複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

Dead Days【キャラ投稿者様各位へ】
日時: 2015/05/10 19:19
名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)

 平穏な1日が過ぎ去ろうとしていた、とある真夏日のこと。
 完全に日没しきったその日の夜に、何でもない夜空が突然紅く染まった。
 この日以降の3年間に亘る日付を、人々は未来永劫"デッドデイズ"と呼ぶようになった。



    ◇  ◇  ◇



※キャラ投稿者様各位へ重要なお知らせ※

一部のキャラの苗字、或いは名前を一時的に変更して登場させてあります。
これは一時的、そして伏線による故意ですので、誠にご勝手ではありますが何卒ご了承をお願いいたします。
現状、下記の通りです。後程追加される可能性があります。

星空真澄→星野真澄
水久洋介→水久良介
古田綾香→古田彩香



〜目次〜


キャラ紹介>>16


プロローグ〜存在しなかった時間〜>>1


一章〜レッドナイト現象と異能者〜
>>2 >>3 >>4 >>5 >>6

二章〜デッドデイズの始まり〜
>>18 >>19 >>20 >>21 >>27 >>29 >>36 >>37 >>38

三章〜忌子の末〜

Re: Dead Days ( No.1 )
日時: 2015/04/25 22:14
名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)

 目に飛び込んできたのは、鮮やかな色彩だった。
 黒、赤、桃、黄、緑と、この5色が存在し、混ざり合うことなく蠢いている。
 四方八方どこを見渡しても、そんな色たちが混同し、絶えず変化し続ける光景が広がっているだけの静かな場所だ。

 しかしそんな中で、確かに存在しているナニカがある。
 アゴが外れたかのごとく、大きく口をあけて絶叫する仕草を見せる——人の形をしたナニカが。
 人間の手にあたるもので、抑えるように頭を抱えている。見ている限りでは、しまった、という声が聞こえてきそうだが——苦しそうにもがいているようにも見える。どこか、何かに飢えているような。底なしのバケツに血を満たすのと同じように、絶えず何かに飢え続けている。そんな感じさえする。

 5色だけが存在する、鮮やかで混沌としたこの空間。
 人の形をしているナニカも、当然その5色で彩られている。
 この空間は、一体何なのだろうか。
 心なしか、どこかで時計の針が動くような音もする。

 だが、確かなことが1つある。
 これは、心に大きな傷を負った仲間を助けるための戦いなのだ。

「っ!」

 人の形をしたナニカは、突然襲い掛かってくる。悠然と、まるで瞬間移動のような速さで。
 当然である。奴はこの空間の支配者——すなわち奴にとって、ここは自分だけの空間となる。
 有利にならないはずが無い。差し詰め、混沌の支配者と言ったところか。

 混沌とした鮮やかな色彩。
 その中でカメレオンのように擬態するナニカは、右手らしき部位をサッと振り上げた。
 何か握っているのか、手のような形をした部分は握りこぶしの形となっている。
 対して相対する少女は素早く後ろに飛び、剣を握る両手の力を篭めた。

「ごめんね……すぐ楽にしてあげるから……」

 楽にする——その言葉の意味が、果たしてどのような意味を持っているのか。
 少女にしてみれば"解放"の意味を篭めているが、今後の展開次第では、"死"の意味に早変わりする。
 ナニカに向けられた、楽にするという言葉。しかしそれは聞こえることなく、虚しく虚空へと消えてゆく。

「ちょっと痛いけど、我慢してよね!」

 右手には剣1本。左手には短刀1本。
 防具は、腕輪。右手に嵌められた、この空間で唯一七色に輝く虹の腕輪だ。
 少女は以上の武具を以って、混沌へと立ち向かった————

Re: Dead Days ( No.2 )
日時: 2015/04/26 11:10
名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)

 ——気付けば俺こと"新崎晃"は、4時限目の授業中に居眠りをしていた。
 毎度の事ながら、現代社会の授業は気が滅入る。何故なら板書をとることもなければプリントを使うわけでもない、ただ黙々と教科書の内容を追って先生の哲学を聞くだけのつまらない授業なのだから。
 現代社会の教師を担当するのは今井先生。この人は著書を出版するほど公民や地理に詳しいのだが、やはりというかその分話は長い。真面目に聞いていれば分かりやすい授業とはいえ、所詮は話を聞くだけなので、生徒からはかなり煙たがられている。
 今も"国民の三大義務"について先生が何やら持論を語っているが、かれこれその事だけで4時間も授業が潰れている。最早真面目に聞いている生徒などいなくなったのだが、それを知ってか知らないでか、先生はまだ三大義務——そのうち納税について語っている。
 普段は大真面目に授業を聞く連中も、今ばかりは友達と小声で喋っていたり余所事に没頭している。

「ふあぁ……」

 宿題でもやるか——そう思って週末課題を取り出したとき、後ろから他者の眠気さえ誘うような柔らかい欠伸が聞こえてきた。

「ねむねむ……」

 サッと後ろを振り返れば、ソイツはピクンと身体を震わせて驚いた。

「なに大欠伸してんだよ。こっちまで眠くなるだろ」
「別にいーじゃん。寝てる子多いし、先生の授業つまんないし」
「ご尤も」

 後ろで眠そうに目を擦っているのは、華奢な体つきをした女子生徒"雨宮優希"
 俺に限らず大多数の人が口を揃えて言うのだが、コイツの声を聞いていると、何故だか眠くなってくるのである。
 普段からおっとりしてるし、声も柔らかい感じがするから、まあまあ納得できないわけではないが——この謎現象。集中したいときに近くにいると、ある意味厄介な子である。
 だからましてや欠伸など、誘われる眠気の量も数倍に膨れ上がるわけで。
 現に1人2人、新たに机に突っ伏して寝始める生徒が出ている。

「週末課題やりたいから、お前は黙ってろ」
「何でー?」
「お前の声が耳に入ると、こっちまで眠くなって来るんだよ……!」

 因みにこの雨宮優希さん。声色1つで周囲を寝ぼすけに変えてしまう特性を持つが、当の本人も中々の寝ぼすけである。
 今日だって昼休みに、中庭のベンチでのほほんと転寝していたくらいだ。始業しても優希の姿が無いとクラスが騒然としたところで、俺が態々思い当たった中庭まで迎えに行ったのだが——俺の迎えが無ければ、恐らく数時間は寝たままだっただろう。

「じゃあ私も週末課題やるかな。あとで答え見せてね」
「へいへい」

 だが、優希の特性は何も悪いことばかりではない。
 俺はここ最近不眠症で悩んでいたのだが、優希のお陰で見事寝付くことに成功したのである。
 声を聞けば眠くなる。たとえ電話越しでも、この特性は変わらないらしい。
 きっとどんな赤ちゃんでも、一瞬で泣き止んで寝付くのだろう。



    ◇  ◇  ◇



 放課後。優希と別れた俺は、保健委員の仕事を全うしていた。
 本来の保健委員が忌引きで学校を休んでいるため、そして先生から半ば強制的に仕事を依頼されたため、俺は仕方なく。あくまで仕方なく取り掛かっているだけであって、断じて俺は保健委員ではない。そしてやりたくない。
 仕事内容といえば、手洗い場の石鹸をチェックして、足りないようなら足すだけの非常に簡単なものである。
 だが、回るべき手洗い場の数が尋常でなく、俺は半ば強制でも仕事を引き受けたことに少し後悔していた。

 この学校は、1棟4階と屋上から成る校舎4つが、まるで正方形を描くように配置されている特殊な構造になっている。
 校舎がそれぞれ生物、科学、物理、コスモサイエンスと理系学科4つに分かれているためだ。
 因みに普通科職員室や校長室、そのほか生徒指導室などの特別な部屋は、4つの校舎の中心に全て集中している。だから中庭に関しては、中庭といっても2階に位置している中途半端な存在なのだ。

 そして俺は化学科に進級しているので、化学科の棟の手洗い場を回っていくわけなのだが——最近保健委員会そのものがサボりがちなのか、俺一人で化学科の棟すべてを回らなくてはならなかった。
 当然、普段より仕事量も膨れ上がる。部外者の俺に、ましてや1人にここまでやらせるか——流石うちの担任だ。

「ん?」

 石鹸は全て固形なので、ボトルにソープを詰め替えるなどの面倒な作業が無いのが唯一の救いである。
 しかし今、その石鹸が底を尽きたようだ。
 さっきまで気に留めていなかったが、ケースの蓋を開けたら石鹸が無かったのである。
 仕方ない。保健室まで石鹸を取りに行かねば——果たして、保健室は開いているだろうか。
 開いていなければ普通科職員室まで鍵をとりに行くことになる。面倒なのでそれは避けたいところだが、もう少しで日没を迎えるというのに、ましてや部活動の掛け声も完全に消えたというのに、それはあまりにも望み薄である。

「サボればいいじゃない」

 ——なんだ? 今一瞬、悪魔の声が囁いたぞ?

「石鹸の詰め替え作業なんて、面倒でしょ?」

 声のした方——背後を振り返る。
 話しかけてきたのは女子生徒だった。上履きの色からして上級生だと分かる。
 しかし妖しい人だ。何と言えば良いのだろうか。こう、婀娜っぽいというか艶めかしいというか。
 とりあえず言えるのは、凡そ学生とは思えない雰囲気を醸し出すミステリアスな先輩、ということだけだ。
 腰あたりまで伸びた黒髪が、まるで首筋を這う蛇のように見える。

「……人の髪を蛇みたいな目で見るの、やめてくれない?」

 ——図星である。
 彼女の紅い瞳に眼光が宿り、俺は一瞬、あの目が合った者を石にするというメドゥーサと姿が重なった。

「メドゥーサじゃあるまいし」
『……?』

 ——おかしい。何故ここまで、俺の考えていることが分かるのだろうか。

「誰だって分かるわよ。だって貴方、表情に出てるもの。考えていること全部が、ね」

 オイオイ、俺は小さい頃から仏頂面と言われてきたほどクールな男だぜ?
 まさかそれが全部、高々普通の高校生に見破られるなど——

「あるわよ」
『……まさか』

 ——俺はこの人と相対してから、未だ一言も喋っていない。
 だが、一概に会話と言い切れるかどうかは別として、こうして俺達の間では会話が成り立っている。
 きっとこの人は本当に、俺の考えていることを見抜けるのだろう——俄かに信じ難いが。

「仏頂面って言うのはね、無愛想とか不機嫌だったりする表情の事を言うのよ。何も無表情という意味ではないわ」
「へー。初めて知った」

 棒読みで返す俺。
 すると、先輩の表情も分かりやすいというか、明らかな不機嫌さ——それこそ仏頂面が窺えたが、溜息と共にそれは消えた。
 まあいいわと言いつつ、元通りミステリアスな雰囲気に返る。

「で、どうするの?」

 それ、と言いながら指を指す先にあるものを見て、あぁそうだと俺も溜息をつく。
 この謎過ぎる先輩のお陰ですっかり忘れていた。さっきまで俺は石鹸の詰め替え作業をしていたのだ。
 改めて考えてみれば、石鹸が底を尽きたのだ。これ以上やる理由はないだろう——そう自分に言い訳した。

「石鹸も尽きたし、今日は止めにするよ」
「あら、そう?」

 すると先輩は、少しだけ嬉しそうな笑みを湛えて——

「ならこの後、ちょっと私に付き合ってくれない? 話したいことがあるの」
「先輩、最初からそれが目的だっただろ……」
「まあ、そうとも言うわね。でも、折角かわいい下級生が委員会の仕事を頑張ってるのに、申し訳ないでしょ?」
「どうだか。最初から俺がめんどくさそうにしてたの、見抜いてたくせに」
「あら、案外馬鹿ではないのね」

 ——じゃあ俺はさっきまで馬鹿にされていたのか。
 心外だな、これでもテストの順位は良いほうだぞ——と言いたくなったが、言うだけ無駄だと思って口を噤んだ。
 目の前にいる先輩は、こちらの表情を読んでくるのだから。
 現に先輩は薄い笑みを——それも邪悪な方向で湛えながら、クスクスと小さく笑っている。
 どうやら既に、俺の考えていることは見抜かれたらしい。

「貴方って、面白いわね」
「どこが」
「だって、コロコロ表情が変わるんですもの——それから、日没までなら付き合ってあげてもいいわ」
「何だ、暇人か」
「……はぁ。人聞きが悪いわね、貴方。私ほどの人間になると、いつも放課後は余暇を持て余してるの。それだけよ」
「さいですか。そりゃどーも」

 きっとまた俺の表情は仏頂面に戻っているのだろう。
 それに対し、またからかってくるか——と思いきや、先輩の表情は真剣なそれになっていた。

「でもまあ、馬鹿じゃないのなら真面目に話してもいいわね……雨宮優希さんのこと」
「ん? 優希? 優希が何か?」
「——そうね……ここだと人目につく可能性もあるから、ちょっとこっちへ来なさい」

 踵を返し、スタスタと歩き出す先輩。
 言われるがまま、俺も慌てて後を追う——

Re: Dead Days ( No.3 )
日時: 2015/04/26 16:15
名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)

 やってきたのは生徒会室だった。
 ただ、場所は"旧校舎"と呼ばれる廃校のような場所である。旧校舎はかつて生徒の多さから使われていたが、今は人数が減ってきたことで物置と化しているため、人が立ち入ることは滅多にないのである。
 旧校舎は、校門から見て南側——本校舎の裏側に建っている。
 何ともいえない古さ加減が、何か化けて出てきそうな雰囲気を醸し出しているのだが——

「ちょっと、私にピッタリな場所だなんて思わないで」

 ——察された。
 というか先輩は俺より先行している。顔も見てないのに、どうして俺の考えていることが分かるのだろうか。
 これはもう、表情を読むというレベルじゃない気がする。



 生徒会室は、普通の教室と何ら変わり無い。
 ただ教室の半分がガラクタと、昔の生徒会の資料で埋め尽くされているだけで。
 先輩は数個置いてある椅子——ではなく机に腰掛け、優雅に脚を組んで髪を払った。
 露になった太腿がやけに色っぽい。

「それで、優希さんの事だけど……」

 しかし先輩は、そんな俺の目線などさして気にせず、さっさと本題を切り出していた。
 とりあえず空気が悪いので、俺は窓を開ける。
 入ってくる新鮮な空気が風となって、先輩の長い黒髪を揺らした。

「貴方、思わないかしら? 何故あの子の声を聞いてるだけで、こちらが眠くなってくるのかって」
「あぁ……確かに思うけど、それがどうかしたのか?」
「なら、貴方の見解を教えてくれないかしら? 何故かを、ね——」
「分かった」

 とりあえず、俺が思っていることを先輩に話してみた。
 あいつのおっとりとした雰囲気や声が、周囲の人間をリラックスさせて眠気を襲うんじゃないか、と。
 しかし先輩が言うには、どうやら1割程度しか正解ではないらしい。

「確かにあの子の声や雰囲気は、周囲の空気を和ませるわ。けど、根本的な理由は——そうではないの」
「どういうことだ?」
「貴方、今年の6月15日に何が起きたか——覚えているかしら?」

 ——今年の6月15日と言えば、思いつくことは1つだ。

「レッドナイト現象、だろ?」
「よく覚えてるわね。豚にしては上出来よ」
「ちょい待て、俺は豚じゃないぞ。立派な人間様だぞ! それにあんなキチガイな出来事、忘れろってほうが無理だ」
「そう。そのレッドナイト現象だけどね——」

 思いっきりスルーされる俺。
 人の話を聞けと怒鳴りたくなったが、ここは何とか我慢した。

 レッドナイト現象というのは、簡単に言えば空が赤く染まるという謎現象の事である。
 夜空が突然じわじわと赤みを帯びて、普段は星を携え綺麗なはずである漆黒の夜空が、まるで血液の如く赤くなった。
 その現象が起きた日こそが、6月の15日。
 あれから夜空は相変わらず真っ赤で、中には眠れない夜を過ごす人も現れ始めているらしい。

「あの日——空が赤く染まって以来、一部の人間に摩訶不思議な力が現れるようになったのよ」
「はぁ?」

 摩訶不思議な力とか、中二病かて。

「事実よ」
「マジで言ってんの? 遂に頭壊れたのかよ?」
「だったら、証拠を十二分に見せてあげるわ」
「どうやって?」
「例えば私の場合、相手の心を読む力が備わった——今から貴方が考えてること、全て当てて見せるわ」

 そう言って先輩は目を閉じ、俺に背を向ける。

「じゃあ、貴方が今食べたいものを考えてみて」
「食い物か」

 言われるがままに、俺は食べたいものを思い浮かべようとする。
 だが今は、特に腹が減っているわけでもないので、特に食べたいものは思い浮かばなかった。
 ——すると。

「食べたいもの、特にないのね」

 ——見事というか、当ててきた。
 まさかこの人は本当に、こんな超能力じみたようなことをやってのけるのか?
 少し試してみよう。

「先輩」
「何よ」
「俺は今から考え事をする。考えてること当ててみろよ」
「上等よ……始めなさい」

 ——少しの沈黙が流れてから、俺は自分の部屋を思い浮かべる。
 部屋の端っこを陣取る机にはパソコンが置いてあって、今まで俺が保存してきたアニメや動画の数々が保管されている。
 そういえば、あとどれくらいの空き容量があっただろうか。そろそろ新しいメモステを買うべきかも知れない。

「——自室のパソコンにアニメや動画を保存してあるのね。それで、容量不足になる前に対策を練る、と」
「……マジで読めるのかよ。俺の考えてる事……」
「えぇ」

 再び先輩は俺のほうを向いた。
 心なしか、白皙の頬が淡い桜色に染まっている。
 ——まさか、俺の秘蔵のフォルダについて知ってしまったか!?
 って、流石に考えすぎか。できればそうではないと願うばかりだが——

「知ってしまったわ」

 現実は違った。
 俺は思わずその場で項垂れる。

「くそう、俺の18禁動画……」
「全く、変な性癖ね。女の子同士でヤるなんて」
「言葉にしないで、お願いだから! 俺が恥ずかしすぎて死ぬ!」

 全く、こんな盛大な辱めを受けたの初めてだぞ……

「いいこと、晃君? 世の中に百合っ子なんてそうは居ないものよ。もう少し現実を見ることを覚えなさい」
「嫌だ、俺は二次元に——ん?」

 俺は違和感を覚えた。
 先輩と俺は初対面で、お互いに名前さえ知らない間柄である。
 しかし先輩は、俺の名前を知っていた。これはどういうことだろうか——
 そんな疑いの目で先輩を見ると、彼女は薄ら笑みを浮かべた。
 全く、雪女みたいな笑い方をする人だな——


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。