二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜
- 日時: 2016/08/11 18:59
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
初めましてか何度目まして!春太郎です!
小説サイトでは凜太郎という名前でやってましたが、映像二次の方は初なので、折角なので、雑談で使っている春太郎に改名させていただきました!
凜太郎で馴染んでる方も、雑談の方で春太郎で馴染んでる方も、どちらも知らねえよ!というお初さんも大歓迎です!
さて、「!」を多用したところで今回から書く物の紹介ですね
今回からは、最近久しぶりに見たフレッシュプリキュアの二次小説です
大好き×100なキュアパインちゃんとの恋愛小説、ですが、色々な事情により、「新たなる刺客」というサブタイトルになりました
どんな話になるのか!皆さん、是非見て下さい!
それでは、よろしくお願いします
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- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.29 )
- 日時: 2016/06/03 21:27
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
どれくらい、時間が経ったんだろう。
私は鏡に囲まれた部屋の中、ただただ耳を塞いで蹲っていた。
しかし、どんなに耳を塞いでも、なぜか声は聴こえてくる。
「らぶちゃんたちは、わたしのことなんかしんじていなかった。だったらわたしも、しんじられないよ」
目の前のもう1人の私は、まるで私を侵食するように覆いかぶさっていく。
私が、ラブちゃんを信用できない?ラブちゃんが、私を信じていない?
「・・・・・・違うよ」
私は小さな声で言葉を紡いだ。
違う。そんなことないよ。だって、ラブちゃん達は、私を待っていてくれた。
悩む私を、黙って、待ってくれた。
それなのに邪魔だなんて、思うわけないよ。
「こんなの、偽物だよ!」
私は声を張った。
それと同時に、鏡に映った偽物達は静かに崩れていく。
しかし、それらはすぐに私を取り囲むように周りを覆い尽くしていく。
やがて、私はそれに呑まれ・・・・・・———
「山吹さんッ!」
———・・・・・・ることはなく、目の前は明るくなった。
光が差し込むそこには、龍也君がいた。
「龍也君!」
「山吹さん。早く、手を!」
龍也君がこちらに身を乗りだし、必死に伸ばしてくる手を、私は掴む。
そのまま彼に引っ張られ、私は鏡の部屋から抜け出した。
しかし、彼が引っ張った力が強すぎてそのまま地面を転がり、しばらくして私が馬乗りになった状態で止まる。
目を開けると、そこには龍也君の顔があって、キョトンとした表情で私の目を見ていた。
見つめ合う数秒間。私は状況を理解し、顔が耳まで熱くなるのを感じた。
「うわわわッ!ご、ごごめんなさいッ!」
私は慌てて起き上がり、すぐに離れた。
彼はしばらく不思議そうに目を丸くしていたが、すぐに優しそうに目を綻ばせ、「無事で良かった」と笑った。
その笑顔にさらに顔が熱くなる。
なんだろう、これ・・・・・・熱でもあるのかな。
「トリプルプリキュアキック!」
その時、背後から声がする。
見ると、3人が鏡のウチホロボーセと戦っていた。
もしかして、さっきの幻もあのウチホロボーセが?
私は慌てて立ち上がりリンクルンを取り出し、変身した。
−−−
「やっちゃったなぁ・・・・・・」
エンジェルパインに浄化されるウチホロボーセを眺めながら、僕は呟いた。
やってしまった。そんな感想しか出てこない。
帰ったら、ファルーラやスプリンガーに怒られるだろう。軽蔑されるだろう。反感を買うだろう。追い出されるだろう。
想像がグルグルと頭の中を駆け巡り、口からは苦笑が零れる。
そこで、僕は自分の口元に手を当て、呆けてしまった。
今、僕は笑ったのか?演技とか、意識とかしないと笑えなかったのに。
無意識に笑うなんて、初めての経験だ。
「龍也君!」
その時、声がした。
見ると、変身を解いたキュアパインがこちらに走って来ていた。
僕の前まで来た彼女は少しだけ息を整えると、ニコッと笑う。
「今日はありがとう。おかげで助かったよ」
「そんな。僕は・・・・・・僕がしたいことをしただけだよ・・・・・・」
最後の方は、少し小さな声になってしまった。
これは、僕がしたかったこと、なのだろうか?
分からない。分からない。自分の気持ちが、分からない。
「龍也君がしたいことって・・・・・・私を助けることなの?」
首を傾げる彼女の頬は、少し赤くなっているような気がした。
僕はそれに、小さく頷く。
今頷いたのが、四季龍也としての演技なのか、シーザーとしての本音なのかすら、自分でも分からない。
でも、後悔はしていない。
僕の返答を見た彼女は、頬を紅くしたまま嬉しそうにはにかむ。
その表情に、僕の鼓動は高鳴ったような気がした。
「じゃあ・・・・・・僕はもう行くね。また、次のダンス練習で」
「うん。また」
彼女は笑って手を振ったので、僕も振りかえす。
さて、楽しい時間は終わりだ。
この先に待っているのは我が家なのか・・・・・・地獄なのか。
- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.30 )
- 日時: 2016/06/04 12:52
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
「見損なったぞ」
冷ややかな声が頭上から聴こえてくる。
僕はさきほど殴られた右頬を擦りつつ、目の前に立つスプリンガーを見上げた。
彼は蔑むような目で、僕を見下ろす。
「お前、プリキュアの味方をしたらしいな。どういうつもりだ?」
「・・・・・・奴等からの信用度を優先したまでだ」
「へぇ?確実に倒せたであろうチャンスを捨ててまで、信用度を上げる必要って物はあるのか?おい!」
「・・・・・・すまない」
「謝るなら最初からこういうことするんじゃねえよ」
彼は僕の胸ぐらを掴み、睨みつける。
しかし、キュアパインに比べれば怖くない。
僕は彼の手を掴んで放させると、ドアのところまで向かった。
「その分FUKOを集めればいい話だろう?」
「分かってるならさっさと行け。これ以上無様な真似をしたら、俺はもうお前をリーダーだとは思わない」
スプリンガーの言葉を聞き、僕は部屋を出る。
学校の廊下を歩きながら、僕はスイッチオーバーをして四季龍也の姿になる。
しばらく歩いていると、廊下の壁に凭れかかったファルーラがいた。
「・・・・・・失望しましたわ。プリキュアを助けるなんて」
俯きながら、彼女は言った。
そりゃ、失望するだろうなぁ。僕だって、自分の行動を思い返すとガッカリするよ。
「悪かったね。でも、その分FUKOゲージを溜めてくるから、それで許してくれないかな」
「・・・・・・仕方ありませんわね」
「ははっ・・・・・・本当に、ごめんね」
頬を膨らませる彼女の頭を軽くポンポンと撫でてやると、彼女はぷいっと顔を背けた。
僕はそんな彼女の前を通り過ぎ、学校を出て、町に向かう。
FUKOを集めるために。
−−−
「わー!美希たんかっこいいー!」
ラブちゃんは興奮した様子で声を張る。
ドーナツカフェの机の上に広げられたモデル雑誌。
そこには、美希ちゃんの写真が貼ってあった。
「フフン、そうでしょ〜?ま、当然よ。あたし、完璧だから」
「本当にすごいわ。カメラマンの腕がいいのね」
「せつな・・・・・・それ間接的に貶してない?」
「?そうかしら?」
せつなちゃんは相変わらず何か一言多いけど、確かに、この写真はいつもの美希ちゃんと違って少し派手な感じというか、活発な綺麗さがある。
カメラマンの腕もあるんだろうけど、元々の素材の良さもあるんだろうな、きっと。
「本当に綺麗だよ。美希ちゃんなら何でも似合うって、私、信じてる」
「ブッキーは褒めすぎよ」
私が褒めると、美希ちゃんは照れた様子で言う。
その後でハァ、と溜め息を吐いた。
「これでキュアエンジェルの覚醒ができれば、完璧なんだけどね〜」
「私も、早くキュアエンジェルになれるように、精一杯頑張らなくちゃ」
落ち込んだ様子で言う美希ちゃんにせつなちゃんも同調する。
そういえば、二人は未だにキュアエンジェルになれてないんだよね。
「二人なら必ずなれるって、私信じてる」
私が言うと、二人とも元気のない笑顔を返してくる。
「でもさー、二人が何を愛しているのかもよく分からないから何もしようがないよねー」
ラブちゃんが言うと二人は考え込んでしまった。
なんか、今日は二人とも妙に息が合ってるな。エンジェルになれない者同士の絆か何かかしら。
「姉さん達、何考え込んでるの?」
その時、たまたま現れた美希ちゃんの弟の和くんがそう言って笑顔を浮かべた。
和くんも結構イケメンだよなぁ。
でも、私的には和くんの大人しい感じよりは龍也君の頼もしくてサッパリした感じの方が・・・・・・。
「何でもないわ。それより和樹、どうしたのよこんな所で」
「いやぁ、今日は父さんがここの近くで用事があるらしくて、それに付いてきたついでに、姉さん達にも会いたいなって思って。よくここにいるらしいから、ここに来れば会えるかと思ったんだ」
彼はそう言って白い歯を見せ笑う。
それを見た美希ちゃんは、「もう・・・・・・」と笑みを浮かべた。
この姉弟は本当に仲が良いなぁ。私には兄弟とかいないから、少し羨ましい。
「あーもう、和くんってホントイケメンだよね〜!もう彼女とか出来た?」
「そんな、まだですよ。でも、欲しいですね」
「じゃあ私と!」
「ラブには大輔君がいるでしょ。二股は良くないわ」
「むぅぅ〜。そう言うせつなはウェスターとは上手く行ってるの〜?」
「なッ!私とウェスターはそういう関係じゃ・・・・・・」
せつなちゃんって、ウェスターと付き合ってるんだ・・・・・・初めて知った。
あれ、そうなると、彼氏がいないのって私と美希ちゃんだけ?
そういえば、最終決戦の時に美希ちゃんってサウラーと良い感じになっていたけど・・・・・・あれ?もしかしてこれ、恋人とかいないの私だけ?
「青春だねぇ〜。おじさんも昔はやったものだよ〜。青春。グハッ」
そう言って笑ったのは、このカフェの店主のカオルちゃんだった。
ハート形に空いたドーナツを片手に笑う。
まぁ、そういうことを気にするのは私らしくないもんね。
私はさっきまでの考えを首を横に振って振り払いつつ、ジュースを飲んだ。
「でもそうなると和くんは、少なくともここにいても彼女はできないわよ〜。皆彼氏いるもん」
「え?あたしは」
「私は大輔。せつなはウェスター。美希ちゃんはサウラー。で、ブッキーは龍也君がいるから」
「ゲッホゲホッ!」
ジュースが気管に入り、ついむせてしまった。
だって、さっきおかしなことが聴こえたんだもの。
「わ、私が龍也君とって、え!?」
「昨日なんて戦いが終わった後で、龍也君の所に行くからって、どこかに走って行っちゃうし。まぁ龍也君は顔も性格も、美希ちゃん以上に完璧だから分かるけどね〜」
「私と龍也君はそういうのじゃないよ!」
私は慌てて顔の前で手を振って否定する。
私とそんな疑惑掛けられたら、龍也君が可哀想だよ・・・・・・。
たしかに、彼はかっこいいし、優しいし、よく気遣ってくれるし、頼もしいし、たまにちょっとドジで可愛い時もあるし・・・・・・。
「顔赤いよ?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
私は慌てて頬に手を当てて隠す。隠せてないだろうけど。
「やっぱり龍也君のことが?」
「違うってば!」
私が出した声は、つい大きくなってしまい、周りに響いてしまった。
そんなよくある日常は、のんびりと過ぎていく。
- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.32 )
- 日時: 2016/06/04 18:25
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
僕は一体、どうすればいいんだろうか。
一歩歩く度に、頭の中に彼女の面影がよぎる。
何度頭を横に振っても、彼女の面影が頭から消えない。
邪魔だ・・・・・・邪魔だ邪魔だ邪魔だぁっ!
心の中で何度も叫び、何度頭を振って忘れようとしても、記憶にへばりついたように離れない。
顔を上げた僕は、ため息を吐く。
そこは・・・・・・プリキュアがよく集まっているドーナツカフェだった。
「なんで・・・・・・」
「よう兄ちゃん。なんだか浮かない顔してるね〜。どしたの?恋煩い?」
近くのベンチに座っていた・・・・・・カオル?とやらは、そう言って「グハッ」と笑った。
恋煩いか。間違ってはないな。
ははっ・・・・・・僕がプリキュアに恋か・・・・・・笑える冗談なら、いいんだけどな。
「笑えない現実だから、辛いんだよなぁ・・・・・・」
「わけありかい?まぁ座っておじさんに話してみなさいよ」
カオルはそう言って皿に乗ったドーナツを一つ渡してくる。
そういえば、ドーナツとやらは食べたことがなかった。
プリキュア共が食べているのは見たことはあるが、自分から食べようとは思えなかった。
「これは・・・・・・」
「カオルちゃん特性、ドーナツです。愛情たっぷり、籠ってるよん」
僕はしばらく迷った後で、少しだけかじってみる。
すると、フワフワした歯ごたえに甘みや旨みがまるで津波のように溢れてくるような、そんな感覚が口の中に広がる。
な、なんだこの食べ物は!?こんなに美味しい食い物が、あったのか・・・・・・。
そこで、僕はあることに気付く。
「全て管理されたら・・・・・・好きなものを好きな時に食べることも、できないんだよなぁ・・・・・・」
「んあ?何言ってんの?」
間抜けな声を漏らすカオルの言葉を聞き流しつつ、僕の頭は勝手に、昔のことを思い出していた。
あれはまだ、ラビリンスが管理されていなかった時のこと・・・・・・———
−−−
「よえーんだよ!オラッ!」
蹲ったその背中を、誰かに蹴られる。
見上げようとして、その顔を踏みつけられる。
これは日常。弱くて、鈍くさくて、鈍間な僕の日常。
「もう・・・・・・やめて・・・・・・」
「はっ、やめるかよ!オラァっ!」
倒れこむ僕に少年の足が振り下ろされた時だった。
突然、目の前にコードのようなものが現れた。
それらは少年の体を巻き付け、そのまま何か電流を流す。
しばらくしてそこには、虚ろな目をしたいじめっ子達がいた。
「ハァ・・・・・・ゲホッ、なんで・・・・・・」
そのコード達は、気付けば僕の目の前にあった。
あと少しで、僕もあんな風になるのだろうか?
彼らみたいに、「メビウス様」とやらを、敬うことになるのだろうか?
「嫌だぁっ!」
電流が流れる寸前、僕は叫んだ。
その直後、チクッと脳に何やら痛みが走り、一瞬意識が暗転しかける。
しかしすぐに意識は戻り、僕はなんとか立ち上がる。
「あれ・・・・・・なんともない?」
僕は自分の手を見て、足を見て、体を見る。
なんともない。普通の僕だ。
目の前には先ほどまで僕をいじめていた少年たち。
彼らは、哀れにもただ立っているだけ。しかし、少しして歩き出す。
それについて行ってみると、町の人たちもみんな一か所に向かって歩いていた。
僕を嫌っていた人も、僕を無視していた人も、僕を裏切った人も、みんな。
「あは・・・・・・あははは・・・・・・」
笑いが零れる。
こいつらは、メビウスとやらに支配された今、自分の意志で行動できない人形になったんだ!僕だけが、無事だった。
僕は列を無視して、走った。
タワーに行き、ひたすら最上階まで行けば、そこにはスキンヘッドのおじいさんがいた。
「あんたが・・・・・・メビウス様?」
僕が問うと彼は驚いた様子で振り返る。
僕の顔を見ると、彼は目を見開いた。
「なぜ・・・・・・お前は・・・・・・」
「なぜでしょう?僕には、どうやらあなたの支配?は効かなかったようで」
僕が笑ってみせると、彼は顔をしかめた。
すぐに、床からコードが出てくる。
「わわ、待ってください!」
僕はすぐに叫び、慌てて跪く。
「ぼk・・・・・・私は、貴方に逆らうつもりはありません。貴方の為に動き、働き、従います!」
「・・・・・・何?」
「貴方のおかげで、私は救われました!私は管理されることを幸せに思っております!ですから、どうか洗脳だけは・・・・・・」
僕の説得が通じたのか、彼はコードを収めた。
「本当に、従うのか?」
「はい」
「・・・・・・嘘はついていないようだな。良かろう。では貴様に力をやろう。この力を使い、私の手となり足をなるが良い」
−−−
そうだ。僕は、メビウス様に救われたんだ。
弱かった僕が、この力を手に入れたのも、変われたのも、全てはあのお方のおかげ。
あのお方がいたから、今の僕がいるんだ。
それなのに、敵であるプリキュアに恋?ふざけるな。
「カオルちゃん。ドーナツありがとう。後で美味しく頂くよ」
「お?おう。元気だせよ兄ちゃん」
カオルの言葉を無視して、僕は歩く。
さすがにまだ正体をばらすわけにはいかないからな。
貰ったドーナツを片手にしばらく歩き、やがて人目につかない場所に行く。
「スイッチ・・・・・・オーバー」
胸の前でこぶしを擦り合わせ、両手を広げる。
「我が名はシーザー。ラビリンス総統、メビウス様が下僕ッ!」
僕はドーナツを手に取り、空中に放る。
宙で回転するドーナツに向けて、僕はダイヤを放つ。
「ウチホロボーセ・・・・・・我に、仕えよッ!」
ドーナツにダイヤが突き刺さり、ウチホロボーセへと変わる。
さぁ、不幸の時間の始まりだ。
- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.33 )
- 日時: 2016/06/04 21:14
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
町から轟音が聴こえたので来てみると、そこではドーナツのウチホロボーセが暴れていた。
建物を破壊し、小さいドーナツのようなものを飛ばして、それで人を締め付ける。
「美味しいドーナツを、ウチホロボーセに・・・・・・ッ!」
ラブちゃんはそう言って歯ぎしりをする。
確かにドーナツは美味しいし、町を破壊することに使うなんて許せない。
でも・・・・・・敵はいつの間に、ドーナツを買ったのだろう?
私たちは今日はよくドーナツカフェで話していたし、それらしい人物がいれば分かると思うのに。
そういえば、普通の人間に化ける能力もあるんだっけ。
そうなると、一体誰が・・・・・・?
「シーザーッ!」
その時、ラブちゃんの言葉で我に返る。
顔を上げるとそこには、シーザーが立っていた。
その顔を見た瞬間、怒りが湧き上がってくる。
あの男が・・・・・・ッ!
「やぁプリキュアの諸君。どうしたんだい?さっさと変身すればいいじゃないか。僕は逃げも隠れもしないよ」
手を広げ余裕そうに笑うシーザー。
その笑顔にさらに怒りが沸々と腹の底から湧き上がる。
「ブッキー、目怖い!」
ラブちゃんに注意されて、私は自分の目元に手を当てる。
そう、なのかな?自分じゃ分からないや。
「とにかく、行くよ!美希たん、ブッキー、せつな!」
変身する私たち。
そこに飛んでくる小さなドーナツ。
小さいといっても、普通のドーナツに比べれば100倍くらいは違うだろうけど。
私たちはそれを避けつつ、一気に急接近する。
「プリキュアクアドラブルキック!」
4人で同時にキックをする。
しかし、そこでドーナツの弾力に跳ね返される。
「悪いの悪いの飛んでいけ!プリキュア、エスポワールシャワー!」
素手の状態でベリーは技を放つ。
その光はウチホロボーセの体に当たり、わずかに体を揺らがせる。
そうか、物理攻撃が効かないだけで、技とかは効くんだ!
「悪いの悪いの飛んでいけ!プリキュア、ヒーリングブレア!」
私も技を放ち、ウチホロボーセを転ばせる。
「今よ!ピーチ!」
ベリーの言葉にピーチは頷き、キュアエンジェルになるための白いリンクルンを出そうとする。
しかし、そこでウチホロボーセの小さなドーナツが飛んできて、ピーチの体を締め付ける。
「ピーチッ!」
私はすぐにでもエンジェルパインになろうとしたが、同じように飛んできたドーナツに捕まり転がる。
「あっはははッ!無様だなぁプリキュア!やれ!ウチホロボーセ!」
シーザーの言葉にウチホロボーセはトドメと言わんばかりに腕を振り下ろしてくる。
それを見て私は目を瞑った。
しかし、何も起こらない。
目を開けると、そこではベリーとパッションがウチホロボーセの拳を受け止めていた。
「ベリーッ!パッションッ!?」
「あたしたちはキュアエンジェルにはなれないけど・・・・・・ッ!」
「二人を助けることくらいはできるのよ!」
はじき返される拳。
二人はそこにベリーソードとパッションハープで必殺技を叩き込む。
しかし、跳ね返される。やっぱり、キュアエンジェルじゃないと・・・・・・。
「姉さん!」
その時、和くんが心配した様子で走ってくるのが見えた。
「和樹!来たらダメ!」
「でも、姉さんが・・・・・・」
「ほう。キュアベリーの知り合いか」
シーザーの言葉に、私の背中に悪寒が走った。
嫌な予感がする。もしかしたら・・・・・・。
「ウチホロボーセ!その少年を狙え!」
シーザーの言葉と共に、撃ち出されるドーナツ。
和くんに当たり、彼はその場に倒れこむ。
「和樹!」
「ははは!自らの大切な人すら守れずに?町の人間どもを守る?笑わせるなよ!お前らみたいな非力な人間に、何ができるっていうんだ!ふははッ」
シーザーは嘲笑しながら、言う。
許せない。人を守ろうとする人のことをそう言うなんて、許せない!
「・・・・・・黙りなさいよ」
その時、ベリーの言葉が聴こえた。
冷酷な声。その声に、私は少し身震いしてしまった。
「黙りなさいよ!まともに人も愛せないようなアンタに、私の何が分かるって言うのよ!和樹を傷つけたアンタ・・・・・・完璧に許さないから!」
「キュアキュアプリプー」
その時、シフォンちゃんの声がした。
見ると、いつの間にか近くまで来ていたらしく、空中で笑っていた。
それと同時にベリーを青い光が包み込む。
そして、彼女の背中にはシャープな感じの羽が生えた。
「まさか・・・・・・エンジェルベリーだと!?なぜ・・・・・・」
「希望よ届け。プリキュア、エスポワリングトゥルーハート」
青いハートがウチホロボーセを包み込む。浄化されるウチホロボーセ。
ウチホロボーセが浄化したからか、私たちを締め付けていたドーナツも消える。
それと同時に、ベリーは変身を解いて和くんに駆け寄った。
「和樹!大丈夫?」
「姉さん・・・・・・えへへ。大丈夫、だよ」
心配する美希ちゃんに、笑う和くん。
何はともあれ、無事でよかった。
私はそれを確認すると、シーザーに目を向けた。
彼は私が見ていることに気付くと、余裕そうな笑みをニヤリと浮かべ、去って行く。
私はその後ろ姿を見つめることしかできなかった。
- Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.34 )
- 日時: 2016/06/05 12:05
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
「FUKOは溜まってたが、大した量がねえなぁ。力抜いたんじゃねえか?」
俺はいつものように軽くシーザーを茶化した。
だって、今日の量はウェスタ—とかが集めていた量より少し多いかどうかくらいの量だったから。
「・・・・・・全然出動しない君に言われたくないなぁ。人の振り見て我が振り直せっていうことわざ、知ってるかい?」
それに対し彼はいつものように殺気の籠った笑顔を返してくる。
・・・・・・あれ?今日出るまでと、本当に同じ人間か?こいつは。
何か吹っ切れたというか、あの時とは雰囲気が違って、いつも通りというか。
「そういうことだから。人に悪態つけるくらいなら自分から動いてよね」
俺の肩をポンポンとたたき、彼はソファに腰掛ける。
まぁ、最近ずっとアイツばかりだし、俺もそろそろ出るかな。
「プリキュアに恋するような奴に説教されるようになったら、俺もそろそろ終わりだな」
俺はいつもの軽い冗談のつもりでそう呟いた。
すると、目にも止まらぬ速さで胸ぐらを掴まれる。
「え・・・・・・?えっと・・・・・・?」
「僕はメビウス様の下僕。プリキュアに恋?ふざけるなよ。そんな甘い考えは、僕には無い」
そう言って手を離される。
じゃあなんでキュアパインを助けたんだと聞こうとして、俺は口を閉じた。
彼の蔑んだような目に、怖気づいてしまった。
「分かったら、君もさっさとFUKOを集めてきてくれないかな。僕たちには、もう時間がないんだ」
彼の言葉に俺は小さくうなずき、立ち上がる。
今は従おう。こいつに。
だって、俺はコイツに勝てないのだから。
−−−
「ベリーはんエンジェル化、おめでとさん」
どこから用意したのか、クラッカーを割るタルトちゃん。
それに宙に浮きながら笑うシフォンちゃん。
・・・・・・毎回やるのかな、このおめでとうパーティ。
「これで後はせつなだけだね」
「そうね。私も早くエンジェルパッション?になれるよう、精一杯頑張るわ」
胸の前で両手でこぶしを握り締めながら、せつなちゃんはそう言う。
全員がキュアエンジェルになれたら、シーザーも倒せるのだろうか。
「それは分からないわ」
せつなちゃんはドーナツを少しかじってからそう言う。
分からない?ってことは、倒せるかもしれないの?
「倒せる可能性もあるし、返り討ちにされる可能性もある。それだけ、シーザーは強いの」
「そうなんだ・・・・・・」
シーザーは許せない。
ウサギさんやドーナツをウチホロボーセにしたりして・・・・・・。
「じゃあ、もっと強い力が必要なの?」
「そんなのあるの?」
「それはワイにも分からへん」
・・・・・・分からないんだ。
でも、無いならシーザーを倒すのは難しいと思う。
「難しくても、やるしかないよ。だって、私たちプリキュアだから!」
ラブちゃんはいつものように立ち上がって言う。
その時だった。
「あ、ああああの!山吹さん!」
背後から声がしたので振り返ると、健人君が顔を真っ赤にして立っていた。
熱でもあるのかしら?
「じ、じじじつは、今度、また船上パーティをするので、良かったら、また来ていただけませんか!?」
彼はそう言ってチケットを渡してくる。
船上パーティって、あまり良い思い出がないんだよね。
「ご、ごめんなさい・・・・・・ああいうパーティって、私にはあまり合っていなくて」
「それなら、チケットはまだありますので、良かったら他の皆さんもどうでしょうか?」
「え、私たちも?」
ラブちゃんたちが来てくれるなら、まだ大丈夫かもしれない。
私の気持ちに気付いてか、みんなも「いいかもね」と笑った。
そこで、とあることに気付く。
「ねぇ・・・・・・竜也君達も来るのか・・・・・・な?」
私が恐る恐る聞くと、健人君は少し考えた後で、「来てほしいんですか?」と逆に聞いてくる。
するとラブちゃんは身を乗り出して、「それいい!」と指をビシッと指した。
まぁ、大輔君来るなら嬉しいんだろうね。
「へぇ。面白そうじゃない」
「楽しそうね」
美希ちゃんやせつなちゃんもそれに賛同してくる。
竜也君がいたら安心するってだけだったんだけど、みんなもこんなに賛成してくれるなら私も嬉しい。
健人君はその様子に、少しだけ苦笑した。
ちなみに他の男子たちは、別のテーブルでドーナツを囲んでいる。
竜也君に目を向けると、彼もちょうどこちらを見ていたようで目が合ってしまう。
慌てて逸らす。
目が合うと照れちゃうよ・・・・・・。
「じゃあ、また船上パーティで」
健人君の言葉に、私たちはうなずいた。
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