二次創作小説(新・総合)
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- 未だにカオスなのかもしれない非日常
- 日時: 2024/09/24 21:29
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
皆さん、初めまして。HALと申します。
過去3度も挫折をしたにも関わらず、やっぱりどうしても小説という形にしたかった物語を書きたくなった為に、この度4度目の執筆再開をさせてもらいました。今まではカオスな日常をテーマにしてきたのですが、今回とうとう”非日常”なんてワードを堂々と書き出すようになってしまいましたが……まぁ、おおらかな目で見て頂けますと幸いです。
〔 目 次 〕
プロローグ >>1-6
オリエンテーション to ラジオ >>9-17
集う3高校。彩り、音撃、甲子園 >>18-21
誕生日記念 ~HALの回顧録~ >>34-37
舞ヶ原と奏坂と「自分達」の将来想起 >>47-49
裸族講座 (前編) >>53-57 (後編) >>60-68
【阪奈編】
首領首領大乱闘 >>22-33
【九瓏編】
愛をと○もどせ!告白選手権 ~VS天空中央高校~ >>38-43
九瓏とその好敵手達の秋 >>71
【自己紹介】
阪奈、九瓏、迅、雷那 >>50
イロドリミドリ >>69
HaNaMiNa、舞ヶ原シンセ研究所 >>70
─ 注意事項 ─
・この小説ではクロスオーバーが発生します。
・この小説では、独自解釈によるキャラ設定(キャラ崩壊率???%)が幾つか施されていますので、どうかご了承ください。また”設定変更の可能性”もございます。なんなら既に実行してます(大問題発言)
・圧倒的文章量(の少なさ)、徹底的誤字数(の多さ)
・キャラ貸し出しも可能としておりました。その際はコメント欄にて許諾をお願い致します。
・荒らし相手にはそれ相応の処置をしますのでそのつもりで。
・3度も挫折してるという事実からも察せられるように、更新頻度は壊滅的に遅いです。またしても挫折する可能性もありますし、更新できたとしても数ヶ月かかる事も予測されますので、よほど暇がある方のみが読まれることを推奨致します。
・これは人によって制限されていない様なのですが、こちらの小説ではマナーを守った投稿をお願い致します。
─ 登場ジャンル ─
モンハン、パワプロ、イロドリミドリ、オンゲキ、オリキャラ
── ようこそ、C-Refへ ──
- オリエンテーション to ラジオ(前編) ( No.12 )
- 日時: 2023/06/19 14:59
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
「いやはや、こんな無茶ぶりに応えてくださり本当にありがとうございます……! さて、それでは次に芳賀九瓏君に自己紹介をお願いしたいのですが……九瓏君、大丈夫でしたか?」
「…………? にゃ……っ!? じゃなかったじゃなかった!! えぇと、俺が次の自己紹介だな!? さっさと済ませよう、な!?」
((無理に話進めようとしてるな、コレ;))
(………………?) ←よく分かっていない
さて、次の自己紹介は九瓏だったのだが……さては先程の海雪のトラベルナにまだ引っ張られてるな……?
※ここで先程説明し忘れてたのですが、何故九瓏がにゃんにゃん♪となってしまったのかというのは……実際にトラベルナを聴いてみてください。そして可愛さに癒されてみてください。それで全てが分かります。
「……ウウン。えーっと……どうも、初めまして。芳賀九瓏という。千将高校2年、現在は野球部の主将を務めている。ポジションは二塁手。どうぞ宜しく」
ここまで自分の紹介して、一旦呼吸を整える。そして自分の住む地域についての話に移る……のだが。
「この際ハッキリ言ってしまうと、地域については特に思い当たる話もない。なので、千将高校についての話をしようと思う。とはいえ、正直母校についても、歴史が長い高校であるという話以外は大した情報もないがな。強いていうなら野球部が多少実績を残してるって位だろう。今年の夏にも甲子園大会に出場したしな」
「えっ、甲子園出てたんです!? それ結構凄いことでは……?」
「まぁアタシも、名前くらいなら聞いた事はあるかな」
「? こーしえんって何? やきゅうの何かなの?」
流石に同じ地球、日本で生活してる迅と雷那は野球をご存知だった模様。特に同じ男同士である迅は、甲子園出場の凄さなども分かってくれている辺り、九瓏の心労が一気にどっと軽くなったのは間違いない。
「まぁ大方その通りだ。俺達のように学校に通ってる学生達の中で、最も強い野球部を決める大会が甲子園大会だからな」
「へぇー。もしかして、その甲子園大会に参加するまでにも、何度も相手と戦わなきゃいけないの?」
「正しくその通りだ。そうやって各県の代表になる事で、初めて甲子園大会への出場校になれる。甲子園大会は、そんな各県の代表達の中で頂点を決める戦いだからな」
「甲子園ってのも大変なんだね。じゃあさ、今度はその野球ってのを教えてよ!!」
自分達の世界の風習はどれも新鮮なものらしく、阪奈は続いて野球にも興味を示した。
皆の積極的な反応、質問を受け、九瓏は内心嬉しく思っていた。しかしこの本質的な質問、実は結構難しいもので……
「……参ったな。これは野球に限らずどのスポーツでもそうなんだが、スポーツの説明やルール解説ってのはとにかく複雑で、パパッと教えられるものじゃねぇんだよな……; どうしたもんか……」
野球を口頭で説明することの難しさをよく知っている九瓏としては、このラジオ放送という場でどう話せばいいのか悩んでいた。そして彼の頭の中には未だに阪奈の歌声が残っており、あの衝撃と感動が九瓏の思考力を多少ながらに奪っていた。(オイ)
……しかしその歌声が、九瓏にまさかの機転をもたらした。
「……ん?待てよ? すまない管理人、俺のスマホに入ってる音源をラジオなんかで流しても問題なかったか?」
「? 特段問題はありませんよ? 結局小説上の異世界でのラジオ放送ですからね、著作権もへったくれもありませんから」
「それを貴方が言ってはお終いでは???」
九瓏からの要請により、スマホに入ってる音楽を広範囲に流す準備が進められた。一体これを使ってどうやって野球の説明をしようというのだろうか……
そんな事を考えていると、早速九瓏が音楽をかけたようだ。何やらカッコ良さそうなギター曲かに思われるが……?
野球!
……野球!!
…………や"き"ゅ"う"!!!
………………ヤッキューーン!!!!
BGM:野 球 の 遊 び 方 そ し て そ の 歴 史 ~ 決 定 版 ~
(訳)
野球とは2つのチームが攻撃と守備を交互に繰り返して勝敗を競いあうゲームである。
相手のチームより多くの得点を記録して、勝つことを目的としているのだ!
狙えホームラン! そこだストライク!
プレイボール!
~~~~~~
一回に表と裏があり
互いにせめぎあう
それを繰り返すこと9回の後
Oh デッド or アライブ
BASS BALL!
攻撃側はバットをプンプンプン!
守備側はボールをギャーン!
あとはお前次第
インターネットで調べてくれ
(インターネットで「野球のルール」と検索してみよう)
~~~~~~
な ん と い う こ と で し ょ う
九瓏はあろうことか、自分のスマホにて取得した野球関連の楽曲を以て野球の紹介としようとしたのである。(爆弾投下)
しかも余計に笑いを誘っているのは、そもそもこの楽曲自体である。
本曲は、BEMANI系列でかつて行われた過去イベント『熱闘!BEMANIスタジアム』初出の曲であり、作曲者は熱烈なファンも多いことで有名なあさき氏である。名前の長さやそれっぽさからお米タルこと『お米の美味しい炊き方、そしてお米を食べることによるその効果。』に似ているように思われるが、この曲も例に漏れずネタ曲なのである。(地雷設置)
あさき氏のネタ曲特有の急に変わる声質を始めとして、スターティングメンバーが全員あさき氏、サビから野球のテレビ中継で観戦する一般家庭の歌になっている、挙句の果てには野球の説明をする筈が途中で放り投げてしまい、後の説明をインターネットに任せてしまうという暴挙っぷりである。(爆発融合)
マジでなんで、というかよくこの曲を選んだな九瓏。カキコ界じゃお米タル以外のあさき曲が話題になったの、あまり見たことなかったからな……;
ちなみに、九瓏の必死の説明(熱唱)ぶりに他の人達の反応はというと……
『……うん。一先ず、九瓏が歌上手いってことはよく分かったかな』
「出てくる感想それかよ!? まぁありがとな!」
──────────────────
「いやぁ、皆さんの息がどんどん合うようになっており、私としても非常に喜ばしい限りです。それでは3番手は、緋桐迅君にお願いしても宜しいでしょうか?」
「おっ、俺が先ですか。分かりました。手短になってしまいますが、ご容赦願います」
九瓏も結果としては随分と濃い自己紹介になってしまった訳だが、はたして迅はどうなるのだろうか?
「という訳で、皆さん改めて初めまして。舞ヶ原音楽大学附属舞ヶ原高等学校2年、緋桐迅といいます。音楽大附属高校ってところから分かると思うんですが、音楽が特に好きです。宜しくお願いします」
ここまでは読者諸君もお分かりの通りの自己紹介。そしてここからは自分の住む地域についての自己紹介……だったのだが。
「そう、ですね。私も自分の住む地域にこれといった特徴が無かったので、母校についてのお話させてもらってもいいですか?」
「はいはい! さっきの九瓏の話にも学校ってあったけど! 私、学校っていうのよく知らないから、もっと詳しく教えてほしい!」
「アタシも異議なし。正直、迅の住んでる学校ってのには、ちょっとアタシも興味あったからさ」
「阪奈はまだしも、雷那も積極的なのか。意外だな…… 俺も構わない。学校の話を振ったのはそもそも俺だしな」
「皆さん、本当に有り難うございます……!」
取り扱うジャンルを大きく変更した事に伴い、メンバーの住む地域の大きな違いというのがすっかり無くなってしまった為、もういっそ母校の特徴や歴史について語ることとなった。
「さて。改めまして母校についての話をする前に、まずは阪奈の為にも学校というものについて話しておきますか」
「端的に言うならば、学校とは『学ぶ場所』ですね。主に数学などの計算や歴史を知ること、自然現象の理解だったり他の国の言語を理解する事などが当てはまりますかね」
「私達は生徒という立場でこれらの事項を学びます。それは同時に、私達生徒にこれらの知識を教える人物がいなくては成り立ちません。そのような人達を「先生」と呼びます」
まずは、学校という存在もよく分かってないであろう阪奈の為に、学校についての簡単な説明を始めた。
そのあまりにも滑らかな説明に、むしろお前が先生なんじゃないかとツッコみたくなったのを、雷那は抑えた。逆に九瓏は、既に眠たそうにしていた。
「はいはい! 何個か質問があるんだけど聞いていいかな!?」
「えぇ。自分の分かる範囲でなら答えますよ」
簡単な情報だけでも、既に阪奈にとっては新鮮な事だった。早速幾つか気になった事があるらしく、迅に食いつくように質問を始めた。
「えっと、じゃあまず最初に。先生って、それらの知識を全部知ってるの? 私の世界には学校っていうのは無かったんだけど、戦い方とかを教えてくれる「教官」がいたんだ! どんな武器でも丁寧に使い方を教えてくれる凄い人だったんだ!」
「えっ、戦い方……? ……っと、そうじゃなかったですね。先生はなんでも知ってるのかと言われると、実際はそうでもないですね。そもそも、年や教科に応じて理解力に違いがあるので、1つの学校に何人もの先生がいるし、学校に応じて教えてくれる内容そのものも変わったりしますね」
「へぇー。じゃあ次の質問いくね。学校って学ぶこと以外にも何か出来たりしないの?」
「全然ありますよ。ただ話を聞いてるだけじゃつまらなくて頭にも入らないから、身体を動かす時間や休憩時間があります。また、学校には結構長居するので食事の時間がありますし、私達は学校を使わせてもらってる立場なので掃除の時間もあります。他にも、特定の運動や活動を精力的に行いたいが為に『部活動』に勤しんでる人もいます。九瓏の野球部などがこれに当てはまりますね」
阪奈は学校についてまだまだ聞きたいことがあったようだが、自分の学校の『特色』を伝えるには今話を区切るのが丁度いいと判断した迅によって、一旦遮られる形となった。
- オリエンテーション to ラジオ(前編) ( No.13 )
- 日時: 2023/06/19 21:46
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
「さて。ここまでが学校についての基礎的な話だった訳ですが、ここからが私の母校「舞ヶ原高校」の特徴に纏わる話です」
「私の通う学校は音楽大附属高ですからね、音楽関係のイベントが多く開催されているという特徴があります。──各種行事で優秀な成績を修めた人達には謎の評価点が入る、なんて噂が立つくらいにはね」
音楽関連の行事がある、という部分までは確かに納得がいく話だ。しかし、校風故に生まれてしまった七不思議じみた噂についてまでは流石に予想外だったようで、九瓏と雷那も呆気に取られていた。
「まぁ私はそのような話は信じてなかったので、行事に参加した事は一度もなかったんですけどね。……ただ、もし自分がイベントに参加していたら流していたであろう自作の楽曲とかはあるんですよ」
「なんなら、今この場に……ね」
意味深げな笑顔をしながら発した迅の言葉に、阪奈は目を輝かせて興奮し、著者は自らパフォーマンスを志願してきた迅の覚悟の強さを前に冷や汗を垂らしていた。
「ねぇ、迅。アンタが良ければなんだけどさ…… その企画、アタシも交ぜてくれない?」
瞬間、C-Refの時が止まったかのように思えた。
────この女、今何て言った?
あまりにも突拍子のない話が持ちかけられたからか、場にいた全員の開いた口が塞がらなかった。
「……別に構いませんよ。私のライブに参加したいと話すという事は……貴女の地域にもあるんでしょう? 音楽をベースとする「何か」が」
「えぇ。お察しの通りよ」
あまりにも高次元なやり取りを前に、著者を以てしても進行役を放棄せざるをえなかった。
しかし、当の本人らはそんなのお構い無し。合同企画を提示するからには、そちらの身の上についても語ってもらわねばとばかりに、流れるように雷那の自己紹介へと移ることとなった。
「……という事で。急遽そのまま、アタシの事についても自己紹介させてもらうわ。アタシは夕立雷那。奏坂学園高等部の2年生。あっ、そうそう。奏坂は女子校なんだよね。これ話しとかないと、後で厄介なことになりそうだし」
淡々と基礎的な部分の自己紹介を進めていく雷那。
……ん? 今ちょっと重要な話したな?
そう。実は奏坂学園は女子校(公式)である。
一方、舞ヶ原高校の方は……本作では共学の設定で行かせてもらう。アニメ化した時にモブすら女子しか居なかったので女子校説もあるらしいが、公式からの言及は現状まだ無いし、過去作や過去の言動から鑑みて著者はどういう展開が好みなのかをご理解頂きたい。
あっ、千将高校は当然ながら共学です。
「で、ここからが地域の特色なんだけど。アタシの地域じゃ『オンゲキ』ってのが人気なの。アンタ達は聞いた事ってあった?」
「私はまぁ分からないとして」
「俺も知らねぇな」
「俺も初めて聞きました。それが音楽とどう関係が……?」
「オンゲキってのは、スポーツと音楽を融合させた次世代型競技と言われてるわ。まっ、アタシから言わせてみれば最新式の 「弾幕音ゲー」 ……ってとこかしら」
弾幕音ゲーという単語に一同は分かるような分からないような複雑な表情をしていた。まぁ読者の皆さんにより分かりやすく話すとするなら、東方やりながらポップンやSB69をプレーするようなものだと思ってください。何ゲーですかねこれ。
「結局、言葉で説明するよりも実際に見てもらった方が早いのよね。そこで、管理人にお願いしたい事があるんだけど……」
「より本格的なステージの設営、でしょう? 準備はしてありましたよ。今回は自主練習用の模擬テスト形式で良かったですか?」
「へぇ、そこまで把握してくれてたとは。流石に世界の管理人名乗るだけはあるって訳ね」
こうした状況になる事を既に見透かされていたのか、事前にオンゲキ用の仮設バトルステージが奥の部屋に作っていたのだという。改めて著者のやりたい放題ぶりというかご都合主義を感じてしまうが、それは一度置いとく事にしよう。
雷那は1度、オンゲキ専用の衣装に着替える為に先に現場に向かうと言って部屋を出てしまった。
「って事は、あれですか? 雷那は「俺が作曲した曲」を使ってオンゲキの模擬プレーをしたいと?」
「まぁそうなるよな。……やっぱり不都合とかあるのか?」
「とんでもない! むしろ俺の作る曲は普通の「歌」じゃありませんからね。音ゲー形式で聴くとなると、もしかしたら更なる衝撃になるかも」
「そうか? なら俺も期待するぞ。初見の曲で作られる「弾幕音ゲー」ってのは結構ハードル高い筈だから、雷那の腕前を見るにも良い機会だろ。そういや弾幕やノーツはどうする気でいたんだ?」
「そこはご心配なく。今AIに彼の音楽データを読み込ませておりまして、そのデータを基に譜面をザッと作ってもらってました。後で私が所々修正すれば十分な試作になるでしょう」
「何にせよ楽しみだね!!」
雷那が部屋を出てから10分。準備が出来たとの事なので、早速一同はバトルステージに移行した。
眼前には電子的なバトルフィールド。奥側の方から各種ノーツが流れてくるのだろうというのが理解出来る。その両斜め上部の方には何かを撃ち出す機械のようなものもあり、これが弾幕を生成するものだというのは分かりやすかった。
そんなフィールド上のど真ん中に雷那は立っていた。のだが…………
「ん。待たせたわね。早速始めよっか」
「お、思ってたより、本格的な装備なんだね……;」
「正直サバゲー装備は予想してなかったわ;」
オンゲキ専用の衣装「シュータードレス」。
彼女が身にまとっていたものは、黄色地に茶色や黒が織り交ざった、隠れる気0の迷彩柄防護服であった。おまけに真っ黒な防弾チョッキも上に着込んでおり、場所が場所ならサバゲーでもしに来たんじゃないかというツッコミっぷりである。しいて擁護出来る点があるとするなら、首元にサバゲーと一切関係の無いDJ要素のヘッドホンを掛けている位だろう。分かりづらいわ。
「いや。アタシも最初は勘違いしててさ。弾幕避ける音ゲーって聞いてサバゲーみたいな重装備の方が良いのかな?って思ってこの衣装にしちゃったのよ。他の皆は大体アタシより軽装だから」
「はぇー。お、反対側にDJブースがあるって事は、俺は向こうで音鳴らせば良かったです?」
「Yes. それでは両名、どうぞ宜しくお願いします」
準備を終えた雷那が合図を送ると同時。迅がたった1曲の為のライブを始めた。
今回彼が選んだ曲は、先週書き上げたばかりの新曲だった。ジャンルはハードスタイル。著者が適当に作ったコードの曲よりも少しBPMが遅く、大体158。
元々のメロディは仕上がっていたのだが、ハードスタイルの代名詞であるキックがどうにも弱く、世に出すには惜しかったそう。そこに"C-Ref"の衝撃を上手いこと組み合わせた結果生まれたのが本曲だった。
雷那の方も、完全初見の楽曲及び譜面だというのに、涼しい顔でノーツを撃ち抜いていった。
降り注ぐ弾幕を軽快なステップで躱しながら、中速故に高密度と化したノーツの数々を丁寧に撃ち抜く。道中で降ってくる黄色い特殊な弾幕は「BELL」と呼ばれており、こちらは回収する事でスコア上昇やライフ回復に充てられた。
大音量で鳴り響く重低音のリズムに、自然と雷那の瞳が輝きだし、動きの躍動感がより鮮烈になる。
そんな彼女のパフォーマンスに、大衆は、ひいては音楽をかき鳴らしてるDJですら、目を奪われてしまうのであった。
大熱狂に包まれた2分半は、かくしてあっという間に過ぎていった。
「ほんっっっっっとうにすっごくカッコよかったよ! 私もあんな強い音楽に身を任せて、キラッキラに踊りたいって思ったもん!!」
「……正直、両者とも想定以上の出来栄えだった。大した腕だよ、お前ら……!」
「いやぁもう本当、今の自分に出来る精一杯は出せたと思います! サビの部分とか完全に雷那に釘付けになってしまいましたが……」
「ハァ……ハァ…… ……あのさ、迅。まずは一言良い?」
全力を出し切った2人に賞賛の声をいち早く送った阪奈と九瓏。思いの丈を語った迅に対し、雷那は迅に少し話があるようだった。
「…………アンタ、アタシを殺す気???」
「 な ん で さ ! ? 」
「なんでもクソも無いわよ! アタシはね、アンタが曲書いてるって話を前に聞いてはいたけど、どうせ軽快なリズムの曲とかだろうと思ったからこの提案を持ち寄ったのよ! なのに本格的なハードスタイル!? 冗談じゃないわ! デモプレイでここまで本気出したの初めてよ!!」
「わ、悪かった! そこは悪かったって!」
それまでの彼女からは想像もつかないような物凄い剣幕に、思わず迅は身体を後ろに反らしていた。
…………ったく。人の気持ちも知らないで。
アタシが他人の曲でオンゲキするなんて今回が初だったってのに、アレだけ最高にテンションブチ上がる曲なんて用意して。
初めてのDJだからぎこちなかったんだろうけど、目を輝かせて、音にノって、アタシを真っ直ぐ見つめてくれて。
「……本当に殺されそうだっての、バーカ」
……この顔の赤さは、バカみたいに盛り上がった熱気のせいだ。ただそれだけだ。……出来れば、それだけであってほしい。
………………少なくとも、今は。
──かくして、本作主人公4名の少し掘り下げた自己紹介編は幕を降ろした。
だが、まだラジオ放送が終わった訳ではない。まだまだ彼らの事についての深堀りは続くようだった。
「……はい。ここでひとつ区切りに適したタイミングなので、一旦CMを挟みますね。後編は……いつになるのでしょうか?」
──────────────────
次回がオリエンテーションラジオ後編となるのですが、ここで数年前に一時期流行っていた、あのラジオ質問の募集を開始させていただきます。
やり方は非常に簡単! ラジオネーム(以下RNと記載します)と質問内容さえ書いてくださればOKです。勿論RNはコードネームみたいな感じで大丈夫ですよー。
ちなみに隠し情報として……今回のラジオ質問コーナーは主人公4人の深堀りを主な目的としておりますので、それに類した質問だと採用率が上がるかもしれません。
※尚、質問自体はいずれ必ず消化はさせていただきますが、即座に質問に応えれる訳でもなく、一旦選考から外れてしまうケースもございます。くれぐれもご理解の程を宜しくお願い致します。
色々な意味で長々と本当にすみませんでした。
更新当時はモンハンサンブレイク発売当初だったのですが、リメイク時はモンハンサンブレイクの最終DLCが配信されておりましたとさ(爆弾発言)
- オリエンテーション to ラジオ(後編) ( No.14 )
- 日時: 2023/06/19 21:46
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
HAL「さて、長くお待たせ致しました。それでは後半のコーナーへ参りましょう。題して【Question For Four Area】!!」
\ウワァァァァァァァァァァァァァァ!!!!/
CMも明けたので早速後半の企画へと移る著者。流石に前半の自己紹介パートで打ち解けたのか、4人の主人公達もすっかり自然体で臨んでくれていた。
「さて。このコーナーでは、皆さんが疑問に思っていること、気になっていることを直接4人に聞いてみましょう、という訳ですね」
「……要は、ただの質疑応答って事でいいのよね? でも、そんな事今更する意味なんてあるわけ?」
すっかりこちらのムーブに染まってしまった雷那だったが、着眼点の鋭さは生粋のものらしい。著者は少し意表を突かれたような表情をするも、直ぐに戻して話の続きをした。
「……っとと、すみません。もうその質問が出てくるとは思わなかったものですから。ですがこうは思いませんか? ……別に答えが幾つあったっていいじゃないですか」
──質問の答えはメンバーによって変わる。
そんな当たり前の事を言った所で何になるんだと思われるのも無理ない。
だが、それを実際に理解するには……やってみない事には始まらないだろう。故にこの企画が必要なのだと、著者はそう睨んでいた。
「それでは最初の質問に参りましょう。……あぁ、そうだ。言い忘れておりましたが、今回は初回というのもありまして、質問は2つしか届いておりません。沢山の質問に一気に答えなければならないという事はございませんのでご安心ください」
「む、そうだったのか。そいつは気が助かる……」
「はい。ですので、MC練習も兼ねて、ここは緋桐迅に質問文を読んでいただきたいのですが……」
「えっ、あぁ、私ですか? いえ、別に構いませんかども……」
今後のラジオ放送も視野に入れてなのか、質問レターを迅に渡す。慣れない手つきながらも、迅は早速質問文を読み上げた。
「えーtンックフフw ……失礼。では始めますね? RN『萩わらの○ピー』さんからのご質問。【おめぇらは出逢ったばっかだし、聞いてほしい話とか逆に聞かれたくねぇ話とかもあるんじゃねぇのか? だからよ、何が嫌いかって話もそうだし、何が好きかで自分を語れよ!!】……だそうです」
……何やら質問文が開幕早々おふざけ全開な気がするが、ここは1度スルーさせていただこう。阪奈は全く思い当たりがなく頭に?を浮かべており、迅と雷那も一瞬笑いが込み上がったような気がするがスルーさせていただく。九瓏がテーブルに突っ伏して必死に笑いを堪えてるように見えるが全力でスルーする。
「……まぁ要は、単純に好き嫌いの話をしろって事ですよね? 今後の会話の参考にするためにも」
「に、なるわね。正直この質問は、個人の感情で幾らでも変わるようなもんだし」
しかしお互い、そんな基礎的な事だって当然ながら知らないのである。最初の質問にしては無難な選択であるのは間違いないだろう。
「はいはい!じゃあ私から先に答えるね! 私はね、食べる事が好き! 肉とか魚とか野菜とか乳製品とかチーズとか団子とか! 食べなきゃ人間やってられないからね! あとペットも好きなんだ! アイルーとかプーギーとかムーファとか…… とにかくいっぱいのペットとふれあった事があるの! 皆もう可愛くて!!」
最初に答えたのはやはりというか阪奈だった。流石はアイドル志望というべきか、その目には一点の曇すらなく、本当に純粋な本心で語っている事が窺えた。
「随分食べ盛りなんだな。アイドルってのは体重を気にするもんだと思ってたんだが……」
「そこは大丈夫! 激ヤセというか脂肪燃焼というか……その辺の要領はバッチリだから!」
「ペット、ですか…… 俺あんまり近寄れないんですよね; 怖いというかなんというか」
「まぁ気持ちは分からなくもないわ。でも、近くで触れてたりすると可愛い仕草を見せてくれるんだよね」
「で、嫌いなものだよね? うーん……」
「……実を言うとさ。私、ペイントが苦手なんだよね。苦手というか……もう通り越してトラウマだよね」
「えっ、ペイントで?」
「別に聞かない話というわけでもないですけど…… しかしまたなんで?」
アイドルの本分は忘れてないらしい(本人談)ので、次は苦手なものの話に。ペイントが苦手な理由を聞かれると……
「うん。これは私がアイドル始める前の話なんだけどね? ちょっと仕事の都合上で家にペイントの匂いがするものを常備しておく必要があってね。……最近はその仕事が激減したり技術の進歩のお陰で、そのアイテムをやっとの思いで捨てれたってのに、未だに家中ペイントの匂いが染みついてて…………orz」
「「「あぁ…………; それは納得だわ」」」
……どうやらペイントボール量産の弊害が、こんな形で現れていたらしい()
「さて、じゃあ次は俺が語りますか。俺はとにかく音楽が好き、って事はもうお察しでしょうけど。同時に、走ることなんかが好きなんですよね。俺って基本的に運動ダメなんだけど、持久力だけは並以上はあったんで」
続いては迅のターン。意外にも走る事が好きという話に、一同は正直何と返したらいいのか分からなかった。まぁ話広げづらい話題なのは確かだ。
「んで、逆に苦手なもんなんだけど……どうにも俺にはドラマは相性合わないみたいで。ドロッドロの人間関係とか? 虐めの現場、実態とか? あぁ、もう無理。何一つ理解を示せない」
口ぶりでは飄々と、しかし態度では淡々と、だがその内容自体を聞くと……存外冗談が通じない発言に、全員あまり強い言葉では返せなかった。
「……要はアレ? ドラマとかをただのフィクションって受け取れないような感じ?」
「あーーっ、まぁそういう難しい話ってのはあまり聞きたくないよね。にしては、拒否反応相当強い気もするけど……」
「腑抜けてんなぁ、お前」
「まぁそういう事です。冗談で済ませられないタイプみたいなもんですね。あと九瓏覚えとけよ?」
九瓏が迅を思いっきり揶揄ったところで、今度は雷那が口を開いた。
「じゃあアタシからも話しとこうかしら。好きなものはエナジードリンクとFPS(First-Person Shooter)。夜間にコレをキメるのが最高にハイって奴になれるのよ……!」
オンゲキという次世代型音ゲーを楽しんでる雷那らしい好みである、というのはまぁ分かる。だが、文面だけを見てしまうとやはり……
「「「……ソレ、人として大丈夫???」」」
「分かってるわよ!! 思いっきり人の道踏み外してる事くらい!!」
「現に、アタシの嫌いなものってのは「他人」だしね。まぁ、ああいったタイプのゲームってのは、変にプライド高かったりキモいくらい面倒臭い人種くらいしか上達しようとしないし残らないからね。……あぁ、勿論アンタ達は別よ? もう他人なんて間柄じゃないでしょ?」
クールでぶっきらぼうだけど、心には確かに熱いものを持っている。成程、確かに雷那はFPSを好きになる傾向の精神なのだろう。
同時に、FPSプレイヤーの負の側面を全面的に受けてしまったせいで、この比較的無頓着で他人に不干渉な性格になってしまったというのは、悲しいくらいに説得力がありすぎた。
「結局俺が最後か。まぁいい。好きなものは鍛錬だ。野球だろうが何だろうが、己を高めておいて損することなどひとつとしてないからな。逆に好まないのは……勉強、だな。アレの何がいいのか全く分からん」
最後の回答は九瓏。ストイックな性格だからか鍛錬などという男らしい単語が出てきた事に、特に海雪から興味を惹かれた。
……ところで、後ろの言葉についてなのだが。
「やっぱり九瓏も分かる!? アイドルには鍛錬は絶対必要だよ! 何かあった時に身を護れるようにするのは絶対条件だもんね!」
「……アタシ、阪奈が住んでる地域がどんどん心配になってきたんだけど;」
「それは俺も思いました; それより九瓏。あなた勉強が苦手って言ってましたが……」
「……どうした、迅」
「……試しに聞きますね? 『2x²+9x+4を因数分解するとどうなりますか?』」
「因数分解って何だよ。勝手に分解すんなよ。自然のままにしておけよ……orz」
「こ、これは…………;」
「……………………;」
「?」 ←やっぱりよく分かってない
【悲報】芳賀九瓏、バカ確定
- オリエンテーション to ラジオ(後編) ( No.15 )
- 日時: 2023/06/19 21:54
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
「……さて。まぁこの質問で聞きたかった事は皆さん分聞けたので、これで良しとしましょう。さぁ、質問はもう1つあります。今度は……狩野阪奈に読んでもらいましょう」
「あっ、はーい! 分かりました!!」
衝撃の事実が判明してしまったところで、著者は話を進める事にした。
話に流されるまま、海雪は著者からもらった2つ目の質問レターを読み始めた。
「えーっと、RN『相席屋台』さんからの質問で【皆さんの手料理の腕前を、実際に作って教えてください。クセがすごい料理を期待しとるんじゃ!】……だって」
「「「ブッフォアwwwwwwwwww」」」
……どう見ても○○食堂のパロディである。○鳥のノ○のパクリである。
よりによって唯一何も知らない阪奈がこの文面を口にしてしまったせいで、リスナーは全滅してしまった……
……しかし、ここで先程の質問文を思い出していく内に、辺りに重い雰囲気がのしかかりだしているのを一同は感じていた。さて、質問文をもう一度端的に思い出していただこう。
──質問主は、4人に【手作り料理を作ってほしい】と依頼してきたのである。(爆弾投下)
要は簡易的なお料理企画である。
読者の皆様からすれば、小説カキコでは最早お馴染みの企画だと思われるだろう。かくいう著者も、これでも過去には一応、料理対決企画を完遂させた経験がある(もう8年くらいは前の話になるが)。
……しかし、今回は阿鼻叫喚の事態とはなってない。
当然だろう。何せここにいる主人公4人には、そんな血塗られた()記憶などある筈もない。
だがそれでも空気が重苦しいのは、様々な都合上でこの料理企画に全員が前向きな検討を出来ないでいたのが原因である。
──身も蓋もない話をすると、拒否権など端から無かった訳だが。
しかし、ここで雷那がある事に咄嗟に気づく。
「……っ! ちょっと待って、管理人。料理作れって話をされた訳だけどさ……調理部屋なんて何処にあるわけ……?」
この言葉に全員が閃く。
言われてみればその通りだ。この部屋はラジオの収録部屋。そんな全く異なる空間で急遽料理を作れと言われても無理なものは無理である。論破条件としては確かに十分だろう。
……ここが"C-Ref"でさえなければの話だったが。
「? 何を言ってるんです? 調理部屋なら【 向 に あ る 】じゃないですか」
『……………………はァ????』
思わず一斉に疑念の声を挙げる一同。そんな訳ないやろ……と思いつつも、窓から収録部屋の反対側を覗いてみると……
──確かにそこには、4人が一斉に使っても問題ない面積のキッチンが広がっていた。
:(;゙゚'ω゚'): :(;゙゚'ω゚'): :(;゙゚'ω゚'): :(;゙゚'ω゚'):
……最早逃げ場無し。
のっぺりした笑顔の管理人の視界から逃げられるはずもなく、4人は泣く泣く調理を余儀なくされたのであった。
──────────────────────
……さて、ラジオ番組とは何だったのだろうかという程の時間が過ぎようとしていた。
厳密には20分くらいの時間が経っていた訳だが、それにしたってラジオでやっていいものではないだろう。
とはいえ、何も皆がそれ程の時間をかけた訳ではなかった。
実は阪奈と九瓏に関しては開始から5分と経たない内に戻ってきてしまったのである。本当に料理を作ったか怪しくなるように思えるし、実を言うと2人はまだ料理を作っていない。しかし、何を作るかまでは決めた上、その料理は直ぐにでも作れる都合上、先に戻ってきたのだと言う。
次に戻ってきたのは雷那。追加で10分程の時間を掛けていた模様。取り敢えず自分が1番自信を持てる料理を用意したと言っていたので、もしかしたら期待していいかもしれない。
最後まで掛かったのは迅。累計して20分程の時間を費やした。本当はまだ完成してないとの事だったが、冷やしさえすれば完成との話だったので、冷凍中に他の皆の試食を始めようという事だった。
……さて。という事で、これから皆が作った料理の試食タイムに入る訳だが。ここに来て著者があるものを取り出してきた。
「はい。皆さんにはこれから気軽で構いませんので審査員になって頂きます」
「えっ、審査員……;」
「ちょっと待ってくださいよ。んな話聞いてませんよ!?」
「まぁまぁ落ち着いて。所詮今回は4人しかいないしデモンストレーションには良い機会でしょう。あなた達はいずれこういう事もやらないとでしょうから、今の内に覚えて頂かないとなんです」
有無を言わせずに話を進める著者。彼が4人に渡してきたのは……ご想像の通り、評価用紙だった。
勿論、緊急で作られたものだったからか簡素なものではあったのだが……
《評価》
☆5:文句無しのプロ級の料理。店出したって唐突に言われても驚かないレベル。
☆4:レシピに忠実且つ自分なりの考えが持たれた旨い料理。
☆3:普通にちゃんと作られた料理。合格ラインはこことされる。
☆2:努力は伝わるが擁護できないミスが多々ある。だがまだまだ十分改善は見込める。
☆1:頑張っているのは十分伝わった。急ぐことはないので地道に1歩ずつ精進してほしい。
…0:申………い……、…前……ッ…………立……い…が……。
贖…:……食………何……………………な……称…………宜……。断…………非…………………、……命…以… 死 … … … … 。
((((…………????????????))))
全員揃って頭を抱えたのは間違いないだろう。
基礎的な評価事項は何も問題なかったのだが、問題は下2つだ。急いで乱雑に消したせいだろうが、明らかに何かしらの項目があった事が見て取れる。文脈も最早読み取れるものではなかったが、よりにもよって残った文字が残った文字なだけに、どういう内容が込められていたのかが薄らと理解出来てしまうのが悲しかった。
次回、いよいよ問題の試食ターン。
- オリエンテーション to ラジオ(後編) ( No.16 )
- 日時: 2023/06/19 23:02
- 名前: HAL (ID: J0KoWDkF)
「では、どなたの料理からいただく事にしますか?」
黙っていても埒があかないこの展開。無理にでも話を進めるのであれば、それは著者が1番適任と呼べるだろう。
そしてこの展開においても……やはり先陣を切るのはこの女だった。
「……はい。私から始めるよ」
意を決して立候補した阪奈相手に、九瓏が確認の質問を投げかける。
「……良いのか? 何なら俺が先頭だって代われる訳だが……」
「ううん。そういう訳にもいかないの。だって……」
そこまで言うと、阪奈は視線を変える。改めて向き直したのは──雷那に向かってだった。
「雷那って確かさ……肉料理を作ったんだよね?」
「えっ? まぁ、確かにそうだけど……」
「だったら尚のこと私が最初じゃなきゃ。迅の料理は必然的に最後になるんだけど、私が用意することにした料理も肉料理なの。連番で勝負させられたら私の立つ瀬が無くなっちゃうんだもん」
そう言って阪奈は再びキッチンに行ってしまった。
正直な話、肉料理が即席で出来るというのはあまり現実的なものではなかった。また、先程著者は、この部屋で煙を炊くのは大丈夫なのかを阪奈に問われており、あまり推奨されない旨を伝えると、渋々とキッチンに戻っていったのであった。一体何を作るつもりなのだろうか……
隣の部屋からは何処となく陽気な音楽がこっそりと聴こえてくる。阪奈らしいと言えばらしいのだが、なぜだか不気味に思えてきた…… 次の瞬間。
上 手 に 焼 け ま し た ぁ ー ー ー ー っ ! !
『ぶっふぅっwwwwwwwwwwww』
唐突に阪奈の大音量が隣部屋から響いてきたのである()
全員揃って元ネタを知ってたこともあり、思わず全員吹き出す始末。またしてもシリアスがお帰られになられたようだった。
……さて。今の一言で、読者諸君は阪奈が何を作っていたのかをお察しいただけた事だろう。
今、5人の目の前に置かれていた料理は……
──肉汁が溢れて止まない【こんがり肉】だった。
「いんやぁ……これ絶対旨い奴じゃないですか!」
「……これ料理か?って突っ込みたいが……実物を初めて見て興奮が抑えられねぇ……!」
「確実に男は好むような飯ね…… アンタの世界、本当にこれがデフォなの……?」
「失礼なッ!ハンターにとっては必需品とも呼べるソウルフードだよ! この料理失くして私の世界は語れないよっ!」
まぁ自分達の料理を作ってほしいという話だったので、今回は良しとする事で話は一致した。
そしていざ食べてみると……
「油が……ッ! 脂が最ッ高に乗ってやがる……ッ!」
「これ丸々1つ食べるだけでお腹満たされません……? まだ他のものも食べないとでしたよね……?」
「……驚いた。今まで食べたことのあるどの肉とも、歯ごたえも脂分も違うんだけど。これ、どの肉を使用してるの?」
「お肉のこと? これはねー【アプトノス】って種族の草食竜のお肉を使ってるんだ!やっぱり皆は食べ親しんでないのかな?」
絶賛であった事は確かだろう。しかし、今後の料理の事を考えると、直ぐに完食しようとするのは反って危ないと判断された為、ここは一時中断して先に評価へ。
総括させていただくと、素材や味、焼く時間等を込で考えても高い評価であったのは間違いない。……が、やはり料理かと言われると何とも言えない立場だった為、今回は☆4と総評された。
「うし。さっきの阪奈の発言を考えれば、次は俺の番てことでいいよな?」
覚悟を決めた九瓏が、二番手に躍り出た。
初手から阪奈がシンプルに強力な一手を出してきた訳だが、九瓏はどの料理で勝負することにしたのか。
……と、意気込んだはいいものの。実は九瓏の料理はとうのとっくに完成していた。
キッチンにあった皿を1枚拝借した後、懐から余りにもミニマムな弁当箱を取り出す。その中に詰め込まれていた丸薬状のものを皿に乗せたかと思えば……
「……これが俺の代表飯、【兵糧丸】だ」
『……………………えっ?』
……これで驚くな、という方が無理な話だろう。
見た目はただの丸薬。明らかに作られてから時間も経っており、またしてもというか、お世辞にも料理とは呼べそうにないものがそこにあった。
「……えっと、その」
「……これ、何?」
当然ながら、兵糧丸の事を知らない皆は頭が混乱していた。まぁそりゃそうでしょうね。そこで九瓏がなるべく丁寧に説明を始める。
「あー、まぁそうなるよな。取り敢えず最初に聞くが……お前ら、保存食って知ってるか……?」
「……? それってカ○リーメイ○とかのこと?」
「あっ、私は知ってるよ! モスジャーキーなんかがそうだよね?」
「……要は、干物や漬物などの事を指すのでしょう? 何なら兵糧丸自体、俺は知ってるし……」
「……まぁ、皆が言ってるもので大体合ってるんだろう。ていうか迅も知ってるなら説得してくれよ!」
とにかく、兵糧丸は保存食の1つなのである。であれば、ぽっと出で出したとしても伝統的な料理としては十分まかり通るのでは?と考えたそうだ。しかしよく迅は兵糧丸知ってたな……
「歴史書とかを趣味で読んだことがあってな。そこで保存食の話がされてたから覚えてたのよ。兵糧丸はその手段の1つとして、兵士達にも愛用されてたんだとか」
という事で、わだかまりはまだ無くならないものの、時間も圧してるので早速実食。味はというと……
「……普通に食べれるわね」
「きな粉とゴマが思ってたよりイける味にさせてるね」
「成程。これなら戦時中でもお手軽に頂ける訳ですね。……しかし、何故九瓏がそんなものを作らなきゃいけなかったんだ?」
「うぇっ!? いや、その、これはだな……親からの受け売りだ。作れておいて損はない、ってな。ハハ……」
……最早乾いた笑みしか残せない九瓏を背に、各々は感想を書き連ねた。
その余りもの見た目のインパクト性、保存食という評価に悩む代物、しかし最低限保証はされていた味わいから逆算して、総評は☆3とされた。
「さて。じゃあ次はアタシでいいんだよね? 準備は出来てるから、さっさと始めましょ」
3人目は雷那。正直ここまで料理……?と呼ばれると少々自信をなくしてしまうものばかりが並んでいた為、今度こそまともな料理をご所望だった。
足早に移動して雷那が用意した料理。持ってこられたお皿の上には……
海藻サラダがセットで盛られた、中濃ソースがかかったチキンカツが並んでいた!!
「うっわぁーーーーーーーっ!!」
「おいおい……ここまで本格的な料理は聞いてねぇぞ……!?」
「……マジで言ってます? こんな美味しそうな料理、本当に食べていいの?」
「何変なこと言ってんのよ。早く食べよ? もうとっくに冷め始めてんだから……」
逸る気持ちを抑えられないまま、一行は直ぐに料理に手を出す。その味はというと……
「っハハ…… 完ッ璧な料理じゃねぇか……!」
「この鶏肉凄いね……! 下味も十分、衣の焼き加減もサクサクで相性バッチリ! 海藻サラダも海藻の塩加減を味付けの主軸にしてるのが分かるよ!」
「……冗談って事で話させてください。雷那、また次も料理作ってくれませんか?」
「……そこまでのレベルで美味しかった? いやまぁ、うん。……ありがと////」
鶏肉に小麦粉、卵、パン粉をまぶして衣をつけてジャストな時間でこんがりと焼き仕上げ。通常では他の野菜を盛り合わせに使用するが、雷那の好みの都合上で作られた特製海藻サラダ。これらから作られる夕立雷那のこだわり付きずぼら飯は、今、この場を以て顕現した。
料理の評価が文句無しの☆5だったのは、言うまでもない。
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