二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ヤシノキ町物語 第一話
日時: 2013/04/20 17:51
名前: アルセ (ID: dY/cpaOc)

            ことわり

 今から書く物語は、私がこの世で一番大好きなアニメ『新メイプルタウン物語〜パームタウン編〜』の第一話を、実写版と想定した独自の主観で再編集又は更生したオリジナル作品です。したがって、登場人物の名前や設定・内容が多少異なっています。悪しからず。

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Re: ヤシノキ町物語 第一話 ( No.9 )
日時: 2013/05/17 07:11
名前: アルセ (ID: gyFfsWVs)

 ○同・ダイニングキッチン

  天ぷらを食べるジョージとジュンコ・・・だが、・・・

モモ「(怪訝そうに)・・・(ジッ)」
  と、皿を見つめている。



 モモは悩んでいた。この得体の知れない未知なるタベモノを食すべき
か、食さぬべきかを・・・・・・。



ジュンコ「ン!美味しい〜!!・・・モモも、食べてみて」

モモ「(躊躇して)・・・」

ジュンコ「(察して)大丈夫よ。見た目はこんなんだけど味は・・・ねっ」

  恐る恐る、天ぷらを口の中へ運ぶモモ。

モモ「(パクッ)美味し〜い・・・!アタシ、こんなの食べたの初めて」

ジュンコ「でしょう?アナタ、美味しいって・・・」
   
  腕を組んで、考え込むジョージ。

ジュンコ「アナタ・・・どうしたの?」

ジョージ「(数秒経ってから)そうか!油の温度を、もう少し高くすれば良かったんだ!」
   
  突拍子もない声に、驚くジュンコとモモ。

ジュンコ「な、何が・・・?」

ジョージ「いやね、皮が少しパサついているのが気になってね・・・、どうしてかな?って考えてたんだ。そうか、そうか・・・」
   と、満足そうにウンウン頷く。

モモ「本当にお医者様?」

ジュンコ「(頷いて)正真正銘の内科医よ。でも、そういうところが素敵なのよね」
   と、ウットリした目でジョージを見つめる。

ジョージ「ン?失敬だな、君達は。ワタクシ、灰花ジョージはですよ。立派な内科の医師免許を持っており尚且つ一流の(英単語で)料理人でもあるん・・・」

モモ・ジョージ「(ジュンコを見て)?!?!」
  と、顔をひきつらせる。

ジュンコ「(キョトン)?二人共・・・どうしたの?」

ジョージ「ジュンちゃん・・・」

モモ「叔母さん・・・」

ジョージ・モモ「後ろ・・・」

ジュンコ「エ?」
  と、後ろを振り返る・・・と、若い女性看護師A・Sが・・・背後霊のように立っていた。

ジュンコ「(平然と)ショウコちゃん。入る時はノックをしてって、いつも言っているでしょう」

ショウコ「(オドオドして)す、すみません。一応、ちゃんと声をかけたつもりなんですが・・・あのぉ〜・・・そのぉ〜・・・」

ジュンコ「そんな蚊細い声じゃ聞こえないわよ」

モモ「誰?」

ジョージ「ウチの看護師さん。有栖川ショウコさんっていうんだ」

ジュンコ「それで何か御用?」

ショウコ「あの、入院患者の橋本さんが・・・頭痛がひどいそうです」

ジョージ「(立ち上がり)よし、診てみよう!」

ショウコ「あ、あの・・・そ、それが・・・言付けがありまして・・」
   と、口籠る。

ジョージ「(イライラして)は、早く言いなさい」

ショウコ「(ジョージを見て)・・・言えませんっ!」

ジョージ「(ガクッ)・・・」
  と、こけそうになる。


ジュンコ「ショウコちゃん。橋本さんが何て言っていたの?」

ショウコ「・・・ジュンコ先生に診てもらいたいっ!と、言っていました」

ジョージ「(項垂れて)・・・」

ショウコ「それから、糖尿病で入院している牧原さんが・・・お昼は、玉葱の御味噌汁よりチーズがたっぷり入ったオニオンスープが飲みたいっ!って、言っていました」

ジュンコ「全くもう・・・血糖値を下げるために入院しているのに・・・仕方ないわね」
   と、立ち上がる。

ショウコ「でも、ジョージ先生のでなきゃ一口も飲まないっ!とも、言っていました」

ジョージ・ジュンコ「ハアぁ〜??(と、お互いの顔を見合わせ)・・・」

ショウコ「(ばつが悪そうに)す、すみません!」
  と、バタバタと部屋を出て行く。

ジュンコ「(一息つき)それじゃ・・・(元気良く)お仕事始めますか!」

ジョージ「君は橋本さんで」

ジュンコ「アナタは牧原さんね」

ジョージ「ハハハ、人には得意なものと不得意なものがあるからね・・・」
   と、ジュンコと一緒に部屋を出て行く。

モモ「はぁ〜、すっごいポジティブな夫婦・・・。それにあの看護師さん・・・何となくメルヘンの国から来ましたって感じの人だし・・・(ショウコを思い浮かべ)あの人と上手くやっていけれるかな・・・?あれ?アタシ、何か忘れているような・・・」
  と、腕を組んで・・・考え込む。

モモ「(ポンッ)スーツケースだ!」







  








Re: ヤシノキ町物語 第一話 ( No.10 )
日時: 2013/05/09 05:20
名前: アルセ (ID: qESkNdgF)

○同・外

オープンカーに駆け寄るモモ・・・後部座席に置いてあったスーツケース2台が無くなっていることに気付く。

モモ「(不思議に思い)あれ?叔母さん達が運んでくれたのかな?」
と、足元に目をやると・・・、自分のカーディガンが落ちているのに気付く。

モモ「あ、アタシのカーディガン。何で・・・?」
と、拾って・・・路の方を見る・・・と、スーツケースの中身が(何故か)道標のように散乱していた・・・ので、驚愕する。

モモ「(愕然と)ちょっと・・・何よ、これ?!」

Re: ヤシノキ町物語 第一話 ( No.11 )
日時: 2013/05/14 06:55
名前: アルセ (ID: FxHN6Bqz)

Ⅴ.住宅街・ハイカクリニック近辺

  住宅街を疾走するサングラスに帽子の男・・・曲がり角で一息つく。

男D「兄貴・・・(ハアハア)タイチ兄貴・・・(ハアハア)タイちゃん・・・(ハアハア)もう、ここまで走ればいいんじゃないすか?ねぇ、兄貴・・・?」



 このオトコの名前は、ダイチ。ヤシノキ町の裏社会を牛耳っている(自称)ギャング団の一員である。今先、兄貴分のタイチと、お仕事をしていたのだが、何処かへ置いてきてしまったらしい・・・・・・。



ダイチ「あれ?また、キレイなオネエサンにくっついて行っちゃったかな?それとも・・・(!)さらば、兄貴・・・」
  と、十字を切って・・・合掌する・・・と、突然・・・背後から誰かに頭を叩かれる。

ダイチ「イテッ!」
  と、振り返ると・・・モモのスーツケースを、両手に持った長身の男(ダイチと同じ格好)が立っていた。

男T「(荒い息遣いで)何やってんだよ?!」
  と、かなり・・・御立腹している。

ダイチ「あれ、兄貴?!無事だったの?」

タイチ「—ったくぅ・・・薄情なヤツだな。何でオレを置いてきぼりにした?!」

ダイチ「だって、兄貴が言ったんじゃない?」

タイチ「何て?!」



 それは、数分前のこと・・・・・・。







Re: ヤシノキ町物語 第一話 ( No.12 )
日時: 2013/05/16 06:50
名前: アルセ (ID: vBQZrbVQ)

○ダイチの回想

  住宅街をぶらつくタイチとダイチ。
 
  ジュンコのオープンカーを発見するダイチ・・・後部座席に置いてあるスーツケース2台を見つける。

ダイチ「兄貴・・・」
   と、目配せをする。

タイチ「(ニヤッ)お仕事の時間だぜ!」

  ハイカクリニックへ駆けて行く二人。

     ×      ×       ×

 垂涎しそうな顔で、ジュンコの自動車を見回すタイチ達。

ダイチ「(英単語で)信じられない。こんな御時世になんとまぁー」

タイチ「涙が出る程嬉しいじゃねぇか・・・(イタリア語で)ありがとう、泥棒の神様!」
  
  ガチャッ・・・と、誰かが出て来る気配を察知する二人。

タイチ・ダイチ「ヤバイ!!?」
 
  スーツケースの取っ手を掴むタイチ。

タイチ「ダイチ、マッハで逃げるぞっ!」

ダイチ「合点っ!」
  と、全速力で駆けて行く。

タイチ「ちょ・・・ちょっと、待てぇ〜・・・おーい、ダイチィ〜」
  と、慌てて後を追う。



 その時、スーツケースを乱暴に引き摺り下ろした結果、鍵のロックが解除され、中身があのようにバラバラと零れ落ちていたのだ・・・・。


Re: ヤシノキ町物語 第一話 ( No.13 )
日時: 2013/05/22 12:34
名前: アルセ (ID: 0QttPJk7)

○現在

タイチ「(思い出して)そりゃ言ったかもしれないけどよ・・・」

ダイチ「これでも遠慮為い為い走ったんすよ。全く、兄貴は金と美女のことになるとウサギよりも素早く動けるのに、他のことになるとカメよりも鈍臭くなるんだから」

タイチ「(引きつった笑顔で)ダイチ君、ダイチ君。ちょっと、お耳をか・し・て」
  と、ダイチの耳朶を摘む。

タイチ「(大声で)バカヤロー・・・!!」
  と、怒鳴る。
ダイチ「人の耳元で、何て声出すの?!鼓膜が破れるかと思った」

タイチ「(声を張り上げ)シャーラップっ!オレは鼠みたいにチョロチョロ動き回らない質なの!だけどな、決める時はビシッと決める!見ろ、このスーツケースを。パーフェクトに・・・」

ダイチ「空っぽ・・・」

タイチ「え?」

ダイチ「何も入ってない・・・」

タイチ「ウソ?!」
  と、スーツケースを調べる。

ダイチ「(呆れて)パーフェクトねぇ・・・」

タイチ「(ばつが悪そうに)う、うるせぇ!もっと、良く探せば何かが・・・(!)ほら、あった!内ポケットの中に何かある!」
  と、紙に包まれたモノを取り出し・・・包みを開ける・・・が、入っていたのはセーター1枚だった・・・。

タイチ「・・・何コレ?・・・」

ダイチ「セーター」

タイチ「(涙目で)—んなの見りゃわかるわーっ!」

ダイチ「怒鳴らなくたっていいでしょ?!」

タイチ「うるさいっ!(くぅー)カツオブシ削りてぇー・・・!」

ダイチ「出た、兄貴の数あるボキャブラリーの内の一つ『カツオブシ削りたい』・・・お仕事や恋愛に失敗したりすると必ず口にするお決まりのセリフ・・・が」

タイチ「おい、ちょっと待て。(開き直って)誰が失敗したって?ちゃんと戦利品はゲットしたんだから今日はプチパーフェクトだ!」

ダイチ「本当、ビシッと決めてくれましたね。久し振りのお仕事が空のスーツケースと何処かのバーゲンセールで売っているようなチープな女物のセーターが1枚・・・」

タイチ「シャーラップ!オレはちょうどセーターが欲しいなと思っていたところなんだよ!コイツさえあれば全てが万事OK!・・・な、そう思わないか?ダイチ・・・」
  と、振り返る・・・が、そこにいたのはダイチではなく・・・(何故か代わりに)強面のオバチャンが立っていた。

タイチ「・・・」

オバチャン「(強く睨みつけ)・・・」
 



 しばし、沈黙が流れる・・・・・・。



  突然、訳もなく笑い出すタイチ・・・に、釣られて笑うオバチャン・・・の隙をついて逃げようとするタイチ・・・の肩を掴むオバチャン。



 そして、閑静な住宅街に乾いた音が天高らかに響き渡ったことは言うまでもなかった・・・・・・。



  フンッと立ち去るオバチャン・・・の強烈なビンタを食らい、気を失っているタイチ。

ダイチ「(電柱の陰から出て来て)—ったく、本当素直じゃないんだから・・・ご愁傷様です」
  と、合掌する。










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