複雑・ファジー小説
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- Dead Days【キャラ投稿者様各位へ】
- 日時: 2015/05/10 19:19
- 名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)
平穏な1日が過ぎ去ろうとしていた、とある真夏日のこと。
完全に日没しきったその日の夜に、何でもない夜空が突然紅く染まった。
この日以降の3年間に亘る日付を、人々は未来永劫"デッドデイズ"と呼ぶようになった。
◇ ◇ ◇
※キャラ投稿者様各位へ重要なお知らせ※
一部のキャラの苗字、或いは名前を一時的に変更して登場させてあります。
これは一時的、そして伏線による故意ですので、誠にご勝手ではありますが何卒ご了承をお願いいたします。
現状、下記の通りです。後程追加される可能性があります。
星空真澄→星野真澄
水久洋介→水久良介
古田綾香→古田彩香
〜目次〜
キャラ紹介>>16
プロローグ〜存在しなかった時間〜>>1
一章〜レッドナイト現象と異能者〜
>>2 >>3 >>4 >>5 >>6
二章〜デッドデイズの始まり〜
>>18 >>19 >>20 >>21 >>27 >>29 >>36 >>37 >>38
三章〜忌子の末〜
- Re: Dead Days【キャラ募集一時停止】 ( No.34 )
- 日時: 2015/05/06 09:37
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
全部拝見いたしました。
個人的に今まで登場したキャラの中でお気に入りは雨宮優希ちゃんです。ほのぼのとした性格と異能が和みそうで、読んでいてほっこりとした気分になりました。彼女が再登場するのかが気になります。
どうやらこの物語はドッペルゲンガーがカギになっているようですね。
これからどうなるのか展開に期待しています。
白鷹千秋ちゃんは心を読む異能の持ち主ですが、彼女と蘭丸が対峙したらどんなやりとりを繰り広げるのか興味をそそられます(笑)
- Re: Dead Days【キャラ募集一時停止】 ( No.35 )
- 日時: 2015/05/08 18:20
- 名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)
モンブラン博士様>>
この度は貴重なコメントありがとうございます。
優希の設定はリア友の間でも人気が多いようで、今のところは私も個人的に好みだったりします。
ドッペルゲンガーが鍵——とは一概には言い切れませんが、今のところは最大の伏線なのでしょう。
欄丸と千秋の対峙は後半あたりになりそうです。
- Re: Dead Days【キャラ募集一時停止】 ( No.36 )
- 日時: 2015/05/08 21:14
- 名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)
「————っ!?」
カッと目を見開き、俺は勢いよく飛び起きた。
何だか悪い夢を見ていたような気がして、全身が汗に濡れて気持ち悪い。
「……?」
——目覚めたここは自分の部屋で、俺はベッドの上にいる。
枕元の目覚まし時計は午前1時を指していて、まだ日本の住民は寝ててもおかしくない時間帯である。
俺は汗で濡れた寝巻を着替えようと、部屋の電気を付けた。
——しかし、先ほどまで見ていた夢が思い出せない。
汗を拭いて着替え、再び消灯してベッドに寝転がるまでの間——俺はやっぱり夢の内容を思い出せずにいた。
悪夢だったことは確かだ。床に放った寝巻きとタオルが、そう十二分に物語っている。
ただ、夢にしてはリアルすぎたような気がする。
何せ触覚や視覚が現実そのもので、先ほどの事が現実で今この瞬間が夢なんじゃないか——そんな感じさえするのである。
確かこういうのを、胡蝶の夢って言うんだっけか——いや、何か違うな。
試しに弄ってみたスマホは、6月30日の木曜日を指している。
ということは、だ。明日学校に行かねばならないことに変わりはない。なので俺はさっさと眠りについた。
シーツも汗で濡れているため、俺は扇風機をそこに当てながら床で寝ることにする。
フローリングの床なので、きっと翌日には身体が痛くなっているのだろう——
- Re: Dead Days【キャラ募集一時停止】 ( No.37 )
- 日時: 2015/05/09 22:30
- 名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)
翌日の放課後。
案の定身体中が痛くなっていたが、俺はあの夢について相談したいがために千秋先輩の元を訪れていた。
場所は勿論、旧校舎の生徒会室。半分が物置となったここで、彼女は放課後にいつも余暇を持て余しているはずだ。
「ん?」
しかし、先輩はいなかった。
ただ、窓だけ開け放たれているのを見ると、さっきまで誰かがここにいたことは間違いないようだ。
——となると、屋上か。
◇ ◇ ◇
「よくここが分かったわね」
やはり先輩は、新校舎の屋上にいた。
柵に背中を預け、物憂いとした表情で遠くを眺めている。
視線を追えば——空。空が灰色に染まっている。分厚い雨雲が広がっていて、今にも雨が降りそうだ。
「今日はどうしたの?」
「変な夢を見たんだ。だけど、夢の内容が全然思い出せなくて。先輩何か知らないか?」
「……」
——瞬間、先輩の表情が強張った。
「それ、私からも言おうと思っていたわ」
どうやら心当たりがあるらしい。
「恐らく、晃君の稲生が発動したのよ」
「……ふぁ? 俺の異能が発動した?」
「えぇ」
先輩はポケットからスマホを取り出した。
相当古い型なのか、機種が分からない。
「今日は6月の30日——でもね、晃君。本来なら今日は、7月2日のはずなのよ」
「ど、どういうことだ?」
「まずは落ち着きなさい。あれから私も、更に色々調べたわ。貴方の異能が気になって、ね」
ポケットにスマホを仕舞う先輩。
手持ち無沙汰となった両手は、腕を組むことで自由を失う。
「まず貴方の異能は、あったはずの出来事を別の出来事で上書きしてなかったことにする——そんな内容だった。でも、どうやらそれは間違いだったみたいよ。晃君が操る異能は、もっと大規模なもの——」
——ここで、先輩は今日初めて俺と目を合わせた。ただ、身体は柵に預けたままだ。
曇り空の影響か、真紅の瞳は幾らか輝きを失っている。
「貴方の異能はね、どうやら時間を巻き戻すみたいよ」
「……え?」
「上書きではない。あったはずの未来を抹消して、時間を過去に戻すの」
言ってることが謎すぎて、一瞬どころか数秒ほど、先輩の言葉が理解できなかった。
「時間を巻き戻す? 俺が?」
「えぇ」
少し遠くにいる先輩は、柵から背中をはがして俺のほうに歩み寄ってきた。
——と思えば俺を通り過ぎて、先輩は校舎内へ戻ろうと扉に手を掛ける。
「今日はここまで。時間を巻き戻す異能を持ったこと、明日までに自覚してきなさい。私からの宿題ね」
そう言って先輩は、振り向くことなく屋上を後にした。
「——」
何だか最近、取り残されることが多いような気がする。
「時間を巻き戻す、か」
俺も先輩と同様、屋上のフェンスに背中を預け、どんよりとした鉛色の空を見上げた。
いつの間にか風も出ている。しかも結構な強風で、この調子だと雨が降るかもしれない。
ただ、雲は鉛色であって赤色ではないため、赤い雨が降る心配はなさそうだが——
「——19時……帰るか」
もう部活動の掛け声も聞こえてこない。
時間も時間だし、そろそろ帰ろうかとフェンスから背中を引っぺがしたら——
「——ふぇ?」
「……あ?」
突然、女の子の声が聞こえた。
「誰だぁ?」
しかし四方八方、どこを見渡しても人影は無い。
気のせいか。そう思って再び空を見上げたら——
「……」
「……」
——いた。
前後左右、どこを見渡しても見つからないわけだ。
何故なら声の持ち主は、上にいたのだから。
「ななな、何でこんな時間に、こんなところに人がっ!? あわわわ、どうしましょう……見つかっちゃいましたぁ……!」
1人でエキサイトしている空中の少女を、俺は見たことがある。
千秋先輩とはまた違った、滑らかな艶を持った黒髪ロング。
何より泣き黒子と、穏やかで透き通ったような瞳——うん、心当たりがあるぞ。俺は確信した。
とりあえず、最近見かけたのはテレビだったな。
「——恋本もなみ、か?」
恋本もなみ——彼女は"もなみん"の愛称で知られる、現役のスクールアイドルである。
"今をときめく"をキャッチフレーズに活躍する三人組アイドルユニット"MEMORIAL"のメンバーで、人気はかなり高い。
今のところ、某48人組のアイドルたちと同じくらいの知名度だろうか。
「わ、私のことご存知なのですか?」
「そりゃ、見た目まんまMEMORIALのもなみんだからな。知ってて当たり前っつーか……」
「えっと……その、こ、光栄です!」
勢いよく頭を下げる恋本——基、もなみん。
こんなにも腰の低いアイドル、何というか初めて見た様な気がする。
「安心しろ。アンタが異能者なのは黙っててやる」
「ほ、ホントですか……?」
「俺も異能者だからな。そこら辺は弁えてるつもりだ」
「そ、そうですか……あ、ありがとうございます……」
けっこうオドオドしてるな、もなみん殿。
こんなんでよくアイドルが務まってるな——まあ、いざステージに立つと違うんだろうけど。
実際テレビで見ると、ステージ上で踊るもなみんの姿は"可愛い"の一言に尽きる。
然程アイドルには興味の無い俺だが、そこだけは痛烈に感じることができる。
「ま、健気に頑張れよ。今日のところはみなかったことにしといてやるから」
「うぇえ? あぁ、えっと、あの……さよならです!」
人気アイドルは空を飛ぶ。そんなことは記憶の彼方へと追いやり、俺は家に帰った。
- Re: Dead Days【キャラ募集一時停止】 ( No.38 )
- 日時: 2015/05/10 10:51
- 名前: わふもふ (ID: nWEjYf1F)
違和感に気付いたのは、土曜日に電車に乗ったときの事。
——何故千秋先輩は、時間が巻き戻ったことを知っている?
仮に時間が巻き戻ったとしても、巻き戻る前の記憶と自我を持っているのは俺だけ——というのが典型的ではあるが。
どうせあの人のことだ。何らかの方法で、それを知るに至ったのはまず間違いない。
——とすると、俺と先輩は共に時間旅行をしてるってことになるのか——しかし否。
彼女は"時間が巻き戻る"と言った。だったら過去や未来を行き来するなんて表現は間違っている。
ならば、記憶の共有でもしているのだろうか——
「——半分正解、かな」
誰もいないはずの列車で席に座って熟考していると、聞き慣れた声が俺の鼓膜を揺らした。
見上げれば何時の間にか、席の向かい側には"雨宮優希"が座っていた。
「君が持ってる時戻し(リターンズタイム)の異能はね——他の異能者も含めて、記憶だけ時間の流れに乗って、過去の持ち主に引き継がれる仕組みになってるの。杭で打ちつけられたような記憶だから、夢現な気分になるんだよ」
笑う優希だが、瞳が虚ろだ。
ハイライトが消えたというか、輝きがない。死んだ魚の目と言えば事足りるだろうか。
「でも、たとえ夢現でも記憶として残ってる。だからきっと、もう塩素ガスの罠には引っ掛からないはず」
「塩素ガス……」
————そうだ、思い出した。
あの時を夢と仮定して、俺は一体何をしていた?
そんなの決まってる。怜奈と委員会の手伝いへ向かう道すがら、何故か床に撒かれていた薬品の害を受けた。
収まらない吐き気、呼吸の出来ない喉——あれは間違いなく塩素ガスの影響だ。
「……お前、何を知っている?」
「全部だよ」
——刹那。俺の顔面横を何かが掠め、背後で何かが派手な音を立てて割れた。
俺が呆けている間に、優希がとんでもない速さで俺に接近し、その白く小さな拳で硝子を粉微塵に砕いていたのだ。
「戦いはもう始まってる」
「いい年ぶっこいて、何を厨二クセェ事抜かしやがる——ぐはぁ!!」
「厨二? それは異能者って時点でみんな一緒でしょ?」
鳩尾に入った優希の拳を見て、俺は確信した。
今の彼女に冗談は通じない。また、彼女の言うことに冗談など含まれていない、と。
——敵だ。
「降り出した赤い雨。私の声。廊下に撒いた薬品——全部繋がってると思わない?」
「な、何を……」
「私"たち"はね、君を殺したくて仕方ないの。丁度良い機会だし、ここで葬ってあげるよ——」
優希はスカートのポケットから、柄の付いた細い何かを取り出した。
続いて、先端を包んでいるカバーのようなものを取り外す——現れたのは、銀色に光る針。
「この針には毒が塗ってある。心臓に突き刺せば、瞬く間に地獄へ落ちるよ」
「よ、よせ——」
「デッドデイズの、始まり始まり〜」
こうなったら仕方ない。
孤立無援でこの状況なら、たとえ相手が女でも手を出さざるを得ないだろう。——と思って身構えたときだった。
——パンっ!
乾いた音と共に、またもや硝子の割れる音がした。
恐らくは銃声——しかしサイレンサーでもつけているのか、音が非常に小さかった。
そんな微かな銃声が聞こえた方向——右手側に目線を寄越す。
「——何だよ先輩、ヒーローぶりやがって」
目線の先では、千秋先輩が銃を構えていた。
「優希さんの動向を追ってみれば——まさかこんなところに出くわすなんてね」
先ほど割った硝子は単なる威嚇射撃だろう。しかし今、銃口は優希の頭を狙っている。
殺意も明らかだ。
「邪魔しないで、生徒会長さん。私はこの間抜けを殺したいの」
「晃君は渡さない……誰にも殺らせはしない!」
「なあに? それ、愛の告白のつもり? ちょっと場違いじゃない?」
「今の言葉を告白と受け取ったなら、貴方は文字通りいかれてるわ——いいえ、そもそも脳味噌なんてないのかしら?」
「黙って聞いてれば……この性悪女!」
優希の殺意が、俺から先輩の方へと向いた。
俺はすかさず優希の腹にケリを入れ、数十センチ浮かせたところで素早くその場を離脱する。
千秋先輩の隣に並ぶと、俺は彼女から何かをこっそりと受け取った。
——サバイバルナイフだ。
「けほっ……うあ……」
「優希さんは怯んでいるわ。この隙に逃げましょう」
先輩は俺の手を掴むと、一目散に後続列車へ走り出した。
運の良いことに列車がすれ違いのため止まっているので、俺らは窓を蹴破ってそこから戦線を離脱した——
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