二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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緋弾のアリア SS〜Another world〜
日時: 2011/06/11 12:36
名前: イグアナ (ID: PMHGkQdB)

どうも。

緋アリおもしろいんで書いてみます。

登場人物にいくつかオリ入ってます。
随時追加します。


よろしくっす。



人物紹介(オリジナル)
天道 純
武偵高校2年C組所属。専門科目は狙撃科でランクA。
父は米軍海兵隊の中尉。母は元SAT隊員。
15までアメリカで過ごし、射撃やマーシャルアーツを嗜んできた。
海兵隊刈りの頭をしており、左目の横に切り傷が残っている。
頭と技術が驚くぐらいによく、銃のカスタムも自らが行う。自室には作業台が置かれ、お風呂は塗装部屋になっており。いつも銭湯に入りに行っている。基本は狙撃の任務がメインだが、近接戦闘も得意で、突入要員や索敵要因でもこなす。
携行武器はM24 SWS・M200のボルトアクションライフル。その他任務に合わせて装備を変える。
「スローアイ」という一定時間、時間の流れが遅く見え動きが格段に素早くなる特殊能力を持っている。

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Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.31 )
日時: 2011/08/23 21:18
名前: イグアナ (ID: QoAeUzsP)

『それでは皆様、お待たせいたしました。世界最高峰をお楽しみ…やがれです』
え?何だ今のは?語尾がおかしかったような…
『僅か5分足らずの絶叫をお楽しみください』
気のせいか…?
以前聞いたことのある音声だった気がしたが、聞き間違いだったかと首をかしげる。そんな事よりも今のキンジはジェットコースターで頭がいっぱいだった。徐々に動き始めるコースターは上りのレールえと差し掛かり、どんどん上がっていく。横を見るとミニチュアになっていく人、町。隣ではキャッキャとはしゃぐアリア、後ろは楽しんでいる様に景色を見渡す純とただただ目の前を無表情で見ているレキ。もう後戻りは出来ない、キンジは腹をくくって身構える。そして、コースターは頂上までたどり着きそのまま一気に………

>>>
「呆れたわね」
アリアがため息を吐き、売店で売っていた桃まんを乗せたアイスを口に運ぶ。
「……」
レキは持っていたハンカチを水で濡らし、冷や汗だらけの顔を拭く。
「完全にノックアウトだな…」
ジェットコースターの出口に置かれたベンチに寝転がり、青冷めた顔でぐったりと倒れている武藤。キンジは武藤にそう呼び掛けるが応答は無い。コースターから降りたキンジは若干気分は悪くなったものの、キンジ自身も驚く事に平気だった。コースターから降り、アリア達と談笑していると係員の人が急いで最後尾の座席まで走っていった。それでチラッと見ると、に覚えのある制服と顔のある男が完全に消沈していた。キンジ達は係員を手伝い、現在にいたる。
「悪いな遠山、こいつ自分から誘っといて全然駄目でさぁ」
武藤の連れ数人が呆れ顔で苦笑いする。
「武藤は俺らが看ているから、悪かったな」
「全然大丈夫だ、お大事に」
キンジは連れ達と別れ、アリア達と次の行く先を決める。
「キンジ、どうするの?」
「いや、どうするって…俺は別に……。そうだ、レキは何がしたいんだ?」
「私ですか?」
「今日を計画したのレキだろ?何かやりたい物とか無いのか?」
「やりたい…物…」
レキはパンフレットを取りだし、アミューズメント欄を見る。すると、何かあったのか、パンフレットを皆に見せてくる。
「これ」
レキの指先、『シューティングマスター』と書かれている。その詳細には『模擬弾を使ったリアルな射撃が楽しめる』とあった。
レキ、今のお前、ワクワクしてるように見えるぞ。無表情だけど。



Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.32 )
日時: 2011/08/28 18:00
名前: イグアナ (ID: PMHGkQdB)

ジェットコースターのある絶叫ゾーンの真裏にあるアミューズメントゾーン。そこはボーリングやゲームセンターがある。その中で行列を作っているのがシューティングマスター。模擬弾とはいえ、使用している火薬は常装薬、陸上自衛隊の新隊員でも減装薬を使用しているのに民間人に常装薬なんてここの創設者は何を考えているのだろう。
「ここ、一番並んでないか?」
「私たちと違って民間人は普段銃を撃てないからでしょうね。でもほら、武帝の生徒はああやってスルーして入れるわ」
キンジ達は並んでいる客を横に流しながら施設内に入っていく。中は広いシューティングレンジが広がり、ボーリング場の様な受付には10数人が働いていた。すると一番にレキは受付に歩いていった。
「中々良い設備だな、いっちょ俺もやるか」
純も乗り気なのか、レキの後を着いていく。
「アリアはしないのか?」
「私は別に、ここは二人の勝負ってところね」
「二人の勝負・・・?あ、そうか」
レキと純は狙撃科、それもバディ。普通、狙撃のバディはスナイパーと呼ばれる狙撃手とスポッターと呼ばれる観測手で組まれる。スナイパーが冷静に、確実に目標を仕留められるようにする為に観測手は風速を計算し、修正を伝える。しかしレキと純はお互いに狙撃技術が高く、同時に風速計算する技術も持っている。
ほんとこいつら、並じゃねぇな。
「あ、準備が終わったのかな?」
レキ達がが受付から離れ、ブースに歩いていく。キンジ達は隣同士のブースの後ろで様子を見る。二人がIDカードの様なものをブースの台にある挿入口に入れると、床のハッチが開いて銃が出てくる。このシューティングはショットガンがメインで、スラッグ弾と散弾の2種類を使用する。レキと純はそれぞれ銃を持っているが、レキはセミオート、純はボルトアクションで差ができてしまう。二人はそれを踏まえ、お互いフェアで競えるようにした。レキはM3にオープン型ドットサイト、純はM1014を使っている。
「ただの勝負じゃ物足りないな、レキ、何か賭けするか?」
「賭け?」
「ああ、俺はそうだな・・・。この間バレットを買ったから、その整備を頼もうかな」
「私は・・・。使います」
「使う?ああ、俺の銃をか?良いぜ」
シェルをチューブに入れ、純は銃口を真っ直ぐ床に向ける。この構えはストレートダウンと言い、軍隊での射撃訓練に使われている。レキはドットサイトを覗いたまま動かない。
他の客の銃声が響く中、このブースだけピリピリとした空気に包まれていた。カップルで楽しむ者、家族で楽しむ者もいるが、ここの二人は楽しむと言うか戦うと言った方がいいだろう。ブースの文字盤に「スタンバイ」と表示され、10カウントで進む。レキはいつもの無表情、純の目は開き、臨戦体制に入っている。

『3…2…1…GO!!』
機械音声がなると、60m離れた地面から標的が一体ずつ出てくる。

ドドォン!!!

ほぼ同時に発射された弾は標的に着弾し、今度は三体の標的が出てくる。

ドォンドォンドォン!!!

また命中し、新しい標的が六体出てくる。お互い直ぐに撃つが弾薬が無くなってしまう。狙撃銃等と違い、散弾銃は7+1が当たり前だ。武帝にはそれ以上に装填出来るようになっている物があるが、アメリカのMPS社がAA-12というフルオートショットガンを販売している。これは8/20/32発入る。
標的は六体、シェルチューブには四発、どうやっても足りない。純は四発撃ち込んだ後、シェルボックスから散弾を一発取り出して二体を同時に倒す。通常、散弾はそこまで飛ばないが、増薬と呼ばれる火薬と散弾を増やして射程距離を伸ばす方法がある。しかし、その分反動が大きく精度が落ちる。純は狙撃銃を撃っている。狙撃銃は突撃銃等と違い、消炎制退器と言う反動を前にも向かわせ、反動を軽減させる事が出来ないため反動が大きい。純は直ぐにスラッグ弾を込める。その速さは素晴らしく早く、秒間3発装填している。その点レキは…

ドァン!!

一発、撃つ。その一発は一体の標的に当たり、弾頭は壁の僅かな鉄骨部分に跳弾し、もう一体に当たる。レキの十八番、『エル・スナイプ』。

「やっぱやる事が違うな、さすがSランク」
「余所見しないで下さい、撃ちますよ?」
いつの間にか周囲の銃声は止んでいた、客はレキ達に注目し、武帝生徒も見学している。入り口の大画面モニター、さっきまではまちまちに映っていた映像はレキ達に固定されている。モニターには『武帝トップ狙撃手 相棒で対決』とテロップが流れている。まるでTVだ。
『ネクスト』
文字盤に表示される。さっきは固定射撃だったが次はクレー射撃。動く標的だ。
『インターバル』
レキは弾を込め、純は左目にアイパッチ(眼帯のような物)を付ける。
「レキ、射程設定は?」
「純に合わせます」
「そうか、じゃあ最大だな」
クレー射撃は15m離れたところから円盤を飛ばすのが主流だが、ここの最大距離は常識の範囲外の2000m。
「よし、じゃあ本腰といくか」
「……」
レキは散弾銃をしまい、ガンケースからドラグノフを取り出す。純は裏装備(武帝生徒の好成績者しか貸与されていない)のM14EBRを取り出す。
『スタンバイ』



『GO!!』
機械音声と共に円盤が発射される、その数10枚。

パァパァパァパァパァ!!

一斉に銃撃する、見事に二人とも命中する。距離2000mのクレー射撃、周りは拍手と歓声に沸く。二人とも冷静な顔でいるが、純の表情だけが雲っている。

>>>ブース裏
「アリア、純の様子がおかしくないか?」
「あれね、超能力よ」
「超能力?あいつそんなの持ってたのか?」
「私も最初は知らなかったわ、理子から聞いたの」
「それと何の関係があるんだ?」
「純の能力は動きが遅く見える能力なの、その分、脳への影響は大きいわ。頻繁に繰り返したり、長時間使い続ければ命の危険があるわ」
「あいつそんなの今使ってんのか!?」
「円盤との距離は2000m、純の絶対半径は1700m、勝ち目はないわ」
「マジかよ・・・」
一瞬止めた方がと思ったが、純はまだしっかりと構えている。純自身、自分の能力の限度ぐらい知っているだろう。レキもそれを知っているはず、バディ同士だし。そう思った。弾装を交換する純とレキ見守るキンジ。
こいつら、やっぱ並じゃないな。


Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.33 )
日時: 2011/09/03 16:17
名前: イグアナ (ID: PMHGkQdB)

『ネクスト』
機械音が次の円盤の準備をし始める。
スコアはお互いに同点。だが、能力を使い続けている純はもう限界に近いはず。
『ラスト ステージ』
最後のゲーム。あと10枚、それを終えれば引き分けで終わる。レキは以前表情は変わらない。
「ふぅ・・・」
純は息を吹き、スコープを覗く。
「・・・・・」
レキは純のブースをチラッと見ると、直ぐにドラグノフを構え直した。
『スタート』
円盤が三発、打ち上げられる。15mでも円盤は狙い辛い、慣れるには時間がかかるが2000mの距離は不可能と言える。一瞬のうちに飛び、一瞬のうちに地面に落下する。それを狙撃銃で撃つ。神がかりだ。

パァンパァンパァン!!

見事に命中。

バシュバシュバシュ!!
また三発。
パァンパァンパァン!!
撃ち落す。残るは四発、最後の打ち上げは四発一斉に発射される。このゲームでこのレベルまでいったのはこの二人のみ。純は考えていた、どう撃つのか。自分の腕で一斉に四発は無理だ。だったら、一発で撃ち落すしかない。四枚が重なる一瞬、そこを狙えば撃てる。純の能力もあと僅かで危険なラインを超える。無駄に使わず、一瞬で。
「最後に微笑め・・・」

バシュ!!

円盤が打ち上げられた、純の視界がゆらめぎ、ゆっくりと流れる。覗くスコープ、円盤の軌道が見える。円盤が重なるその一瞬、一瞬。
(今だ・・・!!)

パァン!

銃口から撃ち放たれた7.62mmが弾道を残し、円盤に突き進んでいく。タイミングも、弾道も完璧だ。あとは弾着を見送るだけだ。

ビーーーーー!!
『ザ エンド』
終わりのブザーと音声が流れる。辺りからは拍手と声が響く。
「あぁっく〜」
大きく背伸びをし、EBRを土台にしまう。ブースから冷や汗をかきながら出てくる純。
「お疲れ様」
レキは開始前と変わらない表情でドラグノフをガンケースにしまいながら出てくる。
「二人とも凄かったじゃない」
アリアとキンジがコーラとファンタを持って来る。
「流石武偵トップクラスの狙撃手、やるな」
「ああ、でもレキは俺より何枚も上手だ。な?」
「・・・・・」
「そんな謙虚になるなよ、もっと胸張って良いぞ?」
最終結果、総数56枚の内レキ56枚純52枚。
最後の四枚、純の撃った弾は完璧だった。弾着する一歩手前で弾道が変わった。純は見余ったのだ、一発で円盤を全て撃ち落すという考えが間違っていた。四発を外した原因、それはレキの銃弾だった。レキは純が着眼としていた一瞬を見計らい『ビリヤード』を決めたのだ。それと同時に『エル・エル』。レキの7.62mm54Rは純の7,62NATOに当たった後、自らの円盤二枚を撃ち落し、さらに円盤を打ち抜いた弾頭は最初に『エルスナイプ』をした鉄骨に跳ね返り残り二枚の円盤を打ち抜いた。
「お前と勝負した時点で負けだったよ」
「そんなことありません、私なりに危険でしたから」
「お前が危険なら俺は死んでるって」
純は笑いながら受付に向かい、二人分の射撃結果のプリントを持ってきた。
「武偵国体、期待できるわね」
「何だ、アリア?」
「レキと純は最高の組み合わせよ、お互いがお互いを高め合ってる。能力的問題とかじゃない、意識が高め合ってる」
「そうだな、あの二人は世界で一番だろうな」
「キンジさん」
キンジとアリアが話している間に、レキが入り込む。
「どうしたの、レキ?」
「次はここに行きます」
「え?」
「これに・・・か?」
レキの行きたい場所『メリーゴーランド』
「?」
レキは軽く、ほんとに軽く首を傾げる。
「いや、行こう。おもしろそうだ」
シューティングが終わってテンションが上がってきているのか、レキはノリノリの様だ。表情には出てないが、きっと、そのはず。
まだまだ今日は始まったばかり、時間は午前11時。命一杯楽しもう。
純はキンジから次の行き先を聞いた。するとクスっと笑い。
「マジかよ」
と言った。その瞬間、レキのガンケース、丁度ストックが収まっている部分が純の顎にクリーンヒットした。



Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.34 )
日時: 2011/09/12 00:14
名前: イグアナ (ID: joMfcOas)

メリーゴーランドに乗っている客は親子とカップルばかりだった。まぁ高校生でメリーゴーランドといえばカップルぐらいだろう。ただ、レキはただメリーゴーランドに乗りたいだけなのだろうか?
「よっし、んじゃぁ乗るか」
純が馬に乗ると、『早くこいよ』と言った感じで手招きする。キンジ達も馬に乗ろうとするが…
「あれ?ちょっと待てよ」
「キンジ、どうしたのよ?」
「いや、馬が一頭しか空いてないぞ?」
止まっているメリーゴーランドを見ると、一頭を残して他には客が乗っていた。
「どうする?」
「どうするってねぇ、二人ずつ乗れば良いのよ」
「そうか、じゃあ俺と純…」
「何でそうなるのよ!?」
「え?」
「純とレキ…で、私と…その、キン…ジで」
「ああ、要はパートナー同士って事だろ?」
「え?あ、ま、っまぁそうゆう事よ!」
アリアの考えとキンジの考えが合致することは無く、アリアは若干満足では無いものの、結果オーライと言う事で自分に言い聞かせた。
「レキ、パートナー同士で…って…」
キンジが振り返るとレキの姿は無く、ふと気付くと既に純の前にちょこんと座っていた。レキはしっかりと状況を把握してるらしい。
「あいつら早いな、どんだけ楽しみ何だよ」
「良いじゃない、楽しんでるなら。私も行くわよ!」
アリアはキンジの手を引っ張り、馬に飛び乗る。キンジもアリアの後ろに乗ると、それを見た係員がメリーゴーランドを稼働させる。
「ねぇキンジ?」
「ん?何だ?」
「あの…武偵国大が終わったら、話があるんだけど…」
「話?またテロリストの駆逐でも行くのか?」
「ち、違うわよ!」
「じゃああれか、買い物か。もう勘弁してくれ、戦闘訓練よりもキツいぞあれは」
「だから違うって言ってるじゃない!」
「何怒ってるんだよ?子供っぽ過ぎて子供に笑われるぞ」
「この、バカキンジ…」
アリアは銃を手にかけ、レッグホルスターから抜く。
「ちょ、待て待て!落ち着けって!それに民間人もいるから危ない…」
「私はSランクよ!風穴開けてやる!!」

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.35 )
日時: 2011/09/24 22:15
名前: イグアナ (ID: 6mW1p4Tl)

その後、周りの一般客に危険が及びそうなのでキンジが何とか押さえ付け、アリアはフガフガする中メリーゴーランドは動き出した。アリアは最初ツーンとしていたが、何故か途中でモジモジし始めた。そんな動いたら乗りにくいだろ。それに、髪が鼻に擦れてこそばゆいんだよ。
「痛い、痛いって!」
二台前の純が何か行っているので見てみると、純の後ろに座っているレキが手綱を引っ張る様に純の腕を後ろに力一杯引っ張っていた。また余計な事を言ったのだろう。
「レキ達、仲良いわね」
「そうか?完全に純がしばかれてるとしか見えないぞ」
「喧嘩するほど仲が良いって言うでしょ?」
「んー、まぁ、あれはー、そうだな」
あれは喧嘩というより、レキのコミニュケーション的な物だろう。色々ぶっ飛んでるレキだから十分有り得る。
<<<
楽しい時間程、時間が経つのは早い物である。逆に強襲の頃に受けた野営訓練は一時間が一週間並みに長く感じたが。日も沈み午後8時、ほとんどの来演者が帰路に着こうとし混雑している中、キンジと純は満足げにバス停に向かう。アリアとレキは用事があると言って別れ、寮までは二人で帰る事になった。二人とも十分楽しみはしたが、その分疲労感も増している。純は「たまには良いじゃないか」というが何分キンジはアリアとの一件でしょっちゅう使い回されている。
次からは純も連れて行こうかな。
バスに乗り、混み気味の中一番奥の席に座る事が出来た。
「武偵国大までもうちょいだな」
うとうとする中、キンジの眠気を覚ます純。純はスマートフォンの画面を右人差し指でヒョイヒョイとスクロールしている。
「ああ、あと5日か…」
「準備は出来てるか?」
「まぁ、それなりに。平賀さんに装備品の発注もしてある。この前のライフルもあるしな」
「そうか、でも補備はしとけよ。……武偵国大、確かに世界中の武偵が集まる祭典の様なものだが…」
曇らした口調で躊躇う純。キンジには何が言いたいか大体予測は出来た。
「イ・ウー…か。」
イ・ウー。かつてアリアとキンジにより壊滅させた組織だが、残党がまだ世界の何処かで潜んでいる。この大会に紛れ、接近してくる可能性はあるが…。
「その危険性もあるが、ま、武偵エリートが集まる時に入り込むなんざ、飛んで火に入る夏の虫ってやつだな」
「でもその危険性は高い、奴らにとって武偵は厄介な集団だからな。あいつら達が悪すぎるんだよ、ほとんどチートに近いぞ」
「奴らと戦う為に、初戦で戦い方を掴んどけよ。幸か不幸か相手チームには超能力がいるからな、ルーキー」
ルーキーってのは俺の事か。確かに、アリアと吸血鬼やら何やらと戦っては来たがこれといって何かを掴めた訳でも無いしな。でもルーキーって。俺リーダーなのにな。一応。
「キンジのHSSもチート級だぞ?発生条件付きだけど」
「あれはあんまり使いたく無いんだよ」
「たらしになる以外は完璧なのにな」
『次は武偵高校前、武偵高校前、お降りのお客様は……』
バスのアナウンスが、二人の会話を遮るように停留所を告げる。バスの中は大半が武偵生徒なので、二人が降りる時にはがらがらになっていた。キンジ達はバスを降りると道を横断し、反対側の道路に移動した。
「さ、俺は一眠りすっかな」
「俺も寝ようかな…」
今日は……今日も疲れたな。遊ぶのも良いけどたまには1日丸々寝てみたいもんだな。どうせアリアが起こしに来るんだろうけどな。
「お?誰かいるぞ?」
純が目を細めて寮の入口を指差す。そこには白衣を着用し、背中に大きな長方形の箱を背負った小学生の様な子が誰かを探す様にキョロキョロと辺りを見回している。


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