複雑・ファジー小説

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勇者で罪人の逃避行!【】
日時: 2012/09/25 17:52
名前: ジェヴ ◆hRE1afB20E (ID: jP/CIWxs)

参照1000突破ァァァァァ!! 感謝しきれません!
こんな拙い小説を見てくださっている方、毎回コメントをくださっている常連様、本当にありがとうございます。
まだ10章近くまである中、1章も完結していない状況ですが、全話完結に向け頑張りたいと思いますのでよろしくお願いします(^^*)


どうもジェヴです(・ω・)
題名は変更しました、仮題なので今度も変更するかもです。
主人公+α以外ほぼオリキャラを目指して。
一時流行ったRPG系の小説ですが、それでよければゆっくり見てってくださいませ(*´ω`*)

【注意】
・更新不定期です、放置多し
・急展開なんて日常茶飯事さ!(蹴
・gdgdなRPG風小説
・オリキャラ様によってこの小説は支えられています
以上です!


【目次】

プロローグ『旅人の逃避行タビジ>>005
登場人物>>118
第一章『砂塵に紛れる支配者と』
01 >>013 02 >>015 03 >>023 04 >>026 05 >>032
06 >>037 07 >>041 08 >>043 09 >>050 10 >>061
11 >>077 12 >>078 13 >>086 14 >>100 15 >>112
16 >>117 17 >>121 18 >>127

@ふざけ過ぎた結果→>>038
【番外編1】
1『武器商人と用心棒と案内人と』>>051
2『四面楚歌!食糧を狙う敵』>>074
3『前途多難、そして追撃』>>081
4『限界に見えた一つの希望!』>>096
5『』>>131

【ものおき場】

イラスト ※私情により簡潔にまとめました。
〆ジェヴより
 ・表紙らしき何か>>093
 ・カイン>>045
 ・番外編組>>094 >>106
 ・【SI-VAさん】より カイン>>101
〆優勇さんより!
 ・タイトル>>098
 ・カイン>>059
 ・レイラ>>090
 ・ジョン>>114
〆かのこさんより!
 ・カイン>>087
〆三月兎さんより!
 ・レイラ&ゼン>>104
〆グレイさん!
 ・クナギ>>110

素敵なイラストありがとうございました!




オリキャラ随時募集です。
【オリキャラ投稿の際の注意と留意点】
・オリキャラが敵としてか味方としてか、またどの立場で登場するかなどは私が決めさせていただきます。何とぞ
・1度きりのキャラもいれば、ずっと登場するキャラもいます。ご了承のほどを
・設定(過去話)などは大雑把に。魔法も難しいもので無く説明が簡単なものをお願いします
 (容姿や魔法、設定被りの防止です)
・【】の右に書いてある文章は消してください
以上です!


【オリキャラ容姿】

名前【】カタカナで
性別/年齢【/】
種族【】人間、エルフ、竜など
職業【】人間系種族のみ。竜などで職業・魔王城の番人などはおkです
容姿【】できるだけ詳しく
性格【】

魔法属性【】炎、闇、風、ノーマルなど。無しでもおk!魔術師系は複数可能
魔法技【】どういう感じで魔法を使うか

武器【】
技【】どういう技を使うか

備考【】
過去【】
何かあれば【】
サンボイ「」「」「」6つまで


以上です

Re: 勇者で罪人の逃避行!【1-5更新:7/16】 ( No.37 )
日時: 2012/09/22 18:09
名前: ジェヴ ◆hRE1afB20E (ID: jP/CIWxs)

「……ジョン」
クナギは、少し前に街に消えて行った用心棒の名前を呟いていた。心配の色を浮かべている彼の瞳は、どこか”親”というものに似ている。
(アイツは大丈夫、か。くそ、俺もいい加減割り切らないとな……)
クナギは心の中でそう呟くと、苦しそうな表情を浮かべて腕に顔をうずめた。





”カイン・フォースを殺す”
その言葉を聞いた時、クナギは驚きに目を見開いた。
(そうかあの男、同僚が言ってた……)
そしてどこか冷静に、クナギはそう思った。だが、不思議とそれ以上の感情は何も芽生えなかった。
そもそも先入観で価値を決めつける事が嫌いなクナギには、『大犯罪者』と言われても自分の目で確かめるまではその言葉を鵜呑みにはできなかった。先入観というものが人の判断を狂わせるという事を、彼は知っていたからである。
彼は用心棒に「穏やかじゃないな」と言って、加えていた煙草を口から離して白い煙を吐きだした。

先ほどジョンに言われたことから考えてみると、あのカインとかいう男を相当恨んでるらしいな。
けど、あの男が裏切る?そんな奴にゃ見えなかったけどな。

『……”そんな風な男には見えない”、そう言いたいんだろ?』

すると、クナギを黙って見ていたジョンが、不意にそう口を開いた。クナギがそちらを見ると、ジョンが腕組みをしながら仮面の下から自分を睨んでいた。怪訝に眉をひそめているのだろうか、仮面で表情が隠れているのにも関わらず、今彼女がどんな顔をしているか手にとるように分かる気がした。そんな彼女は腕組みをしながら、そのまま視線を逸らす事無く言葉を続ける。
『俺もそうだった。アイツの事を心から信頼していたんだ。俺だけじゃない、仲間からも——世界からも』
彼女の声色は先ほどとは変わらない、なのになぜかそういった瞬間、彼女が一瞬辛そうにしている気がした。
『なのにアイツは、裏切ったんだ。1年前、魔界へと続くゲートの前で!! 奴は俺達を置いて行ったんだ!!』
『……ジョン、お前一体———』
ジョンの言葉を聞き、クナギは思わずそう尋ねていた。何だ、まるで話が見えてこない。いや、「その可能性」を信じるのであれば、その話を信じる事などは容易い。しかし——


しかし、1年前から用心棒として雇っているジョンが”魔王討伐に向かった英雄の一味”だなんて。
突然そう言われて、受け入れられる訳も無い。


『お前ならもう気付いているんじゃないのか? 俺はかつて勇者の仲間だったんだ』
『………』
しかし、その疑問も本人によってすぐさまかき消されてしまう。クナギは黙ったまま煙草の火を足の裏で消し、彼女を見据える。しかし、既に彼女には自分の事は見えていないようだった、彼女は自問自答をただひたすらと繰り返している。
『カインが俺達を裏切って……しかし、俺はそれでも奴を信じていたんだぞ? なのに何なんだ、”魔王と共謀している”だと? ふざけるのも…ふざけるのも大概にしろ!! 私は何のために奴の帰りを待っていたんだ!?』
それは、あまりにも痛々しい心の叫びだった。

クナギは彼女の素性を全て知っている訳ではない、知り合ったのもつい1年ほど前だ。しかし、それでもクナギは、初めて彼女の何かを知った気がした。
クナギは、彼女の感情が収まるまで、言いたい事を言いたいだけ、言わせる事にした。そうでないと、今の弱い部分をさらけ出している彼女が壊れてしまいそうだったから。
『奴は絶対に私達を裏切らないと、心から信頼していたんだぞ!? なのになぜ奴は、ああも別人のようになってしまったんだ?どうして平気な顔をしていられるんだ!? これ以上、私の過去にカインの面影を見ていたくない。だから私は……』

ジョンは、きっとカインを一目見た時から殺してやりたかったんだろうな。
けど、出来たなかった。それはおそらく。

『…………、これは私の感情だけではないよ。
 奴は宿敵である魔王と手を組んだ敵なんだ、魔王を倒す宿命を背負っている私達がやらねば、誰がやるというんだ?』

おそらく——
クナギはどこか自分にそう言い聞かせるように紡ぎ出す彼女の言葉を聞いて、確信する。だが、その言葉はあえて口には出さなかった。
自分が到底口出しできる事ではないし、この彼女の1年間を否定するわけにはいかない。それに、『俺にそう言ってやれる義理はない』。
クナギは黙ったまま瞳を閉じていた。

この光景が、「あの時」とダブってくる。
駄目だ、あの時と今は違う。


『”俺”は行く、行って奴を倒す。クナギ、今だけ俺の自由を認めてくれ』
『…………』
返事が出来なかった。
それを無言の了承と受け取ったのだろう、ジョンは自分から背を向けた。しかし、最早クナギの目にその光景は映っていなかった。クナギはその場で力なくしゃがむ事しかできなかった。
足音が遠くなっていくのが分かる、止めなくては。
そう思うも、彼にはそれが出来なかった。
(畜生、結局俺ァ体だけ大きくなっただけってか……)

「あの時」の事が今になって、彼の胸を強く締めつける。

彼の心に存在する未だ治らないその深い傷は、彼をまた蝕んでいった。


ふざけ過ぎた結果がこれだよ! ( No.38 )
日時: 2012/08/03 10:52
名前: ジェヴ ◆hRE1afB20E (ID: DSoXLpvQ)


<※これは本編ではありません>


「……最期に一つだけ聞いとくが、お前はどういうつもりだったんだ?」

——たった今自分が目の前で屈服させたその人物に、俺はそう冷たい声を投げかけた。
『う、ぅ……』
茶髪のその人物は、うめき声をあげてウズクマっている。しかし、そんな奴にも俺は容赦はしない。何故ならコイツは、やってはならない事をやらかしてしまったからだ。
「さっさと答えてくんねーかなァ、俺も暇じゃねーんだ」
『…………』
俺はソイツに見せつけるように剣を弄んで見せるが、ソイツは地面を睨んだまま歯を食いしばる一方だ。恐怖を感じでいる、が、それと必死に戦っているように見えた。
(……成程、根性だけは大したもんか?)
俺は苦笑に近い笑みを浮かべると、ソイツの側でしゃがみこむ。そして手に持つ剣を相手の首にわずかに触れさせてみると、ついにソイツは顔を真っ青にしてガタガタと震え始めた。
こうなればコイツが白状するのも時間の問題か、と、俺はさらに追い打ちをかけるようにこう言う。
「話す気はねぇ、ってか?……けど無駄だぜー?俺気ィ短いから。首、落されたくねーならさっさと言え」
それが決め手となった。ソイツはゆっくり顔を上げこちらを向くと、どこか懇願するかのような——訴えかけるような眼差しを向けてきた。そして震える唇を微かに動かし、ようやく言葉と言う言葉を紡ぎ出した。
『止めてください……マジで』
「——じゃあ答えろよ、お前がどういうつもりなのか」
『それ、は……』
そう言って、また俯こうとしたソイツに——俺は無言で剣を押しつけた。その瞬間、下がろうとしていた顔は凍りついたように止まり、ついにソイツは冷や汗を流し息を荒げ始めた。
身の危険を、今頃になって理解し始めたらしい…図太い神経と言うか、自分の事をまるで他人事のように捉えているというか。その考えはいつか自分の身を滅ぼす事になるぞ、と心の中で言ってやった。

…まぁ、そのいつかというのが、たった今のことなのだが。

そしてついに観念したのか、ソイツは生唾を飲み込んで俺の方をキッと睨みつけた。

そして意を決してソイツは、確かな口調で、いや……むしろ開き直っているように聞こえなくもないような言い方で、俺にようやくこう言ってみせたのである。


『お……おまけの単発小説書いて何が悪いんですか!』




【第??話:メタい話】 ※本編とは一切関係ございません?




『そうだよ、別に何も悪くな……ブッ!?』
俺は屈服しながらも堂々と述べたソイツ——ジェヴとかいうこの小説の作者とらやに、思いきり蹴りを喰らわせた。いや、この場合奴の頭を踏んだと言った方が正しいだろうか?
とかく、ジェヴの鼻が地面に叩きつけられ顔を上げてみると——鼻から鼻血が垂れていた。俺はそんな悲惨な事になっているジェヴに対しても容赦はしない。
「大体なぁ、全然素性が明らかになってねーだろ、俺もレイラも、れからその他諸々も——」

「『その他諸々』、というまとめ方はしてほしくない」

と、俺の声を遮って、ゼンが不服そうな表情を浮かべながらそう言った。お前いたのか。
俺は思わず苦笑を浮かべる。本編でもそうだが、ゼンはいつの間にかそこにいたりするから怖い。
「……とにかくだな、こんなクソ中途半端な時におまけ話なんて書くもんじゃねーよ。せめて1章終わってからだとかだな、タイミングを計って……」
『いいじゃねーですか、何かちょっと更新する気分じゃなかったし』
「じゃあやる気ある時に書きゃいいじゃねーか」
『今はおまけかきたい気分なの!』
「……いいぞ『剣士』、俺が許可する殴っていいぞコイツ」
ゼンがそう言ったので、俺はジェヴを殴った。すると漫画みたいに大きくたんこぶをつくったジェヴが、涙を浮かべながらピーピー喚きだす。
『い……いーじゃんか自分の書きたいように書かせてくれても! 大体、作者に楯突く事がどーいうことか分かってんですかコラァ!』
「どういう事だよ?」
俺は不敵な笑みを浮かべてジェヴに問ってみせた。すると強気な口調で、拗ねたように頬を膨らませそっぽを向きながら、ジェヴは言う。

『極端な話、神に刃向った事と同じなんですよ』

「…は?」
「神?お前が?」
あ、駄目だわ。この作者頭のネジ取れてるわ。
俺とゼンはその言葉を聞いて、若干引きつつ苦笑を浮かべる。本気で言ってたらアホだコイツは。それに、よりにもよってコイツが神って…
「…ブッ、うはははははwwwおま、神だってよ神wwwwwwwww最ッ高wwwwwwwwwwwwwwww」
駄目だ、笑えてくる(爆笑)
それを聞いてショックを受けるジェヴに、さらに追い打ちをかけるが如くゼンが言う。

「可能性があったとしても、神じゃなくカビか何かの間違いじゃないのか」

『んなっ……!?』
予想以上の毒舌っぷりに心が折れたのか、ジェヴは無言のまま地面に手を付けガックシポーズとを取っていた。
だが、ついに何かの糸が切れたのか—
『くく……うっくっくっく、うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!』
急に肩を大きく揺らして笑い始めてしまった。あーあ、メンタル弱いからぶっ壊れるのも早いか。と、俺は思っていたが案外そうでもなく。

『あーはいはい分かりましたよカビですよ。カビ様の力見せてやりますよよく見てやがってください』

そう言って懐からノートパソコンを一台取り出した。
(!?)
俺はその光景に目を丸くした。待て、その大きさのもんどうやってそんなところにしまってたんだ!?
その気持ちはゼンも同じらしい、腕組みをしながら固まってしまっていた。

と、そんな俺達を余所に、ジェヴは素早くパソコンを立ち上げ、「メモ帳」のファイルを開く。そしてそこにジェヴは、こう打ち込み始めた。


”突然何の前触れも無くゼンが「何か」に足を取られ転倒する。”
”続いて『剣士』はそうはいくかと足を踏ん張るが、その「何か」が頭にブチ当たりそのまま飛ばされ倒れこんだ。”


「……何だこれ?」
『いつも小説書くときに使ってるソフト』
「そうでなくて、何書いてんだ? って話。まさか本当にそうなるどでも思って——」
”いるのか”、と言おうとした瞬間、何かに足を取られたかのように、隣のゼンが突然尻餅をつきながら転倒した。吃驚してゼンの方を見ると、自分でも何が起こったのか分からないと言う風な驚きの表情を浮かべている。

——あ、これはヤバいパターンのやつだわ、マジで俺もやられるパターンのやつだわ!
だが、俺は笑った。そうはいくか、思い通りになってたまるか!俺は倒れないよう足を踏ん張ってみせた、これで倒れるわけが無い。正面から来るのは分かってる、何が何でも倒れ———ブッ!?

…、それは不意だった。
俺が正面から来るとふんでいたそれは、まさかの後ろからやってきたのだ。前から来るとばかり思い身構えていた俺は、後ろから強い衝撃を与えられ容易に吹き飛ばされ倒れてしまった。それも、また一瞬の出来事である。

——まさか……
——まさか、そんな事があるはずが!?
俺は何度もそう思った。だが…実際に起こってしまった。
(……、あぁ成程)
俺は察した。
コイツは”これから起こる事を文字にする事で、それを実際にさせてしまう力”を持っているわけだ。
つまり神だ。
コイツには、神同等の力があるんだな。





『そんな感じで、私おまけ話書くから』
倒れながらうなだれている俺を、ジェヴがノートパソコンを片手にそう言って見降ろしてきた。
「……もう勝手にしろよ。で、どんな話書くつもりなんだ?」
なので俺は問う。

……せてめマシなものを更新してほしい。
俺がそう目で訴えると、ジェヴは小さく笑ってこう言った。


『……まぁ、大丈夫かな。ちょうど今書き終わったし』






【終われ/(^o^)\】

Re: 勇者で罪人の逃避行!【ふざけたおまけ更新:7/18】 ( No.39 )
日時: 2012/07/18 23:23
名前: 三月兎 (ID: npB6/xR8)



ふざけたなんてそんな!

めっちゃ面白いですよww
最初誰かと思ったら、まさかの神作者ジェヴ様だったとは・・・!

私もこんなおまけをかける文才がほしい>゜)))彡

・・・ってイケメン剣士!
綺麗な顔してなにいやっとるんですかww

作者様に反抗しまくりww

でもゼンよ・・・お前は何より感謝しなくちゃいけないだろ!
こんなふうに剣士いやカインと・・・そしてあのレイラちゃんと旅できるんだからっ!ww

Re: 勇者で罪人の逃避行!【ふざけたおまけ更新:7/18】 ( No.40 )
日時: 2012/07/19 21:54
名前: ジェヴ ◆hRE1afB20E (ID: RROsmwWi)

>>三月兎さん!

純度100%のおふざけ話ですw
特に面白いオチもありませんでしたが(´・ω・)
あ、ちなみに私は神じゃなくてカビですwww
まだまだ私も描写表現が甘いので頑張っていきたいと思います!

剣士君は案外容赦しない性格だったりします(・ω・)
反抗期ってやつですかね←
ゼン君は時たまにズバッととんでもない毒舌を吐いちゃうイメージですw
でも本人にはそこまで悪気は無いって言う!

コメントありがとうございましたヾ(*´∀`*)ノ
今日は無理そうなので、明日更新したいと思います!!

Re: 勇者で罪人の逃避行!【ふざけたおまけ更新:7/18】 ( No.41 )
日時: 2012/09/22 18:15
名前: ジェヴ ◆hRE1afB20E (ID: jP/CIWxs)

「なぁアンタ、ここは一体何なんだ?」

あれから3人で少し話を交えた後、『剣士』は突然例の教会の前で、教会から出てきた老人を捕まえてそんな事を聞いていた。その老人と言うのがまた妙な格好で、黒い大きなフード付きのローブに十字架の銀の首飾りという奇妙極まりないものであった。その老人はフードは被っておらず、クセのある年相応の白髪を見せていた。手には何やら分厚い聖書のような本がある。
その老人は優しげな笑みを浮かべて、『剣士』の言葉に答える。
「旅の方ですかな? ここは教会になります。1年前設立されたばかりの浅いものにございますが……」
そう言って教会を見上げる老人。『剣士』は「へぇ」と感嘆の声を上げ、そんな老人の横顔を見つめながら、ある疑問を投げかけた。
「で、アンタはここの神父か?」
「はい、私が司祭になります。ここは、1年前この地に来られた教祖様により設立されました」
……成程。と『剣士』は考える。日が浅い宗教か。一体どのようなものなのか?『剣士』は思わず彼に聞き返していた。すると司祭と名乗る老人は機嫌を損ねる様子も無く、笑顔のまま話す。

「教祖様は3年前より続く地震が”地の神”のお怒りによるものであり、祈りをささげる事によって地の神は怒りをお鎮めになると申されました。……地の神は偉大な神で、お怒りになられていても我々の言葉をお聞きいれなされるのです。この地が揺れた時、我々が祈りをささげるとその怒りをお鎮めくださります」

司祭は手を胸に当て、何かに感謝するかのように小さく礼をしてから、もう一度口を開いた。

「地の神は非常に繊細な神だと教祖様はおっしゃいました。なので我々が祈りを欠かせてしまうと、地の神はお怒りになられます。しかし、地の神は祈りを捧げる我々に繁栄をもたらしてくださる神であり、決して傲慢な神などではありません。この砂漠都市がここまで豊かなのも、”地の神”の計らいによるものなのです」

司祭は『剣士』にそう言うと、「貴方もどうか地の神へお祈りを捧げ、旅のご加護をもらってはいかがでしょう?」と言い残して教会の方へと入って行ってしまった。そこでようやく『剣士』は二人の方に振り返ると、後に続くよう顎で促した。レイラとゼンは顔を見合わせた後、彼の後に続いた。







教会に入ると、まず目に留まったのは大きな石——巨大な石が、奉られていた。
それを見て感嘆の声を上げたのは『剣士』だ。
「おーすげぇ……こんなデケー鉱石始めて見た」
そう言ってその石に触れようとするが、彼の前に先ほどの司祭が立つ。
「申し訳ございませんがこの石に触れてはなりません。教祖様よりそう言葉を預かっておりますので……」
そして青年にそう言うと道を開け、「どうか祈りを」と言って司祭は本を開いた。すると、その場にいた信者がそれぞれの首にかけている「十字架の銀の首飾り」を天に捧げるように掲げ、祈りを始めた。

——”No, i twa sno t the momenty et...”

「わぁ……」
その讃美歌は誰もが聞き入るほどに幻想的で——どこか、魔法の”詠唱”を連想される。
レイラはその讃美歌を耳にし、思わず詠嘆の声を上げていた。

——”Ple asesle epunt ilt hed ay tobrin gan evil... ”
——”I ti snt timew henmyl ordre v ive...”

「…さぁ、どうぞ祈りを」
司祭は三人にそう言うと、自らも祈りを捧げていた。「どうか、この地の災禍をお祓いください」そう呟いた司祭に続き、レイラも難しそうな顔をして何かを祈る。いや、祈ると言うよりかは念じていた。そこまで力む必要はないと思うが。
ゼンも何か祈ろうかと顔を上げた時、ふと『剣士』の横顔が目に入った。
(————……)

彼は、笑っていた。
それも、少し悪寒が走る程の何とも言えぬ笑みを。

「って、と。レイラ、ゼン、終わったかー? んじゃ、お暇しようぜ」
『剣士』はこちらを向いた。しかしその時にはもう、あの笑みは既に消えうせていた。先ほどの笑みは何だったのか、そうゼンは思うも、あえて何も聞かずに彼の言葉に対して頷いた。
気がつけば、もう日が傾いている。
さて、今から何をするのかと思い彼の目を見ると、ゼンが尋ねるよりも先にレイラが口を開いた。
「では、今からどうします?」
「んーそだなぁ……」
『剣士』はそう言って腕組みをしてしばし何か考えると、彼は「石」の方を向き、ボソリと呟くように「ま、今日はいいもん聞けた事だし……」と言った。そしてそれからこちらに向き直り、何処か真剣そうな顔をしてこう言った。


「飯にするか! その後は適当に宿探して寝るぞ」
「え、早くないですか? まだ夕方ですよ?」
「いいんだよ、砂漠渡ってきたせいで疲れてんの! 寝るっつったら寝る!」

そう言った彼は自分の腹に手を当てる。その腹が鳴ったのは、それから間もなくの事であった。










「何? ”カイン”の情報を寄こしたのは街の騎士団ではないのか?」

少し時が進んだヴァーハイド。
そこでは、アシスへと”ゲート”をつなぐ準備が着々と進められていた。それを横目に、腕組みをする紅髪の男は、「緑髪の」直属の部下からある言葉を受け、少し驚きながらそう答えた。部下は驚く紅髪の男の言葉に大きく頷く。
「……はい、確かに我々に連絡を寄こしたのは間違いなく彼らですが、情報元は彼らではないとの事です」
紅髪の男はその言葉を聞くと、普段から厳しい目つきを更に険しくし、黙ったままどこか遠くを見据えていた。そして、ふとしたタイミングで彼はその目つきのまま、視線を外すことなく口を開く。
「向こうの騎士団の指揮官に連絡を取れ、そしてこちらに詳しく事情話せと伝えろ。俺の名前を出せば向こうも聞き入れるはずだ」
「了解しました、っと」
紅髪の男からそう命令を受けると、部下は彼に一礼して背を向ける。しかし彼の足はふと止まり、その目はもう一度紅髪の男を捉えた。

「レオンさん」

「何だ。あと俺の事は”指揮官”と呼べと言っているだろう」
紅髪の男——レオンと呼ばれたその人物は、怪訝そうに眉を潜めて彼の方を向く。彼は慌てて謝罪の言葉を口にした後、ふと芽生えた疑問をレオンに投げかけた。
「”カイン・フォース”ってのは、どんな男なんですか?」
「カイン、か?」
するとレオンは、どこか悲しげな笑みを浮かべて顔を少し伏せた。そんなレオンの様子を見て、彼はまた問う。
「指揮官は”カイン・フォース”とお知り合いなのですか?」
そう問うてきた部下の言葉に、レオンは思わず顔を上げた。その顔は、「なぜそう思う?」と問うているようだった。部下は少し気まずそうに視線を逸らすと、どこか言い聞かせるような口調で言う。
「”カイン・フォース”の言葉を聞いた時、指揮官はどこか『懐かしむような、それでいて悲しいような、複雑な表情を見せる時があります』。今まで、そんな事ありませんでしたから」
「…………」
部下の言葉に、全くその通りだと心の中で溜息をつくレオン。そして一言だけ、こう言った。


「アイツは、俺と正反対の男だった」


だからこそ俺は、奴が気に入らなかった。同時に、心から信用していた。
だからこそ俺は、奴を捕まえなければならない。
そして幼き頃から変わりない目的のために俺は……

(俺は、強くなったぞ)

レオンはそういって、強く拳を握った。


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