二次創作小説(紙ほか)

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ポケモン二次創作 裏の陰謀
日時: 2022/05/11 16:17
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 7hcYnd26)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12800

ここはは地球。
この星の不思議な不思議な生き物、ポケットモンスター
ちぢめて「ポケモン」
彼らは、海に大地に空に森に、至るところに生息している。

そんな世界にあるイッシュ地方。
そこのヒウオギシティにすんでいる、少女「レイナ」。
その隣に住んでいる少年「ヒュウ」。
トウチグループの息子「マオ」
その妹「トモバ」
これは、レイナ、ヒュウ、マオ、トモバ達と、ポケモン達の物語である。

注意
これはポケモン二次創作です。
原作とはなんの関係もございません。
誤字脱字、説明不足でよく分からない、質問などがあれば『ポケモン二次創作裏の陰謀 について』にてお願いします
微グロ注意

では、不思議なポケモン達の世界へどうぞっ!



 【目次】
「登場人物紹介」

ホドモエシティ時点の紹介 >>86

「イッシュ編~」

プロローグ >>1-8
第一章 レイナ 〜旅に出る〜  >>10-21

第二章 ヒュウ 
〜ジム戦と成し遂げないといけないこと〜 >>24-28

第三章 トモバ 〜逃げる責任感〜 >>29-34

第四章 マオ  ~目的~ >>35-42

第五章 レイナ ~信じる~ >>43-51

第5.5章 レイナ ~進歩~ >>52

第六章 ヒュウ 〜強さ〜 >>57-73

6.6章 ヒュウ 〜俺のち俺〜 >>74

第七章 トモバ 〜私〜 >>75-90

第八章 マオ  〜PWT〜 >>92-102

第九章 レイナ 〜過去と仲間と霊 麗菜〜 >>104-111

第十章 ヒュウ ~海だ!春だ!夏じゃねぇのかよッ!〜
>>112-

ーーーーーーーーーー
【短編集】
イッシュ編
マオとレイナのバレンタインデー >>96

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.111 )
日時: 2022/05/10 15:48
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ET0e/DSO)

《セブン》

いつだっただろうか。幼い頃でよく覚えていない。いや、あれだけはハッキリと覚えている。

「ごめんね。セブン。エイト。」

その言葉だけがいつも俺の中で木霊している。母のいつもの温もりのある声出なく、冷たく、何もかもに絶望した声。

「義姉さん!待って!まっ……」

叔父の声が響いた瞬間。母は崖から落ちていた。見なければ言いものの、俺は母を追いかけるかのように崖に吸い込まれた。

「母さん!待って…母さ…ん……」

飛び降りようとした時、叔父が俺の手を掴んで止めた。その時、俺は見てしまったのだ。崖の下で頭が潰れ、上半身が肉片になって逆さまに立っている母の姿が。
見なければ良かった。その光景がいつまでも残っていて仕方がない。そして、母の自殺を止めなかった叔父を憎むと共に、何も出来なかった自分を恨んだ。そこからだった。強くなるためにポケモンバトルに打ち込んだのは。3値を調べ、ドーピングを覚え、相棒のシェルダーに無理をさせた。
そして、強くなるため各地方を転々とする今に至る。

俺が思い出しているのは、バトルに打ち込んでいた最中。小学二年生、8歳の頃である。
俺はカントー地方出身でいつもの森の奥の草原にバトルの練習をしに行った。人なんて滅多に来ない場所のはずだったのだが、その日だけは誰かがいた。
俺より3歳ほど年下で、幼女らしいあどけなさがある顔立ち。黒髪をポニーテールにし、赤いリボンで結んでいた。そしてその目は黒く、どこまでも濁っていてハイライトも何も無い。
俺はこの目を見たことがあった。母の、何もかもに絶望し、どうにでも良くなった。あの瞳である。
顔立ちも身長も雰囲気も母さんと似ていない。しかし、俺は話しかけたくなった。あの時の、絶望した母と同じ目をした幼い子のことを知りたくなった。そして救いたかった。これはただの自己満足だとは分かっていた。でも、どうしても聞きたかった。

「なんで、死んじゃったの…?」

その時、俺はらしくもなくエイトと似たような幼稚な言葉でその少女に話しかけていた。

「は?」

その少女は母さんのように華奢で華麗な声だったが、言葉はどす黒く汚かった。その瞬間。俺は現実に引き戻された。こいつは母じゃない。身寄りのないガキだ。
しかし、これといった言い訳が浮かぶわけでもなく、そのガキを見つめてしまった。それが、睨みつけてしまう形になった。

「……用が無いなら話しかけないで。」

「イブイッ」

ガキは冷たい言葉を放つとイーブイと共に森の奥へと消えていった。なんだ、あいつは。感じが悪いヤツ。普通の俺ならそれで終わっていただろう。しかし、その少女の目が、黒く淀んだその目が忘れられなかった。

「……なんでついてくんの。」

少女は静かにそう言った。が、しかし、その言葉には棘があり、不快感を全面に押し出したような言葉であった。俺自身。こんな少女について行くなんて不本意だ。しかし、母さんと同じ目をしてるこの少女を、放っておけなかった。

「……何でもいいだろ。」

「鬱陶しい。」

少女はそう吐き捨てた。目は母と同じだが、性格は真反対のようだ。母のように優しくもなければ丸くもない。生意気だ。心配と同時に、苛立ちを覚えた。

「…お前。俺とポケモン勝負しろ。」

その頃の俺は若かった。若すぎた。一時の感情に任せそう吐き捨てた。こんな言い方で乗る奴はしっぽ巻いて逃げるか、無視するだけだ。しかし、少女は違った。

「へぇ。」

そう言い、少女は黙ってイーブイを前へ出した。受けて立つということだろう。俺もモンスターボールからシェルダーを繰り出した。俺のシェルダーは進化はしていないが進化の奇跡持ちのASぶっぱである。イーブイは種族値が低い。そのため楽に勝てるであろう。

「イーブイ。」

少女が一言。さっきよりも澄んだ声で言った。イーブイはタンッと前に出るといつの間にかシェルダーの後ろに居た。そして、アイアンテールでシェルダーをぶっとばした。

「はっ…?!」

シェルダーは木にぶつかりそのまま瀕死になっていた。シェルダーは防御が高いポケモンだぞ?!なぜ、一撃で…瀕死に?

「つまんない。イーブイ。」

そう言うと少女はイーブイを肩に戻して森の奥へと歩いていった。その先は…母さんが死んだ崖だ。そして、母のような淀んだ、くすんだ目をしていた。
俺は嫌な予感がした。必死で追いかけた。パルシェンをボールに戻して。1つ足を前に出すと枝が足に刺さる。それでも、母の事がフラッシュバックして、ひたすらに前へ走った。

「ワタシは…?………ごメンなサイ…もう、ツカれた…ユルシテ……」

そうブツブツと廃人のように少女は呟いた。俺はその時。その少女が大きく感じた。少女…いや、彼女は俺よりも幼い上に弱そうである。しかし、彼女は母のように大きい人物に感じた。俺は、助けたい。母のような人をもう二度と見たくない。そんな俺らしくもない綺麗事だけで、俺は彼女の手を取った。崖の1歩手前だった。手を取った瞬間、俺は投げ出された。何が起こったのか分からない。彼女はちょっとした事で折れそうな華奢で細い腕でだったのに。そこからは測りしてないほどの力があった。
俺は1mほどぶっ飛ばされ、弧を描き、木にぶつかる。木は思ったよりも固く、「かはっ」と声を上げてしまった。
それでも諦めない。でないと、母が死んだ後に恨んだ自分。あれはなんだったんだと疑問に思ってしまう。だから、1人でも多く救うために、俺は、崖から身を乗り出すように……






手を伸ばした。










ーーーーーーーーーー

「……アンタ。何やってるの?」

その声は数年ぶりに聞いた、どす黒く不快感が全面に出ている声だった。いつからだろう。人の声をまともに聞いていないのは。いつからだろう。ぶっきらぼうで、人の意見なんて聞かなくて、誰も近づかせない性格になったのは。

「俺は。何してるんだろうな。」

俺はらしくもなくカラカラと笑った。ストレンジャーハウスにこんな大きい崖があるなんて聞いていない。そんなアホらしいことを考えながら右手はレイナの手を掴み、もう片方は崖を掴んでいた。俺がこの手を話したら、俺とレイナの命は無い。

「離して。」

レイナはそう言った。無理な話だ。母と同じ目をした人物を。母のように自殺しようとする人物を死なせたくなんてない。生きて欲しい。世の中にはもっと輝くものがあるということを。生きて欲しい。この世に救いというものがあるということを。

「昔にも、こんなことあったよな。」

「意味がわからない。」

俺がそう言うと、レイナは冷たく発した。どうやら、俺がカントーにいた時、レイナと会ったのは覚えていないようだ。それほどレイナには興味無い事だったのだろうか。

「だから旅に出るなと言ったんだ。」

「……」

レイナは黙った。俺が偶然厳選をしていた時にであったレイナ。彼女は昔と変わりなく瞳が濁っており、世の中の全てに絶望したような目をしており、あの時より変わっていなかった。いや、少しは改善されてたかもしれない。そうでなければ旅に出ようなんて思わない。けれど、旅は危険だ。絶望することが多くある。ポケモンハンターのようにクズが沢山いる。これ以上世の中に絶望して欲しくない。
だから強引ながらもポケモンバトルを仕掛けた。レイナは、弱くなっていた。俺も強くなっていたが、強くなったからこそ、こいつは弱くなっていることが分かった。それは何故?それは人を傷つけることを極端に嫌っていたからだ。だからこそ、余計に旅に出したくなかった。なのに、ムスカリーが邪魔をした。
それでも死なせたくなくて、レイナを旅しながら必死に探した。すると運良く旅メンバーに加わることが出来たのだ。しかし、アララギとか言うやつが、俺達にイッシュの命運がかかったことを投げかけてくるではないか。レイナにそれは荷が重い。だから、旅を抜けて、その後レイナも抜けさせるつもりであった。レイナの事だろう。俺が抜けたらバカバカしくなって抜けるだろうと思っていた。なのに、あいつは目を輝かせた。
意味がわからなかった。そう思い、悩んでいたら、謎の青年に声をかけられ、「レイナが死ぬ」と伝えられ、必死で探したんだ。

「旅に出て余計絶望しただろう。人は俺らが思ってるより綺麗じゃない。失望しただろ?」

俺はもうダイレクトに言うことにした。これで、大人しくなったら良いんだが……

「人がクズ?綺麗じゃない?」

レイナは俺を嘲笑うかのように俺に言った。なんだ。何が文句なんてあるのか。

「そんなの、とうの昔から……諦めてるよ。」

そう言うとレイナは強引に俺から手を離した。そして、頭から落ちていった。
あ…あぁ……救えなかった。救えな……かっ…た?
2人も救えなかった。あの濁った瞳を救えなかった。大切な人を救えなかった。大切な…人?レイナは大切な人か?

ーーーーーーーーーー

「…なんで助けるような真似をしたの。」

彼女を崖から救った後、反吐を吐き出すようにそう言われた。しかし、その声は少し希望を抱いたように見える。

「…お前みたいな目のやつを救いたいから」

「さっきまで冷酷だったのに、綺麗事を吐くなんてね。」

その時。俺は本気で頭に来た。救ってやったというのになんて態度だこの生意気な小娘。

「まあ、世の中にはそう言う綺麗事も必要なのかもね。」

彼女が呟く。俺はこの難儀な性格のせいで周りに嫌われまくっていた。綺麗事をはなから潰していくような性格だ。そんな俺が綺麗事を吐くなんて笑えるだろ。哀れだろ。笑うなら笑え。そんなことを思っていたのに…






「…ありがとうね。」







その時だけ彼女が救われたような顔をした。その顔は恐ろしいほど綺麗で、可憐で美しかった。長いまつ毛をたなびかせながら綺麗に並べられたパーツを少しづつ動かし、それが余計に可憐に感じた。そして、俺自身も少しだが救われた気がした。母を助けられなかった事実は拭えない。しかし、この時だけ、救われた気がして、この少女だけは何としてでも救いたいと思ってしまった。

ーーーーーーーーーー

レイナは、大切な人だ。本当に言葉にすると胸糞悪いが、俺を少しでも救ってくれた人が、死ぬなんて耐えられなかった。もう、なんで俺は生きてるんだろう。

「おい!セブン!セブン!」

すると、崖の上から何かに掴まれた。聞きなれた声。カシワだ。こいつは気に入らない。性格も顔も能力もオールカンストしており、何もしなくても皆の人気者だ。

「何やってるんだセブン!レイナ…は?!」

ムスカリーが途中から察したように声を小さくする。カシワは俺を引き上げた後、顔を青くして脱力した。

「レ、レイナ…?レイナ……レイナ!」

カシワが崖の下に向かって叫んだ。叫び声は綺麗な声ではなく、声が掠れ、割れていてとても「人気者」が発する言葉ではなかった。
ムスカリーは後ろを見る。なんでここで後ろを向いた?レイナが死んだ事実から目を背けたくなったのか?いや、違う。
ムスカリーの目線の先には…俺に助言をしたあの白髪の青年がいた。その脇にはレイナを抱えて。

「レイ…ナ?」

カシワはかすれた声を必死に吐き出した。俺も、ただ、呆然としていた。確かにレイナは落ちたはずだ。なのに、なぜここに居るのだ?

「なんで…レイナが?」

俺はらしくもないひょろひょろとした声を出してしまった。

「コイツが崖から落ちてたから俺が空中でキャッチして、戻ってきた。」

青年はそう言った。人がなせる技じゃない…ポケモンを使ったか?いや、さっき「俺が」と言っていた。この、見るからに人間が空中でレイナをキャッチしたというのか?

「それよりさ、君。」

ムスカリーが何か深刻な顔をして青年に向き合う。なぜそんな顔をしてるのだろう。俺とカシワは疑問に思った。

「…どうやらバレちまった見たいだな。」

青年は苦笑いをする。その様子は絵に書いたような顔で夜中なのに美しく見えた。紫がかった白髪が綺麗にたなびく。

「俺はお前らの言うトゥエルブスだ。まあ、今は非番だからお前らに攻撃も何もしない。」

トゥエルブス…?!そうは全く見えない。あの禍々しい雰囲気は何も無く、ただの美少年に見えた。

「…あ…れ、」

すると気を失っていたらしいレイナが目を覚ました。

「ド…ク…?!」

レイナはそう驚いたように呟いた。トゥエルブスは苦笑して、レイナを立たせる。

「こうなるからお前を気絶させてたのに」

トゥエルブスはそう言ってレイナの頭を撫でる。ムスカリーは危険と感じたのかレイナを俺らの元に移動させる。トゥエルブスは苦笑しながら俺らから離れた。

「トゥエルブス…レイナをどうするつもりだ…!」

カシワがそう叫んだ。しかし、トゥエルブスは何かしらの圧を俺らにかけていた。「こいつは人間じゃない」いや、見た目は人間なんだ。なのに本能がそう囁いた。そのため、俺らは震えていた。それしか出来なかった。

「トゥエ…ルブス…?!」

レイナが驚いたようにそういう。さっきからトゥエルブスは肩を竦めた。トゥエルブスは強い。そのためあまりにも余裕がある。しかし、俺らの後ろは崖だ。トゥエルブスのポリゴンZに破壊光線をぶっぱなされたら俺らは崖から真っ逆さまだ。

「あぁ。久しぶりだな。レイ……レイナ?」

トゥエルブスとレイナは知り合いのようだ。しかし、今まで何故気づなかったレイナは唖然としていた。

「あれから10年だよな。あの時、俺らの半分は死んだ。けどな…」

するとトゥエルブスが近づいた。なのに、俺らはなんの警戒も出来なかった。いや、しなかった。その行動はあまりにも自然だった。そして、しゃがみ、レイナと同じ目線になる。

「生き残った俺らは…2人だけだけどな。裏の世界で元気にしてる。楽しくしてる。俺…ピラミッドになったんだぜ、あそこのリーダーになったんだぜ。」

トゥエルブスは今まで無機質で俺らなんて何時でも殺せるような、命令しかこなさない野郎だと思ってたのに。恐怖の対象である。なのに、こいつ泣いてるんだ。半泣きしてるんだ。

「そう…」

レイナは興味なんて示さずただ無機質な瞳でトゥエルブスを見つめた。トゥエルブスは悲しそうな顔をする。

「……レイナだっけ、お前のお陰なんだよ。俺らは生きてるんだよ。だから…だから……生きて…くれよ……」

トゥエルブスは1粒涙を流す。今初めてトゥエルブスの人間味がある様子を見た。それに、その言葉はレイナだけに言ってるように思えなかった。こと言って俺らに言ってるようでもなかった。








「なんで…皆狂っちまうんだよ……」






その瞬間。俺は分かった。分かってしまった。レイナは世の中に絶望してる、呆れていると思っていた。だって、そんな瞳をしていたんだ。母のように。事実多分母は世の中に絶望したんだと思う。それで、死んだ。しかし、レイナの無機質なビー玉のような目は。全てを諦めていた。全てを悟っていた。全て…全て。
もう、狂ってたんだな。

「……すまない。取り乱した。」

そう言うとトゥエルブスは立って俺らから距離をはなす。そして、どこからともなく取り出したいつもの薄黄色のフードコードを着る。

「次会った時は残念ながら敵っす。容赦はしないっすから。」

そう言って、特大ジャンプをして、崖奥の木々を伝って去っていった。それは人間のなせる技出なかった。〜っすはキャラ付けのようだった。

「レイナ。無事か?!」

カシワがレイナの両肩を揺さぶる。レイナはハッとするとちゃんと焦点合わして俺らを見つめる。レイナは口を一の字に結ぶと…

「少し…無様に足掻いて生きてみるのも…良いのかもね。」

その言葉は「大丈夫」「心配しないで」でなく、胸の中で溢れた気持ちを吐き出した。トゥエルブスとレイナの関係は分からない。

「…レイナ。もう死ぬなよ。」

俺は無理なことを言った。レイナは俺の事を見上げてバカにしたような顔で

「あんた本当にセブン?」

と言った。本当にカチンときたが、その怒りは直ぐに鎮まった。あんなことがあった後だ。怒りがオーバーヒートするわけが無い。それにいつものようにレイナは俺の事をバカにしてきた。いつものように。

「……お前こそ、自殺だなんて本当にレイナかよ」

俺はそう小馬鹿にしてやったレイナは瞳を閉じて俺らの1歩手前に立った。

「迷惑かけたわ。もうしない」

そう、ぶっきらぼうに言う。俺らは嬉しさと恥ずかしさからお互い目を合わせてしまった。

「次の町はソリュウシティだな!」

そうカシワは明るく言う。

「その前にサザナミタウンだけどね」

レイナはいつもの調子を取り戻す。

「海があるよな。」

俺はそう呟いた。サザナミタウンはその名の通り海がある。海の中に遺跡もあるし、観光地でもある。楽しそうじゃないか。

「お前…抜けるんじゃ無かったのかよ。」

カシワは苦い顔をすると俺は涼しい顔をした。

「いいじゃないか。皆また揃ったんだし!」

ムスカリーがそう言った。確かに皆揃った。いや、今初めて4人揃ったのかもしれない。初めて4人心が揃ったように感じた。

「次の町いくか。サザナミタウン。」

俺はそう呟いた。空を見ると星が7色に綺麗に輝いて、俺の心は洗われた。
これから、こいつらと馬鹿みたいな話して、馬鹿みたいにポケモン勝負して、レイナとお互い子犬のように噛みつき合って。

そんな旅も悪くない。
そして、プラズマ団の企みも暴いてぶっ潰すんだろうな。俺は自然と微笑みが浮かんだ。


過去と仲間と霊 麗菜 ~完~

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.112 )
日時: 2022/05/15 14:04
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ShMn62up)

第十章 ヒュウ ~海だ!春だ!夏じゃねぇのかよッ!〜

「わぁ、海だねぇ」

エイトが笑いながら手を叩きながらゆったりと笑う。俺は赤白セキシロ 陽佑ヒユウ ヒウオギシティから旅に出た駆け出しトレーナーである。そして今はエイトとツバキと旅に出ている。

「心地がいいな。」

俺は潮風を肌で感じながら言った。海は幼い頃数回家族としか行ったことが無いな。親無しで海に来るのは初めてだな。

「ママンボッ〜!」

するとママンボウが海で跳ねている。他にもマンタイン、ドククラゲ等が海を泳いでいる。

「あーカフェがある!海辺のカフェでゆっくりお茶…いいよねぇ」

エイトがカフェを指さして言う。行こうよとツバキが微笑みながら俺に言うが、俺は絶対嫌という顔をしてやった。

「海見れただけでも十分だろ。ほら、次の町カゴメタウンに行くぞ。」

「えぇー!ヒユウ!行こうよぉ!」

エイトが口を尖らせる。俺はいち早くバッチを集めて強くなりたいんだ。こんな所で時間を食ってる暇はない。

「あっ、レイナ」

ツバキが海を指さして言う。え、レイナも来ているのか?!俺は条件反射でキョロキョロした。

「ん"ん"……ぶはっ……!」

するとツバキが下を向いて吹き出している。その瞬間。俺はツバキにからかわれたことに気づいた。そして顔が火照るのを感じる。

「ヒユウは本当にレイナが好きだねぇ」

エイトはからかいはしないものの、俺の心を抉ってくる。コイツは幼いから悪意なく言ってるのが余計タチ悪い。

「そんなんじゃねぇよ。行くぞ。」

俺はツバキとリンドウの襟を掴んで引っ張ってく。ツバキとリンドウはなにかギャーギャー言ってるが、俺は無視する。

「痛いっ!痛いヒユウ君おしり痛いって!」

ツバキが叫んでいる。いつものやり返しと思えばスッキリするな。俺は悪い気もせずにズルズルと2人を引きずっていた。そしてブティックの前に通りかかった。その中には…レイナ、トモバ、マツリ、サツキ、シアンが居た。
なるほど、トモバが居るということはめんどくさくなるということだ。ガッツリ無視してやった。

「おーい!トモバぁ!マツリもサツキもシアンさんもいるー!」

エイトがニコニコしながら女性陣を呼ぶ。こいつ、引きずられたくないから助けを求めたのか…?いや、幼いから悪気ないな。悪気ないから余計タチ悪い……

「あっ!ヒュウじゃーん!」

トモバは持っていた商品を元に戻して店から出てくる。あぁ…見つかった。俺はある種の絶望を覚えた。

「わー!ヒユウ君だー!」

そしてマツリも続いて出てくる。俺は額に手を当てた。ツバキとリンドウはチャンスとばかりに俺から抜け出して女子陣に入り込む。

「あ、ヒユウじゃねぇか!」

するとカシワも出てきた。するとセブンとムスカリーも店から出てきた。セブンは俺と同じような嫌々な顔をしている。ムスカリーは「あはは」と苦笑いをしている。何故トモバチームとレイナチームがブティックにいるんだ…

「今から海で遊ぼうと思ってさ!ほら!ヒュウ達も水着選ぼうよ!」

トモバがそう言うと俺の手を掴んで店に連れていく。

「アホか!今春だぞ!海の季節じゃねぇっ!」

俺はそう言いながらトモバと反対方向に引っ張るが、目の前にレイナが出てきた。

「ヒュウ…もう、諦めよう。」

そう死んだ目で俺の事を見てきた。レイナはトモバの被害に俺を巻き込もうとしているようだ。そうしてレイナは俺の手をとると怪力で俺をブティックに連れていった。

「わーい!海だ海だー!」

エイトがわーいとはしゃぎながらブティックの中へ入っていった。ツバキもニコニコとして入っていった。俺は未だ嫌々な顔をする。するとセブンと目が合った。

『諦めろ』

そう言われた気がして、俺はもう諦めた。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.113 )
日時: 2022/05/14 21:12
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ShMn62up)

「……今…春だよな。」

俺は死んだ目で皆を見つめる。どうやら4チーム全員集まっていたらしく、幼馴染のマオ、同じチームのツバキと、エイト、そして他チームのセブン、ムスカリー、カシワ、シイナ、リンドウは男子水着売り場で集まっていた。

「寒いならぁ、上着買えばいいよぉ!」

リンドウが上着を持って笑う。皆は気が進まないながらも各々が水着を選び始めた。
と言っても、男の水着はパンツ一丁だ。デザインなんてそんなにない。俺は無難に紺色の水着を選んだ。

「えぇ、ヒユウそんな地味なの選ぶの~?」

ツバキが俺の後ろからひょこっと出てきた。地味って…元々選ぶデザインないだろうが。

「モテるならばこのマイクロビキニぐえっ」

俺は真顔でツバキにゲンコツを食らわせてやった。ツバキはマイクロビキニを落とした。元に戻せその水着。
そういえば女性陣は遅れそうだな。まあ、ゆっくり待つか…
ん?まて、レイナが…レイナが!

「レイナが!」

俺はそう言うと水着を着たまま急いで女性陣へと走ってしまった。その様子をみたほとんどはその様子に疑問を覚えたが特に気にする様子もなかった…が、

「え、あれ不味いんじゃない?」

シイナがその様子を見てゾッとする。それに同感したのかツバキも追いかける。

「ちょっ、追いかけよう!エイト行くよ!」

「え?!何何?!」

ツバキは何故かエイトを無理やり連れてヒユウを追いかけた。女性陣はすぐそこのため3人はすぐ追いついた。

「レイナ!大丈夫かっ……」

ヒユウは我を失い何も考えずに女性の試着室を開けてしまう。ヒユウは開けてから気づいた。
『俺変態じゃねぇか』
と。今ヒユウは水着一丁。そのまま女性の試着室を開けてしまった。完全に第三者からみたら変態である。通報案件である。
しかし、

「あれっ、どうしたの?レイナ?」

試着室の前に立っていたのはレイナで、試着していた女性陣からみたら、レイナが試着室を開けたように見えた。何故だろうか?
理由は簡単である。レイナが力づくでヒユウを女性陣から見えない死角に移動させ、自分がさも試着室を開けたかのように見せたのだ。

「…なんでもない」

そう言ってレイナは試着室のカーテンを閉めた。

…助かった…
俺は周りの目がこれから変態を見る目に変わるよりかは、レイナに力づくで移動させられて痛い目を見る方が断然良かった。

「ヒユウ!あぁ…間に合わなかったか…」

「審判もビックリするほどのセーフだよ。」

ツバキがわざとらしく俺に嘆きかけるのでそれをスパッと一刀両断にしてやった。エイトは今状況に気づいたのか青ざめた顔をする。

「ヒ…ヒユウ…女子に嫌われても…僕は味方だからね…!」

「だからセーフっつってんだろ!」

エイトはキョトンとするとツバキが笑う。それにつられてシイナも笑いだした。エイトは本気で心配してくれてたようでほっと胸を撫で下ろしている。こいつがあの、セブンの弟なんて考えられねぇな…

「で、何の用。」

レイナが俺に聞く。

「そういえばレイナはなんで着替えてないの?」

シイナがレイナのご法度に触れるようなことを言ったため、俺は睨んでやった。シイナは悪気がないのに俺に睨まれたため、「理不尽だ…」と呟いた。

「あぁ。それは…」

俺はそのレイナの口を塞いだ。レイナは抵抗しようとはせず、されるがままである。トモバの事件に巻き込まれもう諦めたようである。

「…まんへふちふはふの」

レイナはモゴモゴしながら小さい声で言う。伊達に幼馴染じゃない。言いたいことぐらいすぐ分かった。「なんで口塞ぐの」とレイナは言っている。

「立派な女性が言うものじゃない。」

俺はそう叱るように言った。レイナは不服そうな顔をしたが、俺は無視をした。エイトとシイナは疑問を浮かばせるが、ツバキはまたからかうネタを見つけたようだ。

「いいねぇ。熟年夫婦みたいだよっ。」

ツバキはケラケラと笑う。俺は顔の全体が熱くなるように感じるが、レイナは無表情であった。

「あっ、レイナ?レイナが着れる水着見つけたから着てみて!
って、4人とも?どしたの?」

トモバが試着室から顔だけを出して言う。すると俺、ツバキ、エイト、シイナがいた事に驚いていたが、俺らは特に何も言わなかった。

「…気が進まない」

「良いからっ!」

トモバはそう言って別の試着室へとレイナを連れていった。トモバは何回もレイナを着せ替え人形のように遊んでいる。そのためレイナの「アレ」も知っているのだ。

「…俺達も戻るか。」

俺が言うと皆は頷き、男性水着売り場へと戻って行った。
春に海に入りたくねぇ……
俺は心の底からそう思った。

ーーーーーーーーーーーーー
~???~

「バカンス…ねぇ」

白髪に薄い紫色の髪をした少年がそう呟いた。その後ろで、腕を組む茶髪にプラズマ団の服を着た少年。

「はい。もうすぐ計画が始まりますし。人員のケアの1つです。」

金髪に青い細長い髪が頭を1周している変な髪型に、白衣を着た人物がそう言った。白髪の人物と茶髪の人物は顔を見合した。

「…俺はともかく、何故派遣のトゥエルブスまでバカンスなんだ」

「まあ良いでしょう。楽しいですし。それに…もしあの人の計画が成功すると、しばらく海なんて見れないかもしれませんよ?」

白衣の人物が言うと、茶髪の人物は心底嫌そうな顔をするが、諦めた。

「派遣の身で休暇が貰えるなんてありがたいっす。ありがたく行かせてもらいますっす。」

トゥエルブス。そう呼ばれた白髪の人物はそう言って、早速部屋から出ていった。茶髪の人物はまだ不服そうだ。

「アラシも行ってきなさい。」

「…わーったよ。」

そうして、2人は束の間のバカンスを無理やり楽しもうとした。そうして、サザナミタウン。

「「げっ、レイ レイナ。」」

2人の声が重なった。そこには春なのに水着を着た集団の中に、マリンスーツを着たレイ 麗菜レイナの姿があった。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.114 )
日時: 2022/05/18 17:05
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: DT92EPoE)

《トゥエルブス》

そこには春なのに水着を着てはしゃいでる謎の集団とその中にレイ 麗菜レイナが居た。いや、居るのはいいんだ。いいんだが、前にあんなことがあった手前軽々しく前に出ることが出来ない。というか完全敵対勢力がバカンスに敵に顔出すとかなんの冗談だよ。しかし…まぁなんという偶然… いや、偶然じゃない。あのアクロマは確実に確信犯である。
まあ、会わなければ良いのだ。レイ 麗菜レイナと、一緒に旅している人にだけに会わなければ正体を知られるわけでない。普通に楽しもう。
……こういうことなら施設の図書館で過ごした方が有意義だ。

「……これも仕事の内なのかよ」

アラシがすっごい嫌な顔でいう。しかし格好はトロピカルな水着にサングラス、海をモチーフとした上着。完全に楽しむ気マンマンである。
呆れた。俺は黙ってそこら辺をうろつくことにした。

ーーーーーーーーーーーーー

俺はいつものフードコートを脱いで、施設特有のシワシワな薄黄色のシャツと半ズボンでそこら辺を歩いていた。

「あの、すみません。これ落ちましたよ。」

すると後ろから声をかけられる。ハリーセンのような頭にクマが酷い目。中学生ぐらいと思われる身長。
あぁ。苦労人か。
瞬時に俺は分かった。ハリーセンのような頭は寝癖。そして、クマを見た限りかなり無理を幼い頃からしてきたのだろう。こいつの苦労を否定する訳では無いが、他にも苦労して死んできたやつは星の数ほど見てきた。
その少年が持っていたのは赤黒いタオルだった。それは。昔施設の仲間と『お揃い』と言って持っていたやつだな。こんな大切なものを落とすだなんて、俺も疲れてるのかもしれん。

「あぁ、ありがとう。」

俺はそう言ってタオルを受け取った。少年は俺の姿をまじまじと見る。なんだ?何か変な格好か?
……施設での格好のまま仕事してるから結構変だな。
薄黄色のシャツと半ズボンは…まあ100歩譲ってよしとしよう。"100歩"譲って。そして俺の服は黒ずんでいる上にポケモンや人の返り血まみれになっている。
確実に変質者だ。

「あの、もしかして……」

少年が訝しげに言う。
バレたか?いや、そんなわけが無い。
というか、表世界の人々は裏世界のことなんて知らないはずだ。バレてない……

「あの、イッシュの南西出身ですか?」

……バレてないようだ。いや、当たり前だ。
いっしゅの南西…といったらヒウオギシティがある場所か。あそこはイッシュでも治安が悪いと有名だ。このみすぼらしい服装で貧相層出身と思われたようだ。

「いや、俺は別地方出身だ。」

「えっと、あっすみません…」

気を使わないでくれ。こっちがなんか気まづくなる。

「あっ、俺赤白セキシロ 陽佑ヒユウで、トレーナーです。」

「あっ、あぁ。えっと…俺は…」

名乗られたら名乗り返すのが表世界の礼儀だそうだ。俺に名前はあるが、『ドク』『クローバ・ナーヴァ』『リーダー』『トゥエルブス』等色々ある。そりゃ裏の世界で色々やらかしてるからな…

「……レイ。」

自然と口に出てしまったのはこの名前だった。いっ、いや!仕方ないだろう!レイのことしか考えてないんだから!いやっ、レイの事しか考えてる訳じゃない!自然と出てしまっただけ!そうだ!

「レイ…さん?俺の知り合いにも同じ名前の奴がいるんですよ。レイ 麗菜レイナって奴で…あ、すみません身内話で。」

そのレイ 麗菜レイナってやつガッツリ知ってます。というかめちゃくちゃ親密な仲です。

「いや、大丈夫だ。そのレイ 麗菜レイナを大切にしてやってくれ。俺はもう行く……」

「あっ、良ければ……」

するとセキシロが俺の手を掴んだ。なんか、哀れられているような気がする…まあ、休暇だし付き合ってやるか。

「なんだ?」

そう言ってセキシロはライブキャスターで誰かを呼び始めた。

ーーーーーーーーーーーーー

「キャー!誰このイケメンッ!本当に私がコーディネートしてもいいのっ!」

「あぁ。頼む。」

セキシロが呼んだのは金髪に髪先が赤色の髪で、赤いカチューシャをつけている少女。この人は俺でも知っている。というか、プラズマ団の仕事で直接会っている。この少女は統治トウチ 共羽トモバ。表世界の心臓とも言える財閥の一人娘。扱いを間違えたら俺は二度と表世界に出ることは出来ない……

「あっあっ、私統治トウチ 共羽トモバって言いまふ!あっ、ちょっとイケメンを前にすると……キャー!」

……こいつ結構変わってるんだな。所謂『めんくい』って奴か。レイが俺にこんな対応を取ってくれれば俺は死んでも良かったかもしれない。しかし、こいつのようなロリは対象外だ。

「…すみません。こいつちょっとこういう所があるんですけど、綺麗な服は選んでくれるんで。あ、お代はこちらで持ちますよ。」

セキシロがそう説明する。もしかして俺貧困で困ってる哀れな人だと思われてるんじゃないのか?!
……まあいいか。休暇で暇だったし付き合ってやるか。それに貧困と思われても別に問題ないし。

「すまないな。」

俺が言うと2人はニッコリと笑って俺をブティックまで引っ張って行った。まあ何なあったら全部ぶっ壊すか。いや、統治家の財閥に目をつけられたら俺でもさすがに死ぬ。これ結構ヤバイ場面じゃないのか?
俺はその瞬間悪寒を背筋が走った。

ーーーーーーーーーーーーー

「キャー!やっぱりカッコイイっ!」

トウチが俺の姿を見て悶えている。俺はこの統治トウチ 共羽トモバプロデュースの元試着している訳だが…なんだこの服。
全身真っ白で無駄にピチピチしている。ツルツルもしてるし、腰にはフリフリが着いている。スーツか?いや、スーツにしては派手すぎる。

「……トモバ。これアイドルが着るやつじゃねぇか。」

「カッコイイでしょ?!」

そう言ってトウチがゴツイ大きなカメラを取り出すと俺を撮ろうとする。不味い…!裏世界の住民が表世界で写真として記録される訳には行かない…!

「…写真は控えてくれないか。」

俺はいつの間にか本気で移動してしまい、一般人から見たら試着室からトウチの元へ瞬間移動したように見えただろう。トウチは顔を真っ赤にすると。

「おっふ……ちょっとイケメンパワーを間近で食らうとオーバーヒートしそうなんで。ヤダカッコイイ…」

こいつ本当に気持ち悪いな。色んな生物の中身を見てきた俺でさえも引きたくなるような気持ち悪さだ。もう帰りたい。派遣に休暇なんて与えるなよアクロマ。

「トモバ。レイさんが呆れてるから、そろそろ真面目に服選んでやれ。」

トウチはハッとすると写真に俺を収められないのを悔しみ、カメラをしまうと真剣に服を選び始めた。

「あいつ本当に変態…変なやつだけど、ちゃんとする時はちゃんとするんですよ。」

セキシロがトウチをフォローするが少し呆れている。その水着もあのトウチのせいで着ているとか…そんなはずないか。

「レイさん!これ着てみてくださいっ!」

するとトウチが服が入ったカゴを差し出してきた。今回は…まともそうだな。というか表世界のマトモが分からないため今のこのヘンテコな服を着てしまってるわけだが……
今回はまともであることを祈るばかりである。
試着室のカーテンを閉じると俺は丁寧に今来ている服を脱いだ。正直破って脱ぎたいが売り物のため丁寧に脱ぐことしか出来ない。上半身が露出する。鏡を見るとかなり俺の体はがっちりとしていて、脂肪何てものが無い。そしてボディの真ん中に大きな傷がある。俺はレイとは違い、純粋な人間のため傷は中々治らない。
裏世界に鏡などあまりないためまじまじと俺の身体と顔を見ると、着替え始めた。白い黒のラインが書いてあるシャツに濃い緑の上着、チェック柄の長ズボン。
この服は何か着やすいな。ちゃんと着れた後に、試着室のカーテンを開ける。

「キャァァッ!カッコイイ!」

「おお。トモバにしてはちゃんとした服だな。」

トウチが悲鳴をあげるのは慣れた。そして、セキシロがまともと言うのならばまともなのだろう。表世界の潜伏のためにもこの服は買っておいた方がいいかもな。

「このまま買おうか。」

そう言って薄黄色のシャツポケットからお金を出そうとするが…

「待ってください。私に出させてください。」

トウチが財布を取り出し、俺が何か言う前に会計を済ましてしまう。なんか申し訳ないな。まあ、タダで手に入ったのだからこれから有効活用しよう。

「トモバ、ヒュウ、何して…」

するとブティックの扉が開く、そこには濁った瞳にサラサラな黒髪のレイ 麗菜レイナが居た。

「「あ。」」

ガッツリ気まづい。めちゃくちゃ気まづい。レイナはパタンと扉を閉める。特に見られたからと言って悪いことは無い。無いはずなのだが…無性に追いかけたくなる。

「すまない。用事を思い出した。今回の恩は忘れない。」

俺はそう言ってブティックから飛び出してしまった。セキシロとトウチには悪いことをしてしまったかもしれない。いや…これからプラズマ団の計画が成功したら二度と顔を合わせないかもしれない。
……とりあえず今はレイ 麗菜レイナを追いかけよう。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.115 )
日時: 2022/05/20 06:55
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: DT92EPoE)

流石…というか、やはりレイ 麗菜レイナは早い。すぐ近所の森へ入るとポケモンや草木をかき分けながらレイ 麗菜レイナは逃げている。しかし、全力ということでもない。全力なら俺はまず追いかけることすら出来てないだろう。裏世界だったら確実に見失ってた。表世界様々だ。

「っ!」

するとレイ 麗菜レイナが声に出ない声を出す。その先は崖だった。崖と言えど、前のストレンジャーハウスのように禍々しい雰囲気の場所でなく、海や建造物が見える綺麗な場所だった。もう飛び降りたり…しないよな?
レイ 麗菜レイナは警戒しながら俺が1歩でるとレイ 麗菜レイナが1歩下がる。
このまま近づいたら本当にレイ 麗菜レイナは飛び降りてしまう。いや、これぐらいの高さならレイ 麗菜レイナは傷1つ負わないだろうが、そうなると俺が追いかけられなくなる。俺は人間だ。さすがにこの崖から飛び降りたら足がジーンとして少し動けなくなる。

「に、逃げないでくれ。話を…話をしよう。」

俺はなるべく穏やかにそう呼びかけた。レイ 麗菜レイナはキョトンとした顔をした後、何か安心したように警戒を解いた。あぁ。俺はレイ 麗菜レイナから見たら仕事中に見えたのかも知れない。警戒されるのも当然である。

「……何?」

「落ち着け。俺は今日休暇だ。」

そう言いながらレイ 麗菜レイナの横に座る。レイ 麗菜レイナも落ち着いたのか体育座りをする。

「休暇って…派遣にも休暇あるのね。」

「まあな。」

「……」

「……」

「で、なんで追いかけてきたの?」

「逃げられたら追いかけたくなるだろ。」

「……」

「……」

「その服。似合ってないわね。」

「本当はカッコイイとか思ってるんじゃないか?」

「……まあ、少しはね。」

そんな他愛もない話をする。大体の話は一言二言で終わるが、水平線に沈みかけてる太陽を見ながらレイ 麗菜レイナと話すのは、人生の中で一二を争うほど楽しかった。
俺も10年振り近くリラックスをしていた。すると空気が変わる。なにかピリピリしたものだ。
あぁ、ここで俺の休暇は終わるんだな。
そう察してしまった。

「プラズマ団の目的って何。」

「知ってるんじゃないのか?」

「…イッシュの支配…だっけ。」

「ご名答。」

ここでレイ 麗菜レイナはプラズマ団について切り出してきた。正直霊レイ 麗菜レイナに何かポロッと零さないかと、ヒヤヒヤしている。レイ 麗菜レイナの前だといつも何か零してしまう。しかし、俺は派遣の身だ。その上幹部クラスの情報を持っている。ちょっとでも零したりしたら、ピラミッド本部から首チョンパにされてしまう。

「……なんで私を殺さなかったの?」

レイ 麗菜レイナ……レイが俯く。ライモンシティで再開してからというものの、レイは表情を変えない。自害しようとした所を見ると、この旅でかなり追い詰められているな。その原因は…『幸せ』だろう。
レイは今この場に居ていいのか、居たいけど罪悪感で押しつぶされそうなのか……

「俺は、お前を殺してやりたいと思ってる。」

『分からない』そんな適当なことを言って誤魔化そうかとも思った。けれど、ポロッとこぼれてしまった。もうこうなったらヤケだ。

「…そう……よね。」

「折角屍を超えて楽園である表で過ごせるようになったと思ったら、罪悪感で自殺…昔からお前は人の情に対して弱いのが笑えるよ。」

俺は小馬鹿にするようにレイにそう言った。レイは何も言えなくただずっと下を見ている。
罪悪感罪悪感罪悪感罪悪感罪悪感
レイの胸はそればかりで溢れかえっているだろう。人のことをここまで深く考えられる悪役もここまできたら笑えるな。

「けどな…今のお前は、俺らが望んだ姿でもあるんだ。レイの心情を汲み取るならいっそ殺して楽にしてやりたい。俺も、ライモンの時はそう思ってた。」

レイが顔を上げる。しかし、瞳は奥の奥まで濁ったままで、見ているだけで俺も底へと連れていかれそうなため顔を背けた。

「お前にあんな仲間が出来てから余計幸せになったろ。それで余計死にたくなったかも知れないが、俺らにとっては泣いて内蔵支払うぐらい価値がある光景だ。」

すると俺らの後ろ。森の奥の奥から風が吹いてくる。その風が俺らの髪をサラッとくすぐり、俯きかけてたレイの顔が完全に見える。
その顔は俺の知ってるレイじゃなかった。瞳は濁り、表情筋はピクリとも動かず何考えてるか分からない顔。裏世界には自分の感情を隠すためにずっと微笑むポーカーフェイスが居る。俺もそうである。そういう人も何考えてるか分からないため怖いが、レイへの恐怖は自分の深層心理をぐしゃぐしゃにされるような恐怖が盛り上がった。
こいつはもう俺の知ってる「アイツ」じゃない。レイ 麗菜レイナだ。

「……そう。でも、次会った時は本気で来るんでしょ?」

レイ 麗菜レイナは興味なさげに俺の言葉を受け流す。そして、俺の仕事のことを心配した。もう、俺には興味無いんだな。俺にはもう、あんな笑顔を投げかけてくれないんだな。

「そうっすね。今回の仕事は俺がピラミッドに…いや、裏世界で立っていられるかどうかの大切な仕事っす。残念ながら手抜きなんてしないっすよ。例え世界が滅びようとも……」

そう仕事口調で言うと、どこからともなくコートフードを取り出した。レイ 麗菜レイナは何も表情を変えずにただ景色を見ている。
変わったな。俺も、お前も。
そんなこと言える度胸なんて持ち合わせていないため、そのまま全速力で去っていった。
俺が駆ける森は太陽の光なんて入らずどんよりとジメジメした景色で俺を飲み込んだ。頬につたる1粒の汗なんて、気にならなかったよ。


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