二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜
- 日時: 2017/02/04 21:50
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
初めましてか何度目まして!ひのりです!
新年ですね!
今日からは、ハピネスチャージプリキュアの小説を書きたいと思います!
以前一度書いたことがありますが……あれは少し……黒歴史です←
今回のはそうならないようにしたいですねw
それでは、よろしくお願いします。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.49 )
- 日時: 2017/02/01 21:48
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
「……お前に呼ばれる日が来ようとはな」
そんな声と共に、突如、床に暗い闇の渦ができ、中からブラックが現れる。
彼はゆっくりと目を開き、ニヤリと笑った。
「まさか、シャドウ……お前がこんなところにいるとはな」
「……」
ブラックの問いに、僕は目を逸らす。
そんな時、ブルーが立ち上がった。
「……説明してください。貴方が、どうして彼の記憶を消したのか。どうして、世界を闇に染めようとしているのか。……ここで」
その言葉に、ブラックは「やれやれ」と言って、肩を竦め、首を横に振った。
キザな動作だが、今は、誰もツッコミを入れない。
ブラックは、適当に近くにあった椅子に腰かけ、口を開こうとして、少しだけ動きを止める。
「君達もそこに隠れてないで、一緒に聞くかい?」
そんな言葉に、僕達はドアの方に視線を向けた。
すると、「あわわわッ!」と声をあげて、キュアフォーチュン以外のプリキュアの三名が扉の陰に慌てて引っ込んでいた。
それに、近くに立っていた相楽とかいう男が、「何やってんだ……」と呆れた様子で見ていた。
やがて、相楽含めた四名が中に入ってくる。
「それで……どこから話したもんかなぁ」
ブラックは、そう言って頭をガリガリと掻いた。
ブルーも、急かすつもりはないらしく、彼の言葉を待っていた。
やがて、ブラックは「よし」と言う。
「とりあえず……ブルーと俺の関係について話そうか」
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.50 )
- 日時: 2017/02/02 20:19
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
元々の地球の神は……ブラックだった。
ビッグバンを起こし、生命を生み、地球という星は徐々に発展していった。
何億年もの時を過ごしている内に……今から七百年前、ブラックは、一人の女性と出会い、恋に落ちた。
女の名前は影野美代子。
二人は両想いになり、そして、一つの命を育んだ。
一人の女と恋仲に落ちてしまっては、神として、人類全てを平等に愛するということができない。
ブラックは、悩んだ末に、神の座を下りることにした。
後にブルーが地球の神になったが、それはまた別の話。
神の座を下りたブラックと、美代子。そして、生まれた息子……愁は、地球の片隅でひっそりと暮らした。
たまたま住み着いた地域の人間は良い人ばかりで、ブラック達にとってとても心地よい場所だった。
やがて、愁は、近くに住む子供と仲良くなり始めた。
神と人のハーフである愁は、長生きする分成長速度がとてもゆっくりであるため、いつしか、周りだけが大きくなって彼はずっと子供のままだった。
それでも、愁はまだ、幸せに暮らしていた。
愁が長生きすぎるせいで、友人は皆、すぐに寿命で死んでしまった。
美代子やブラックにできた友人も、同様だった。
人が死ぬことに対しての耐性は、ブラックには多少はあったが、愁や美代子は違った。
彼等にとってそれらのショックは大きく、ついには、誰とも関わりを持たないようになってしまった。
神と交尾をした者の寿命も、人間よりかなり高くなる。しかし、それは一時のことだった。
愁を生んでから五百年ほど経過し、美代子は死んでいった。
人の死に耐性のあったブラックでも愛していた妻が死に、悲しみに打ちひしがれていた。無論、それは愁も同じことだった。
しかし、そんな愁に、手を差し伸べる少女がいた。
愁は、彼女に恋をした。
二人は次第に惹かれ合い、結婚した。
愁の見た目が高校生くらいだったため、見た目的に犯罪とか思われそうだったが、それでも、二人は幸せだった。
けど、それでも、彼女は死んでしまった。
母だけでなく、妻すら亡くした愁は悲しみのどん底に落ち、ついには、自殺をする。
彼だって、神の血を半分受け継いでいるとはいえ、結局は人間より長生きをする程度の存在。
致命傷の怪我をすれば、もちろん死ぬ。
息子を失っても、ブラックは、死ぬことができなかった。
神は、不死身だった。大切なものを失っても、生き続けなければいけない。
だから、ブラックは愁の死体から陰を抜き取り、それを少しずつ時間を掛けて、人間にした。
いわゆる、死者の蘇生である。
そのために闇の力に手を染め、いつしか闇の神となっていた。しかし、それでも彼は、家族が大切だった。
百年ほどの月日が経ち、シャドウが完成した。
感情の起伏も少なく、記憶の経由もできない。それでも、自分の息子であることは変わらなかった。
それに、記憶は無い方がいいだろう。
ブラックは、そんな判断から、あえて本名は教えなかった。
影からできたから、シャドウ。そんな、安直な名前をつけた。
たとえ記憶がなくとも、感情が無くとも、自分の息子だ。
しかし、闇に染まった彼等を、恐らく世界は受け入れない。
だから、ブラックはこの世界を、シャドウの……自分の息子のために、黒く染めることにした。
全てが闇になれば、自分達の存在だって認められるし、周りの人間も不死にすることが可能だった。
自己中だと言われても関係ない。所詮、自分は神の座を下りた身なんだから。
そして、現在に至る。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.51 )
- 日時: 2017/02/03 22:06
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
全てを……思い出した……。
ブラックの話をきっかけに、僕の脳内には、様々な記憶が蘇っていく。
母と三人で暮らした幸せの記憶。仲の良い人間が死んでいく血の記憶。母が死んだ悲しい記憶。
そして……———
『一人なの?』
———……。
きっと、僕は無意識に、彼女の面影を探していたのかもしれない。
彼女も、キュアフォーチュンのように、孤独な僕を気遣い、励まし、そして一緒にいてくれた。
でも、分かっているんだ。彼女がもういないことも、自分が、すでにそれを割り切っていることも。
あの時は混乱して、絶望のどん底にいて、それで自殺したけれど。
「だから、私は愁を救うためにも、世界支配をしなければならないと思った。たとえ、悪に堕ちても……」
そう言って、ブラック……父さんは、拳を握り締めた。
だから、僕は彼の手に自分の手を乗せた。
「もう、良いよ……。父さんの優しさは嬉しいけど、それで、父さんの手を汚してほしくない」
「愁……」
「それに、もう充分。死を選んだのは僕なんだから……このまま、死んだ方が良いんだよ、きっと」
僕の言葉に、突然、キュアフォーチュンが立ち上がった。
そして、僕の手を引いてずんずんと歩いて行く。
「なっ……何をっ……」
そのまま腕を引かれて連れて行かれたのは、遊園地だった。
どうやらかなり人気の場所らしく、見慣れない人間も多数いる。
「え、えっと……?」
「……好きな人が死んだ悲しみを持って死ぬなんて酷だと思うし、それに……せめて、影野君との思い出を、少しでも作っておきたいな、って……」
そう言って、恥ずかしそうに目を逸らす。
でも、彼女の優しさに気付き、僕はクスッと笑った。
「ありがとう、キュアフォーチュン」
「〜〜〜〜〜〜。なんか、調子狂う」
顔を真っ赤にして言う彼女は、そのままチケット売り場に歩いて行く。
そして、彼女がフリーパスというものを買ったので、どんなに並んでいるアトラクションでも並ばずに乗れた。
夕方でも、並ばなければたくさん乗れて、とても楽しかった。
「……影野君って、そうやって笑えるんだ」
ジェットコースターに乗った後で、キュアフォーチュンは、僕の顔を見てそう言った。
そう言われて、意識して自分の顔の筋肉の具合を確かめてみると、確かに自分は笑っていた。
「あっ……」
「そうやって笑っている方が、似合ってるよ。こっちが、影野君の本性?なのかな?」
「さぁ、どうだろう」
そんな会話をしていると、観覧車、というものの前まで来た。
僕達はそれに乗り、ゆっくり小さくなっていく街を見下ろしていた。
「……影野君が、死を選ぶなら……私は止めない」
唐突な言葉に、僕はキュアフォーチュンに顔を向けた。
彼女は目に涙を浮かべ、微笑んでいた。
「影野君がシャドウだって気付いた瞬間、覚悟はしてた。もう、二度と会えないって。でも、やっぱり悲しいよ……」
そう言って、涙を指で拭うが、次から次へと溢れるのか、彼女は「あれ?おかしいな」とか言ってる。
僕は、身を乗り出し、彼女の涙を舌で拭う。
「……ふぇ?」
「……たとえ、もう、二度と会えないとしても……僕は君が好きだ」
「私も……私も好き!」
キュアフォーチュンは、そう言って僕の首に腕を回して、抱きついてきた。
そして、僕の胸の中で泣きじゃくる。
「離れたくない!私は……あなたと一緒にいたい!」
普段気高い印象の彼女が、まるで子供のように泣いているのを見て、心が痛くなる。
僕は、強引に彼女の体を離し、ゆっくりと深呼吸をする。
そして、彼女の唇を奪った。
「なっ……」
「ごめん。それと……ありがとう」
そう言うのと同時に、自分の体が透け始めるのが分かった。
原理なんて、よく分からない。でも、別に知る必要なんてなかった。
最後に僕が聞いたのは、彼女の泣き声だった。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.52 )
- 日時: 2017/02/04 15:50
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<ブラック視点>
「……あっ」
シャドウの気配が消えたのを、体のどこかで感じた。
悲しみは、特にない。
これが、彼が選んだのなら、今更私が何をしてもダメだということは分かっているから。
「ブラックさん?」
そこで、ブルーに名前を呼ばれる。顔を上げると、彼は優しく微笑んでいた。
「……なんだ?」
「もし、良ければなんですが……地球の神に、戻ってみませんか?」
予想外の言葉に、私は目を見開く。
彼は続けた。
「今、僕達は惑星レッドの復興をしています。流石に兄さんだけでさせるのは無理がありますし、地球には、彼女達プリキュアもいます。ですが、やはり神は必要であるかと。ですから、もしブラックさんが良いのであれば……」
やりませんか?と、彼は首を傾げる。
地球の神。美代子に出会い、恋仲になったことで一度下りた身。
だが、もし良いというのであれば……。
「私で良いのなら、やらせてほしい」
これからは、地球の民を平等に愛する。
美代子や愁の想いを抱いて、私は、前を見て生き続けよう。
−−−
<いおな視点>
「実は、あたしと誠司……付き合うことになりました!」
めぐみの報告に、私たちは「おー」と言って拍手する。
今は、学校の帰り道。追試終わりのめぐみを大使館で癒そうという話になったのだが。
「ねぇねぇ、どっちから告白したの〜!?」
「それは内緒だよ〜。あ、そうだいおなちゃん!」
その時、めぐみは私を呼んだ。
顔を向けると、こちらにむかって駆け寄って来て、手に持った紙を広げた。
それは追試の解答用紙で、赤い数字は『100』と書いてあった。
「めぐみ、すごいじゃない!」
「えへへ〜。と言っても、いおなちゃんのおかげだよ!」
「私?」
「うん!いおなちゃんの教え方が良かったから、こんな点数取れたんだよ!」
めぐみの言葉に、私は、前に影野君に勉強を教えた時のことを思い出した。
彼は、結局いなくなってしまった。けれど、彼に勉強を教えるのは楽しかったし、もし、彼がこうして満点の結果を伝えてきたら、今、めぐみに伝えられた時よりも嬉しかっただろう。
「……私、決めた」
つい口に出すと、三人が不思議そうに私を見た。
だから、私は微笑んだ。
「私は、将来、先生になって、全員が満点を取れるような授業をしたい」
それを聞いためぐみは、パァァと顔を輝かせて、私の手を握った。
「いおなちゃんならできるよ!あたし、応援してる!」
「私も。いおなちゃんの教え方上手だし、頭も良いし」
「いおななら、すごごごーい先生になれるよ!」
そう言ってくれる三人に、私は「ありがとう、皆」と言って笑顔を浮かべた。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.53 )
- 日時: 2017/02/04 21:48
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
エピローグ
職員室の姿見に、自分の体を映してみる。
紫色をベースにしたスーツ姿の自分が、映される。
「あはは……やっぱり似合わないなぁ」
「いえいえ。そんなことないですよ。氷川先生美人ですし、似合ってますし」
「そういうお世辞はいらないから」
今日から私の副担任になる青年の頭に、私はチョップをかました。
それに、研修生上がりの彼は「いたたた……」と声を漏らした。
影野君との別れから、大体13年の月日が経った。
あれから、高校、大学と出て、私は教師になった。
どうやら私の授業は評判が良いらしく、ついにはクラスの担任なんてものを任されてしまった。
一年生のクラスだし平気だろうって言われたけど、やはり不安なものは不安。
「それじゃあ、行きましょうか」
「あ、ハイ」
私が歩き出すと、彼は慌てて駆け寄ってきた。
あれから、めぐみは色々迷った末に、警察になった。婦警とでも言うのだろうか。
かなり勉強を頑張ったそうで、婦警の制服を着た時はとても嬉しそうだった。
ゆうこは、家の弁当屋で家族と一緒に弁当を売っている。
今日も家で弁当を作り損ねたので、買いに行ってみたけれど、中々繁盛していた。
ちなみに、友達だからサービスすると言われたが丁重に断った。だって商売にならないもの。
ひめはブルースカイ王国で、王女として立派に働いている。
と言っても、割と定期的にこちらの世界に遊びに来てたりするけど。
ちなみに、今私が着ているスーツも、彼女がプレゼントしてくれたものだ。
「あれから……色々変わったんだなぁ」
私は呟きながら、筆箱に付けたピンク色の生き物のキーホルダーを見た。
未だに、こんなもの付けて……色あせて、ところどころ剥げてるのに……。
「……割り切らないとなぁ」
「氷川先生って、独り言多いんですね」
そう言う副担任の言葉に、私は、自分がずっと声に出して呟いていたことに気付く。
いけない、いけない。
私は「そうかしら?」と笑いながら、筆箱につけたキーホルダーに視線を落とす。
もう、これも外した方が良いかな。忘れて、割り切って。前に進まなくちゃ。
そう思いながら教室に入ると、生徒全員の視線が向けられるのが分かった。
「はい、皆さん初めまして!今日からこのクラスの担任をする、氷川いおなです。よろしくお願いします」
私が言うと、皆が「よろしくお願いします」と言った。
その時、一つの机が空いているのが分かった。
「あれ?そこは……」
言いながら席順表を見た時、教室の扉が開く音がした。
「すいません。遅れました!」
そう言って、一人の男子生徒が入ってくるのが分かった。
スラッとした体に、白い肌。黒い髪に、鋭い印象を受ける目。
彼が鞄に付ける赤い生き物のキーホルダーには、見覚えがあった。
「もう、遅刻はダメじゃない。えっと……」
私は席順表で彼の名前を確認する。直後、目を見開いた。
「……影野愁君」
窓から吹き抜けた風は、私の筆箱に吊るされたピンク色のモンスターのキーホルダーを、静かに揺らしていったのでした。
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