複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

【リレー企画】セイテンノカゲボウシ
日時: 2019/01/09 13:52
名前: マッシュりゅーむ (ID: DTf1FtK0)

こんにちは!マッシュりゅーむです。(正確にはおまさの中の人の友達です)「アイツに友達がいたのか!?」という疑問はさておき。
今回の作品は、リレー形式で進めていきたいと思います。リレーは初めてなので、皆様にご協力いただいて面白い物語になればいいと思っています。
ではでは、楽しんでいってくれたら幸いです!


注意:以下に注意してください。
・コメント等は差し控えてください。



…以上ッ!!

Re: 【リレー企画】セイテンノカゲボウシ ( No.14 )
日時: 2019/01/15 18:17
名前: written (ID: DTf1FtK0)

 ーーー実里にいくつかの部屋を案内された後、私は「ところで」と質問を投げかけた。
 それに実里が振り返る。
「・・・この〈ホーム〉ですけど、いくつの部屋があるんですか?」
すると実里は「えーっと」と考え込むように指をあてると、口を開いた。
「現状、ここにあるのは物置も合わせて八つかな」
 その答えに相槌をうつと、少し自慢げにその小さい胸を張る。
「まあーこの家は、いくらでも部屋が作れるんだよね〜。」
 「えっ、ええー!!。外から見ると物凄く小さく見えるんですけど!?」
 「実はこの家、影で拡張されてるから実質何部屋も作れるようになってるんですよ〜。」
 「まあ、そんなことはさておき、部屋、どれにする?」
 私はちょっと贅沢をしようと思い、風通しがよく、小説家のような机、広々としたこの部屋を選ぶことにした。 
 「じゃあ、この部屋にします。」 
 「おお、いい部屋を選んだな〜。まあ、とりあえず休憩してて〜。」
 ただ、待っていても暇なので部屋の中をウロウロしてみた。
 見渡すと感謝の手紙が何通もあった。
 「先生のおかげで、また職場の一員として働けるようになりました!」
 「先生は我らの神です!」 
 机の上にはこのような手紙が何千もあった。
 「ヒュー、カサ。」 
 風のせいで一通の手紙が落ちた。 
 「ヘイズ、ありがと!先生、息子がどうもお世話になりました。」  
 「む、、息子!?」
 ヘイズに聞いてみると、当時まだ3歳になったばかりの男の子があの川本 江という男にやられたらしい。
 さらに、女性やお年寄りまで被害がおよんでいるそうだ。 
 一体、川本 江はなにものなんだ

Re: 【リレー企画】セイテンノカゲボウシ ( No.15 )
日時: 2019/01/16 17:48
名前: marukun (ID: DTf1FtK0)

なぜこんなにもの手紙が置いてあるのか不思議に思っていると、
「レナ、ご飯できたよー。」
と山内章さんに呼ばれたのでそんな思いを傍らに部屋を出る。
すると、目の前に見たことのない男が立っていた。
まだこの家に人がいたのか…なんて思っていると、
「やぁ、上手くやっているようだね。よかったよ」
と言う。
こんな人いたか?と思っているとある人物と重なった瞬間、私の足が竦んで動かなくなった。
無理もない。目の前に私の腕を切り落とし、激痛を味合わせた『川本 江』だった…。

十六話;セイテンノヘキレキ ( No.16 )
日時: 2019/02/06 17:35
名前: おまさ (ID: DTf1FtK0)

「・・・まだ時計を持っているようだね、よかったよ」
 陰惨で紅い笑みを浮かべる目の前の男から、刹那、鬼気が抜ける。
 だが、男が安堵した直後。

「———レナから離れろ!!影男が!」
 先ほどまで私がいたこの建物の談話室から、少年の声が聞こえた。
「・・・へぇ、この人、レナっていうんだ。覚えとくよ」
 凄まじい眼光をギラギラさせながら、〈影男〉は哂う。
 ———喧嘩などしたことがないが、私の防衛本能は大音量で警鐘を鳴らし続ける。『この男は只者ではない』と。
 足の竦み、立ち上がれない私に、男が近づく。
「・・・異世界に来て、もうゲームオーバーか」
 弱弱しく呟いたその言葉に、男は再び紅の笑みを浮かべた。
「————“ゲームオーバー”か。いい言葉だね、気に入ったよ」
 もう、ダメだ。男の片腕から黒い靄が噴出し、私の命を刈り取ろうと、



「——————喰らえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
 先の少年が両腕から〈カゲノホコ〉発射し男の顔面を粉砕——————否、違う。
「————邪魔をするな、クソガキ。鬱陶しい」
 少年の渾身の一撃を指先で塵にし、それを少年———嵩に撃ち返す。

「—————————っ。」
 鉄の味を舌に感じ、私は唇を噛み切ったことを自覚した。何故、私は。
 刹那考え、答えが出る。
 ——簡単なことだ。己の力足らずで仲間———家族同然の相手を救えない。それが許せないのだ。
 
「・・・うん?」
 男が、こちらを振り向く。
 私の中の何がそうさせたのか知らないが、竦む脚を叱咤して立ち上がる。
 ———私の中の〈カゲ〉が暴走し、私を————我を黒く染め上げた。そして、我の背後に立つ黒い影に、相手に驚きの表情が浮かぶのが分かった。
 それを面白く思いながら、少年に〈カゲノタテ〉をかぶせると同時に背後の影に〈ギシュ〉を伸ばさせて、男の心の臓を掴み取りにかかった。
 ———————嗤ってやる。その無様な顔を。貴様を紅蓮に染め上げ、地に真紅の花を咲かせてやろう。———潰して、爆ぜさせて、砕いて、呪って、咀嚼して、嗤って、虐めて、斬って、壊して、罵って、喰ら—————————————




「—————何やら、儂がいない間に騒がしい鼠が忍び込んだようじゃな」

 その声に、我は———————私は正気を取り戻した。
「チッ」
 すると男は、その場に黒い靄を残して、消えた。
 男がいなくなると、ヘイズがふぅと息を吐いた。そして、こちらに向き直る。気付けば、全員がこっちを向いていた。
「‥‥まさか、おぬしが〈カゲボウシ〉を操ることができるとは思わなんだ。驚きじゃ」
 驚いているような幼女と四人。その反応に私は、
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 ・・・・・と疑問符を浮かべることしか出来なかった。


 

 

Re: 【リレー企画】セイテンノカゲボウシ ( No.17 )
日時: 2019/01/11 23:17
名前: panda (ID: YKUYz0TB)

「なに?お前<カゲボウシ>を知らぬのか?どれ。説明しちょる。」
ヘイズは軽く咳払いをした後、小さい口を開けて話始めた。
「レナ、<カゲボウシ>とはな、とてつもない怒りや、自分がピンチな時、または誰かを救いたい、守りたいと思ったときに自分の<カゲ>から出て来る<化身>みたいなものじゃ。そして、この<カゲボウシ>を自在に操れるようになったのが<影者>とよばれるやつらじゃ。これは他人の<カゲ>を喰うことで己の<カゲ>を強化をできるんじゃが、考えただけでもおそろしいのう。それと<カゲ>には強さがあってのう、それを左右するのが天候じゃ。一番<カゲボウシ>が活発に動くのが、<セイテン>の日じゃ。」

ヘイズの話を聞いていて、私の心に芽生えたものが一つあった。


「ヘイズ、私もう二度とあんな思いしたくない。もう誰にも傷ついてほしくない。だから、だから、<カゲボウシ>の使い方を教えて!!!」
四人とヘイズは少し驚いたように見えたが、すぐに
「ああ、もちろんじゃ。」「いっしょにがんばろう!!!」「お、おまえ俺の足引っ張るなよ!!!」
と、賛成してくれた。
こうして、私の<カゲボウシ>の使い方をマスターするための特訓が始まった。

Re: 【リレー企画】セイテンノカゲボウシ ( No.18 )
日時: 2019/01/13 19:00
名前: マッシュりゅーむ (ID: hj9a4sJB)

「しかし、レナが〈カゲボウシ〉を使えるとはなあ」
と、章が普段は見せない感心をにじませた声で言った。
「そ、そんなにすごい?」
「ああ、俺ら四人でも〈カゲ〉を操るので精一杯だからな」
「そ、そうなんだ…」
褒められるのは嫌いじゃない。むしろ好ましい。うん。
そんな妄想の独り言をしゃべりながら、先程感じた無力感は消えていった。
「レナ、特訓を始める前に一つ問おう」
「は、はい、何でしょうか」
先程まで微笑んでいたヘイズが笑みを消して厳かな雰囲気を出してこちらを見てきたので、前に言われた言葉を忘れて敬語になってしまった。
「〈カゲボウシ〉は、使っている人物が未熟であれば、呼び出した本人の〈カゲ〉でさえ喰うてしもう。それだけでも死んでしもうた人達だって大勢いる。意思を本来持つことのできぬ〈カゲボウシ〉に、自分の持っている強い気持ちを本気でぶつけなければならん。それでもなお、使い方を教えてほしいのか?」
「はい。必ず〈カゲボウシ〉を使いこなして見せます!!!」
数秒間、私たちは見つめ合っていた。もう、何時間もそうしているような気がした。そしてふっ、とヘイズは目を閉じて、また開き、ゆっくりとうなずいた。
「よいよい。その気持ち、〈カゲボウシ〉に届くように儂が手助けをしてやろう。頑張るんじゃよ、レナ」
「はい!」
——そうして、私の〈カゲボウシ〉を操るための特訓が始まった。


———————————————————————————————————————————————


「ではもう一度いくぞ、レナ」
「はあ、はあ、はあ……は、はい!」
私は息が切れているのにも関わらず、ヘイズは汗一つかいていない。
「おい、こんなんで疲れててどうする!これじゃあの影男にみんな殺されるぞ!」
「ちょっと、章!レナも初めてなんだからもっと楽に…」
「いや、これぐらいはできぬと〈カゲボウシ〉に乗っ取られてしまう」
「ヘイズまで……」
ついにヘイズまでも敵に回り、遠くで見ている智美はため息をつき、実里は心配そうにこちらを見てくる。〈ホーム〉の近くにある広場で、特訓を始めて5時間たった。それでもまだ上手くいかない。彼女たちに大丈夫と伝えたいが、今はそれどころではない。
右から章が〈カゲノツルギ〉で突き技をしてくる。それをかわしながら自分の手に〈カゲ〉を巻き付けるイメージをし、狙いを定める。章の腹に自分の拳が吸い込まれ———る瞬間に遠くでこちらに放たれた嵩の〈カゲノホウ〉を体を捻って章から離れながら回避。そして、瞑想を始める。まだ慣れていないが、心の中から〈カゲボウシ〉を引っ張りだす感覚で創造する。その間、感覚だけで走り、〈カゲノタテ〉で体を守りながら、彼らの攻撃をかわす。そして、瞑想を終え、叫ぶ。
「来いっ!!!〈カゲボウシ〉!!!」
瞬間、私は召喚が成功する手ごたえを感じた。しかし、意識が遠くなりそうだ。〈カゲボウシ〉が私の体を蝕んでゆく。これで何回も暴走し、そしてギリギリのところでヘイズに助けてもらっていた。
今度は奪わせない。そう、歯を食いしばって頑張っているのだが、今回も視界が暗くなっていく。
(もう、ダメなのかな。)
そう弱音を心の中で呟いたとき、声が、聞こえた。
———君は、ここであきらめるのか。
だって、何度やっても無理だった。
———ここで、死ぬのか。
うん。もう、十分頑張った。
———本当に?
……いやまだだ。
———そうだ。まだだ。
まだいける。
———何度だって立てる。
まだ死ねない。
———傷つかせたくない仲間がいる。
まだ——————




「ここからだ」




瞬間、意識が戻った。立っている。歩ける。走れる。さあ、行こう。
「———〈カゲボウシ〉」
私は命令を出した。
「無力化せよ」
『御意』
そうして、〈カゲボウシ〉は、驚いている彼らのもとへ、進んでいった。
「降参だ、降参」
そうして彼らは笑顔で両手をあげた。
「……見事じゃ、レナ。ようやった」
「はい!」
すがすがしい気持ちを表現するかのように、風が、小さくふいた。




Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17