二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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緋弾のアリア SS〜Another world〜
日時: 2011/06/11 12:36
名前: イグアナ (ID: PMHGkQdB)

どうも。

緋アリおもしろいんで書いてみます。

登場人物にいくつかオリ入ってます。
随時追加します。


よろしくっす。



人物紹介(オリジナル)
天道 純
武偵高校2年C組所属。専門科目は狙撃科でランクA。
父は米軍海兵隊の中尉。母は元SAT隊員。
15までアメリカで過ごし、射撃やマーシャルアーツを嗜んできた。
海兵隊刈りの頭をしており、左目の横に切り傷が残っている。
頭と技術が驚くぐらいによく、銃のカスタムも自らが行う。自室には作業台が置かれ、お風呂は塗装部屋になっており。いつも銭湯に入りに行っている。基本は狙撃の任務がメインだが、近接戦闘も得意で、突入要員や索敵要因でもこなす。
携行武器はM24 SWS・M200のボルトアクションライフル。その他任務に合わせて装備を変える。
「スローアイ」という一定時間、時間の流れが遅く見え動きが格段に素早くなる特殊能力を持っている。

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Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.52 )
日時: 2011/11/24 00:57
名前: イグアナ (ID: wbQVDNdQ)

「はい、確認出来ます。ここより1時の方向の1階にコンビニあるビルの屋上に狙撃手が居ます。距離は1200mほどです。」
近すぎるな。
デポの編成は最低でもAランクだ。この距離だと確実に撃たれる。
「ドライバー、動くか?」
「駄目だ、タイヤがやられてる。」
装甲車も使えないか。
「皆、準備してくれ。敵はもうすぐ近くに来るはずだ。」
「いや、もう来てるわよ。」
アリアが窓を覗いている。
外にはガスマスクを着けた敵が三人。停まっている車に隠れてMP5をこっちに向けている。
「純、狙撃手を抑えてくれてるか?レキは純の援護と2人目の狙撃手がいないか確認を頼む。」
「任せとけ、1200mなら余裕だ。」
「了解です。」
純はガンケースからボックスマガジンの付いたバレットM82A1を取り出す。純は背中に大きめのガンケースを背負っており。中にはM24が入っている。
それにしても、敵の行動が早いな。
武偵国体の戦闘開始条件は場内に入って直ぐになっているが、敵の配置が決まり過ぎてる。
まるで、俺達のルートと展開位置を知っていたかの様に。
「キンジ、どうするの?」
アリアの顔はまだ赤い。
「大丈夫だ、任せてくれ。」
中々手際が良いな、ダンの奴。でもな……

緻密に立てた作戦ほど、崩れやすい物は無い。

>>>>>

〔チーム・デポ〕
ダンは車輌を囲む隊員でも無く、スナイパーでも無く。離れたビル内でキンジ達の映像を観ていた。
隊員のガスマスクにはアイ・カメラが内臓されている。
「トオヤマ・キンジ、何をしてくれる。」
【無線】『サンド・ブラボー。こちらシルバーリーダー。バスカービル車両の包囲に成功。オーバー。』
「警戒を続けて進め、RPO-Aで撃ったんだ。タイヤはやったが車体にはダメージは無い。」
【無線】『サンド・ブラボー。こちらシルバー2、敵の航空支援対処は?』
「スナイパーのシルバー3にスティンガーを持たせてある。東京武偵の車輌科は優秀らしいが安心しろ。」
東京武偵車輌科の武藤、ただのバカだと思ったが車輌は何でも操縦出来る厄介者だ。
スティンガーで無理なら、SAM-3で落としてやる。
ダンが映像を見ていると、装甲車の上部ハッチが開いた。
【無線】『サンド・ブラボー。こちらシルバーリーダー。攻撃を開始する。』
パパパパパパ!
パパパパパパ!
装甲車の上部ハッチに向け、威嚇射撃が行われる。
【無線】『ゆっくり近づいて行け。シルバー4。フラッシュを用意しろ。』
【無線】『シルバー4了解。』
隊員がポーチから閃光手榴弾を取り出そうとした時。

パシュ!

上部ハッチから青い閃光弾が撃ち上がった。
【無線】『航空支援か!?』
「シルバー3、こちらサンド・ブラボー。スティンガーを準備しろ。オールコマンダー、車両の警戒は怠るな。」
隊員達は少しずつ近き、また威嚇射撃を始めた。
【無線】『サンド・ブラボー、こちらシルバーリーダー。敵……ガッ!!』

ドォーーーン!!!!

無線が切れると共に、映像には爆煙が広がり遠くで爆発音も聞こえてくる。
「こちらサンド・ブラボー。どうした?」
【無線】『こちらシルバーリーダー!敵の爆発物です!』
【無線】『何が起こったんだ!?爆発物なんて無かったぞ!…ぐわぁ!』
「シルバー3、こちらサンド・ブラボー。バスカービルの動きは見えるか?」
【無線】『ガガガガッ!…こちらシルバー3敵の…ガガガガ!…連射で狙撃されています!ガガガ!…破壊力から12.7mmによります!』
キャリバーでも持ち歩いてるのか?いや、そんな筈は無い。バスカービルには重量系は所属していない。
「予想以上に手応えがあるな。」
ダンはデスクに置いたMP5K二丁をヒップホルスターに入れると、更には二丁のG18C、AA-12を両肩にかける。
「ゴールドチーム、こちらサンド・ブラボー。出動だ。」
【無線】『もうですか?早いですね。』
【無線】『私、出番無いかと思ってたわ。』
「バスカービルは予想以上に強い。相手にとって不足は無しだ。」
【無線】『トオヤマって奴ですか?確かランキングにいましたね。』
【無線】『白雪って子も面倒よ。』
「いずれにせよ、奴らは倒す。各員別れて落としに行け。」
【無線】『『了解。』』
さぁ、トオヤマ。俺達を倒してみろ。

>>>>>>>>
〔チーム・バスカービル〕
「キンジ!!」
「アリア!こっちだ!」
俺はM4で援護しながらアリアを呼ぶ。スナイパーは純が抑えてくれてるから前の敵だけに集中できる。
まさかバレットでフルオート機構とはな。レキは上手いことビルに隠れているし。理子と白雪も順調だ。白雪に関してはM60だし。
「γ!!左のビルに入るんだ!」
「りょーかい!」
理子がワルサーをバンバン撃ち白雪の背後を援護しながらビルに入っていく。
それにしても、デポは俺達を強襲するのにスナイパー含め四人で攻撃を仕掛けてきた。確証は無いが、このなかにSランクはいない。でもかなりの手練れだ。銃撃と銃撃の間をスイスイ通ってやがる。
さっき理子に泡爆を仕掛けてもらい、上手いこと気を逸らせたとこまでは良かったけど。態勢を立て直すのが早い。
「純!!レキと離脱するんだ!!」
「了解!レキ!援護しろ!」
純がレキの方向に走る。レキは純の狙っていたスナイパーを狙撃する。純の様な弾幕射撃では無く、敵が覗こうする瞬間を狙っている
「行くぞ!」
純はレキとすれ違い様に肩をパンっと叩く。するとレキは純に着いてビルの陰へと走っていく。
よし、各分隊ごとに別れたな。
「キンジ!どうするの!?」
「多分、敵の援護が来るはずだ。今の人数じゃあ3分隊も追えないだろう。こいつらは俺達が引き付けるぞ。」
「分かったわ。」
アリアと俺は敵に向けて発砲する。こっちの銃撃に応戦するように敵も撃ってくる。
このままビルまで引き込もう。
アリアと俺はビルに浸入し、エレベーターで上まで上がる。敵に止まる階をわざと教える為にエレベーターに乗った。敵と早めに交戦する為だ。
何とか早い内に対処しないと、後が恐い。
そう、後が。

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.53 )
日時: 2011/12/04 10:58
名前: イグアナ (ID: LPN5HxR2)

〔チーム・バスカービル〕
俺とアリアはビルの十階のオフィスルームでエレベーターから降りた。明かりは点いていない。
「薄暗いな。」
「その方が好都合よ。隠れやすいし。」
さっきの銃撃戦で、ヒステリアモードは収まったようだ。
アリアはオフィスのイスをブレーカーの下に置き、それを踏み台にする。
しかし、意外とブレーカーに位置は高くさらに背伸びをする。
お前、どんだけ小さいんだよ。
「アリア、俺が落とすぞ?」
「いいわよ。このぐらい自分でするから。」
「あのなぁ、全然届いてないぞ?」
「大丈夫って、ば!」
ひょいッとジャンプするアリア。
やばっ!
一瞬、太ももがチラッとギリギリのラインで見える。
ドキっとはしたが、まだモロで無いだけで大丈夫だった。
何でこんな時も気を使わなならんのだ。
「よしっ。キンジ、ブラインドを下げて。」
「分かった。」
ブラインドを下げると、オフィスはかなり暗くなった。これで秘匿性が増し、待ち伏せしやすくなった。
「早く隠れなさい。すぐに来るわよ。」
俺は非常階段から左側の調理室に隠れる。敵が来たとき、アリアが囮になって俺が後ろから攻撃する作戦だ。
俺はマガジンを入れ換え、息を潜める。
アリアをチラッと見ると。
『来るわよ』
という合図で手信号を送ってくる。

カツ……カツ……

よく耳を澄まさないと聞こえない程静かな足元が聞こえる。
もうこの階に着いたようだ。
オフィスの壁には3つのレーザーポイントが放たれている。
方向から、アリアの方へ向かっている。
よし、良いぞ。
アリアが攻撃を仕掛けたら合図だ。

…カツ……カツ………ぐは!!

アリアが双剣で後方警戒をしていた敵の後頭部を殴りつける。
今だ!!
俺はすかさずM4を発砲した。アリアは敵の背中を両足で蹴り、バックステップで距離を置き、ガバメントでさらに攻撃をする。撃たれた敵は地面に倒れ、動かない。
まずは一人!
俺の発砲に気付いた敵が俺に撃ってくる。
「くっ!」
一つ前のデスクに飛び移り、隠れる。
「はぁ!!」
アリアはその敵の側頭部に飛び回し蹴りを放つ、ダイレクトにくらった敵はオフィスのガラスに突っ込み、そのまま消沈。よく見れば頑丈なメットが凹んでいる。
味方ながらに恐ろしい。くわばらくわばら、
「この!」
残りの一人がアリアに銃を向ける。そして引き金を……
「動くな。」
引く前に、俺が敵の頭にM4を突き付ける。それに加え、アリアもガバメントを向ける。
「投降だな、さぁ、無線機で連絡しな。」
「アンタ良い所だけ持っていくわね。」
「まだ残ってるよ。これで終わりじゃない。」
俺は敵の両手に手錠をかける。
よし、あとは五人。勝算はある。

〔チーム・バスカービル支援隊〕
「遠山さんが敵チームの三人を倒しました。」
「おおーーーー!!」
「遠山、中々やるね。」
通信手の中空知から戦況を聞くと、真っ先に武藤が騒ぎたくった。
「良かったのだー!しんぱいしてたのだー!」
平賀は緊張でもしていたのか喜び方がぎこちない。
【無線】『よし!トオヤマやったな!』
ワトソンはUH-60から無線を送る。
「いきなり強襲を喰らった時はどうなるかと思ったぞ。」
それぞれが緊張を解く中、不知火があることに気が付いた。
「…?大津は何処に行ったんだ?」
「え?」
そういえば、さっきからあの関西弁が聞こえない。
「トイレでも行ったんじゃないか?」
海瀬は緊張した平賀の肩を揉んでいる。
「まぁそれは良いとして、見守ろうぜ!」
敵は残り五人、支援隊は気付いているのか気付いてないのか、この五人の内の四人が超能力ステルスだと言う事には触れない。
その方が良いと思っているのだろうか。
束の間の歓喜は、次の戦闘で掻き消される。

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.54 )
日時: 2011/12/04 21:31
名前: 亜理紗 (ID: blFCHlg4)

描写量はもうちょっと多いのが私の好みですけど、テンポと雰囲気が読みやすくてとってもGOODと感じましたー。突然すみません。

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.55 )
日時: 2011/12/18 23:28
名前: イグアナ (ID: bStwRqTd)

〔チーム・β、レキ・純〕
チームβはキンジ達αの居るビルから四棟離れた一番高いビルの屋上から敵スナイパーの居たビルの様子を伺っていた。純は観測用の眼鏡で隈無くスナイパーを探す。レキはすぐその隣で辺を見渡す。
純の眼鏡にはボロボロに崩れた屋上の一角と慌てて離脱したのであろう、置きっぱなしの敵の眼鏡が写っている。
「純、支援隊から連絡が来ました。αが敵三名を確保した様です。」
レキがいつものヘッドフォンを左手で押さえながら辺りを警戒しつつ伝える。
ちなみに、レキのヘッドフォンには音声は入っていない。レキの首にはコードレスタイプの骨伝導無線パッチが左右に付いている。これは純以外の全員が取り入れている。純はヘッドフォンタイプのコード無線機を使っている。傷が多いので昔から使っている愛用品だろう。
レキはこの骨伝導無線を使う時、純がヘッドフォンを押さえながら通信しているのを真似しているらしい。
「ってことは車の近くに居た奴らだけでスナイパーはフリーか。」
純は眼鏡から目を離すとチョコレートの様なレーションを一かじりする。このレーション、バスカービルではレキですら食べない程不味いらしい。
「恐らく、別チームと合流はしてないと思います。先ほどから単体での影を確認しました。」
「俺が撃ったビルでか?」
「いえ、それよりも2時の方向、三棟離れたビルです。それも、スナイパーではありませんでした。」
レキはビルの方角を左手の人差し指でスッと指す。しかしそのビルは他の建物に隠れて見えない。見えるのはごく一般的なビル街だ。
純は単眼鏡で目を凝らして覗き続ける。それでも見えるのは窓ぐらいだ。
「なぁ、レキ。」
「なんでしょう?」
「お前、もしかしてビルの窓に写ったビルの窓にさらに写った敵影を見たって事は……。」
「はい、その通りです。」
レキはさらっと、当たり前の様に言う。レキの視認力は日に日に増している。
視力が良いと言うだけでは信じがたい。
「そうか、その調子で警戒してくれ。」
もうまいったなぁ。と言いたげに手元にあるモニターを見る。
このモニターには自分達のいるビルに仕掛けたトラップが点滅して表示されている。そしてトラップを解除すればアラームで知らせる仕組みだ。
その数37箇所。
わざと見せる罠、見えにくい罠、解除すれば別の罠が作動する罠。
狙撃手にとって罠は自己防衛の最大手段だ。
敵を攻撃、警戒への誘導、移動速度の減退等により離脱時間が延びるからだ。
そして、モニターの点滅はすでに8つ消えている。
(侵入…されている。)
トラップ番号から七階下のトラップを解除されたようだ。
それも、連結トラップのみを解除して、アラームも無かった。
(まずいな。)
純はレキに前方全域警戒、前の警戒を任せる、と手信号で送る。左掌を広げ、前に倒した後に円を描くようにする仕草だ。
レキはコクリっ、と頷くと伏せながら純に近づく。
「トラップが数個解除されてる。アラームもだ。恐らく敵はかなりの手練れ、Sランクだと思う。」
「分かりました、気を付けてください。」
純はガンケースを置き、MP7A1を取り出して階段へと向かう。
階段の様子を伺い、降りようとしたとき、純の勘が体の動きを止めた。何故かこの先を行ってはいけない気がするのだ。
この感覚は純が様々な依頼を受けてきた中でも感じた事がある。いわゆる、第六感というものだろう。
純は単眼式のナイトビジョンを覗くと
「!!」
一瞬、目の前に真っ赤な閃光が走ったように見えた。もう一度覗くと、まさに目と鼻の先に赤外線センサーがはられていた。
純はこんなとこにトラップを仕掛けた覚えは無い。かと言ってレキにはそんなスキルも無い。
純はまさかと思い、レキの方を振り返ると。
「左に跳べ!!」
純は思い切り叫んだ。ハッキリと、轟音のような声で。
響く声を、レキは直感で分かった。
この声が、自分に対する警告であると。
レキはドラグノフを抱え、華奢な体からとは思えない跳躍で4mほど跳び、貯水タンクの側に着地する。
レキがドラグノフを構え、先ほどレキの居たすぐ後ろに立っていた男に照準する。
黒のフェイスペイントに葵いサファイアの目、髪はニットを被って分からない。
キンジやアリアの様なC装備に似た物を着けている。
手にはMP5A5が握られている。

パララララ!!

先に発砲したのは純。MP7を膝を付いて撃っている。
敵と思わしき男は身を低くし、バック転をして避け、純にMP5を向ける。

チャキ!

レキはドラグノフに銃剣を挿し、地面を大きく踏み、一気に男に詰め寄りドラグノフを突き刺す。

ガキンっ!

銃剣はMP5の固定ストックに阻まれる。レキは一歩後ろに下がると連続で突きと斬撃を繰り出す。
その動き、一秒間に5回もの連続技。並のものでは無い。
だが、その動きを読んでいるかの様に男は体スレスレで避ける。まるでわざとスレスレで避けている様に見える。

ガっ!

「っ!?」
男はドラグノフのハンドガードを脇に左脇に挟み、手で握る。
レキはドラグノフを引き抜こうとするが、ガッチリと固定されてしまいビクともしない。
「レキ!!」
純は弾が切れたMP7を捨て、左CQCレッグホルスターからベレッタM8000・クーガを取り出し、撃つ。
だが、弾丸が男に届く前に男はその体勢のまま体を思い切り右に捩る。そして。

バキャァ!!

男が弾丸を避け、MP5でレキに発砲する。レキはすぐさまバックステップで距離を置く。
レキの男の間には、木屑が散乱していた。
「このっ!!」
純は投げナイフとクーガで男を狙う。ナイフは弾かれ、弾も当たっていない。男が間合いを開けたところで、純はレキの元に戻りる。
「レキ」
純の問いかけに、レキは返事をしない。
ただ、見ているだけだった。
男と自分達の間に落ちているドラグノフ。
そして、手にはマガジン付近から先端が折れたドラグノフ。
レキは、ただ茫然と立っているだけだった。





Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.56 )
日時: 2012/01/09 23:44
名前: イグアナ (ID: SGjK60el)

〔チーム・γ、理子・白雪〕
小さな無線機を組み合わせ、バンドがライブで使うエフェクター群が入ったアルミケースを弄りながら理子は電波を拾い続けていた。
理子と白雪は偵察チームとして組んで貰っている。
敵の超能力者を早期判別を図っている為だ。
「?」
「理子、どうしたの?」
理子は腕を組み、頭を左に傾けてしかめっ面をする。
「うーん、おかしいんだよねぇ。敵は無線で連絡取ってる筈なのに電波が傍受できない。」
「私、そうゆう事には詳しく無いんだけど…もしかして敵が無線関係の能力を持ってるのかも。」
白雪はM60で警戒し、辺りを見回している。静かなオフィス、携帯のバイブでも響いてしまいそうな静寂だ。
チカ…チカ…
ふと見れば、腕時計の様に着けていた無線の表示灯が緑色で点滅していた。
「理子が取る。」
そう言い、理子は右手で首の骨伝導機に触れる。
「ワトソン、どうしたの?」
『理子か?今、βが攻撃を受けている。』
「何人に攻められてるの?」
『一人だけだ、でもβが劣勢状態にある。』
「てっことは…」
『うん、多分超能力ステルスだ。』
「キンちゃんに知らせないと……あれ?」
白雪が骨伝導機に触れるが、低いノイズの音だけが静かに聴こえるだけで応答は無い。恐ろしく無線をOFFにしているのだろう。
「無線が入らない。」
「キーくん無線切っちゃってるんじゃない?もしかしてぇ、アリアと無線じゃ聞かれちゃまずい声が出る様な事してるんだよぉー?」
理子がほっぺに手をあてながら体をクネクネする。ダンスである『ウェーブ』の様で蛇の動きにも見える。
「キンちゃんそんな事しないもん!?」
「むふふー。わかんないよー?キーくんはああ見えてオオカミだから。」
両手を狼の耳に似せてガルルと唸る理子に、白雪は手で頭を叩く。
「いったーい、理子泣いちゃうよ?」
片手で目を擦りながら無線機器を片付けていく。最初の強襲から約一時間経っている。
バスカービルは三人を投降させてはいるが、βが襲撃され、現在は劣勢下にある。
「よっし、離脱しよっ」
「もう行くの?」
「同じ所にいたら見つかるでしょ?理子あんまり戦いたくないんだよねぇー」
苦笑いをしながらケースを背負う。エレベーターを呼び、その到着を待つ。
「ねぇ白雪?」
「何?」
「うーん、何でも無い!」
白雪が『?』の顔をすると、理子はムハムハと誤魔化す。そうしている間に、エレベーターは到着する。
「さ、行くよ」
エレベーターと扉が開き、理子が入ろうとすると。

ピンっ

何かが外れる音がした。
「理子!!」

ドォオオン!!

エレベーターは大きく爆発し、ヒュンヒュンとケーブルを靡かせ落下していく。そして、エレベーターが潰れる音が聞こえてくる。
「う、うぅ…理…子?」
荒れたオフィスの瓦礫から、白雪が起き上がる。爆発の瞬間、理子を庇い爆風でオフィスの中心に吹き飛ばされた。
「白雪!?」
理子は直ぐに白雪に抱き抱える。白雪は血だらけになり、左腕は力無くだらんとしている。吹き飛んだ勢いでM60は銃身が曲がり、トリガーは吹き飛んでいる。
「もう見つかっていたみたいね。」
理子はエレベーターから出てきた影に向かってワルサーを向ける。
「見つかりたく無いなら、安易に無線なんて使わない事よ?」
その人物は、上下黒の装備に腰の左右に短刀を下げ手にはMP5が握られている。声と口調、スタイルから女性だろう。身長は高い、モデルの人の様だ。黒のBDUも、あえてスラッと見える物を着用しているのだろうか。
「いつから?」
「無線を拾おうとした所かしら?傍受する為の波形が感じとれたわ。」
「へー、って事は超能力?」
「ええ、そうよ。」
理子は確信を得ようと率直に超能力者か聞いてみたが、あっさりと答えた事に若干驚いた様に見せる。
「私の超能力は音響支配『サウンド・ジャック』音を操るの。」
女は白雪よりも大きい胸に突いたグレネードを抜き、自分の前に落とす。
すると、そのグレネードからは大量の煙が噴出され、オフィスの中はたちまち真っ白な空間になる。
「くっ」

バァン!

理子がワルサーを女に発砲するが避けられ、白い闇に消える。
「くっ」
ギリっと歯を鳴らし、理子は白雪を瓦礫の影に避難させる。白雪の色金殺女ならこの状況をすぐに打破出来ただろう。きっと、それも予想しての爆弾だったのか。
理子は髪を靡かせ、その先端はナイフを持っている。もう一丁のワルサーも抜き、臨戦体制に入る。
(今は勝つことよりも、白雪を助けないと。ヘリでワトソンが待機してるし、せめてワトソンが降りてこられる所に行かないと。)
理子はここに入ってきたことを思い出す。オフィスはメチャクチャだが、自分は中央にいる。エレベーターが正面だから、その横の廊下に非常階段があったはず。
(その為に、隙を作る!!)
理子は銃を強く握り、ナイフを光らせ、強く地面を蹴った。




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