二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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緋弾のアリア SS〜Another world〜
日時: 2011/06/11 12:36
名前: イグアナ (ID: PMHGkQdB)

どうも。

緋アリおもしろいんで書いてみます。

登場人物にいくつかオリ入ってます。
随時追加します。


よろしくっす。



人物紹介(オリジナル)
天道 純
武偵高校2年C組所属。専門科目は狙撃科でランクA。
父は米軍海兵隊の中尉。母は元SAT隊員。
15までアメリカで過ごし、射撃やマーシャルアーツを嗜んできた。
海兵隊刈りの頭をしており、左目の横に切り傷が残っている。
頭と技術が驚くぐらいによく、銃のカスタムも自らが行う。自室には作業台が置かれ、お風呂は塗装部屋になっており。いつも銭湯に入りに行っている。基本は狙撃の任務がメインだが、近接戦闘も得意で、突入要員や索敵要因でもこなす。
携行武器はM24 SWS・M200のボルトアクションライフル。その他任務に合わせて装備を変える。
「スローアイ」という一定時間、時間の流れが遅く見え動きが格段に素早くなる特殊能力を持っている。

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Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.42 )
日時: 2011/10/07 20:26
名前: イグアナ (ID: l38dU1rK)

昼休み

眠い授業が終わり、待ちに待った昼休みになった。
確か今日は学食が休みだったっけな。今日もパンで良いか。
筆記用具や教科書を机に出したまま購買へと向かう。
………?
売店が、閉まってる?
いつも生徒がパンを奪い合ったりしているはずの売店に、まったく人影が無かった。シャッターが閉められ、『本日休業』と書かれている。
なんだ?売店の人がとうとう武偵の激しさに休んだか。
……って事はだ、今日は飯抜き……。
「はぁー」
ヤバイな、こんなんじゃ午後の授業堪えられんぞ?
レキからカロリーメイトを分けてもらうか。一本でも食べないよりマシだろう。
早く食料を手に入れるべく、レキの教室に向かっていると。
「キンちゃーん!」
窓の外の中庭から包み袋を持ち、手を振ってくる白雪がいた。

>>>

「サンキュー白雪、助かった」
屋上の一角で、シーツにお重の弁当箱広げて色とりどりの食材を口に運ぶキンジ。
「今日学食が休みで、売店がお休みになるって占いででてて、きっとキンちゃんが困ると思って作って来たの。お、美味しい?」
モジモジと頬を赤くしながらうつむく白雪。
「ああ、上手い。流石だな、占いも料理も」
「そ、そんな!流石だなんて!まだまだ嫁修行中だし、あ、でもキンちゃんの感想聞きながらお料理するのも良いなぁ…。いつもお昼はお肉中心の方が……」
人差し指をツンツンしたあとグリグリ回して、両手を頬につけたり離したり。そして一人言を延々と話続ける。
しまった、白雪に誉め言葉は禁句だったな。
「おーい、白雪。戻ってこーい」
「え、あ、ごめんなさい!つい幸せに酔いしれてしまいまして…」
「ま、まぁ良いけど。あ、そうだ。昨日何してたんだ?」
「SSRで今度戦う敵の超能力(ステルス)を研究してたの」
「どんな能力か分かったのか?」
「うん、1人だけだけど『方向逆視(ターンズ・ビジョン)』っていう能力を使っているのが分かった」
「方向逆視?」
「簡単に説明すると、自分の見ている物体の方向を変えられるの。例えば車とかもそうだし、弾道も変えられる事になるの」
これはまた厄介だな。武偵自体が厄介だけど。しかも便利そうだな、俺の『銃弾逸らし(スラッシュ)』の苦労を教えてやりたいぜ。
「で、どんな奴なんだ?」
「それが…」
「分からないのか?」
白雪はコクりと頷き。
「それが、敵の任務中の写真を諜報科から貰ったんだけど皆同じ装備だったし、ガスマスクを着けてたから…」
そう言って白雪は封筒を渡してくる。中には数十枚の写真が入っていた。
「マジか、まんま一緒じゃないか」
写真に載っている者は皆、黒のBDUに同色のレッグホルスター、ベスト、ショルダーポーチ等も同じで、マガジンポーチの位置まで同じ。武器はMP5A4の固定ストックに、ドットサイト、レーザーサイトが取り付けられている。どれも全く同じだ。
全員サブマシンか、ってことはCQB戦が得意なのか?
MP5シリーズは9mm弾を使用するので飛距離がアサルトライフル程も無い。さらに連射性を重視した銃なので遠距離の命中精度は低い。だがCQBでの性能はトップクラスだ。
確か相手は全員強襲科、機動性のチームって事か。予想外だったな、ここまで徹底されたチームとは。
「大丈夫、きっとキンちゃんなら倒せるよ」
「そうだな、少なくとも相手は人間だしな」
相手はブラドの様な化け物じゃないからな、ある意味で化け物何だろうけど。本番もそう思うだろうな。
キンジ達は綺麗に弁当を食べ終える。白雪は昼早くからSSRの授業があるようで少し休憩すると教室に戻っていった。
時間も無いのにわざわざ昼に付き合ってくれるなんて、何だか悪いな。さて、昼も食べたし、午後は空腹から睡魔に問題が変わったな。
色々助けて貰ってばっかだな。白雪には。

>>>

放課後、キンジは真っ直ぐに寮に戻った。アリアは後輩の間宮に様があると言い、武藤と不知火も武偵国体の支援担当なのでその準備で帰るのは遅くなるらしい。
キンジも、今夜理子と自室で会う約束をしている。調べて貰った相手チームの情報を聞く為だ。エレベーターを降り、自室の鍵を開けようとする、が。
……開いてる?確か朝はちゃんと鍵を締めたはず。
キンジは探偵科の授業を思い出す、『自宅の鍵が開けられている時は、危険信号だ』敵に自宅に入られた時は要注意。何処に隠れて待ち伏せしているか、何処にトラップが仕掛けられているかも分からない。懐からベレッタを取りだしゆっくり扉を開く。扉の四面にはワイヤーらしき物も無い。
ドアはクリア…か。
そのままゆっくりゆっくりと進んでいく。トイレ、浴室、一部屋一部屋確認していく。そしてリビングに入ると。
「意外と早かったな、遠山キンジ」
金髪の、外国人らしき人がリビングの窓から外を眺めていた。声に反応したキンジは男にベレッタを向ける。
「銃を下ろせ、遠山キンジ。少し邪魔しただけだろう」
「お前、誰だ」
「はぁー、怒りやすいタイプか君は?」
こちらを振り返る男、逆立った金の短髪、革製の茶色ジャケットを開けて着、ジーンズにニーパッド。脇から見えるショルダーホルスター。大きさと形状からして大型拳銃、あるいはマグナム。
「俺はダン、ダン・メイソン。ニューヨーク武偵、チーム・デポのリーダーだ」

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.43 )
日時: 2011/10/13 12:24
名前: イグアナ (ID: T8uIPv/C)

チーム・デポ…確か武偵国体の初戦チームだったな。何でこいつがここに?俺を先に始末でもしに来たのか?
「おい、ちゃんと正体を教えたんだから銃下ろせよ。そんなもの向けられたら話も出来ないだろ?」
このダンという男、敵意は無いみたいだがこの圧力は何だ?この、胸が絞められるような圧力は。
キンジは銃を床に向けてゆっくりと下ろす。
「何をしにきた」
「様子見ってところかな。インターホン押したんだけど居なかったから、ちょっと先に邪魔しただけだ」
「ピッキングか?」
「いや、開いてた」
「開いてた?」
「おう、普通にドアノブ回ったぞ」
……マジか。
「だからって勝手に入るなよ」
「無用心だろ?俺だってほっとくのも危ないからドアの前で待ってたら警備員みたいな奴が近づいてくるし」
よく分からないが俺が悪者っぽくなってるぞ。てか、お前それ不法侵入だぞ、もうあまり追求はしないが。
「何だが悪かったな」
「たくっ、それでも武偵生徒かよ」
面倒だな、こいつ。
「それもついでに謝っとく。それで、様子見だけか?」
「まだある。これを渡しに来た」
ダンは床に置いてあったアタッシュケースを開けると、A4サイズの茶封筒を渡してくる。
「ペンタゴンから渡された書類だ。見てくれ」
ペンタゴンからの?そんなもん見て良いのかよ。
ダンから渡された書類には
『我々は解放と目覚めを導きし英雄なり、我ら再び立ち上がり求める英特。我らが求めし色金を手中に納め天の主となる。我らは金罫(ペルシャ)、来る宣戦に向け火を吹く』
「なんだよ、これは…」
「CIAの捜査官がファックスで送ってきたらしい。連絡は途絶えたままだが、その捜査官は極秘でイロカネを探しているある組織の情報を集めていた。その文の『色金を手中に納め』、イロカネが何なのかは分かるよな?」
「ああ、よく知ってるよ」
アリアがそうだからな。
「そしてその後、『来る宣戦』。ここがよく分からない」
「宣戦?」
「この金罫(ペルシャ)っていう連中、世界各国でチーム登録をしている武偵を無差別に攻撃を仕掛けているんだ。それと、小耳に挟んだだけなんだが、イ・ウーっていう組織が関係しているらしい」
「っ!」
「イ・ウーがどんな組織かは知らないが、もう壊滅したらしいな。そのイ・ウーを倒したのがどっかの武偵生徒だって話だ」
まさか俺達を、探してるのか?でも何で?その金罫って組織はイ・ウーの残党?解放と目覚め、捕まったイ・ウーのメンバーを助けるってことで、目覚めは復活の意味なのか?
「それを何で俺に…」
「もう一枚の書類を見てみろ」
俺は二枚目の書類を見る。
『宣戦に向け、我らに対する存在。藍幇(ランパン)、星伽神社、リバティー・メイソン、ウルス族、バスカービル。我らに対する勢力。師団、眷属。』
何で、この中に俺のチームが入ってるんだっ!?それに星伽神社、リバティー・メイソン、あいつらも関係してるのか!?それに俺達を襲った藍幇までっ!
「どういう理由か分からないが、そこにお前達バスカービルが載ってるんだ。きっと何らかに関係している物だと思ってリーダーのお前に教えに来たんだが、何も知らないのか?」
「ああ、初耳だ」
ここは一応、イ・ウーの事は黙っておいた方が良いか。アリア達の意見も聞きたいところだ。
「この書類に載っている組織が『宣戦』に巻き込まれるのか参加するのかは分からないが、気をつけた方が良いぞ。そこにバスカービルが載ってるって事は相当な事何だろうだからな」
「仲間にも伝えておく、それに載ってる星伽神社もリバティー・メイソンも心当たりがあるからな」「それは助かるな。まだ俺も詳しくは調べて無いんだから話を聞いてみてくれ。俺のアドレスを教えておく、何かあったら連絡をくれ」
ダンは俺に携帯の赤外線受信を向けてくる。話を聞くと、こいつ自身に危険はあまり無さそうだな。初戦相手ってこと以外は。
「これで用は済んだ。ま、武偵国体は正々堂々と。な」
ダンはアタッシュケースを持ち玄関へと進んで外に出る。
一体何があるって言うんだ?それに、師団と眷属。聞き慣れない組織まで上がった。
今夜は理子と話す予定だったが、ワトソンやアリアも呼ばなきゃならんな。

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.44 )
日時: 2011/10/16 23:39
名前: イグアナ (ID: 4.ooa1lg)

その夜。アリア、ワトソン、理子とアリアの呼び掛けで白雪とレキが集まった。純は依頼の件で都外に居るらしい。
それとだ理子、何でレキがバニーの格好になってんだよ!
アリアがレキと理子は遅れてくる。何て言ってたけどこうゆう事だったのかよ!
レキも断れよ。そのまますんなり部屋に入って来。
やがって。
「ふふーん、レキュバニー可愛いねぇ、キタコレぇだよ!」
レキュバニーって何だよ。まんまじゃないか。
レキもまったく微動だにしてないな。あんなに纏わりつかれて。
何か弱味でも握られてるのか?はは、まさかな。
「理子、頼むから着替えさせてくれ。このままじゃあ話が出来ないだろ」
「あれ〜?キーくん興奮しちゃったの?」
「してねぇよ!」
「そんな事言って〜、この前理子のエロゲでバニーハマってたくせにぃ」
「ちょっバカキンジ!何やってるのよ!」
「やってねぇよ!!」
「そ、そうなのかトオヤマ!?」
「何でお前が反応するんだよ!」
「キ、キンちゃん?私はキンちゃんがどんな趣味でも…」
「違う!話を聞け!」
理子の奴め、何の嫌がらせだよ。
「キーくん素直じゃないなー」
ようやく理子はレキを連れて寝室に入って行った。
助かった、ここにいる全員を口説くなんてしたくないからな。一人でもしたくないが。
レキが戻ってきてから、俺はダンから聞いた話をした。
「って話をされたんだ」
「ボク、その話には覚えがある」
「本当か!?」
「私も知ってる」
「理子もか!?」
「もう『宣戦会議』が始まるのか…」
「どうゆうことなんだ、ワトソン」
「まず『師団』と『眷属』何だけど、この二つは連盟みたいなものなんだ」
「連盟?」
「うん、そこに書いてあるボク達バスカービルやウルス族って言うのは組織的の様なものなんだ。他にも組織はあるけど、その組織が二つの内どれかに入るんだ。でも、『中立』いわゆる無所属っていうのもあって、必ずしも二つのどっちかに入るという事は無いんだ。リバティー・メイソンは過去に眷属に所属していたんだ」
「その眷属ってのはどんな所なんだ」
「う……」
なんだ?聞いちゃ駄目だったか?
「眷属は、ブラド族がいた場所だ。好戦的で、卑怯な奴等だ」
理子が低い声で言った、裏理子の声で。
その肩は震えている。
「…理子の言った通りだ、師団はその逆と言っても良いね」
「レキ、お前はどうなんだ?」
「私はウルスの者としてありますが、バスカービルのメンバー。キンジさんに追います」
俺に、着いてくるってことか。まぁ、ウルス族とは敵対したくないな。レキみたいなのがウジャウジャいたら堪らないよ。
「それで、何でこんなことに?」
アリアが足を組んで言う。
「原因は、アリアとトオヤマにあると思う」
「俺達に!?」
「イ・ウー、君達が壊滅させた組織。そのイ・ウーが壊滅したことで勢力の均衡が崩れ、安定が出来なくなった。今まではイ・ウーが存在していたことで眷属も師団も手が出せなかった。何故ならイ・ウーは原子力潜水艦に潜み、その位置を誰も特定出来ず、もしかしたら敵側に着いているかもと眷属も師団も考えていたから。そしてその問題が無くなった今、二つの連盟はぶつかり合おうとしている」
それが、金罫の言う『来る宣戦』なのか。俺とアリアが原因で。でも、俺はただ、アリアの母親の無罪の為に戦って、そんな事が裏で起きてるなんて知りもしなかったんだぞ?なのに…。
「ボクが言えるのはこうゆう事ぐらいかな。その時が来れば、きっと深く理解出来ると思う」
「キンちゃん…」
白雪が心配そうな眼で俺を見ている。今の俺は、迷ってるからな。
「もぉー、キーくん心配させちゃダメー」
そんな俺を見て、理子は後ろから抱きついてくる。そして理子の柔らかい胸が俺の首に当たる。
ちょ、ヤバイ!
「な、何をしているのですかこの泥棒猫!!」
ブンっ!俺と理子の間に刀が通る。
助かった。一瞬血流が熱くなったぞ。サンキュー白雪。
「どさくさに紛れてキンちゃんに色気を!!」
ガチャン!!
ま、まずい!M60を構えたぞ!
「おい!白雪止めろ!」
俺は白雪の手を引っ張ろうとするが。
「トオヤマ!危ない!」
ワトソンが俺を抱き抱えて寝室に飛び込む。
ああ、もう駄目だ。
俺の、部屋が。
しかもレキの奴、逃げたな。薄情者めぇ!
ドドドドドド!!
M60の銃声が俺の部屋に響く。
この部屋に全員集める事が間違ってたんだよな。次からは純の部屋でやろう。
数十分後、ようやく銃声が止んだリビングは無惨な事になっていた。
もう何だか慣れたな。
「ご、ごめんね?キンちゃん」
「ああ、もう良いよ」
「キーくんごめんね?テヘ☆」
理子がグーの手で頭をコツンとする。
もう俺は何も言わない。
「あれ?そういやアリアは?」
「ここよ」
もぞもぞと机の下から出てくるアリア。
出来れば止めてほしかったな。
「キンちゃん、ちゃんと掃除するから」
「いや、いいよ。もう時間も時間だし、俺がやっとくよ」
「あ、理子が一つ提案がありまーす!」
「何だ?」
「掃除して時間的に問題なら、泊まっちゃえば良いじゃん!」
「いや、それは…」
「お泊まり…。ここで私が帰れば泥棒猫とキンちゃんがっ!わ、私も泊まります!!」
「ちょ、白雪!理子も帰らすから…」
「そうね、私も見てただけで止めなかった責任もあるし」
ア、アリアまで!
「じょ、女子が複数人で男子が一人といううのは見逃し憎いな、ボクも泊まろう」
え、えええぇぇぇぇ……。
ワトソン、お前は女子だろう。俺ぐらいしか知らないけど。
「そうと決まればお掃除開始ー!」
理子がハキハキしながら片付けを始める。
うわぁ、今夜はヤバイ。
寝ないのが得策だな……。
何でこんな事に。

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.45 )
日時: 2011/10/23 22:08
名前: イグアナ (ID: djMAtmQc)

一通り終わった。穴だらけのタンスやテーブルを直し、木屑なども綺麗に回収した。タンスはアリアが部屋にあるものを譲ってくれるらしく、壁の修理は理子が諜報科の奴に頼むらしい。
爆弾とか仕掛けられないよな。
時刻は午前1時、問題の時間がやってきた。就寝という名の悪夢。
ベットには左上がアリア、左下が理子、右上白雪、右下俺となっている。
そう、俺は気付いた。ワトソンは何処で寝るんだ。
「なぁ、トオヤマ」
ワトソンが小声で呼び掛けてくる。
俺もアリア達に迷惑が掛からない様に小声で話す。
何で俺が気を使うんだよ。
「何だ?」
「そっち狭くないか?」
「だ、大丈夫だ」
ワトソンは男子として居るから、当然俺のベットで寝ることになった。
スカイツリーで戦ったとき、こいつが女子だって気付かなきゃ良かった。
俺はなるべくベットの隅に寄り、ワトソンに背を向けて寝ている。理子が来たとき、俺のベットに入ってくる時があるが、こういうの、新鮮っていうのか?
何だか余計に敏感になる。
「本当か?ボクの方はまだ余裕があるんだけど…」
「気にするな、俺の寝かただ」
「…あの、その」
「何だ?」
「ボクが寝づらい」
何言ってんだよ。
「スペースがあるだろう」
「スペースがありすぎるっていうか、そう離れられたら落ち着かないよ」
「冗談言うな、ヒステリアモードになりたくないから離れてるんじゃないか」
「やっぱり、君の寝かたじゃないんだ」
思わず言ってしまった。こういう所、武偵には向いてないと思うよ。自分自身で。
「その、ボクはそうゆうの、治した方が良いと…思う」
「ヒステリアモードをか?」
「違うっ、そのHSSが原因で、トオヤマは女子から逃げてるだろ?それで、女子から悪い事を言われてるじゃないか」
「そっちの方が気楽だよ」
俺は過去に、ヒステリアモードのおかげで女子に散々コキ使われたからな。
「トオヤマは良いだろうけど、ボクはっ…嫌だ。」
「何でだよ」
「ボクは、トオヤマ…が、良いと言うか、トオヤマはちゃんとしてるのに、評価されないのは許せない」
「俺が避けてるんだから仕方ないだろ」
「だから、女子を避けない様に、ボクが鍛えてやる!」
「何でそうなる!」
「ボクは、男として生活してたから、トオヤマみたい状態なんだ。ボクは男が苦手、トオヤマは女が苦手、お互いに、鍛えあえると思う。だから…」
俺の後ろで、モゾモゾと音がする。そして俺の背中に。
く、くっついて来やがった。
「そんなに、避けないでくれ。君が苦手なのは知ってる。でもボクは、トオヤマが良い…んだ。」
「やめろ!ヒスっちまうじゃねぇか!」
「そうなったら、君はボクに優しくなるだろ?」
「ヒステリアモードになったら、俺が鍛えられなくなるだろう!?」
「…あぁ、そうか。すまない、血迷ったような事を言って…」
チラっと後ろを見ると、ワトソンが顔を両手で隠していた。耳は赤くなっている。アリア級だな。
「その、今じゃなくても。また別の日…な?」
「そうだな、ごめん…」
ほんとコイツ、馴れてないんだな。俺もだけど。いや、俺の場合はちょっと違うか。
「じゃあ、せめて、こっちを向いてくれないか?」
「何でだよ」
「良いだろう?少しぐらい…」
「……分かったよ」
このまま話してたら眠れない、そう思って俺はワトソンの方に寝返りをうったが。
あぁ、しまった。
ワトソンの顔は、俺の胸辺りにある。つまり、ワトソンが俺の顔を見ているのだが、上目遣いで、ものすごく可愛く見えた。
香水?いや、シャンプーの香りか。壁を向いていたから気が付かなかったな。
俺は急いで目線を外す。下手したら、ワトソンから目を離す事が出来ないと思ったからだ。普通の奴なら、ここでキスをしてしまうだろうな。
「…………」
何で何も言わないんだよ、何か言われても困るけど。
「もう、寝るぞ」
「うん…」
俺は無理矢理に目を閉じる。寝ないように頑張らないと。
何かあってからじゃあ遅いからな。
ワトソン、お前は普通に寝る子だよな?

Re: 緋弾のアリア SS〜Another world〜 ( No.46 )
日時: 2011/11/05 19:01
名前: イグアナ (ID: schoyfso)

翌朝。
カーテンを閉め忘れてたから朝日を大胆に浴びて起きてしまった。ベッドにワトソンはいない。他のベッドにも誰も居なかった。
起きて学校に行ったと思ったが、リビングから声がする。
どうやら、寝ちまったみたいだな。
寝ればきっと考えたくも無い事態が起こると思ってたが、何とも無かったようだな。
とりあえず起きるか。
俺はリビングに出ると、白雪とワトソンが居た。
「おはよう、キンちゃん」
「やっと起きたのか?」
二人は食パンを食べ、のんびりと過ごしていた。
俺の部屋なんだけどな。
「キンちゃんも食べる?」
「ああ」
白雪は食べかけの食パンを置き、キッチンのトースターで俺の分を焼いてくれた。
あのトースター全然使って無かったけど、ちゃんと動くんだな。
「サンキュー」
俺はパンの乗った皿を受けとる。芳ばしい香りが発った。
「トオヤマ、今日はチームで集まろう。午後からはボク達は授業が無いし、射撃でもしながらね」
「そうだな。もう明日だもんな」
明日の武偵国大に参加するバスカービルメンバーは今日の午後からは個人準備の為に時間が空けられている。
「弾薬や個人装備品が支給されているらしいから、装備科に取りに行くようにだって」
「昼からで良いだろ?」
「そうだな、多分それで良いと思う」
武偵からの支給品の殆どはB級で、弾丸の精密さもまばらだ。金の無い俺にはどうでも良いが。
その後俺達は一緒に登校することになった。
「ありがとうな、ワトソン」
「どうって事ないよ。こっちの方がバス代も浮くだろ?」
「助かるよ」
「それで、トオヤマが迷惑じゃなかったら…。一緒に登校しないか?」
「え?ホントか?じゃあ頼む」
迷惑どころか万歳だ。定期も払わなくてもいいし、すし詰めにならなくて済む。
「そうか、そうお願いされたら仕方がないな!」
誘ったのはそっちだろう。
って事は、迎えに来てくれるって事だよな。じゃあ…。
「適当に迎えに来てくれたら良いから。後、多分インターホンで起きないかも入れないから鍵渡しておくよ」
「!!!」
ワトソンの顔が真っ赤になった。
アリア並の速さだが、何で赤くなるんだ?
「良いのか?」
「全然構わないけど?」
「あ、あ、あ」
ワトソンは口を開けながら何かが詰まったようになっている。
と思えば、愛車ポルシェのギアを握り、エンジンを吹かした。そしてそのまま。

ギャギャギャギャっ!

行きなりアクセルを踏んで門外へ出ていってしまった。
何でこうなるかな。とりあえず教室に行くか。
俺はワトソンが振り撒けた砂煙を払いながら昇降口に向かう。
毎回、ここに来るのはちょっと気が引ける。
「なぁ、あの人。二年の…」
ほらな。
噂話するなら聞こえない距離でしろって。
ここに来るたび、二年にはもちろん、一年にまで悪い噂しか流されない。
その中、見覚えのある白衣来た男子生徒が話かけてくる。
「おう、遠山」
「お前…。登校で白衣かよ。引くぞ」
「そんな事言うなよ。衛生なんだからいいだろ?」
衛生でも白衣で登校はお前だけだぞ海瀬。
「何だかお前と教室入るの嫌だな」
「お前ズバッと切るな。でも安心しろ、今から綾さんの所に行くからな」
「平賀さんのとこに?」
「俺も綾さんもお前達の支援隊だからな、そっちにはワトソンもいるだろうがあいつより俺の方が技術は上だ。戦闘はあいつが勝ってるがな…」
「お前支援隊だったのか」
「知らなかったのかよ。」
「それと何の関わりがあるんだよ」
「装備だよ、装備。特殊弾だけ取りに行くんだ。俺の白衣は防刃、防弾性だが火力が低いもんでな。あのクソチビに負けられるかよ」
クソチビって、ワトソンの事か。そういやこの二人、仲が悪かったよな。
海瀬とワトソンがぶつかり合ったのは衛生の教育中だったらしい。そもそもはワトソンの治療手順、方法に海瀬が指摘をしたのが事の発端だ。貴族でプライドの高いワトソンにはその指摘が気に障ったんだろうな。それからというもの、二人は事あるたびに戦闘になる。


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