二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜
- 日時: 2016/08/11 18:59
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
初めましてか何度目まして!春太郎です!
小説サイトでは凜太郎という名前でやってましたが、映像二次の方は初なので、折角なので、雑談で使っている春太郎に改名させていただきました!
凜太郎で馴染んでる方も、雑談の方で春太郎で馴染んでる方も、どちらも知らねえよ!というお初さんも大歓迎です!
さて、「!」を多用したところで今回から書く物の紹介ですね
今回からは、最近久しぶりに見たフレッシュプリキュアの二次小説です
大好き×100なキュアパインちゃんとの恋愛小説、ですが、色々な事情により、「新たなる刺客」というサブタイトルになりました
どんな話になるのか!皆さん、是非見て下さい!
それでは、よろしくお願いします
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- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.50 )
- 日時: 2016/08/04 20:16
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
円筒状の透明のガラスの中は、黄色の液体で満たされていた。
内容量を表すなら、5分の4程度、だろうか。
手で触ると、冷たい感触が伝わってくる。
「あと少しで・・・・・・満タンだ・・・・・・」
スプリンガーの言葉に、僕は頷く。
そして筒から手を離すと、ゆっくりと部屋のドアまで歩いていく。
「おい。どこに行くつもりだ・・・・・・?」
「どこって。FUKOを集めに行くに決まってるだろ?あと少しなんだから。・・・・・・最後のFUKOは是非、僕に集めさせてほしいんだ」
僕の言葉に、スプリンガーはしばらく訝しむような顔をしたが、しばらくして「分かった」とだけ言った。
部屋を出てしばらく歩くと、ファルーラが壁に凭れ掛かって僕の方を見ていた。
「行くんですの?」
「あぁ。今回は、僕一人で大丈夫だよ」
僕はファルーラに笑いつつ、外に出た。
きっと、四季 龍也になるのも、これが最後だろう。
「最後の・・・・・・一仕事、だな・・・・・・」
僕は呟き、ポケットからキュアパインから貰ったチョコレートを取り出した。
そして空中に放ると、闇の波動を飛ばして破壊した。
宙を舞う丸いチョコレート。僕はそれを眺めながら、変身をした。
「さぁ、不幸の時間の始まりだ・・・・・・」
−−−
「龍也君が・・・・・・シーザー!?」
「ラブちゃんシーっ!」
大声を出したラブちゃんに、私は慌てて口に人差し指を当てて制止した。
なんとなく、静かにさせた方が良い雰囲気だったから。
それにしても・・・・・・私も驚いた。だって、せつなちゃんも同じことを考えていると思わなかったから。
「あくまで予測の範囲だけどね。前から見覚えのある顔だと思っていたの。それに、彼が転校してきた時期とシーザーが出てきた時期は重なるし、可能性は高いかなって思って」
「でも・・・・・・まだそうと決まったわけじゃない、よね・・・・・・?」
私はつい、恐る恐る聞いてみた。聞いてしまった。
だって、信じたくなかったから。龍也君がシーザーだなんて。
せつなちゃんは少しジュースを飲んだ後で、「確かにそうよね」と言った。
「でも・・・・・・確かに、龍也君とシーザーを同時に見たことが無いのもまた、事実なのよね」
そこに美希ちゃんの追い打ちのような言葉。
その言葉に、一瞬私の胸の中に何か黒いものが沸き上がったのが分かった。
「あっ・・・・・・勘違いしないでねっ!ブッキー。あくまで、憶測の話だから」
表情に出てしまっていたのだろうか、美希ちゃんが慌ててフォローしてくる。
私はそれに、曖昧に頷くことしかできなかった。
「龍也君がシーザーなわけ・・・・・・ないじゃない」
小さな呟きは、寒い冬の空気に溶けていった。
- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.51 )
- 日時: 2016/08/04 22:38
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
唐突に、僕は思う。
サウラーやファルーラがやった作戦は、母親を消すというものだった。
確かにあの作戦は結果として大量のFUKOを集めている。
しかし、僕は思うのだ。人にとって、最も大事な存在は、恋人、好きな人なんじゃないかと。
だって、僕だって、メビウス様とキュアパインのどちらが大事かと言われれば、迷ってしまうくらいだ。
ただ、問題はどうやってこの作戦を表せばいいのかということだ。
「迷うなぁ・・・・・・」
僕は顎に手を当て考え込む。
人を引き離す・・・・・・反発、反対・・・・・・いや、えっと・・・・・・。
そこまで考えていた時、僕の前を通り過ぎようとした男が、持っていた箱を落としてしまい、中から工具のようなものをぶちまけていた。
「ああッ・・・・・・しまったなぁ」
「大丈夫ですか?手伝いますよ」
僕はそう言いつつ、拾い上げていく。
よく見ると、それは工具と言うより、玩具ばかりだった。
その時、一つの玩具に目が行った。それは、マジックハンドと書かれていた。
それは、手のような部品に、プラスチックの細く薄い短い板が交差するように作られていて、何と言えばいいのかは分からないが・・・・・・とにかく、奇妙な作りをした物だ。
「ははっ、その玩具が珍しいかい?でもねぇ、これは売り物だから流石に・・・・・・」
「いや、これに決めたよ」
僕は立ち上がると、胸の前で拳を擦り合わせ、「スイッチオーバー」と言い、腕を左右に開いた。
そうすれば、もう四季龍也の姿はない。そこにあるのは、シーザーとしての姿だ。
「我が名はシーザー。ラビリンス総統、メビウス様が下僕!」
そして、地面に落ちたマジックハンドとやらを拾うと、空中に放る。
すぐに二度、胸の前で拳を擦り合わせ、漆黒のダイヤを作り出す。
「ウチホロボーセッ!我に仕えよ!」
飛ばしたダイヤは、そのままマジックハンドにヒットし、やがてそれはウチホロボーセに変化した。
ウチホロボーセは、手から小さなマジックハンドのようなものを放出し、それは恋人や、好きな人や、大切な友人といる人の心の中に吸い込まれていく。
やがて、まるでマジックハンドの手の下のバネ部分のように心は交錯し、心と真逆のことを口走るようになる。
「お前なんか大嫌いだッ!」「貴方のことずっと嫌いだったのよ」「今すぐ離れたいくらいくらいだよ」「くせぇんだよお前の髪は!」「気持ち悪い!近づかないで!」「気安く触ってくんじゃねぇ!ブス!」
言われた人間たちは、悲しみに目を潤ませ、ある者は泣きながら走り去り、ある者は行った側の人間の顔面をぶん殴り、ある者は怒りに顔を歪め責め立てる。
我に返った相手は、困惑に目を白黒させ、謝罪の言葉を浮かべるが、すでに遅い。
ハッ!所詮、人間の友情など、淡いものなんだよ。
−−−
場所は変わり、カオルちゃんのドーナツカフェ。
どこからか飛んできたマジックハンドは、山吹祈里の心に吸い込まれる。
「ラブちゃんも、せつなちゃんも、美希ちゃんも、信じられないよ。大嫌い」
冷酷な声に、3人は驚いた表情を浮かべた。
少しして、我に返った祈里は、慌てて顔の前で両手を振る。
「あっ、違うの!私、本当はこんなこと言いたくなくて!口が勝手に!」
「分かってるよ。ラビリンス、だよね?」
ラブの言葉に、祈里は安堵の表情を浮かべる。
その時、町で暴れてるウチホロボーセに気付いた。
「アイツの仕業だね!」
ラブの言葉に、3人は立ち上がると、そのまま町に駆けた。
- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.52 )
- 日時: 2016/08/05 21:16
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
とてつもない勢いで溜まっていくFUKOに、スプリンガーもファルーラも目を丸くした。
「なんつー量だよ・・・・・・これ・・・・・・」
「・・・・・・これが、きっと元々のシーザー様の本気なんですわ。今までは、キュアパインのせいで・・・・・・」
ファルーラはそういうと、どこか悲しそうに俯いた。
きっと、シーザーは自分の気持ちから目を逸らしているだけだ。
シーザーには幸せになって欲しい。でも、できるなら自分が幸せにしたかった。
「キュアパインなんかより、私の方が・・・・・・」
−−−
FUKOはどれくらい溜まったのだろうか。なんとなく、そんなことを考えた。
これだけすれば、そろそろ満タンになっているかもしれない。分からない。
でも、そろそろ限界かもしれない。だってもう・・・・・・プリキュアが来てしまった・・・・・・。
「やっぱり貴方ね!シーザー!」
「遅いんじゃないかい?プリキュアの諸君」
僕が嘲笑うように言ってやると、彼女等は悔しそうに顔を歪めつつ、ティンクルンを取り出した。
眩しい光と共に、変身する。いつもの流れだ。
僕はウチホロボーセから離れ、高いビルの上から戦いの観察をする。
プリキュア達は、相変わらず作業のように、攻撃し、浄化しようとする。
「こんな所で、負けてられるかよ・・・・・・ッ!」
一人そう呟いた時、キュアパインに違和感を感じた。
試しに彼女に意識を集中させた時、彼女の心の中に、例のマジックハンドが入っているのを見つけた。
その時、僕の頭の中で何かが光った。そして僕の口角は、上がる。
僕はプリキュアにばれないようにその場を離れると、変身を解き、ビルを下りた。
外に出ると、ちょうどキュアパインがキュアエンジェルに変身しようとしている所だった。
「山吹さん!?」
僕の声を聴いたキュアパインは僕を見て、目を見開いた。
「龍也君!?あっ、ダメ、逃げて・・・・・・ッ!危ないから!」
「そんな・・・・・・ッ!でも、山吹さんが危ないよ・・・・・・ッ!」
僕はそう言いつつ、背中の後ろで指を軽く鳴らした。
それに反応したウチホロボーセは、バッと力を発動する。
それに反応するように、彼女の胸元が光った。
彼女は僕のことを、少なくとも友達だとは思っているはずだ。
そう思わせるために、今まで仲よくしていたんだからな。
さぁっ!暴言を言って見せろ!
「りゅ・・・・・・龍也君って、シーザーなんだよね?」
冷ややかに言い放たれた一言に、僕の顔は一瞬引きつった。
どういう、こと、だ・・・・・・?いや、真逆なことを言わせるハズだから、そう思っていないということだ。
でも、疑いはした、といった所なのだろうか・・・・・・?
「そんな龍也君なんか、世界で一番、大嫌いだよ!」
「なん・・・・・・僕は、シーザーなんかじゃないよ・・・・・・」
喉から出た声は、掠れたような声だった。
動揺しているのか?僕は。
むしろ、こういう答えが返ってくることを期待していたハズなのに・・・・・・。
「僕はただ、山吹さんのことを心配して・・・・・・」
「あっ、違うの、龍也く・・・・・・」
僕の肩に触れようとした手を、僕は思い切り弾いた。
パァンッ、と。乾いた音が鳴り響く。
「パイン!何してるの!?」
「僕も山吹さんが、だいっ・・・・・・」
大嫌いだ。そう言おうとして、僕は言葉を詰まらせた。
言わなくちゃ・・・・・・ここで、プリキュアの戦闘力を減らすためにも・・・・・・。
「僕も山吹さんが・・・・・・大嫌いだッ!」
それ以上彼女の顔が見ていられず、僕は踵を返し、駆けた。
これで良かったんだ・・・・・・。ラビリンスの為に・・・・・・総統メビウス様の、為に・・・・・・。
- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.53 )
- 日時: 2016/08/06 16:11
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
『僕も山吹さんが・・・・・・大嫌いだッ!』
彼の一言は、私の心に突き刺さり、まるで浸食するように深く沈んでいく。
ピーチやベリーが私を呼ぶ声が聴こえてくるが、私はそれに反応できずにいた。
ウチホロボーセのせいだって、本当は嫌いじゃなくてむしろ・・・・・・———だって、言いたくて。
でも、彼の姿はすでに無い。嫌われた。もう、私は・・・・・・。
「パインッ!」
一際大きな声で呼ばれた。
振り返ると、そこではなんと3人が捕まっていた。
「なんで・・・・・・」
「キュアエンジェルに変身できるからって、たった3人で倒せる相手じゃない!私たちは、4人でプリキュアなんだから!」
ピーチの言葉に、私はハッと気づく。
そうだ・・・・・・私は山吹祈里であるのと同時に、キュアパインなんだ。
龍也君には、後でいくらでも謝れる。でも、今はウチホロボーセを倒さないといけないんだ。
私はウチホロボーセに向き直ると、パインフルートを構えた。
「癒せ、祈りのハーモニー。キュアスティック、パインフルート!」
「ウチホロボーセ」
そこに、ウチホロボーセが腕を伸ばしてパンチを喰らわせてくる。
私はそれをジャンプしてかわしながら、パインフルートの音を奏でる。
先に着いた黄色の宝石にエナジーが溜まり、輝きを放つ。
「悪いの悪いの飛んでいけ!」
そう叫ぶのと同時に、地面に足を着け、その輝く宝石をウチホロボーセに向けた。
そして、黄色のダイヤを空中に描くと、それはエナジーによってさらに輝き始めた。
「プリキュア!ヒーリングブレアフレーッシュ!」
黄色の巨大なダイヤはウチホロボーセにぶつかり、その巨体を揺らがせる。
それと同時に、ピーチ、ベリー、パッションが抜け出す。
「一気に決めるよ!みんな!」
ピーチの言葉に、私たちは白いリンクルンを出現させ、変身する。
そして技を、ウチホロボーセにぶつけた。
−−−
ほぼ無限に降り続けると思われたFUKOの雨は、徐々に勢いを弱め、やがて、止まってしまった。
「おい、これ止まっちまったぞ」
「シーザー様のウチホロボーセが負けたのでしょうか。でも、これはほぼ満タンと言っても過言ではない状況」
ファルーラの言う通り、FUKOのゲージはほとんど満タンに近づいており、残りはあと、ほんの1、2滴程度の量だった。
スプリンガーはそれに頷くと、携帯電話でシーザーに連絡をした。
ほとんど事務的な話し方で、FUKOがほとんど満タンになったこと。もうプリキュアと関わる必要がないことを話した。
「もうすぐ俺たちの悲願が・・・・・・叶うんだな・・・・・・」
スプリンガーはFUKOが溜まったケースを見上げ、目を細めた。
- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.54 )
- 日時: 2016/08/06 21:38
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
夕焼け色に染まる公園の、ステージのど真ん中。
携帯から電話を受けた僕は、静かに頷いた。
どうやら、FUKOがほとんど溜まったらしい。
満タンではないが、それでも残り1,2滴程度。
つまりもう、キュアパインと一緒にいる必要性はない。
「ここが潮時ってわけか・・・・・・」
僕は携帯をポケットにしまい、ため息をついた。
その時、背後から足音が聴こえた。
僕は咄嗟に振り返る。そこには、キュアパインが立っていた。
「山吹・・・・・・さん・・・・・・」
「龍也君・・・・・・良かった。ここにいたんだ・・・・・・」
額に汗を浮かべ、肩で息をする彼女は、そう言うと笑顔を浮かべた。
僕のために、走って来たのだろうか?敵である、僕のために?
そもそも、もう家に帰っていてもおかしくない僕に、ここまでするなんて・・・・・・。
「あ、あのね龍也君!私、龍也君と話がしたくて・・・・・・」
一歩ずつ近づきながら、彼女はそう言う。
つい、僕は後ずさってしまう。彼女の眩しさが、見ててとても、辛かったのだ。
「あっ、待って!あのね、龍也君・・・・・・あの時の言葉は、全部嘘なの!」
「どういう・・・・・・こと・・・・・・?」
分かってるのに聞き返す僕は、本当に性格が悪い。
隠す必要はないんだ。だったらさっさと、ばらせばいい。
でももう、騙す癖が身についてしまってる。
本当の自分が何なのかも、分からないんだ。
「あれはね、ウチホロボーセの能力で、思ってることと逆の事を言ってしまうの・・・・・・だから、本当は、龍也君のこと・・・・・・」
キュアパインは、そこまで言って黙ってしまう。
その時、キュアパインの言葉が断片的に脳裏に浮かんだ。
『龍也君のこと、世界で一番大嫌いだよ』
世界で一番大嫌い・・・・・・つまり、その逆ってことは・・・・・・。
それに気づいた瞬間、僕の胸の中に何とも言えない感情が浮かんだ。
涙が出そうになり、咄嗟に目元を拭って止めた。
「やっ・・・・・・山吹さんっ!」
僕は告白をしようとするキュアパインの言葉を、慌てて遮った。
彼女は、いつの間にか赤くなった顔を上げ、首を傾げる。
僕はその顔を見て、一瞬、言葉が出てこなくなり、口をパクパクさせてしまった。
しかし、2回深呼吸をした後で、ちゃんと彼女に向き直る。
「山吹さん・・・・・・実は、僕・・・・・・君に隠していたことがあるんだ・・・・・・」
「えっ」
驚いた表情を浮かべた。僕は2,3歩後ずさり距離を取ると、胸の前で拳を擦り合わせた。
そして目を瞑ると、一気に腕を・・・・・・———「スイッチ、オーバー」———・・・・・・開く。
黒髪は銀色に染まり、ラビリンスの服装になる。
ゆっくり目を開くと、驚愕に染まったキュアパインの表情があった。
「なんで・・・・・・」
「ごめん。山吹さん・・・・・・いや、キュアパイン・・・・・・。僕は、四季龍也じゃない。シーザーなんだ」
嫌われるのが嫌ならばらさなければ良いと、誰かは言うかもしれない。
最初から隠さなければ良いと、誰かは言うかもしれない。
騙さなければ良いと、誰かは言うかもしれない。
好きにならなければ良かったと、誰かは言うかもしれない。
でも、後悔はしない。こうなることは、決まっていたのだから。
「そん、な・・・・・・でもっ、ホラ、このステージで私のこと励ましてくれたじゃない?それに、船上パーティでは倒れた私を助けてくれたし、それに・・・・・・」
「それは全部、お前からの信頼度を上げるためのものだ。そうすれば、ティンクルンを容易く手に入れられると思ったからな。だが、それよりも早くFUKOが溜まったから、ハッキリ言えばお前との時間は無駄に終わったがな」
できる限り、冷たく言ってやる。
途中から、キュアパインの顔が見られず、ほとんど彼女の足元に視線を向けながらだったが。
その時、彼女の足元に、一滴の雫が落ち、地面に染みを作った。
慌てて顔を上げて、僕の目は見開かれる。
キュアパインは・・・・・・泣いていたのだ。
「やだ・・・・・・なんで・・・・・・」
「・・・・・・そういうものなんだよ、世の中なんてな」
僕は冷ややかな声で言い、彼女の隣を通り過ぎる・・・・・・———寸前で、耳元でつい、言ってしまった。
「・・・・・・本当に、ごめん」
その後の彼女の反応は、よく覚えてない。
−−−
時同じくして、黄色の液体で満タンになった容器。
その中に、一滴の小さな雫が・・・・・・———落ちた。
それは、とある恋する少女の、失恋の涙。
一つの小さな不幸が、ゆっくりと、強大な不幸の中に沈んでいく。
それと同時に、ゲージが満タンになった。ちょうどそれを見ていたスプリンガーは、目を見開く。
「なん・・・・・・ッ!?」
「どうしたんですの?」
近くで紅茶を啜っていたファルーラは、FUKOのゲージを見て、同じように目を丸くした。
その時、部屋にシーザーが入ってくる。
それを見たスプリンガーは、すぐにシーザーにつかみかかる。
「おい!シーザー!これは、お前がやったのか!?」
「え?あぁ・・・・・・そう、かもね・・・・・・」
それに対し、シーザーは心ここにあらずと言った様子で曖昧に応える。
よく見ると、目の下には涙の痕があり、目には悲しみの感情が浮かんでいるようにも見えた。
「お前・・・・・・それは、一体・・・・・・?」
「あぁ・・・・・・あれ、FUKO満タンじゃない。どうしたの?満タンじゃないんじゃないっけ」
シーザーはそう言いながら、ソファに座った。
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