二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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緋弾のアリア SS〜Another world〜
日時: 2011/06/11 12:36
名前: イグアナ (ID: PMHGkQdB)

どうも。

緋アリおもしろいんで書いてみます。

登場人物にいくつかオリ入ってます。
随時追加します。


よろしくっす。



人物紹介(オリジナル)
天道 純
武偵高校2年C組所属。専門科目は狙撃科でランクA。
父は米軍海兵隊の中尉。母は元SAT隊員。
15までアメリカで過ごし、射撃やマーシャルアーツを嗜んできた。
海兵隊刈りの頭をしており、左目の横に切り傷が残っている。
頭と技術が驚くぐらいによく、銃のカスタムも自らが行う。自室には作業台が置かれ、お風呂は塗装部屋になっており。いつも銭湯に入りに行っている。基本は狙撃の任務がメインだが、近接戦闘も得意で、突入要員や索敵要因でもこなす。
携行武器はM24 SWS・M200のボルトアクションライフル。その他任務に合わせて装備を変える。
「スローアイ」という一定時間、時間の流れが遅く見え動きが格段に素早くなる特殊能力を持っている。

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Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.57 )
日時: 2012/01/09 23:49
名前: イグアナ (ID: SGjK60el)

どうも。イグアナです。

明けましておめでとうございます。
並びに更新が区々ですいません。

アリア11巻。読みました。販売初日で読みました。

そして、WAから緋弾のアリアシリーズガスガン販売完結です。
もちろん買います。

今年も、頑張って、書いて行きますので

何卒、よろしくお願いいたします。

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.58 )
日時: 2012/01/29 12:39
名前: イグアナ (ID: zwFbxykG)

〔チーム・β、レキ・純〕
ドラグノフ。レキが信頼する、愛銃。
そのドラグノフが真っ二つに割れ、いつもの神々しいその姿は無かった。
「レキ、しっかりしろ。その銃はもう使えない。俺のM24を使え。」
純はS&Wバッジナイフを左手に握り、クーガーのグリップに嵌め込む様にして構えている。CQCでよく見る基本的な構えだ。
純が男にクーガーを向けているが、レキはドラグノフを右手に握ったまま動かない。
(……私の…………)
「レキ!」
(私の……私の……)
その言葉以外、レキの頭の中には響いていない。いつの日も、寝る時さえも、時を共に過ごし『友』と呼べるほど信頼していたドラグノフが。目の前で、それも得意としている銃剣道で折られた。
そんな心境を知るはずも無い男はMP5のマガジンを交換し、すぐに撃ってくる。
「ちっ!」
後ろにいるレキを抱え、クーガで応戦しながら貯水槽の裏に飛び込む。その間も、レキは全く動こうとしなかった。
「どうしたんだ!」
パッとレキの顔を見る。その顔は、無表情のままだった。しかし、純が支える小さな肩は僅かながらに震えている。
今のレキは怯え、戸惑い、悲しんでいる様に見える。
こんな状態のレキは今まで聞いた事が無い。
「レキ!聞いてるか!?」
レキの目を真っ直ぐ見、肩を揺らして呼び掛ける。そのレキが僅かに、ほんの僅かに、何かを呟いている。
純はそれに気付き、口元に耳を近づける。
「……ない………」
「?」
「………えない…」
「ダメか!だったら…」
純は右手をレキの頬添え、折れたドラグノフを握ったままの右手首を左手で軽く握る。そして

バチィ!!

「イカれてる場合かぁ!しっかりしろこのアマ!!」
純の手が大きく振りかぶられ、も凄い勢いでレキの右頬をビンタし、怒鳴り付ける。
レキはうっ!っと籠らす、あまりにも痛かったのか折れたドラグノフを離し、右手で頬を抑える。
今純が行ったのはアメリカにいた頃、知り合いのカウンセラーから教えてもらったものだ。そのカウンセラーは陸軍に勤務していたカウンセラーで、元特殊作戦軍だった。
その人から学んだ。CDAS(Combattere Disturbo Acuto Stress)『急性戦闘ストレス障害』。
突然の強襲等に直面した兵士に起こる症状だ。
よく戦争映画で攻撃を受け仲間が殺られていく中、一人方針状態になり思考が止まってしまうというシーンがあったりする。その状態によく似ているのだ。
レキに起こったCDAS、それはドラグノフを失った事が原因だろう。
いわば幼馴染みと同期で入軍し、何年も連れ添った仲間が自分のすぐ目の前で無惨に殺された様な。
そういう時に一番効果があるのが『痛み』と『怒号』。
強烈な痛みで意識を戻し、怒号で思考を戻す。その後すぐに状況を叩き込むと尚良い。
「良いか!?お前の愛銃がぶっ壊れたぐらい分かってる!どれだけ大切かもな!だけどな、俺はお前のバディ!相棒何だよ!今お前は俺と戦ってるんだ!ドラグノフじゃねぇ!!俺だ!!」
もう一発ビンタをしようとすると

ゴツッ!

純の顎にドラグノフのストックが強打する。
レキが右手でドラグノフを持ち、殴ってきた。
純が悶絶している間に、レキはもう一発喰らわせようと体を横に回転し、その勢いでぶつけようとするが。

ガキィ!

クーガーのグリップ底で塞がれる。純はレキの右手をすぐに掴む。
「待った!今ちょっと痛いから待った!」
「ちょっとなら大丈夫。」
「待て待て!、ホントに今そういう状態じゃないから!」
レキが繰り出した蹴りを抑えながら右手を振り払おうとするのを必死で咎める。
「今はあいつから先だっ!」
純が頭であっちあっちと、男の方に振る。レキは力を緩め、安全だと思った純は手を離す。
レキがいつもの顔に戻ってる。
「戻ったんだな?」
「はい、絶対許しません。」
「ま、それはこの大会が終わったらな。」
手でくるっとクーガを回し、レキに差し出す。レキはクーガを手に取るとグリップを両手で掴みコクっと頷く。
レキが正気に戻り準備が出来たのは良いが、男をどう確保するかが分からない。純はまだH&KUSPコンパクトを所持しており、予備マガジンも二本ある。
だが、MP7で撃った時の様に避けられてしまうのだろう。
何か弱点があれば…。
キンジみたいに探偵科でも入ってれば観察能力がちょっとでもあったかもな。
とにかく、今の硬直状態じゃらちが開かない。
何とか短期間に戦闘を終わらせたい。そう考えていると、純の袖をレキが引っ張ってくる。すると耳に近付き、何かを言ってくる。
「OK、レキ、後ろから援護してくれ。奴に攻撃してみる。」
「お願いします。」
純がナイフを持ち直し、USPを右手に持つ。

パン!パン!

レキが半身を出し、発砲したのを合図に純が飛び出す。男に弾は当たっていない、純はUSPを男の体に照準して撃つ。

パン!パン!パン!

USPから出た9mm弾は男の体にへと真っ直ぐ飛ぶ。だが、当たることは無かった。弾丸は男の体で無く、地面に着弾している。
純はハッキリそれを見た、弾丸に意識を集中し、能力スローアイを使ったのだ。
(やっぱり。こいつが『方向逆視』か!)

パラララララ!!

男がMP5を撃ってくる。今の純にはその一発一発が遅く見えてる。
1発、2発……計13発。純は身を低く保ち、弾と弾の間を翔る。
動きが遅く見える上、身体能力の飛躍によっての高速移動。ツーステップで男の懐に入り込む。
男は、こっちに顔を向けていない。
いける!
純は右手で男の左手を抑え、ナイフを握った左拳に力を入れる。
拳が男の顎に伸びていく。
「ぐあっ!」
だが、その前に純の腕、足、首に弾丸が当たっていた。
集中が途切れた瞬間、男が純の頭を抱え、みぞおちに強烈な膝蹴りを入れる。
「ぐぅ!」
さらに男は一度に後ろに下がり、後ろ回し蹴りで顔面に攻撃してくる。
純はそれを手で受け流し、上に跳躍し、空中で蹴りを二回繰り出す。
男は二撃とも避け、純にタックルしてくる。空中でタックルを避けられず、もろに喰らった純は突き飛ばされる。
純は地面にぶつかる前に体制を立て直し、体重を後ろに乗せ、転がる事で衝撃を緩和する。
「レキ!!」

ジャキン!!

レキは純の戦闘している間にバレットを取りに行っていた。

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.59 )
日時: 2012/01/29 12:45
名前: イグアナ (ID: zwFbxykG)

レキは男の特徴をいくつか見つけていた。
一つは冷静かつ判断力に長けている。
二つは近接戦闘の手練れ。
三つは強い対抗心。
四つは高いプライド。
レキはそれを元に純に言っていた。
「あの男は戦闘中回りが見えてない。だから注意を一番引き付ける格闘で戦って。」
そして、レキの考えは的中する。
男は純との戦闘中、一切回りを見ていなかった。ただ真っ直ぐ純を見ているだけだった。
レキはスコープのレティクルを男のスコープに合わせる。

ドォン!!

男はレキが自分に照準していることに気付き、バレットの弾丸を純へと逸らす。
50口径の弾丸は純の顔面へ飛んでいく。
そんな物で俺を殺ろうってか、甘いぜ?
キンジを見習って、拳を犠牲にしてでも倒してやる。
純は拳を弾丸に向けて出す。真っ直ぐ、弾頭に目掛けて。
キンジ仕込みの『弾逸らし』!!
弾丸を打つ!!
拳によって打たれた弾丸は男の左肩に命中する。
一瞬よろけた男だが、着地した純の顔面に右ストレートを喰らわす。
「っ!」
後ろに飛ばされる純、その顔は笑っている。
男は目を擦っている。
純の右手の血が目に入ったのだ。
血を拭き取るのは一瞬だが、レキには十分だ。
レキは右手にドラグノフの後部を持ち、左手に前部を持って男の真下にいた。
流石レキさん、ホント凄いぜ。
貯水槽の裏でレキが言ったことはまだあった。
「方向逆視の能力は、目でその人を見ていないと出来ない。それと、複合攻撃に対処しきれていない。」
複合攻撃、つまり格闘と射撃による攻撃。
一人が格闘で近距離で闘い、それをもう一人が射撃でサポートする。同時にその逆も繰り返される。
男はその繰り返しに対応出来ておらず、どちらがメインで攻撃しているのかを掴めなかった。
そして純が弾丸を打つ瞬間、サポートとメインが重なる事で攻撃に成功した。
レキはドラグノフ後部のストックで男の顎を打ち上げる。目を血で塞がれた男にクリーンヒットし、後ろに
フラッとなる。そこに、銃剣の着いたドラグノフ前部でみぞおちに突き出す。レキの踏み込んだ足が、ドン!と音を立てる。さらに、マガジン付近から無くなったドラグノフを男の体に密着させる。
「絶対に、許さない。」
一言呟くと、ドラグノフの引き金を引く。

ドォン!!

ドラグノフに込められていた弾は、グレネード。
吹き飛ばされた男は階段口まで飛ばされる。男はその勢いで階段へ落ちていくが。
確かそこには男が仕掛けたトラップがあったはず。
あ、っと純が思った瞬間。

ドォオオオオン!!!

ビルが大きく揺れ、階段の昇降口が吹き飛ぶ。レキは爆発を見ることも無く純の元へ歩いてくる。
何て恐ろしい奴だ。
拳に平賀オリジナル特殊防弾グローブを着けていた右拳は赤く腫れ上がっている。どうやら折れているようだ。
「大丈夫ですか?」
「ああ、50口径を殴った割には平気だ。」
「手を。」
レキはスカートを千切り、ドラグノフ前部とで純の腕と拳を固定する。
「悪いな。」
「安心してください。この大会が終わったらあれで済ましませんから。」
レキの目が、ぎらりと光かる。
やっぱりやり過ぎだったかな。
「なぁレキ、お前根に持つタイプだったのか。」
その問いに、レキは純の折れた拳を支え。
「痛っっっっ!!」
グッと握ってくる。
帰ったら、多分張り付けられて試作弾の実験台にでもされるのかな?

そう呆けている間、装備品と共に放置されっぱなしの通信モニターに連絡が表示される。
『チーム・デポ所属。マッケイン・モルダー戦闘不能。戦闘功績者・レキ、純。』

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.60 )
日時: 2012/02/20 00:52
名前: イグアナ (ID: ycnzZQhq)

〔チーム・γ、理子、白雪〕
「はぁ…はぁ…」
ボロボロになった理子は震える膝に鞭を打ち、左肩を押さえて壁に寄りかかりながらも立っていた。
予想もしていなかった強敵。
今の理子は怒気の目が唯一の武器の様だ。
首にかけたロザリオも効果を発揮していない。
数十分前までナイフを持っていた髪は煤の様にくすみ、『敗者』を表している様にも見える。
「白雪……」
ぐったりと倒れたままの白雪の巫女服は赤く染まり、その出血量を物語っている。
「お前……白雪ぐらい逃がせろよ。」
キッ、と女を睨む理子。口調と表情から『裏理子』なのだろう。
「あら、戦争っていうのは死者が付き物でしょ?」
女が近寄る。だが、遭遇した時とはまるで別人。
身体は何やら青い靄で包まれ、目は黒目が異常に大きくなり、短刀は薄青白く光っている。
「何が『音響支配』だ。大ホラ吹きやがって。」
「敵の言葉に耳を傾けてはダメよ?いつの時代だって同じ事。」
理子は弾切れになったワルサーを捨て、たった一本のナイフを女に向ける。
逃げる隙を作ろうと、そう考えたのが運の尽きだと理子は後悔した。

<数十分前>
理子はトラップがあると確信しながらも非常階段へ向かった。
髪を触覚の様に前に突きだし、ワイヤーやセンサをわざと作動させ、事前に対処が出来るように。
トラップにかかっている自分に攻撃をしてくる事を踏み、何パターンか攻撃も予想していた。
(イケる!!)
髪がワイヤーに引っ掛かりそうになる瞬間、異様な寒気が理子の背中を駆け巡る。
違う、何か違う。
後ろを振り向く理子、その先には倒れた白雪の胸に短刀を深々と突き刺す女。

パァン!パァン!

理子はすぐワルサーを撃つ。
銃弾は瓦礫に当たりチュン!チュン!と跳弾する。
女はスモークに身を隠し、姿を眩ます。
「白雪!!」
理子は白雪の元に行き、傷口を両手で圧迫する。
しかし血は止まらず、指と指の間や手の隙間から血が溢れ出る。
理子はレッグポーチから止血剤を取り出して傷口に振りかけ、その上に救急包帯で覆う。
「白雪しっかりして!!」
理子が白雪のほっぺを叩き、何度呼んでも反応はない。
手首で脈拍を確認するが、その鼓動は弱い。
さらに理子は『PPS』とかかれた判子注射で白雪の首元に射す。
衛生科が新開発した物で呼吸、心拍等を一時的に安定、継続させる為の薬品。
時間には個人差が大きく、そう長くは持たないかもしれない。
「見たことない注射ね?アドレナリン物質か何かかしら?」
フフっと笑う女に対し、理子はワルサーを撃つ。
「何でだ、お前、白雪はもう戦えなかったじゃねぇか!!」
「良い?貴女は敵なのよ?敵に容赦しないのは常識よ?」
スモークから姿を見せる女。短刀をヒュンヒュンと回しながら迫ってくる。
「うわあぁぁぁ!」
理子は怒りのままに髪を靡かせ、女に斬りかかる。

キィン!キィン!

振り掛かるナイフを短刀で弾く女。理子は我を忘れてナイフを振り回してしまっている。
乱雑な太刀を、女は弄ぶ様に防いでいる。
「戦場に感情は余計よ?敵を殺すにしたって、怒りや憎しみを持ってはいけないの。」
女がカッと目を開くと、周辺に衝撃波が発生し理子は吹き飛ばされる。
「ぐはっ!」
強く床に叩き付けられる。さらに、左足に激痛が走る。
「うあああ!!」
ふくらはぎに、短刀が刺さっていた。短刀はひとりでに抜かれ、空中を浮遊して女の手に戻る。
「くぅ……!」
理子はワルサーを向け、発砲するが、

バガァン!!

ワルサーのスライドが弾け飛び、壊れた破片が右手に刺さる。さっきの衝撃波でパーツに破損が生じたのか、暴発した。











 

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.61 )
日時: 2012/02/20 00:54
名前: イグアナ (ID: ycnzZQhq)


「あらあら災難ね。もう無理なんじゃないの?」
女が理子に近寄ると、理子は飛び上がってナイフを左手を持って斬りかかる。
「だからぁ……」

ズシャズシャ!!

理子の背中に、短刀が二本刺さる。女の手にも二本の短刀が握られてる。
理子は再び地面に這いつく張る形になる。
「あ、ううぅ……」
前進に痛みが走る。
痛い、もう無理だ。理子は壁に体を擦らせながら立ち上がる。
勝て……ない。くそ……。

〔現時刻〕
意識がもうろうとする中、女姿も霞んで見える。
考える程の余裕も無く、言葉すら出てこない。
「もう満身創痍、見てられないわ。」
女は空中の、手の短刀の刃を理子に向ける。
「だからもう、殺っちゃってあげる。」
女は笑顔で、憐顔で、理子に斬りかかる。

………キー……くん……

理子が目を閉じる、もう、終わりだと確信した。
刃が理子を貫こうとする。
「うはぁ!!!」
女に襲いかかる業炎。その凄まじさは周辺の瓦礫を吹き飛ばす勢い。
この炎。
「白……雪…」
色金殺女を構え、少しよろめきながらも凛とした瞳で立っている。
「よくも理子さんを苛めてくれましたね。」
白雪が刃を前に出し、剣道の構えの姿勢で女に近寄る。
「へぇ、あれだけ刺したのに。どうしたの?」
女は頭に過らせる。理子が打った注射を。
「理子さん、大丈夫ですか?」
白雪が理子の前に庇うように立つ。白雪は理子に『大丈夫』といったアイコンタクトを送る。
出来れば白雪を止めたい理子だが、その一言さえも言える力が残っていない。

キィン!

白雪が余所見をした瞬間、短刀が空中を舞い白雪へと襲いかかった。
が、白雪は短刀を真っ二つに斬った。
「なっ…!」
「生憎ですが、私は手加減しませんよ。」
白雪が瞳を閉じると刀から火が溢れだし、その熱波で髪を靡かせる。
その姿、まるで火の鳥。
「つぁぁぁぁ!!」
斬りかかる白雪の刀を、短刀で防ぐ女。

ガキィン!

先程は短刀を斬ることが出来た白雪だったが、二撃目は短刀を跳ね返すだけだった。
白雪はさらに突き、斬撃を繰り返す。しかし、女は三つの短刀でそれを防ぐ。

キィン!キィン!キィン!

薄暗くなったオフィスを止まらない火花が照らす。
だが、さっきから白雪の様子がおかしい。

キィン!キィン!

攻撃の手が緩くなっている。
女はそれを好機とばかりに攻めに出る。
短刀での攻撃が増え、白雪の刀を押し返す程になっている。
「くぅ!」
依然戦意溢れる眼だが、額には汗が見える。
今の白雪は、理子の注射により一時的に動いているだけに過ぎない。
『PPS』。衛生科の海瀬が開発した〔超能力者専用安定剤〕。この薬は超能力者の力が弱まっている時のサポートになる事を前提に造られた薬品。
通常の人間でも、蘇生力や身体能力を向上出来るが、超能力者だとそのG『グレード』に比例して効果が上がっていく。しかし、それはまだ試作段階であり薬の効果は疎らであった。
薬の効果が発生するまで最短30分。それ以降は細胞の再生等を行う。
だが、細胞を再生し回復を早めるのは良いがその後の身体への負担が非常に大きかった。
白雪の身体は動けるまでに回復したが、その反動が今乗しかかってきている。色金殺女を使うことでさらに負担が増えている。
「あら、もう鈍くなってきたわね。」
太刀に僅かな隙を見た女は蹴りを入れ、白雪を後方に飛ばす。
しかし白雪は受け身を取り、すぐに攻撃に転じた。
「はぁ!!」










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