複雑・ファジー小説
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- 「人間」を名乗った怪物の話。 【更新停止のお知らせ】
- 日時: 2013/09/08 03:33
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: qQO5uDpp)
*重要なお知らせ >>164
初めまして、もしくはこんにちわっ(=・ω・)/
「俺は人間だ!」「私は普通の女の子です」
と言い張る怪物2人組のお話です←
ここでは2作目の投稿になります!
まだ1作目が終わってるわけではないのですが(;´∀`)
これは、私の1作目「紅玉の魔女と召え魔の翼」の兄弟作になります。
なので、主人公たちが住んでいる舞台の世界が同じなんですね(笑
といっても、1作目を読んでいるかどうかは全く重要ではないので、気軽に楽しんでくれたらな〜と思いますっ!
*主な登場人物*
*ニコル(主人公)
夜空のような藍色の髪に、碧い左目を持つ。右目は常に眼帯で隠している。20代半ばの青年で、自称『人間』。
本名は『ニコラウス=レイジング』。
家事全般を完璧にこなせるが、旅人。
常にどこか不機嫌そうにしているが、本人は普通にしている……つもり。
*アンヌ
絹糸のような見事な金髪をひとつの三つ編みにしている。蜂蜜のような金色の瞳。12歳の少女で、自称『人間』。
本名は『アンヌ=ヴィヴィアン』。
幼いながら表情が乏しく、近づかなければ聞こえないほど儚いソプラノの声で話す。
ニコルと出会ってから徐々に少女らしい感性を取り戻したり、たまに茶目っ気のある一面を見せることも。
ニコルに懐いている。
-*-*-*-
*その他登場人物*
☆モード >>10 ☆ナルシー >>12 ☆シリウス >>13 ☆ゼルフ&リリー >>21 ☆ハオ >>30
☆ティム >>39 ☆アストルム >>50 ☆ティア >>75 *銀髪の男 >>89 ☆エース >>95
☆ファネル >>110 ☆星野天使 >>111 ☆エミル >>115 *灼眼の女 >>119 ☆小林由美 >>133 ☆ラル >>154
☆マークが付いてるキャラは募集で投稿されたオリキャラです。
-*-*-*-
キャラクターイラスト >>38
(現在載せているキャラ:ニコル アンヌ シリウス モード ティム 銀髪の男 灼眼の女)
現在オリキャラ募集中です!
常に受け付けるので気軽にポイっと投下しちゃってください(笑←
募集用紙 >>9
*目次*
プロローグ【妙な道ずれ】
1 >>1 2 >>4 3 >>7 4 >>8 5 >>14 6 >>17
1話【観光……?】
1 >>24 2 >>25 3 >>46 4 >>58 5 >>72 6 >>78 7 >>85 8 >>88 9 >>91
10 >>99 11 >>105 12 >>113 13 >>116 14 >>129 15 >>136 16 >>146 17 >>158
-*-*-*-
13/8/22 参照100突破! >>23
13/8/23 参照200突破! >>37
13/8/24 参照300突破! >>62
13/8/25 参照400突破! >>82
13/8/26 参照500突破! >>86
13/8/28 参照600突破! >>100
13/8/30 参照700突破! >>118
13/9/1 参照800突破! >>132
13/9/3 参照900突破! >>151
*素敵なお客様方&素晴らしい代表作*
*不死鳥 さん 「WONDER TRAVEL」
*モンブラン博士 さん 「パンプキン王子の冒険」
*黄泉さん さん 「凶鳥」
*コッコ さん
*ブルー さん
*芳美 さん 「Aerial girl〜skydive〜」
*SIN さん 「魔法な世界と居候な俺と」
*コウタ さん 「闇の青年シリウス」
*インフェルノ さん 「流浪のガンナー」
*花蓮 さん 「何よりも甘いキス」
*ミュウ さん 「精神世界」
*サツ さん 「レイジング」
-*-*-*-
- Re: 「人間」を名乗った怪物の話。 ( No.3 )
- 日時: 2013/08/20 11:28
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)
不死鳥さん
おお、ここでもお会いしましたね!早速コメントありがとですーっ(#^^#)
というか、この作品の初コメですね!ww
がんばって続けていこうと思うので、気長に見ていてくださるとうれしいです!
ところで、不死鳥さんは何の作品を執筆していますか?
題名教えてくれればぜひ読みに行きますっ(*´▽`*)
- Re: 「人間」を名乗った怪物の話。 ( No.4 )
- 日時: 2013/08/21 02:24
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)
2.
時刻は、今から数分前にさかのぼる。
俺は、とある事情で住む場所がないため、あっちこっちを旅してまわる旅人だ。目的は特にないが……言ってみれば、住処探しと観光を兼ねた感じだ。
ま、この右目がどうにかならない限り、住処は見つかりそうにもないがな……。ああ、この右目のことはそのうち話す。
ちなみに、俺は人間だ。
……誰が何と言おうが人間だ。
俺は基本的に、移動は夜のうちに行う。
今も、ついさっきまで宿泊していた宿を出て、もう国境を越えたところだ。
前回滞在していた国で買った、安物の地図を広げて方向を確認する。
「……あっちか」
街道(といっても裏街道なので、整備は全くされていない)を歩きながら、俺は目的の国の方向を目指した。
そのときだった。
ドサッ!!
やけに大きな、鈍い音がどこかから響いた。そう遠くない。
なんだ、と思って音のしたほうを見やる。
「よぉ、嬢ちゃん。こんな夜中に何してンだぁ?」
「あぶねぇなぁ、悪いヤツらに襲われたら、パパやママが悲しむぜぇ?」
2人組の盗賊が、小柄な少女を釣り上げているところだった。
盗賊の1人は少女の首を、汚らしい手で掴んで下卑た笑いを浮かべている。少女の足は宙に浮いていた。
「……くっ……なして、くださ……っ」
「ああ?きこえねぇなー?」
釣り上げている盗賊が少女をいたぶっている間、もう1人は地面に落ちた少女の物らしき荷物をガサゴソ漁っていた。
俺は、この状況をどうしようか迷った。
はっきり言って、あの程度の盗賊2人くらい、適当に蹴散らせる。
が、あの少女が何かいわくつきの——例えば、若気の至りで後先考えずに家出してきた貴族の娘とか——だったとしたら、俺にとっては何の利益もない、それどころか旅の邪魔になる面倒事を抱えることになる。
しかし、俺がそうして迷っているうちに事態は動いていた。
荷物を漁っていた盗賊は、急に悪態をついて荷物を蹴り飛ばした。
「あンだよ、クソ!金目のモン、何も持ってねぇじゃねーか!!」
「はぁ?んなわけないだろ、これだけいい身なりしてるんだ、何かはあるだろ!」
「ねぇよ。なんかよくわかんねぇ葉っぱとか薬みたいなのしか入ってねー。……気持ち悪ぃな、この女、魔女か?」
盗賊が少女の顎を乱暴に掴んで上を向かせた。
少女は、少し震えながらもなぜか表情は陶器のように無表情だった。
「……顔色ひとつ変えねぇ。こりゃ、魔女か」
「おいおい、本気かよ?ジョーダンじゃねぇ……」
と、そこで最初に少女を吊し上げていたほうの盗賊が、無い頭を働かせて何かひらめいた。
「そうだ!おい、こいつ奴隷にして売り飛ばせばいいんじゃねぇか?」
「!名案じゃねーか、確かに容姿だけは人形みたいだしなぁ。偉い値段が付きそうだぜ」
再び下卑たいを漏らす盗賊。
少女はそんな彼らを、まるで石ころでも見るかのように無表情に『見る』だけ。
……俺は、なんとなくその少女がいたたまれなくなった。
泣きわめくこともせず、形ばかりの抵抗はしてもその動作からはさほど必死さがが伺われない。……そう、まるでもう『何もかも諦めきったような』。
「……ふざけんなよ」
気が付くと、俺は誰にともなくそう独り言をボソっ、と呟いていた。
——そして、自分でも気づかないうちに、次の瞬間。
ゴキッ、
「げふっ、ぁ!!??」
鈍い音をたててぶっ倒れる盗賊。そいつの首があった位置にある、俺の右足。
俺は、少女を釣り上げていた盗賊を、渾身の脚力で蹴り上げていた。
ぶっ倒れた盗賊は、そのまま白目をむいて気絶した。
「え?……へ?」
状況を全く理解していない、残された盗賊は倒れた相棒と突如現れた俺を、交互に見た。……いかにも間抜けそうな面だ。
一泊おいて、我に返ったそいつは、今度はその間抜け面を怒気で真っ赤にした。
「て、テメェ!何しやがるんだ、このっ!」
そして殴りかかってくる。
俺はサッ、とそれを避け、「うわっ!?」と馬鹿のように悲鳴をあげて態勢を崩した盗賊の腹に拳を突き出そうとした。
瞬間、俺は右目がジン、と熱を帯びて疼きだす感覚を覚えた。
(あ、やばい)
と思ったときには時すでに遅し。
グゴシャァァァっ!!!
俺の握った手のひらは、見事に盗賊の腹に命中。——しすぎて、肉をえぐった。
「げええぇぇぇっ」
盗賊は白目をむいて、吐血。
ドボドボ、と暗闇には真っ黒にしかみえない液体をぶちまける。ああもう、シミ落とすの大変なんだぞ、オイ。
と、そんなくだらないことを考えていると、盗賊はドサっ、と倒れこんだ。
右目の疼きや熱は、いつの間にかとっくに消えていた。チッと俺は舌打ちし、眼帯の上から右目をポリポリかく。俺の悪い癖だ。
そして、つかの間忘れていたが少女を振り返った。
少女は、相変わらずそこにいた。
最初の盗賊が倒れた時に、地面に座り込む態勢になったのだろう。
そこから、無表情なまま金色の双眸が俺を見上げていた。
「…………」
「…………あー、まぁなんだ。……大丈夫か?」
何か声をかけるべきだと本能で察したが、気の利いた言葉が浮かばずかなりベタな感じになってしまった。思わず眉根にしわが寄る。
「大丈夫、です」
少女は、やはりあの儚い小さな声で答えた。
「そうか。……えっと、あっちに進んでいけば国にたどり着くから」
俺はやっとそれだけ言った。昔から人と話すのは苦手だ。
少女は俺が示した方向を、チラリとも見ずに俺を見据える。俺はなんだか居心地が悪くなった。
ん?俺、人助けしたんだよ……な?
「…………まぁ、そういうわけだから気をつけてな?……じゃ」
俺は内心舌打ちした。
くそ、さっきまで襲われた少女を颯爽と助けていた、どこぞの騎士気取りがこのザマかよ。
まぁ、こいつにどう思われていようがどうでもいい。もう2度と会うことなんてないだろうしな。
俺はそそくさと旅路を急いだ。
——トテトテという足音に気づいたのは、その数分後である。
- Re: 「人間」を名乗った怪物の話。 ( No.5 )
- 日時: 2013/08/20 12:15
- 名前: 不死鳥 (ID: gOBbXtG8)
「Spirits and Magic」と「WONDER TRAVEL」ですよ。
やば、自分の小説なのに綴りに自信がない・・・(泣)
私も執筆頑張るので、アルビさんも頑張ってください!
- Re: 「人間」を名乗った怪物の話。 ( No.6 )
- 日時: 2013/08/20 18:34
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)
不死鳥さん
読みました〜(*´▽`*)
Spirits and Magicの件ではほんとすいません(ノД`)・゜・。
コメントもしておきましたっ
はい、執筆お互いに頑張りましょう!(=・ω・)/オーッ
- Re: 「人間」を名乗った怪物の話。 ( No.7 )
- 日時: 2013/08/20 19:44
- 名前: アルビ ◆kCyuLGo0Xs (ID: I/L1aYdT)
3.
それから数時間が立ち、朝日が昇り始めた。
街道はそのまま山に差し掛かり、今俺(と後ろから付いてくる少女)は崖のようなところを歩いている。
崖と言っても、馬車が通れるくらいの幅はあるため、落ちる心配はない。
山とはいえ、緑はまったくなく視界を遮るものもないため、真下の樹海や朝焼けが一望できた。
純粋にきれいだなと思う。
後ろの少女も、時折足を止めて昇ってくる朝日を眺めたりしていた。
「…………」
「…………」
やはり俺たちの間に会話はない。
……本当に、何が目的なんだあの少女は。さっぱりわからない。
と、その時だった。
ガラッ、ピシピシ……ッ
「ん?」
妙な音が上のほうからした。
見上げてみると、
「うあっ!?」
さすがに驚いた。馬車よりも一回りも大きいくらいの巨石が降ってきたのだ。
おそらく山の一部が風化して崩れたのだ。
が、そんなことを分析している場合じゃない。俺は即座に巨石が落下するであろう地点から離れた。
離れ——ようとした。
「……チッ、ああもう」
俺は小さく悪態をつきながら道を急いで少し戻り、
がしっ
「え?」
キョトン、としている少女の腕を掴んで引き寄せた。
瞬間、俺と少女の目の前——寸秒まで少女がちょうどいた位置を、降ってきた巨石がすさまじい音をたてながら通り過ぎて行った。
崖の道幅では巨石は止まり切れず、そのまま下へ落下し、……しばらくしてからボスッ、という音がかすかに聞こえた。樹海に突っ込んだのだろう。
その様を、少女は相変わらず何を考えているのかわからない無表情で眺めていた。……俺はたぶん、よく言われる『不機嫌そうな顔で睨むように』眺めていたんだと思う。
「ありがとうございます」
少女がお礼を言ってきた。対して俺は、本日何度目になるかわからないため息をついた。
「お前なぁ……。危機回避能力っつうのを持ってないのか?」
「何かの特殊能力ですか?」
「……やっぱもういいや」
真顔で問うてくる少女に俺は投げやりに返した。
そして俺が何事もなかったように歩き出すと、やはり少女は付いてきた。
「…………」
「……なぁ、」
「はい」
しかし、俺が話しかけると少女は打てば響くように即座に返事を返す。
「お前、家出でもしてきたんじゃないのか?」
「追い出されました」
「は?」
俺は、いつの間にか少女と会話していた。
「追い出された、って……は?」
少女は先ほどまで無言を貫き通していた俺が話しかけたことに、特に嬉々とするわけでもなく、狙いすましたわけでもないように淡々と語る。
「私は、『忌み子』なのだそうです。私自身は人間だと自覚していますが、他の方はどうしてもそれを信じていただけませんでした」
なので追い出されました、と少女は続ける。
そして、唖然として何も言わない俺にその無表情な顔を向け、こう言った。
「あなたと同じだと思います。『ドラゴンさん』」
その呼び名に、俺は思わず反応した。
「おい、ドラゴンさんってなんだよ?俺は人間だ」
「そうですか。では眼帯さん」
「それもやめろ馬鹿」
眼帯さんって……。こいつのセンスは何なんだ。まぁ、『ドラゴンさん』と呼ばれるよりは断然マシだが。
「なれ合いが好きでなければ、名乗ることもしたくないのでしょう。それなら、名前以外で何か呼び名を決めないと不便です」
「あーもう、わかったよ……俺の負けだ」
俺は両手を軽く上げた。
「俺はニコラウス=レイジング。ニコルでいい。……これでいいだろ?間違っても人前で『ドラゴンさん』とか言うなよ?」
「自己紹介をしてもいいのですか?」
なぜか若干驚いた風に少女は言った。
「この先付いてくるな、っつっても結局付いてくるつもりだろ、お前」
「はい」
即答だった。
「私はアンヌ=ヴィヴィアンと申します。アンヌで結構です。よろしくお願いしますね、ニコルさん」
「結局関わる気満々だったんじゃねぇかよ……」
ただ付いてくるだけで何もするつもりはない、と言っていたはずがな。
まぁいいか。
もう互いに名を名乗ったなら、いい加減『赤の他人』ではないだろう。
こうして俺の旅に、妙な道ずれができた。
まさかこいつ——アンヌとの出会いと、その後の旅が、そこまで長く続くとは、夢にも思わなかった。
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