二次創作小説(新・総合)

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未だにカオスなのかもしれない非日常
日時: 2024/09/24 21:29
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

皆さん、初めまして。HALと申します。
過去3度も挫折をしたにも関わらず、やっぱりどうしても小説という形にしたかった物語を書きたくなった為に、この度4度目の執筆再開をさせてもらいました。今まではカオスな日常をテーマにしてきたのですが、今回とうとう”非日常”なんてワードを堂々と書き出すようになってしまいましたが……まぁ、おおらかな目で見て頂けますと幸いです。


〔 目 次 〕

プロローグ >>1-6
オリエンテーション to ラジオ >>9-17
集う3高校。彩り、音撃、甲子園 >>18-21
誕生日記念 ~HALの回顧録~ >>34-37
舞ヶ原と奏坂と「自分達」の将来想起 >>47-49
裸族講座 (前編) >>53-57 (後編) >>60-68

【阪奈編】
首領首領大乱闘 >>22-33

【九瓏編】
愛をと○もどせ!告白選手権 ~VS天空中央高校~ >>38-43
九瓏とその好敵手達の秋 >>71

【自己紹介】
阪奈、九瓏、迅、雷那 >>50
イロドリミドリ >>69
HaNaMiNa、舞ヶ原シンセ研究所 >>70



─ 注意事項 ─

・この小説ではクロスオーバーが発生します。
・この小説では、独自解釈によるキャラ設定(キャラ崩壊率???%)が幾つか施されていますので、どうかご了承ください。また”設定変更の可能性”もございます。なんなら既に実行してます(大問題発言)
・圧倒的文章量(の少なさ)、徹底的誤字数(の多さ)
・キャラ貸し出しも可能としておりました。その際はコメント欄にて許諾をお願い致します。
・荒らし相手にはそれ相応の処置をしますのでそのつもりで。
・3度も挫折してるという事実からも察せられるように、更新頻度は壊滅的に遅いです。またしても挫折する可能性もありますし、更新できたとしても数ヶ月かかる事も予測されますので、よほど暇がある方のみが読まれることを推奨致します。
・これは人によって制限されていない様なのですが、こちらの小説ではマナーを守った投稿をお願い致します。



─ 登場ジャンル ─
モンハン、パワプロ、イロドリミドリ、オンゲキ、オリキャラ


── ようこそ、C-Refへ ──

オリエンテーション to ラジオ(後編) ( No.17 )
日時: 2024/01/25 17:34
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

「……さて。もう逃げようもないんでね。流石にそろそろ凍って出来上がったと思うのですが……」


ようやく最後の迅の番。冷やすだとか凍らせるという単語が多かった事から察せられるに、他の人とは明らかに別ジャンルの料理が想定されていたが、出てきたものはというと……








金属製バケットにドカッと入ったまんまのシャーベット状の凍ったものだった。

これってまさか……



「アイスだぁーーーーーーっ!!」
「へぇ、よく出来てるじゃねぇか」



そう。迅が作っていたのはアイスだったのだ! しかし何故アイスというチョイスを……?


「お恥ずかしながら、調理実習以外でまともに料理手伝うこともなくってさ……; 何なら出来るだろうって考えて、とりあえずで挑戦してみたんです。あまり味には自信ないですがね……」



…………思ってたより自棄やけだったらしい。
その意気も分かったところで早速試食に移る。その味はというと……



「……ん?」
「……あれ、なんか普通のアイスと違うような……」
「やっぱし思ったようなアイスの味じゃねぇなぁ……orz ……けど、何が原因なんだろうな? 最低限の手順だけでも間違えないよう、慎重にやったんだけど……」
「やっぱこうなっちゃうのよね……;」



口に入れた瞬間サッと溶けていくひんやりとした感触……いや、その感覚はアイスと呼ぶには余りにも一瞬すぎた。おまけに口どけに関しても、味わい自体は問題ないのに何処か違和感がある。

一体全体どういうことか分からない一行だったが、ただ1人、雷那だけは心当たりがあったようで……?




「……そもそも。アイスクリームなんて20分+αで出来る程、簡単なスイーツじゃないわよ」
「…………えっ?」


「皆が1口食べて感じただろう違和感は多分2つある筈なのよ。1つは凍り具合。このアイス、口に入れてから溶けるまでがやけに早かったと思わない?」
「それは確かに思ったけど……もっと冷やす必要があったの?」
「ただ冷やすだけじゃ効率が悪いでしょうね。多少手間はかかるけど、30分おきくらいに1度冷凍庫から出して全体をかき混ぜたりして、冷やし具合を全体的に満遍なく拡げるのが理想なんて言われてるわ」


「もう1つは口あたり。皆も食べてる時に直ぐに違いに気づいたはずよ」
「あぁ。なんていうか、舌がザラついたんだよな。アイスっぽくないっていうか……」
「この原因として考えられるのは、アイスのかき混ぜが足りなかったり、冷凍の最中で発生した大粒の氷の結晶だったりね。これらの問題を解決する為にも、先程の冷凍中のかき混ぜというのが非常に有効になってくるのよ」


「て事は…… 俺、全体的にしくじってた…………ってコト!?」
「まぁ、そうなるわね; けど仕方ないわよ。ラジオの途中で緊急で料理作れと言われちゃ、本来時間のかかる料理を作ろうとすれば、不備がどうしても発生するものよ。……それに、参考までに言わせてもらうと。アタシがここまでアイスの失敗に詳しいのは、過去に自分もおんなじポカやらかした事があるから。料理の道……特にお菓子作りに関しては、本当に覚悟しといた方が良いわよ」



スイーツ作りは通常の料理作りよりも修羅の道。などとはよく言われるが、今回改めてその敷居の高さを目の当たりにせざるを得なかった……

皆思うところはあったのか、今回の迅のアイスへの総評は☆2で固まった。



──────────────────────


「いやはや、皆さん大変お疲れ様でした。どうです? お互いの事も、今回でよく分かってきたんじゃないでしょうか?」


ラジオもそろそろお開きの時。管理人はMCの卵4人に確認を投げかけていた。


「えっ? まぁ……だいぶは分かったんじゃないの?」
「……ですね。より愉快な人達だと思えるようになりましたよ」
「お前らな……; まぁ俺も見えてはきた感じだな」
「すっごい楽しかったよ!!」

「……そうですか。それなら良かった」


皆からの答えを聞いて安堵したのも束の間。管理人は穏やかな表情のまま──しかし目つきだけは真剣になり──こちらを見やった。









「それでは最後に──今後の皆さんの行く末についての【オリエンテーション】を始めようじゃあないですか」



──刹那。彼らを取り巻く空気が変わった。


和やかな空気が一瞬で静寂に変わるその様を、著者は1人、内心で震え続けながら話を進めた。



「冒頭でもお話をしましたように、私の目的は皆さんの世界観を飛び越えた交流に御座います。その為にも、皆さんにはこれからある1つの'宿題'を第1課題としてこなしてもらいます」
「……宿題ってなに?」
「学校で出されるやらなきゃいけない事、まぁミッションみたいなもんですよ」


「補足説明有り難うございます。では宿題の内容を単刀直入に言いましょう。皆さんにはこれから、『この"C-Ref"にどなたかを招待してもらいたい』のです」


「……相変わらず無茶言うわよね、アンタ」
「要は、今後の交流のためにメンバー増やしたいから、どんどん友達を招待してくれよなってとこか」
「そうなります」





次回以降のメンバー追加についてのお願いをした後、ラジオ放送は終了。主人公達は無事、元の世界へと戻っていったのであった。



──────────────────────



さて。最後にここからは、このお話におけるエピローグ、並びにこの先の物語の為の次回予告(?)をお話しよう。



1. 迅と雷那、2人の合作


ラジオ放送終了直後、折角だからと連絡先を交換した4人。……いや、厳密にはスマホを持ってない阪奈を除いた3人だったのだが。

その次の日から、迅と雷那はお互いに連絡を取り合うようになっていた。

いきなり仲が進展しすぎではないか?と勘違いされかねないが、実態は合作活動についての相談だった。


RAINA:今アタシ、こんな楽曲作ってんだよね
    ~~~~~~~.mp3
HGR - III:聴いてきた。俺ピアノ旋律混ぜてみたかったんだけど、どう思うよ?
RAINA:難しいこと言うねアンタも。まぁやってみる?


あのコラボデビューの一件以来、お互いをすっかり認め合った2人は、今後の作曲・オンゲキ活動をより良いものにする為に『合作協定』を結んだのである。

住んでる学校も地域も違えども、お互いの目的の為に協力し合えるというのは、正しくこの小説で魅せていきたい点の1つであった。



──そんな宣材を、著者が活かさない筈がなかったのだ。



実は著者、ラジオ放送の一端、言ってしまえば迅のDJライブ&雷那のオンゲキMVを無断で動画サイトに転載していたのである(爆弾投下) 後で2人にド突かれても知らんぞ??

こうして転載された動画なのだが……
あろう事か、迅の音楽性と雷那のパフォーマンスが高い評価を受けたのか、小さなバズりを巻き起こす事態となってしまった(小規模爆発)

当然ながら、この2人に何の被害もない筈がなく……





「さ~てと。偶にはなんか動画でも見っかな~。……アレ、しろにゃーから連絡だ。何々? 『この動画の人ってもしかして?』お? アタシらの名がまたしても世間に轟いたってか?」

「……いや、違うな。DJライブとMVってとこか? 随分良い音掻き鳴らしてるみたいだけど…… いや、てかこのDJやってるコイツ…… 緋桐迅、だよな? うちのクラスの。普段何の活動もしてねーつまんねー奴だと思ってたけど、珍しい一面もちゃんと持ってんのな。……明日、いっちょシメますか!」



「ふっふっふっ。さて、今日もサバゲーの練度を上げる為に、動画でイメージを……む? 何か賑やかな動画があるな。サバゲーの衣装で何をして……なっ!? これは我らの誇るオンゲキではないか!? という事はあの女……私が見込んだサバゲー後輩の雷那か!?」

「ぐぬぬ……一体いつの間にこのようなものを…… なんならいつものオンゲキよりもどこか生き生きしてないか……? …………!! そうかそうか……他でもない生徒会長、そしてサバゲーの大先輩であるのがこの私だ。ならば実力行使、直々に尋問してやろうではないか! わーっはっはっは!!」



…………この一騒動が、次回巻き起こる。





2. 九瓏の過去、夢 (全文LINE式でお送りします)


PLAY:【悲報】俺の野球人生、終了

CLAW:結局駄目だったのか?

PLAY:いや、実を言うと部自体は存続した。ただ……あれはもう女子野球部だよ; どうすればいいんだよ……

Shuイチロー:何を言ってるんだい? 女子野球部なんてそんな夢のような……僕の部員がその話を聞いたら全員飛びつくだろうね!

黒城:毎回思うが、お前らそんなに下心強いのになんで野球も強えーんだよ、ふざけんな。夏甲子園ベスト4とかどうなってんだよ

轟巫女:まだ女遊び、続けてルの? ……ウザッ

PLAY:唐突に飛んでくる痛い一言

轟巫女:こっちは今ヤ炭鉱夫……いや、炭鉱婦なのヨ。大変ったらアリャしない

CLAW:……つくづく俺達の高校野球、変な方向に飛躍してないか? 海を渡ったり炭鉱夫するなど、流石に聞いた事ないが……大丈夫か?

轟巫女:事実、こうでもしなきゃ皆に追いつけなイ

王従者:何を騒いでると思い見に来たが……そうか、部活動自体は大丈夫なようだな

PLAY:出たね優勝校

轟巫女:もはや貫禄があル

ヒロミ:あんたらの名声は、海にいる俺にも届いてたぜ!

王従者:全ては我が王が為した事。俺はそれに尽力したにすぎない

月:……俺の渾身の一撃を采配でブロックしてゲッツーにした事、忘れてないからな

黒城:強豪軍団が軒並み揃い踏みか。改めてヤバいなこのグループ

吸血種:ごめん!ずっと練習してたから返信遅れた!

Shuイチロー:練習お疲れさん。……あれ? 今23:00だよね? 正気?

吸血種:夜の方が効率いいから仕方ないよ

CLAW:いるしつているか。甲子園は昼開催だぞ

ヒロミ:何かで見たなその構文

黒城:DE〇TH N〇TEだろ

月:……お前ら、よく分かるよな

王従者:雑談はもう十分したろう。今日は解散だ

轟巫女:大丈夫。皆あの日の夢ハまだ覚えてるカラ





『──俺達、今度は甲子園で全員集まろう』



─────────────────────


はい。ここまでがオリエンテーション、即ち準備編となります。本格的な日常物語が次回以降始まる、という訳ですね。

……はい、皆さんも思っている事でしょう。

前回更新から空いた期間は、なんとまさかの8ヶ月半。モンハンRISE サンブレイクなんざとっくに発売したと思ったらアプデがとうとう出揃っちゃいましたよ、ええ。

究極の遅筆だという話はしておりましたが、まさか開幕早々この始末とは自分も思っておりませんでした。そりゃあ愛想尽かされちゃいますよね……

とはいえ、ようやくリメイク案も出揃いましたし、ここまで進められたので対抗策もようやっと始めれます。

ここからは、私HALも皆様の執筆を稀に読ませていただいては感想を書いてこうと思います。

基本は1人でやってくると思いますが、たまに主役のオリキャラ達を招くやもしれません。その際は、なんかやってんなHALの奴、と軽く流していただけると嬉しいです。


次回からはいよいよ本気の日常小説です。その序章中の序章にあたる次回作の前振りをリメイクがてら書きました。

次回更新が何時になるかは例の如く不明ではある訳ですが、これにて後書きは一旦閉めさせていただきたいと思います。



それでは感想をどうぞ!!!

集う3校。彩り、音撃、甲子園。 ( No.18 )
日時: 2023/06/23 19:54
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

かのオリエンテーション閉幕から3日後の事。
あれ以来、主人公4人組はまだ全員集合する事が出来ないでいた。

それもこれも、あの日著者に出された『宿題』が原因だった。いざ異世界に知人を招待してください、と言われても、そもそも周囲は異世界の存在を信じてはくれないのだから招待しようがないのである。

その為、ある者は作曲活動をしたり、ある者は鍛錬に励むなどして、各自虚無の期間を乗り切っていた……





そして本日も舞ヶ原高校は平和な一日を送っていた。
時間は昼休み。昼飯を食べる為に購買に向かったり、友達と席を囲むなどしていたのだが……



我らが緋桐迅は、常に一人飯であった。


「開幕早々悲しすぎる言葉ぶつけるのやめてくれませんかね?」


ちょっぴりセンチメンタルになったしまったが、人間たるもの食欲には抗えない。
いただきます、と挨拶をし、そそくさとご飯を食べ始めようとしたその時、


──────奴が訪れた。








「よぉーーーーう! そこの生意気な少年っ!! ちょーーっとあたしらの事情聴取に付き合ってもらうぜ?」
「なるちゃん、そんないきなり高圧的な態度取らなくても……」
「お、お昼ご飯食べてる途中すみません……!」

「!? ………………?? 箱部なるさんに、小仏凪さん、それと……月鈴白奈さん?」



眼前に現れたのは3人の同級生の少女。

1人目はちんちくりん&ツインテールが特徴の破天荒の極み、箱部はこべ なる。
彼女は自前の弁当を机に叩きつけて、まるでこれから尋問誘導でも始めてやるぜ!とでも言いたげな悪い表情をしていた。

2人目は大きなリボンで髪をまとめたジト目系少女、小仏こぼとけ なぎ
他2人は迅相手に話が本当にあるらしいが、彼女はこちらに目もくれていない。恐らく2人から詳しい話を聞かされてないのだろうし、ただ単に付いてきただけだと考える方が無難だろう。

3人目は緑地のチェック柄ストールを羽織った深窓の令嬢、月鈴つきすず 白奈しろな
昼飯中の突撃取材に謝罪してくれてるだけまだマシな方だが、取材を聞く気満々で既に椅子に座ってる辺り、本質は箱部と似通ってるのでは?と疑いたくなった。


この3名の共通点といえば、今舞ヶ原高校を沸かせている7人……いや、今は6人組のガールズバンド『イロドリミドリ』のメンバーであるという事。

そんな大それた立場の3人が、一体迅に何の用事が?



「まぁ御託を並べるのも時間の無駄だしな。まずはこいつを見てくれや」


そう言うとなるは、自分のスマホを差し出してきた。
画面はY〇utu〇eのようだが、そこに映し出されていた光景というのが…………













──3日前のオリエンテーションで披露したDJライブだった。


「? このライブに映ってるDJって……迅くん?」
「!? なんでコレ撮られ……!?」
「おぅおぅ。その話しぶりじゃ間違いねぇ、って事だよなぁ!?」


前回ラストにも話したように、著者本人による無断転載が原因である。
しかし、何故なると白奈は、今になって迅に事情聴取をしようとしたのだろうか?


「おい迅! あんたこんだけ良い音出して盛り上げれるってんなら、なんで今まで学園フェスとか出ようとしなかったんだよ!」
「そうですよ! 今まではただ音楽活動に消極的なだけなのかと思ってたのですが、これだけの熱い音楽を作れるのは音楽が心から好きな人だけです!」
「俺そんなに消極的に見られてたの!?!?」


怒涛の言葉のメッタ刺しに内心ショックを受けた迅だったが、2人の言い分に対する答えというのは割とすんなり頭に浮かんでいた。


「ハァ……まぁそこは今はいいか。で、音楽イベントに参加してこなかった理由なんだけど、まぁ大きく分けて2つだな」


「1つは俺がソロ活動である事。定期演奏会とか学園フェスとかって皆グループで参加してるだろ? 俺が1人でステージ上がったって、場は簡単には盛り上がらねぇよ。俺の場合は、べつに実績が欲しいとも思ってなかったわけだし」

「だ、か、ら、そのシラケた態度が気に食わねぇんだよ! せっかくあんたには音楽の才能があるんだから、そんな偏見だってあんたの音楽で書き換えちまえば良いだろうが!」
「な、なるちゃん、落ち着いて……!」
「でも、私も思ったんです! 迅くんのこの音楽なら、きっと皆笑顔になれるし盛り上がる筈だって……!」
「そう、『そこ』なんだよ」


理由を淡々と説明する気でいたのだが、思いの外熱い反撃を受けた事を、迅は正直意外に思っていた。実際に、なると白奈からここまで熱意の籠った説得を受ける程には、2人の心に火を付ける旋律だった事は確かだろう。

……だがそれこそが、同時に自分を否定する理由にもなりえた。


「この音楽は、何も『自分一人で作り上げた曲じゃない』んだよ。ここに良いサンプル例示がある。良ければ試しに聴いてみてくれ」


そう言うと、今度は迅が自分のスマホを持ち出した。
流し始めたのは、それまで自分がアップロードした楽曲達。
世に出すには十分なレベルの音楽ではあるのだが、先程2人が話したような『音から伝わる熱気』というのは特段感じられなかった。


「……このように、それまで自分が書いてた音楽ってのは、無数にある音楽の山に埋もれちまう程度の曲だったのよ。「あの曲」だけが別だったんだ。参考にした音楽だってあるし、他とは違いイメージビデオ的な表現もあるから世界観に惹き込まれやすい。……そう考えると、自分でも「出来すぎた曲」と評価せざるを得ないな」



迅が提示したこれらの話を前に、3人は確かにと納得せざるを得なかった。

……しかし、ここまで話を聞く側であった凪が何かに気づいたのか、迅にこんな事を聞いてきた。


「……そういえば迅君。このイメージビデオに登場している子についてなんだけど……」
「……? 雷那がどうかしたのか?」













「彼女がプレイしてるのって、まさか『オンゲキ』?」



瞬間、迅の頭の中が真っ白になった。

自分が当時全く知らなかった次世代型競技のことを、何故この子達が知っている?


「あーーっ!オンゲキか! いやぁ、どおりで見覚えがあるわけだよ!」
「前に奏坂学園にお邪魔して演奏したことがありましたもんね。その時に芹菜先輩がお試しでやってみたんでしたっけ」


彼女達曰く、前に奏坂学園でのイベントに招待された事があるらしく、そこでオンゲキの事について知ったらしい。……世間って、案外狭いのな;

だが、彼女達が奏坂学園の事について知ってるのならば、もしかしたら……





「すまん! 恥を忍んで皆にお願いしたい事がある!」

「えっ; そんな急にどうしたの;」
「何か困り事でもあったんですか?」
「まぁあたしらが手を貸せばどんなお願いだっておちゃのこさいさいよ! 勿論、ただで受けるとは言わねぇぜ?」
「流石に昼休みも終わるから、直ぐに行動には移せねえな。とりあえず、何か『使用しない扉』で思い当たるものはないか?」
「「「使用しない扉???」」」



いきなりお願い事があると言われ、話を聞いてみれば「使わない扉」を教えてくれと言われる始末。流石にイロドリ2年組を持ってしても理解不能な事態だった。
まぁそれでも一応、案自体は出してみる。


「あたし達が使ってるスタジオの掃除用具入れてるロッカーとかどうだ? アレ普段使わないから別に良いっしょ!」
「なるちゃん、スタジオは使用したら毎回ちゃんと掃除してるでしょ。サボろうとしないの」
「あっ! でしたら、隣の部室とかどうです? 軽音同好会の部室の隣はまだたしか空いてた筈ですし」
「成程。それなら人も十分通れるな…… 放課後行ってみるよ。わざわざありがとう」

(((人………………???)))



結局、ここまでの話の時点で昼休み時間は残りわずか。迅のお願いの実態を知るのは放課後になってからの事だった。



暫く更新続きます。感想はまだで。

集う3校。彩り、音撃、甲子園。 ( No.19 )
日時: 2023/06/23 20:33
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

場面は変わって、こちらは奏坂学園高等部の教室。
こちらも昼食の時間になり、雷那は知人達とご飯を食べようとしていた。のだが……





\ピーンポーンパーンポーン/


\あぁ~、あぁ~。諸君、私だ! 生徒会長、逢坂おうさか あかね様だ! 今から生徒の呼び出しをする! 『夕立雷那』! 夕立雷那は直ちに生徒会室に来るように! 来なかったら貴様の家に電凸するぞ! ではさらばだ。わーっはっはっは!!/



「…………面倒な事になった;」
「えーっ。また変な事でもしたの?」
「する訳ないでしょ。記憶にもないわ」
「でも、やけに呼び出されてるよねあんた。生徒会長に好かれてんの?」
「サバゲーの先輩後輩ってだけ。校内でサバゲーやってる人ーって聞いたところで、どうせ誰もはいって言わないでしょ? 貴重なのよ、アタシみたいなのって」



愚痴を零しながらも、生徒会長の恐ろしさをよく知っている雷那は足速に目的地へと向かった。
その道中、雷那はふと携帯を開き、メールを見やる。


──────────

C-Ref管理人
To: 夕立雷那

昨日話した宿題について、私から君達にあるものを渡しておきます。
h~~p://~~~~~~~~

↑のリンクを踏むと、皆に『自分の世界とC-Refを繋ぐ能力』が1回分付与されます。能力が付与されたら、あとは好きな「扉」に手を触れれば書き換えが完了します。

この能力を駆使して、是非C-Refを賑やかにしてやってください。

───────────


……以上は、一昨日著者から送られたメールである。ご丁寧に招待の手口を教えてくれたのはいいのだが、あまりにも非現実的すぎる手法で一同は項垂れざるを得なかった。……まぁ彼の言葉自体は信じてしまっていたのだが。



そんなこんなで辿り着いた生徒会室前。何度か来た事があるので、もはや躊躇いとかはない。失礼します、と一言発してすんなりと入室した。


「おお、待っていたぞ雷那。立ち話もなんだ、そこに座るが良い」
「いつもながら会長がすみません。どうぞお席に」
「あぁ、有り難うございます。どうも、有栖さん」
「ん。久しぶり」


部屋に入るとそこは通常の生徒会室……なんて事はなかった。

赤と黒を基調とした壁紙、旗、その他諸々の備品。生徒会室というよりも一種の秘密結社である。オンゲキを知らない人間からすれば、これの何処が生徒会室なのか疑いたくなる。S〇S団ですらこんな事しないぞ。


また、この場で生徒会室に普段からいる3人についての自己紹介もしておこう。

1人目は先程も話した生徒会長、逢坂 茜。
真っ赤に燃える赤い髪にワンサイドアップ、何より何故か羽織っているマントが特徴。趣味は「世界征服」であり、口調や生徒会室の改装ぶりにも影響が出ている。誰が呼んだか「奏坂の赤き天災」。実は雷那とはサバゲー仲間。その都合上、1番親しくしている先輩でもある。よく着いていけるなこの人に;

2人目は会長の補佐っぷりが目立つ生徒会副会長、九條くじょう かえで
凛とした佇まいに眼鏡もかけているからか、容姿端麗、大和撫子、堅物と評されてるとか。大暴走がデフォルトの茜を制したり、時にはキツいお仕置きで黙らせたりもするのだが、あくまで基本的には従属している。雷那からすればたまったもんじゃない。

3人目は次期奏坂学園長とも言われている少女、珠洲島すずしま 有栖ありす
サイドに大きなおだんごを2つ、その後残りをテールにするなど、とんでもない髪型をしている。のだが、普段はその姿では目撃されない。着ぐるみが趣味だからか、外にいる時は大抵青いアライグマになっている。雷那曰く、どちらの有栖も随分見慣れたらしい。
尚、彼女は高校1年なので雷那より年下である。


以上3名によって「R.B.P.」というユニットを組んでおり、オンゲキにも参加している。ちなみにR.B.P.が何の略なのかは未だに分かってないらしい。



「さて、それでは早速本題に入るとしよう。雷那よ、最近オンゲキは楽しんでるか?」
「……呼び出した割には随分と真面目な事聞きますね」
「ふっ、生徒諸君らの楽しい学園生活を保証するのも我々生徒会の役目だからな。で、実際どうなのだ?」
「楽しいかどうかも何も、楽しもうとしてなきゃオンゲキやってないですよ」
「む、それもそうか。……しかし、ここ数日の貴様は、どうにも瞳に覇気が宿ってなかったからな」


自分のオンゲキに対する姿勢で心配でもされたのだろうか。雷那はそう思案すると同時に、あまりにも心当たりがあり過ぎたので、今回は素直に話に応じることにした。


「……まぁ確かに。シューターフェスの一件でモヤモヤした所があったのは認めます。ですが、自分で踏ん切りというか答えも見つけたので、そちらの心配はもう大丈夫ですよ」
「あぁ、そうだろうなぁ。今の貴様はすっかり本調子、いやそれ以上に楽しんでるのだろうと思っていたぞ」


……? 考えが先読みされた?

瞬間、この違和感は嫌な予感に変わる。この女は、一体何を突きつけようとしてるんだ……?































「よもやオンゲキを通じて『彼氏』を作るなど……女子校である奏坂学園の生徒らしい一面もあるようだなぁ(笑)」

( ´;゚З゚)・;'.∵ブーーーッ!!!


「な、なななな何言ってるんですか先輩!? アタシそんなうつつ抜かしてる場面なんてありましたっけ!?」
「おぉおぉ、思いきり動揺してるようだが? まぁ良い。証拠は既に挙がってるのだからなぁ!」


急に破天荒生徒会長に吹っ掛けられてしまった彼氏疑惑。悲しいかな、こちらにも心当たりがあった為に動揺してしまった雷那だった。

……さて、ここで読者諸君は思う事だろう。まぁ証拠媒体は「アレ」だろうなぁ、と。ハイ、その通りなので早速明かしていきましょう。

茜の指示で右側を見やると、いつの間にか副会長が用意していたスクリーン、反対側では有栖が映写機を弄って準備を進めていた。あの、2人ともノリノリすぎじゃありませんか??

ツッコミを入れるも束の間、準備が整ったらしく目の前にはとある映像が。そう、勿論…………







雷那が名も知らぬハードスタイルに心打たれ、目には輝き、身のこなしにはいつも以上の洗練度合いが伺えた、あの無断転載動画である。演奏終了後のやり取りまで保存されてしまっていたので、先輩の観察力……というか女の勘からは言い逃れようがなかった。


「う"わ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!?!?////」


当然この映像が撮られていたという事、ましてやそれがこのインターネットの海に既に放出済である事なんて露知らずだった雷那にすれば、クリティカルヒットどころの話じゃなかった。もう一生ものの黒歴史になってしまったかもしれない。


「もぅやだぁ……いっそころせぇ…………;;」
「お、おい、雷那。流石に悪かった、悪かったって」
「会長、流石にやり過ぎだったかと」
「ん。オーバーキル」


もはやいつものクールで飾らない雷那はそこに居なかった。ボコボコにメンタルをやられてしまい、完全にメンダコ状態と化してしまった。……いや、メンダコ状態って何???





「あぁもう……こうなりゃヤケよ」


流石に観念したのか、とある反撃案を思いついた雷那は、元の形に戻ると生徒会組にこんな提案を持ちかけてきた。


「生徒会組に要望を提出するわ。内容は……『アタシがこれから招待する場所への参加』よ」

「!」
「…………?」
「……ほぅ? 立ち直ったと思いきや今度は嘆願と来たか。では問おう。我々がその領域に参加した場合、どのような利点がある?」

「……支配領域の拡大、並びに「さっきの動画で見せたアタシの交友関係の提示」。……これならどうです?」


……肉を切らせて骨を断つにもいい判断だ。というかほぼほぼ自爆特攻である。
自身の黒歴史に拍車を掛けることを代償に、彼女らをC-Refに招待しようとしたのである。つくづくこの女も頭のネジが数本外れてるのではないかと心配になる。
しかし、生徒会をこちら側に引きこめれば、その後のC-Ref加入の流れをよりスムーズに出来るだろうという見立ては良案だった。

流石の生徒会長も、一見どうみてもこちら側のメリットの方が大きい事、それもあんな赤面確定事項を受けた後にも関わらずということもあり、明らかに裏があってもおかしくはないと考えていた。が。


「くくくっ。良いだろう。我々をせいぜい楽しませてくれたまえよ?」


自身でもやり過ぎた節はあったと認めていたからか、何か裏があろうとも返り討ちにしてしまえば何ともないという精神で、雷那の要望に応えることとした。

すると、今度は楓から質問が。


「しかし雷那さん、1つ質問が。あなたが提示した場所とは何処にあるものなのでしょうか? その詳細を聞かないことには、招待に応じる以前の話になります」
「あぁ、それなら大丈夫です。ただ…… つかぬ事をお聞きしますが、この近辺に使用しない「扉」はありますか?」
「はて、扉ですか……? それは何の目的で使用するのですか?」
「領域への招待に使うんです。とても信じれた話じゃないかもしれませんが」
「成程。扉さえ用意すればそれでいいのだな? 部屋などは要らないという事でいいのだな?」
「えぇ。恐らくは」
「ふむ、良いだろう。扉については放課後までにこちらで用意しておく。その時になったらまた来てもらうぞ」
「分かりました。それでは、私は一度これで」


一連の質問、確認を終えたので、雷那は生徒会室を後にした。




「会長。彼女の言葉、信じるに値すると思いますか?」
「あれ程まで追い詰められた人間が、今更嘘を塗り固めようとすると思うか? 私は楽しみにしてるぞ。何せ、彼女が心からの笑顔を見せた数少ない場所に向かえるというのだからな」
「……彼女、皆を招待したがっていた。私達も満足だったら、招待を手伝うのも、悪くない」


やはり奏坂学園の生徒会は、切れ者揃いのようだ。

集う3校。彩り、音撃、甲子園。 ( No.20 )
日時: 2023/06/23 20:34
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

さて、千将高校の方にも動きがあったようだ。


この日、九瓏は昼休みの時間だというのに、わざわざロッカールームに足を運んでいた。
勿論目的は、著者から課せられた宿題である。


「……さて、勢いで自分のロッカーをC-Refと繋げちまったわけなんだが。これからどうしたものか……」


……この男、リスクを省みずに1人お先に扉を創造してしまったのである。
まぁ、先に扉を作ってしまってから人を招待したところで、どちらも全く同じ対応である事に変わりない。

しかし、今や九瓏は野球部のキャプテン。普段と違う行動をしていると案外周囲にはバレやすいもので……









「九瓏殿! このような時間にロッカールームに参るなど、何かあったのだろうか?」
「ほっほーう! 休み時間にまでここに来るだなんて、何か困り事でもあるのかぃ?」
「九瓏先輩が珍しい行動をしてるのをたまたま見かけまして、つい気になって皆さんに着いてきてしまいました! 何かあったんですか!?」

「どぅおわぁーーーーーーー!?」


思わずバタンッ!!と強い音を立てて自分のロッカーを閉じる。入口を見ると、3人の部員が九瓏を心配してかロッカールームに駆けつけていた。


1人目は武の道を征く剣道ガール、柳生やぎゅう 鞘花さやか
実家が剣道の道場である、由緒正しい剣の道を歩む少女。その道をより確固たるものにするべく、他のスポーツにも精通する事にしたのだろう。何故その中から野球を選択したのかはよく分からないが。尚、言動まで侍っぽい。

2人目は球場の曲芸師、石触いしざわ 宴舞えんぶ
本業は移動式サーカスの花形曲芸師。サーカスの為に培われた技術が野球へのトレーニングに活かせるのでは?と感銘を受けた野球部一同(主に真、信政、拳一)の手によって、転入初日に野球部に誘われた。サーカス常駐期間だけの縁となっている。尚、1年後輩である。

3人目は大空に憧れる少女、蒼鳥そうどり つばさ。
父は航空整備士、母はCA(キャビンアテンダント)と航空関連の両親の元で育った。それ故に、飛行機への渇望がとにかく凄い。将来の夢はパイロット。野球部への入部理由は、航空力学を野球を通じて理解しようとした為。尚、先輩という言葉の通り、1年後輩である。


※この3名はいずれも『パワプロ』アプリにおける企画や公募で生まれたキャラクターである。故に、具体的な出身校の概念がないので、千将高校の生徒として出演させていただきます。



「? どうかしましたか? 急にロッカーを強く閉めるなんて、先輩らしくありませんね?」
「そうか? 自分のロッカーを開けっ放しにしているキャプテンなんて、後輩達の指標にならないのではと思っただけなんだがな」
「それなら同時に、自分のロッカーをぞんざいに扱うキャプテンだって後輩の指標にはならない筈だよねぃ☆ 何か見られたくないものをロッカーに隠したんじゃないかなぁ♪」
「なっ、まさかそのような汚らわしいものを!? ゆ、許さぬ!」
「おい待て! 幾らなんでもそれは誤解だろうが!!」



傍から見れば変な行動をしてたのは確かだが、それでもあらぬ疑いをかけられるのは九瓏としても勘弁してほしい所だった。

説得を試みようとしたのだが、雷那同様、流石に1vs3では温厚な手段しか取れない場合は勝ち目がなく、割とあっさり秘密が破られる事となった。


「では、大人しく白状してもらうぞ」
「それじゃあ九瓏クンのロッカーをオープン☆ ……ほぅ?」
「ど、どうなってるんですかコレ……? なんか異界のゲートみたいになってませんか!?」



……いや、全くもってその通りなのである。

C-Refは地域規模から世界規模まで、ありとあらゆる空間を繋げる為の中継世界。よって、バリバリの異界である。そういった著者の解釈の都合上、扉がゲートみたいな事態になっているのは必然であった。



「ハァ……ったく。まぁ、元々お前らを招待する気でいたから、今更何も隠す理由はねぇか」
「く、九瓏殿…… その扉は一体……?」
「あぁ、これか。只のワープホールとでも思ってくれて構わない」
「そ、その扉から変なモノが出てきたり、なんてしない……よね?」
「いや、流石にねぇとは思うが…… あそこまだ何も無いだろ……?」
「あの、さっき私達を招待する気だとか言ってませんでしたか……?」


「ん? あぁ。ソレは本当だ。時間が惜しいんで、今日の練習が終わったらお前らには顔出してもらうぞ。何なら、コレに初のキャプテン命令使ったって構わないな」

「「「 」」」


キャプテンに捕まってしまったが最後。3人はこの運命から逃れられなくなった……



────────────────────



3校それぞれで奇妙な話を聞かされることとなった昼休み。それから時が流れ、いよいよ問題の放課後の時間となった。


……え? 阪奈の世界だけ何も動いていないって?

だって彼女の世界には学校という概念が無いじゃないですか。そんな都合よく招待タイミングが被る筈がないのです。

※ここで次回のネタバレを先にさせていただくと、次回は阪奈の世界が舞台になります。下手したら前後編とかに分かれそうな軽い長編ものなので、それで許してください。



約束通り、迅は軽音同好会の部室の隣部屋前に、雷那は再び生徒会室に集まっていた。九瓏は野球の練習に行ったので、彼らを連行するのは暫し後になってからのようだ。


迅の周囲には、流石に動向が気になったのかなる、凪、白奈のイロドリ2年組が。雷那の周囲には当然ながら奏坂生徒会組が居座っていた。……尚、C-Refに誰が居るのか分かったものではないからか、有栖は現在着ぐるみ状態になっていた。

彼女達が見守る中、2人は手続きを済ませる。

著者から届いたメールにあったリンクを踏み、準備完了の報せと共に、該当の扉にそっと触れた。


「ど、どど、どうなってるんですか!?」
「本当に扉が光りやがっただと!?」
「そんな……信じられません……!!」


触れた瞬間、扉が白く光り出した。あまりにも現実離れしたこの光景に、全員揃ってSANチェックでもしたかのような感覚だったが、白い輝きは案外早く治まった。


「まぁ、あんな反応があったから成功したとは思うんだけど……」

「念の為、例の世界と繋がったかどうか、一度確認しに行ってくるわ」


世界が本当に繋がったかを確認する為、迅と雷那はメンバーを一旦その場に残し、1人先にC-Refを訪れた。
……尚、ここまでの両者の時の流れはほぼ同時だったと話しておこう。……ん? ってことはつまり……?





\ガチャ/ ×2

「「う"わ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!?!?」」


真っ白で何も無い空間に、男女の悲鳴が木霊した。




「……で、何? アンタもたまたま今世界を繋げたってわけ?」
「えぇ全くもってその通りですよコンチクショウ」
「ふーん。じゃ、早速アタシは招待させてもらうわ。そっちはどうするの?」
「こちらももう送り込む。偶然なのか何なのか、招待した人達がどうにも「奏坂学園」を知ってるらしくてな」
「えっ、うちの母校知ってんの? なら誰かしらと縁があるかもね」


最低限の話を終えて確認も済んだ所で、両者は一度それぞれの学校に戻る。そして、確認が済んだ旨を伝えた後、皆を連れてC-Refに再びログインした。





茜「わーっはっはっは! これより、この領域は逢坂茜様が支配するぞ! ……にしては、随分と無機質すぎる空間ではないか?」
なる「す、すっげぇ…… 本当に異空間に辿り着きやがった……!」
白奈「私、こんな経験初めてで…… あわわ、緊張してきた……」
有栖「ほぉ…… 確かに何も無い空間じゃが、これからの可能性に満ち溢れている。そんな気がするぞ……」
楓「……おや? そちらの方は……」
凪「あっ、その制服…… もしかして奏坂学園の方ですか?」


まだ見ぬ交流の異世界、C-Ref。
今、この場に多数の人間が招待される事となった。


楓「はい。確かに私達は、奏坂学園の一生徒でしたが……」
凪「……!やっぱり! 初めまして。舞ヶ原音楽大学附属舞ヶ原高校2年、小仏凪です。先日、イロドリミトリという1バンドとしてそちらの学校にお邪魔させて頂いた事がありまして……」
楓「あぁ、以前の学園祭のイベントで招待させて頂いた事がありましたね。会長、こちらにイロドリミドリの皆様もいらっしゃるようです」

茜「何っ、イロドリミドリの諸君だと! 彼女らもこの地に招かれたというのか…… くくくっ、なんという僥倖! よくぞやって来てくれたな! ……む、という事は貴様、さては舞ヶ原の!?」
なる「ん? うおぉ!? なんで「奏坂の赤き天災」がここに!? はっ!さてはこの「舞ヶ原のベース侍」に用があって来たってのか!?」

白奈「あっはは……; 皆揃って既に盛り上がってるなぁ…… ……(チラッ」
有栖「……む? 我が気になるか? 月鈴白奈よ」
白奈「ふぇぇぇ!? どうして私の名を知ってるんですか!? はっ!もしかしてあなたがこの世界を作った人だったり……!?」
有栖「いや。我もこの空間には初めて来た。そなた達イロドリミドリは、奏坂学園でイベントに参加していた筈じゃ」
白奈「ええっ! じゃああなたは、奏坂学園の人でしたか!」



「……思ったより、直ぐに打ち解けたな」
「ね。まさかこんなに早く地域間の交流が好転するとは」
「世間って案外狭いのかもな」
「ふふっ、かもしれないわね」


一時はどうなるのかと思われたC-Refへの招待加入だったが、一度通してしまえば割となんとでもなるものだったのかもしれない。

集う3校。彩り、音撃、甲子園。 ( No.21 )
日時: 2024/01/24 13:53
名前: HAL (ID: J0KoWDkF)

さて、あれから1時間程の時間が経過した。

すっかり意気投合してしまったイロドリミドリ2年組とR.B.P.の一同は、前者は好奇心やワクワクの思いから、後者は契約に則る形で、知人達を次々とC-Refに招待していった。

その結果、C-Refがどのような事になったのか。その一部始終を見せる事にしよう。





「お空のてっぺん目指してゴー! 輝けきらきらみっつ星!」
「勝利のはっぴっぴーす! いぇい!」
「ふぅ…… 対戦ありがとうございました」
「うぅ…… また負けちゃった……;」
「いやぁ~やっぱり強いねぇASTERISM。ちゃんと場数を踏んでシューターフェスを勝ち上がっただけあるわ」
「にゃふふふふ♪ まさかまだ見ぬ可愛いフルーツを求める事が出来るなんて……! っとと、今はオンゲキに集中だったね」
「両者のオンゲキ、凄く参考にさせてもらいました!」
「ねぇねぇ! 次は千夏達とオンゲキしよーっ!」


まずはオンゲキブース。
3日前に雷那が使用していた仮想戦闘空間の横に、いよいよ実践用のオンゲキブースが設置されたのだ。早速その場を使ってオンゲキに明け暮れてる者達がいた。会話の上から順に自己紹介させてもらう。

いつでも明るく楽しいオンゲキがモットー、星咲ほしさき あかり。
天真爛漫でみんなHAPPYが信条、藤沢ふじさわ 柚子ゆず
一見クールだけど実際は幾分かポンコツ、三角みすみ あおい
包容力の具現化、ついたあだ名はママ、桜井さくらい 春菜はるな
みんなの頼りになるイケイケギャル、早乙女さおとめ 彩華あやか
本人も可愛いのに趣味は可愛い女の子探し、柏木かしわぎ 美亜みあ
目指せ!立派な大人な女性! 東雲しののめ つむぎ。
狙った相手に突撃☆ミサイル、日向ひなた 千夏ちなつ

以上8名がこの場に居座っていた。
ちなみにチームの詳細を話しておくと、あかり、柚子、葵の3人が「ASTERISM(アステリズム)」。春菜と彩華の2人が「bitter flavor(ビターフレーバー)」。美亜、つむぎ、千夏の3人が「マーチングポケッツ」というユニットでオンゲキをしている。改めて言うが、雷那のように1人でオンゲキしている方が珍しいのである。
ちなみに学年区分は、ASTERISMの3人と春菜が高校2年、彩華は高校3年、マチポケの3人に至っては奏坂学園中等部、ようは中学2年である。よくこのメンバーに馴染んでるな本当。





「さぁ!この一撃で沈めてあげるわ!\ザンネンダッタナ!/\ズドーン!!/ なっ、嘘ッ……!?」
「あ~あ。だからヒメにはク〇ムお勧めしないって言ったのに。じゃっ、次は莉玖と交代ね~」
「よっしゃあ! オレの〇オ〇エンがようやく火を吹くぜ!がおー!」
「ぐぬぬ……! 分かってはいたけど、小星の〇ボットの戦法が嫌らしいことこの上ないわね……! こうなったら、ひゃっ!? 椿、アタシのゼ〇スーツ〇ムス吸い込まないでよ!」
「私だってまともな対抗手段が欲しかったんだもの。それに、ス〇ブラというのは蹴落とし合いでしょう?」


場面は変わって、こちらは談話室。
取り敢えず大人数が集っても大丈夫なように、急務で建てられた施設の1つである。現在ここでは、5人の少女が大乱〇ス〇ッシュブ〇〇ーズを楽しんでいた。伏字が仕事してないのは今に始まった事ではないのでスルーさせていただく。

騎士っぽいという理由でク〇ムを使ったはいいものの、あるある過ぎる天空自殺で早々に退場してしまった姫騎士、柏木かしわぎ 咲姫さき
〇ボットで相手に着実にダメージを与えるぐーたらゲーマー、井之原いのはら 小星こぼし
相棒〇オ〇エンと一緒に暴れる時を待つがおー系ギター少女、結城ゆうき 莉玖りく
ゼ〇スーツ〇ムスで敵を追い詰めようとする自称:超絶最強美少女、高瀬たかせ 梨緒りお
ピンクの悪魔で足を引っ張るのが生きがいのひねくれ系少女、藍原あいはら 椿つばき

以上5名で回しプレイをしていた。
咲姫と小星で「7EVENDAYS⇔HOLIDAYS(セブンデイズホリデイズ)」。莉玖と梨緒と椿で「⊿TRiEDGE(トライエッジ)」というユニットを組んでいる。
学年は咲姫が高校3年、梨緒が高校2年、他3名が高校1年である。





「いやー、まさか先輩達からの呼びかけを受けたと思ったらこんな空間に来られるとは! あたし夢見てるッスか!?」
「ボクは夢であってほしかったんだけどね……」
「ま、まぁまぁ; スタジオも用意されてたんですし、練習しましょう?」
「そうですよ! 細かい事はイロドリミドリでやってくれるって話だったじゃないですか!」


再び場面転換。今度はスタジオである。
舞ヶ原高校から招待するのであればスタジオやステージ辺りは必須になると思われたので、急遽作成されたものである。では早速メンバーの紹介に移ろう。

元気ハツラツ、体育会系ギタリスト、五十嵐いがらし 撫子なでしこ
かつて舞ヶ原に取り残された者、萩原はぎわら 七々瀬ななせ
バンドのまとめ役である自称ふつうの女の子、小野おの 美苗みなえ
バンドに真摯なツンデレ生徒会役員、葛城かつらぎ はな

以上4名で「HaNaMiNa(ハナミナ)」というバンドを結成している。メンバー全員の名前の頭文字が由来である。勿論今からやろうとしてるのも、バンドの練習だ。
七々瀬以外の3人が高校1年で、七々瀬のみが高校3年生……なのだが、実態はもう少し違う。実は七々瀬は1年留年しており、実際の年齢はさらにもう1つ上である。





「はいはい! 折角調理室があるなら、飲食スペースも欲しいな!」
「ちょっと芹菜、確かにその施設もあれば快適ではあるけど、もっと他に提案すべき場所とかあるんじゃないの? どう、なずなからは何か提案あるかしら?」
「うーん…… いきなり要望を出そうと思っても、やっぱりすぐには出てこないや;」


最後は会議室。
元々はオリエンテーションで使用する気でいたのだが、最終的にラジオ形式で事を進めてしまったから、まともに活用されたのは今回が初である。

現在ここでは、今後のC-Ref運営、発展の為に、自分達が要望する施設などの提案が行われていた。最初に招待されていた6名以外にもこの場に居合わせる人達がいたので紹介しておこう。

カレー好きなイロドリミドリの原点、明坂あけさか 芹菜せりな
イロドリミドリの頼れるバンマス、御形おがた アリシアナ。
作詞担当のゆるふわおっとり先輩、天王州てんのうず なずな。

彼女達は前々から紹介していたイロドリミドリの3年生組。つまり迅達より1個上である。

つまり、ここで作戦会議を練っていたのは、イロドリミドリメンバーとR.B.P.であった。

実際にどれ位の案が通るかも分からなかったので、現実的な案から無茶苦茶な案まで、取り敢えず思いついたものをガンガン提示していく事となった。……それらの提案をしたのは大体、舞ヶ原のベース侍と奏坂の赤き天災だった事も追記しておく。



──それから気づけば、もう放課してから数時間が過ぎていた。この世界には空が無いものの、時間の流れは共有している。
もうだいぶ夜も更けてきたので、マチポケの面々など一部メンバーは早々に帰還していた。のだが……?
















九瓏「かーっ、練習疲れた…… 本当に悪ぃな、こんな所連れ出しちまってよ」
拳一「ほんとだよ! 鞘花ちゃん達が急に変な事言い出したから着いてってみれば……ってなんだココ!?」
政秀「馬鹿な……ありえん! 九瓏のロッカーが異世界に通じているなど……SF映画か何かなのか!?」
大心「いやぁ凄いな! これらが全て現実だというのだから面白い! 一生ものの思い出だろうな!」
仏原「ドゥフフフw あちらにもこちらにも可愛い子が大勢……! 眼福でありますが、流石に拙僧も普段の言動を抑えるべきでありますかな……?」
黒沼「お前は普段からもっと口を慎め。……だが、成程。確かに見渡す限り白い世界だな。通りで九瓏が直ぐには呼ぼうとしなかった筈だ」
曜「でも、幾つかの施設はあるみたいですね…… 利用しても良いんでしょうか……?」
柳生「あぁ。九瓏殿の話が合ってるならば、招待された私達も使用許可がおりてるそうだ」
石触「あんな奇妙な体験をしたと思ったら、これほど愉快な世界に来れるだなんてぃ…… ボクもかなり興奮しているよぉ☆」
蒼鳥「でも、この世界には空がないですね…… 閉鎖空間みたいなものだから飛行機の需要が無いと言われればそうなのですが……納得行きません!!」


「おっ、九瓏じゃないですか。そちらもようやく招待出来たんです?」
「うっわ。野球部員だって言ってたから予想はしてたけど、見事に男まみれね; しかも泥だらけのユニフォームって事は……さっきまで練習してた?」
「当たり前だろ。もう秋の県大会目前なんだぞ。この大会で高校野球の試合に初参戦のメンバーだっているんだ。相応にしごかないと他チームの威圧に負けちまう」



ここに来て、九瓏達「千将高校野球部の主要メンバー」がC-Refに集結した。本気で野球やってる皆さんをよく招待しようと思ったなお前。



茜「む、何だ? 新しい客人でも来たk……ってうぉわ!? 急に場がむさ苦しくなったぞ!?」
あーりん「もう、何よ! 今議題をまとめてたところで……あら、新しい人も来てたのね。えーと、その…… ……地方球場とそれに付随するコインランドリー、その他諸々も要望に入れた方がいいわね;」





かくして、今回の物語を経てC-Refには、舞ヶ原高校から10名、奏坂学園から16名、千将高校から9名、総勢35名の新規メンバーが集結した。

彼ら、彼女らによる、大暴走確定のハチャメチャ日常群像劇は、今本格的に始まりを告げたのであった。



───────────────────


はい。ここまでが勧誘編になります。

本作を1から書き直すにあたり、今どれくらい埋もれてるんだ?と確認した所ですね、23という数字が見えました。前回更新が8ヶ月前くらいなんで、まぁそんな所でしょう。……いや、やっぱ過疎ったかも。


今回のジャンル選出は私の趣味に完全に走り込んだ結果、現状判明してる内の3分の2が間違いなく『カキコ初登場ジャンル』です。(大問題発言)
系統としてはひなビタやポップンが1番近いと言えるでしょう。

イロドリミドリはSEGAの音楽ゲーム、CHUNITHM発祥のガールズバンド企画です。BEMANIのひなビタ、SEGAのイロドリミドリと称しても問題ないでしょう。
オンゲキはもはやSEGAの音楽ゲームそのものです。ポップンに近しいイメージで大丈夫です。雰囲気はラブライブ!やアイマスっぽいかもですが。

唯一の既存ジャンルがパワプロなのですが、千将高校を舞台にしたアホは間違いなく私だけでしょう()
現状は半数以上がオリキャラ、一部はちゃんとしたキャラなのですが、公募が初登場だったりと明確な出番を貰いづらいキャラにスポットを当てさせてもらいました。
今後の九瓏の物語は、前回ラストに話した中学時代の同級生と一緒にどうやって甲子園の舞台を目指すかという話になります。かつての同級生がどの高校に行ってサクセスストーリーを展開しているか。文章中にもヒントは散りばめておいたので、是非とも予想してもらえると嬉しいです。


さて。それでは次回は文中に話したように、阪奈の世界が話の中心になります。彼女の世界がどんな世界か……まではバレてそうなものですが、どういった物語を展開していくのか、楽しみにしてもらえると嬉しいです。…………禁断の『アレ』をやります。
同時に、かつて流行ったあの「システム」を私が始めるかもしれません。やってもらいたい依頼を用意するといいかも?

……まぁ、その前に原神小説を一度更新すると思いますが。


さてさて、あとがきまでもがだいぶ長くなってしまいましたが、それでは今回はこの辺で!

感想をどうぞ!!


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