに食いかかる。
しかし、モノクマはものともしない様子で首を再び横に曲げた。


「あり?なんでボクが怒られてんの?
 体調管理は本人の責任でしょ?」
「お前のせいだろがっ!!」
「貴様が動機なんて訳のわからないものを見せたからっ」
「え、違うでしょ?
 この中のだれかさんが花月くんを殺したせいでしょっ?」
「っそれは……」
「オマエラ物分り悪いよね〜。
 そんなんだからいつまでも閉じ込めておかなきゃいけないんだよねぇ、うぷぷぷぷぷぷ……」
「……なぁ闘真」
「なんだ、笹川辰美」
「あいつの正体分かったらぶん殴ろうぜっ!!」
「ああっ!! もちろんだ!!
 僕の渾身の一撃を食らわせてやるっ!!」


 二人とも……ずいぶん意気があってきたな。
 おれは安積と笹川から一度東雲の方へ視線を戻す。
どうやら、篠田、雅、米倉、御剣の四名が手や肩を貸して、東雲を教壇まで運んでくれているようだ。
おれの助けはいらないだろう。


「てめぇら、いい加減にしろ。
 こんな埃臭いところ、俺様は一秒でもごめんなんだッ」
「うるせぇぞクソ医者!!
 菊ちゃんがこんなに弱ってんだ、てめぇ治療しやがれっ!!」
「はっ。そんな女にしてやれることなんざないな。
 俺様は精神科医じゃないんでね」
「てんっめえええええええ、後で泡吹かせてやるから覚悟しろよっ」
「あぁ〜もうっ、うるさいったらありゃしないよっ。
 みなさん、自分の机に移動してください!! いますぐにっ!!」


 モノクマの命令におれたちは気が進まないまま自らの席に移動する。
円形という構造上、モノクマを含め全員の顔がよく見える。


 ……この中に、花月を殺したやつがいるんだ。
信じたくないが、そいつを見つけ出さない限りおれたちの命はない。


—「なぁ、刹那。頼みがあるんだけど」


 今朝、花月に呼び止められたときのことを思い出す。


—「なんだ?」
—「万が一、おれに何かあったら…菊のこと、頼んだ」


真剣に語っている花月は、今思えば自分の死をわかっているかのようだった。
当然、おれは否定した。

そんなことを言うんじゃない、と。
約束したのなら最後まで守り通してやれ、と。
だが、花月はそれを笑い飛ばした。そのことに触れず、たった一言。


—「お前が一番頼りになるんだ、頼んだからなっ!」


 そう言って、東雲がようやく出てきたため、そこで会話は途切れた。
 花月がどうしておれにそんなことを頼んだのか。
自分の死が間近に迫っているのを理解していたのだろうか。
今となってはわからない。だが、これだけは分かる。

おれたちは生き残らなければならない。
花月のためにも、約束のためにも。

全員の命をかけた、裁判が。始まる。


Re: originalダンガンロンパ (非)日常編開始 ( No.74 )
日時: 2013/08/14 08:54
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html


SETUNA,s MEMO

被害者:『超高校級の歌舞伎役者』 花月 京 
死因:毒を服用したことによる毒死
死亡時刻:12時頃
死体発見場所:1F食堂
備考:目立つ外傷はなし

コトダマ1:凶器は毒。湯呑から検出された。

台拭き1:カウンターにあった台ふきがなくなっていた。

コトダマ2:急須、茶葉からは毒が検出されなかった。

不動の証言:毒は空気に数時間晒すと消える

コトダマ3:役割分担。石蕗が湯呑の準備。米倉が洗い、笹川が拭いたあと、その湯呑で東雲が茶を入れた。

台拭き2:台ふきは一枚のみしかない。台ふきがあった棚には他の布巾と掃除用具が入っていた。

石蕗の証言:朝、石蕗たちよりも早くに食堂にきていた者はいなかった。

アヤメの証言:食堂に入ってきた順番

メモ:雅の毒の瓶がなくなった。無くした場所は二階の女子トイレ。
   無くしたのが夕方頃のため、だれかが持っていった可能性あり。

雅の証言:昨晩、食堂で不動と会っていた。十時までいたと思われる。

間宮の証言:もう一枚の布巾と一緒に雑巾をランドリーで見つけた。




「まずは学級裁判の簡単な説明から始めましょう」


 一番にモノクマが話し出す。
どうやら、学級裁判のルールを再確認するためのようだ。


「学級裁判の結果はオマエラの投票により決定されます。
 正しいクロを指摘した場合は、クロだけがおしおき。
 正し、間違った人物をクロとすると……
 クロ以外の全員がおしおきされ、みんな欺いたクロだけが卒業できますッ」

「だれが花月様を殺したか、当てればいいのですわね?」

「オレじゃないぞっ!」

「わたしも違うよっ!!」

「本当に……犯人が……ここに…いる、のか?」

「もちろんですっ。さぁはりきっていきましょーーっ」


 花月を殺した犯人……見当はついているが……。
 おれは皆を見渡す。
不安に満ちた面々のなかで先に話し始めたのは、不動に険しい表情を向けた御剣だった。


「つーかさ。ぶっちゃけ、不動が犯人じゃねーの?
 こいつだろ怪しい野郎わっ!」

「どうしてそう思うんですか?」

「昨日の夜、オレは一人で【食堂】に入ってくそいつを見たんだ!!
 そんときに【毒を入れた】に違いないっ!!」

「うん、最もだよね〜。夜だったらだれもいなさそうだし」

「はっ……なるほどな」

「あら、ずいぶん余裕ね?」

「当たり前だ。俺様じゃねぇからな」

「ごまかすな、不動正治っ。君以外には考えられないぞ!
 そもそも、君にはアリバイというものがないじゃないかっ!!」

「アリバイ?」

「そうだ!! 【だれも見てない】以上、お前さんが犯人で決まってるんだ!!」

「それは違うっ」


【 論 破 】


「御剣、聞いてくれ、不動にはれっきとしたアリバイがあるんだ」

「なっ…じょ、冗談だろうっ!?」

「冗談じゃないさ。雅、そうだろう?」

「え? わたし?」

「昨日の晩、お前は不動に会っていたな? 食堂で」

「あっ。うん。そうだよ!
 まーくんと食堂で会って、送ってもらったんだ」

「送ったァ? 寝言を言うんじゃねぇッ。
 俺様が帰ろうとしたところで勝手にてめぇがついて来ただけだろうっ」

「えー。でも部屋の近くまで一緒だったよ!?」

「それはてめぇの部屋が隣だっただけだろうがっ!!
 いい加減、勘違いさせるようなことを言うんじゃねぇッ!!」

「うん、ツンデレ乙」

「辰美ちゃん、それ何?」

「あいつ怖いからこれが終わったらこっそり教えてやるよ」

「……とにかく不動は雅に見られている以上、毒を入れるタイミングはなかったはずだ」

「当たり前だッ。そもそも、俺様が毒を入れたところでネカマが死ぬわけねぇだろ」

「どういうことですの?」

「…おいポリ公、答えてやれ。同じことを何度も説明するは面倒だ」


 不動が例え毒を入れたとしても、殺人が起きない理由。
それは……不動が言っていたあれのことだな。


「毒を長時間、空気にさらすと効力がなくなることだな?」

「はっ。そうだよ。俺様が食堂を出たのは午後10時。
 事件が起きたのが今日の0時だ。その頃にはとっくに毒なんざ消えている」

「け、けど嘘をついてるかもしれないぞ!! 空気に晒すと毒が消えるなんてっ」

「いえいえ。それはボクが保証しましょう」
 ボクが配った毒は空気に触れると段々毒の力が弱くなるものなのです。不動くんはさすがだねぇ。
 短時間で同定するものまで作っちゃうんだから」

「“どうてい”……ねぇ?」

「なっ、なんだ笹川辰美」

「いや、なんでもないって」

「え〜と……薬がそれだって分かるやつだよね〜。試験薬みたいなの」

「そう…か。それで……不動は……毒があると……分かったんだな?」

「今頃気づいたのか。そうだ、俺様は毒を検知する試薬を調合したんだ。
 そして、読み通り湯呑から毒が検出された」

「湯呑? それって花月がいつも使っていた、あれのことか?」

「え…? ……じゃあ犯人って、菊?」

「……え?」

「だってほら、菊がお茶用意しただろ。
 石蕗は本当に出しただけだから毒入れる隙なんてなかったし」

「お、おいおいマジかよっ」

「灯台下暗し、とはこのことですわね」

「ち……ちが……」

「東雲菊!!どういうことだっ!!
 お前と花月京は幼なじみじゃなかったのか!?」

「幼なじみだからこそかもしれないわよ。
 いつも花月があの湯呑を使用してたことも、ジュースよりもお茶を飲むことを知っていたのなら、
 飲んだんじゃないかしら。全部わたしの予想だけど」

「っ……がう」

「みんな待てっ!」


 皆から責められ、東雲が大きくふらつく。
それから、数秒も経たない内に彼女は膝をつき自らを抱え込むように丸くなった。
おれが間に入って止めようにも、議論は止まらない。


「あらあら、認めましたわよ。」

「本当に……東雲さんが?」

「そんなっ。嘘だよね菊っぴ。嘘だって言ってよ!!」

「はぁっ……はぁっ……。………だ…め…かぐ……っ」

「東雲っ!?」


 過呼吸を起こした東雲がその場に倒れこむ寸前、おれはとっさに腕を出して抱きかかえる。
目を閉じた東雲はおれの腕の中でぐったりと身を寄せていた。
元から弱っていた上に皆から追い討ちをかけられたことで更に弱ってしまったのだろう。


「はぁ……はぁ……」

「議論を一時中断するべきだ。
 このままでは、東雲がもたない……っ!?」


 彼女の思わしくない容体に、議論の中止を持ちかけた、そのときだった。
 東雲の過呼吸が急にとまり、彼女の黒い眼が開かれる。
そして、彼女はおれを押しのけて自らあっさり立ち上がると、口の端をにやりとあげた。


「妾がやったと申すのかえ?」


 想像だにしなかった東雲の唐突過ぎる変化に、一同が固まる。
それから、笹川の悲鳴があがった。


「わー!? なんか菊がおかしくなってんぞ!?」

「どうした…東雲?」

「東雲? ああ、妾のことか?」

「妾……? 一体何を言っているんだ!? 東雲菊!?」

「妾は東雲菊ではない。妾の名は神楽(かぐら)。東雲菊のもう一人の人格じゃ」


 もう一人の人格……? 何を言っているんだ……。
おれだけでなく、皆も同じように口々に呟いている。
そんなおれたちの困惑を汲んだのか、モノクマは説明を始めた。


「説明しましょうっ。東雲さんはあんまりにも厳しすぎる稽古によって自分で別の人格を作ってしまったのです。
 そうして生まれたのが“超高校級のくの一”通称、神楽さんなのですっ!!」

「”超高校級の……くの一”?」


 ”超高校級のくの一”。
 確かデータベースに載っていた女の忍者のことだ。
影の暗殺者として名高く、何人ものボディーガードがついても夜の闇に紛れて襲いかかりターゲットを殺害するという。
無論、その性質上、彼女の姿を見たものはいない。

 おれが知っていたのはその情報と、学園内にいるということだけだ。
名前もましてやどの学年すら不詳だったため…気にしないでいたが。
同学年の生徒の二重人格の片側だとはだれが想像できただろう。

Re: originalダンガンロンパ (非)日常編開始 ( No.75 )
日時: 2013/08/14 09:01
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html

 周囲の人間の驚愕っぷりを気にせず、東雲……いや、神楽は鼻で笑ってみせると、苛立ちを込めて言った。


「ふん。妾と勝手に決めつけおって……。
 妾がやってないと言ったらやっていないのじゃっ。
 そもそもそんな毒殺なんぞ手間暇かかることをするくらいなら、これで殺ったほうが早いわ」


 どこから取り出したのか、神楽は瞬時に苦無(くない)を両手に合わせて六本取り出してみせる。
それに再び笹川が叫んだ。


「おいいいいいいいいい、凶器取り出してんじゃねぇよっ!!」

「そ、それで殺るとはどういう意味だっ!?」

「もちろん、菊と妾の人格を入れ替えて闇討ちするに決まっておろう? そっちの方が証拠も残らぬ」

「さりげなくえげつないこと言ってるぞ菊ちゃ……神楽ちゃんっ!!」

「呆れましたわ。そんなことで疑いが晴れると思っていますの?」


 北条が負けずと言い返すが、その声には焦りと戸惑いが混じっている。
どうやら、神楽の登場に皆、混乱しているようだ。
今なら…彼女の無実を訴えられるかもしれない。
おれは息を整えると、できる限り大きな声で言った。


「いや、東雲は犯人じゃない」

「え〜、どういうこと〜?」

「不動、お前は言っていたな。急須と茶葉からは毒は出なかったと」

「ああ。言ったさ」

「それってつまり……」

「東雲が毒をいれた可能性はない。運んだときにいれるとしても、
 そのときの方が明らかに誰かに見られる可能性が高いからな」

「そち、よくぞ申した。ほれ、妾の言った通りじゃろう?
 妾は京を殺してはおらぬ」

「じゃ、じゃあ一体だれがあのガキんちょを殺したって言うんだよ!?」

「あのさ〜、ちょっといい〜?」

「どうしたの、数学者さん?」

「犯人が毒を使ったんなら、みんなで毒を持ってくればいいんじゃないかな〜?」

「お、それはナイスアイディア。
 だったら毒を使った奴が犯人になるんだもんな」

「ご、ごめん…それは」

「なんだ雅歌音。まさか、持ってこれないとでも言うのか!?」

「う、うん。トイレに行った時に落としちゃったから……」

「はぁ? ふざけてんのか、マヌケ?」

「だ、だだだだってぇっ。
 まさかそんな物だと思ってなかったんだもんっ。ごめんなさいってば!」

「それで通じると思ってますの? あなたが犯人じゃないと」

「本当だってばっ。りんりん、信じて、お願いっ」

「勝手にヘンテコな名前を付ける貴方を信じろと? 冗談にもほどがありますわ」

「雅が嘘をつくわけないだろうっ!」

「ま、まゆゆん……」

「わたしは雅のことを信じるっ。雅が嘘をつける訳がないっ」

「わたしも。歌音ちゃんが嘘を言うとは思えないし」

「では、だれが犯人だというのです?」

「逆にこういうこともできる。だれかが“雅の毒”を使って犯行をしたと」

「な……」


 おれの意見に皆が一斉に口をつぐむ。
毒の有無では判断できないと同時に、この観点から見れば、大半のメンバーが犯行を可能であるからだ。


「確かに、有り得るけど……本当に雅が落としたとして、本当にだれかがそれを拾ったのかしら?」

「念のため、おれが確認した。何もなかったから、だれかが拾ったことは間違いないと思う」

「……は? ちょいちょい待ったぁ!!
 お兄さん、あんた女子トイレに入ったって言うのかい!?」

「……ああ」

「あら、いいじゃない。速水がおかしなことをする訳でもないし。
 だれかを覗いたとかそんなことしてないんでしょう?」

「もちろんだ。そんなことはしていない」

「変態という名の紳士ってのはむしろお前だろ」

「なっ。そんな訳ないじゃないか辰美ちゃん。
 ただボクとしては調査のために入るとしてもどうかと思ってさ」

「私たちがいいと言っているのです。速水様だけ特別に許可しますわ」

「……すまない」

「それで、刹那くんは歌音ちゃんのもの、結局見つけられなかったんだよね?」

「ああ。つまり、他の誰か、いや犯人が持っていったんだ。自分に疑いがかからないようにな」

「なるほど。
 自分の毒を使った形跡がなかったとすれば、犯人だとは思われないからなっ」

「それでは…だれが犯人なんですか?
 その言い方ですと、速水さん、安積さん、不動さん、東雲さん以外はだれでも可能みたいですが……」

「む、なんでそやつらは否定できるのかえ?」

「刹那くんと闘真くんはみんなを呼びにいってくれたから、食堂にいなかったし、
 不動くんは食堂に来ていないから、毒をいれることができないんだよ。神楽ちゃんもそうだね」

「なるほどのぅ。そなたは良い娘(こ)じゃな」

「え…そうかな?」

「うふふ。話はそこまでにして、速水の意見を聞いてみたらどう?
 彼なら犯人に近づく方法を知っているんじゃないかしら?」


 不動でもない。東雲でもない。毒の有無でも判断がつかない。
だとすれば、一体だれが犯人なのか。
 おれはそのことを知っている。
しかし、今ここで犯人の名前を指名したとしても、納得ができないだろう。

 大多数の人間がそれに納得すること。
単に犯人が分かってもそれに皆が納得しなければ、正しい犯人に投票することは不可能だ。

 おれは間を少し置いた後、もう一度慣れない大声を張り上げた。


「みんな、聞いてくれ。だれができるかについて考えず、
 犯人がどうやって毒を仕込ませたのか、それを考えるべきだと思う」

「よしっ。では、そのことについてみんなで話し合おうっ。
 だれか、その方法について意見を述べてくれっ!」


 安積の後押しで皆が顔をあげる。
数名は未だに、東雲が犯人でないことに納得がいかない様子だったが、頷いてくれた。

 ここからが、本番だ。
おれは玉座の上で笑うモノクマを睨みつけると、再び議論の嵐へ身を投じていった。


「ん〜やっぱり犯人は[急須]とかに仕掛けたんじゃないかな〜?」

「実は毒殺じゃなかったりして?」

「アホかマヌケ。どう考えても毒殺だろう。無くした分際でうぜえんだよッ!」

「あううう、ごめんなさいってば〜っ!」

「もしかして、僕が触る以前から[湯呑]に毒が含まれていたんでしょうか?」

「……[布巾]、か?」

「あ〜、もう分かんねぇよっ!! [どこにも毒なんか含まれてなかった]んじゃないか!?」

「大山、お前の考えに賛成だ」


 おれは大山の意見に賛同し、皆に説明を始める。


「毒は布巾に含まれていたんだ」

「布巾?」

「犯人は食器を拭くための布巾に毒を仕込ませたんだ。
 グラスを拭いた、濡れた布巾にな」


 そうして、ポケットの中からハンカチを取り出した後、犯人が恐らくやったと思われる行動を実演してみせた。


「まず毒の瓶をポケットにしまっておき、ある程度グラスを普通に拭く。
 そして、グラスを入れたまま、米倉が湯呑を洗っているのを見計らって、瓶を布巾の中に忍ばせて毒をしみこませたんだ。
 その後、毒をポケットに入れ直し、湯呑を毒のついた布巾で拭いて東雲に渡した。
 これなら、急須からも茶からも毒は出ず、湯呑だけに毒が検出されることになる」

「それができるのは……一人だ」

「だ、だれだよ犯人はっ」

「速水刹那、それは本当か!? 花月京を殺したのはだれなんだ!?」

「それは………」


おれは一度大きく深呼吸をし、犯人を見据える。


「あんただ……笹川」

Re: originalダンガンロンパ (非)日常編開始 ( No.76 )
日時: 2013/08/14 09:17
名前: 魔女の騎士 (ID: lMEh9zaw)
プロフ: http://akanohadou.web.fc2.com/oridann-character.html

 一瞬の沈黙。
そして数秒後、雷が落ちたように裁判所は騒然となった。


「ええええええええええええええーっ!?!?!?
 タッツーがキョンキョンを殺したの!?」

「おいおい、何かの悪い冗談はやめてくれよ。
 どうしておれが京を殺さなきゃいけないんだ?」

「それはおれにも分からない。だが、花月を殺したのはあんただと間違いなく言える」

「ちっ。随分な言いようじゃないか。それ以上は冗談で済まないぞ」

「そうだぞ、速水刹那っ。
 笹川辰美がどうして殺したと断定できるんだ!! 説明しろっ」

「笹川が怪しいと思ったのは、事件直後だ」

「事件…直後?」

「笹川は入口付近で言ったな。死んだのは京?と」

「それがどうかしたのか?」

「初日にアヤメが言っていたことを思い出して欲しい。

 食堂に入ってきたおれと安積のことを花月と御剣だと思ったといったな」

「ええ、確かにそう言ったわ。…ああ、分かったわ。
 速水の言いたいことが」

「それってなに〜?」

「視界が悪いのよ。厨房から入口までは結構な距離だし、そうなるとなかなか誰が誰かよく分からないの。なのに笹川は……」

「ああ。厨房側に倒れていた花月を一発で当てた。
 明らかにゲームで視力が衰えているというのにな」

「なっ。それだけで犯人だって決めつけんのか!?」

「そんなことがあるはずがないっ!!」

「闘真…?」

「速水刹那! 犯人がここに、ましてや彼女が犯人なはずがないっ!  犯人はモノクマのやつだっ!! 違うのか!?」

「およ?」

「安積……」

「笹川辰美は確かに粗相は悪いかもしれない。
 だからって犯人と決めつけるだなんておかしいじゃないかっ!!」

「………」


 安積が言いたいことは分かる。
おれも、本当はこんなこと言いたくない。だが、言わなければおれたち全員が殺されてしまう。


「あるんだ、安積。他にも笹川が犯人だと思われる所は」

「なっ…そ、それはなんだ!?」

「間宮、言っていたな。ランドリーには雑巾と“布巾が一枚”しかなかったと」

「え…うん、そうだよ〜」

「それがどう関係するというんだ!?」

「石蕗が言っていたんだ。この食堂には食器用と調理器具を拭くための二種類の布巾がある。

 そして当日、笹川はそれぞれの布巾を使っていたんだ。米倉、間違いないな?」

「う、うん。衛生的によくないから、二つの布巾を別々に使っていたよ」

「なら、ランドリーにどうして一枚しか布巾がないんだ?」

「!!」

「ここからはおれの推測だが、おそらく、犯人は間違えたんだ。
 毒の布巾を処理したのをカモフラージュするために、本来ならもうひと組ある方の布巾を使うはずだった。
 だが、犯人は慌てていたのか、食器を拭くための布巾と台拭きを間違えていた。
 そして犯人は毒のついた布巾をトイレで処理し、残りの布巾をランドリーで洗濯し始めたんだ。
 一方が台ふきであることに気づかずに……な。」

「それで……なんだって言うんだ!!」

「闘真っ」

「認めない。僕はこんなこと……認めないっ。僕たちの中で犯人がいるだと!?
 そんなこと、ありえないんだ!! 絶対にっ!!」

「安積……!!」


安積が引き下がる様子はない。
むしろ、笹川が犯人でないと、躍起になって反論してくる。

やるしか……ないのかっ!!


【トークバトル開始】

「嘘をつくなっ!!」
「嘘じゃないっ」

「僕たちの中に犯人がいるわけないっ!」
「いるんだっ、安積。」

「【証拠は何もない】じゃないか!!」
「いや……あるさ!!」


— 成 功 —


「証拠はトイレに流した毒入の布巾だ」

「でも……それは……流されて……いるんじゃ?」

「ああ……それは」

「安心しろ。それは俺様が保証してやる」



 おれが取りに行くことを述べようとした途端、不動が青い試験管を掲げてみせた。
毒を検出するための、あの液体だ。
急須と茶葉を検査していたときと違い、その色は青く色づいている。


「一階のとあるトイレの水に毒の試験薬を入れたら、微量だが反応があった。
 トイレによくある物質でこの薬で同定できる物質はない。毒なんてそうそうあるもんじゃねえからな」

「…ありがとう。
 笹川、もしお前が犯人でないというのなら教えてくれ。どうしてランドリーに洗濯されている布巾が一枚だけだったのか。
 どうしてお前の行ったと思われるトイレから毒の反応が出ているのか、教えてくれないか?」

「……」

「笹川辰美!! なぜ答えない!! 言い返せばいいじゃないかっ!! 
 おれはやってないと…そうだろ!? 言ってくれ!!」

「安積、もう………」

「嘘だ、嘘だっ! こんな…こと、認めない。僕は、認めないぞ……っ!!」

「……なら、おれが引導を渡そう」


 おれはひと呼吸おき、全員を見渡す。
それから、おれは事件の全貌を語った。


First.Action
「犯人は昨日の夜。雅が落とした毒の瓶を見つけたんだ。
 そして事件に備えるためにそれを拾った。
 いざというとき、自分が犯人でない証拠にするために。」


Second. Action
「当日の朝、犯人は食堂に来て花月の湯呑に目をつけた。
 湯呑で茶を飲むのは花月のみ、だから狙いをつけやすかったんだ。
 犯人は布巾にあらかじめ用意していた毒を染み込ませ、湯呑を拭くフリをして毒を塗ったんだ。」


Third. Action
「花月が恐らく茶を飲む前、犯人はトイレに向かった。
 毒のついた布巾を流して、証拠を隠滅させるためだ。
 その後、工作としてランドリーに向かったが、犯人は自分のミスに気付かなかった。
 同じ食器を拭くための布巾ではなく、台拭きをランドリーにかけていたんだ。
 その両者が致命的な証拠になると気づかないままな。
 そして、花月は知らぬうちに茶に含まれた毒を飲んで死んでしまった」

「そうだろう……笹川辰美!」


「笹川、これがおれの推理だ。間違えているのなら、はっきりと言ってくれ」

「笹川辰美!!」

「辰美ちゃん……っ」

「………。ひでえよなぁ、刹那も。そんなの言えるわけないって、分かってんだろ」

「…っ。そんな、なぜだ!! なぜなんだっ!!!」

「嘘…タッツー、どうして?」

「おいモノクマ。始めようぜ、投票タイムってやつをさ」

「うぷぷぷ…。議論の結論が出たみたいですね。ではそろそろ投票タイムといきましょうか!
 オマエラ、お手元のスイッチで投票してください!
 あ、念のために言っておくけど、必ず、誰かに投票するようにしてくださいねっ!
 こんなつまらない事で、罰を受けたくないでしょ?」

「っ!!」

「闘真、ちゃんと入れろよ」

「どうして、どうして君が……っ!!」

「さあ、張り切っていきますよーッ!! 投票の結果クロとなるのはだれか!?
 その答えは正解か不正解か——!? どっちだ————!?!?」



 VOTE‐投票という意味の単語が載った看板のついたスロットが回る。
スロットにはおれたちの部屋のドット絵と同じ絵が回っていた。
絵柄が時間を追うごとに一列ずつ止まる。
その絵柄は彼女の……笹川辰美の絵柄で全て止まった。
『Amaizing!』という表示がされ、ファンファーレが鳴り響き、紙吹雪が裁判所に舞い落ちる。

こうして、おれたちの初めての学級裁判は幕を閉じた。



‐学級裁判閉廷


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