二次創作小説(新・総合)
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- 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】完
- 日時: 2019/06/06 18:55
- 名前: 内倉水火 (ID: Re8SsDCb)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12396
『御尻川スウィーツ様及び御友人の皆様
この度皆様を、本日開業の音楽クラブ、ハウスオブ音羽に御招待致します。
ハウスオブ音羽 支配人』
「ねぇ皆、これ見てよ!」
そう言って招待状を差し出したのは、受け取った張本人であり、竜宮小7年C組の学級委員、御尻川スウィーツであった。
クラスメイトである松田名作、ウィンドウズノキオ、団栗林むすび、F・ボルト、そして今年入学したばかりの1年生、上井つる公が、スウィーツの手に握られたその仰々しい紙を見つめる。
「は、ハウスオブ音羽?」
「うん」
「めっちゃ高そうです…」
「大丈夫! この招待状が有ればタダで入れるんだよ!」
「「えぇ!?」」
スウィーツの爆弾発言に、残る5人の驚きの声が重なった。
「何故だ! 何故タダだ! 答えろ貴様!」
やたらと筋肉質な亀のボルトが、声を震わせる。
「何か脅迫してるみたいだぞ!?」
ツッコミ役の名作はボルトにツッコミを入れながら、内心こう思っていた。
_ディ○ニーに怒られる…!
- Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.8 )
- 日時: 2018/10/27 15:24
- 名前: 内倉水火 (ID: Yv1mgiz3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12396
【切り方があまりに不自然でウエイター君が大変ウザったくなっております。ごめんなさい。by筆者】
「軽蔑しちゃうな。僕のお酒ジョークを聞こうともしなかった癖に、間髪入れずにつっこむだなんて。軽蔑しちゃうなぁ」
ウサ耳を着けた怪しいウエイターは、持ちネタをスルーされかけたのが嫌だったのか口を尖らせて言う。
しかし、それに負ける名作達ではない。
「何でそんな事で軽蔑されなきゃいけないんですか! てかそんなジョーク知らなかったし!」
「そもそも其処まで面白くなかったぞ!」
「というか何でウサ耳なんて着けてるですか!?」
「何故だ! 答えろ貴様!」
「…そ…そうだ、そうだ! クリームソーダ!」
「途中からツッコミでも何でもないっすよね」
最後のつる公の一言の通り、訳の分からない発言が飛び出したりしていたが、それでもかなりの集中攻撃だ。しかし、ウエイターは引かない様子だ。
「ちぇー、人の冗談を詰まらないだなんてさ。教育がなってないよ」
最早この【あぁ言えばこう言う】ループにうんざりしてきた名作。またつっこもうとしたが、その時、
「教育がなってねぇのはてめぇだ、変態兎」
ウエイターの背後からそんな声がしたと思えば、カチューシャの耳が掴まれ、後ろへと引っ張られる。彼は僅かにつんのめった。
「わぁっ」
すると、伸ばされた手の主が姿を現した。ウエイターより小柄な青年である。整った顔をしていたが、蛇のような瞳で人を寄せ付けない雰囲気だ。
__あれ? この人…。
名作は彼の容姿に既視感を覚えた。まるで、ついさっき見たような…。
「あぁ! さっきの双子!!」
思わず、大声で叫んでしまった。そう、ハウスオブ音羽の入り口で見かけた、あの双子だ。しかし、今は1人しか居ない。酷い事を言って来た弟だろうか、それとも兄だろうか。
叫ばれた方の青年は、軽く眉を上げただけだ。
「…弟がどうこう言ってたガキ共か。変態が世話になったな」
発言からして、兄のようだ。それだけ返すと、青年はウエイターを連れて立ち去ってしまった。
「あ、あぁ…」
名作はその場で見送る事しか出来ない。
「結局何も頼めなかったね」
とスウィーツは言うのだった。
- Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.9 )
- 日時: 2018/10/27 17:02
- 名前: 内倉水火 (ID: Yv1mgiz3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
【前話にて誤植を修正しました。此処からはウエイター君が連れて行かれた場所でのお話になります。by筆者】
***
その場所は、会場とは比べ物にならない程質素な空間であった。茶色っぽく硬い床には、キーボードやエレキギター等の楽器やら、ステージ用のセットやらが無造作に置かれている。防音加工の施された壁には、何も掛けられていない。
そうした殺風景な部屋の片隅には、1人の少年が床に座って、仮眠を取っていた。
少年と言っても、年格好は高校生位で、緩くウェーブした灰色の髪型である。ゆったりした間隔で、かくん、かくんと舟をこいでいる。
自分以外に誰も居ない、しかも防音のこの部屋は、確かに仮眠には最適だった。自分でも驚く程の眠気と闘っていたこの少年は、どうやら部屋に入った途端に眠ってしまったらしい。
しかし、余程熟睡していたのか、後から部屋に入って来た何者かの気配に気付き、起きるような素振りは全く見せなかった。その少年の様子に、誰かは大きく溜め息を吐く。
「…起きて下さい。子卯辰巳のボーカルさん」
そう言われて、軽く肩を揺すられた。ボーカルと呼ばれた少年は、ゆっくりと瞼を開く。
見ると、目の前には自分と然して年の変わらないミニドレス姿の娘がいた。ボーカルは、寝惚けた頭記憶を探る。
__確か支配人代理の…音羽さんだっけ。
ところで、代理のこの娘にしか会った事がないのだが、支配人は何処に居るのだろうか? とも思ったりしたが、同時にどうでもいいよ、と切り捨てた。
音羽は腕組みをして、ボーカルを軽く睨んだ。
「自分達の楽屋が落ち着かないのは分かりますけど、リハーサル兼物置用のこの部屋で寝るのは止めて下さい」
__俺、物置で寝てたのかよ。
幾ら眠かったとはいえ、自分のした事に少しばかり呆れつつ、ぼんやりと音羽を見つめる少年。
音羽は何処か苛立っている様子で、更にきつめにボーカルを睨む。
「そもそも、貴方達もうすぐ本番ですよね!? リハーサルとかはどうしたんですか!」
__…確かに。
寝ている場合ではなかった。
少年はバンドグループ、子卯辰巳のボーカルとして、今宵、ハウスオブ音羽のステージに立つのだ。
普通のバンドで在れば、今頃全員で最後のリハーサル等している所だが、しかし、彼は此処で眠りこけていた。ボーカルとしてあるまじき行為である。
勿論、このグループもリハーサルをする予定でいたのだ。では何故か。メンバーの1人が姿を現さないからだ。
ドラム担当のあの男は、何をするか分かったもんじゃないと考えてはいたが…まさか来ないだなんて。
現在、メンバー総出で血眼になって捜索している。
__彼奴を探す流れで此処に来て、寝ちまったって訳か。
尚、お気付きになった方も多いだろうが、このドラム担当の男というのは、名作達を困らせていたあのウエイターである。しかし、そんな事をボーカルが知る訳もなかった。
脳内で、自分自身に呆れる独白を続けながら、ボーカルはゆっくり立ち上がるのだった。
- Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.10 )
- 日時: 2018/10/28 16:44
- 名前: 内倉水火 (ID: ACwaVmRz)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12396
「…ところで、俺達って何時位にスタンバイすれば良いんだっけ?」
まだ少しぼんやりとしている脳味噌を覚ましながら、子卯辰巳のボーカルは訊く。熟睡していたせいで、今が何時がどうかも分からないのだ。
音羽支配人代理は、数秒程考え込んだ後、答える。
「今が18時半だから…後1時間位ですね」
1時間。長いようにも感じるが、ドラムのウエイターを見つけ、メンバーが揃わない限り合わせる事は出来ない。残る2人も、そのドラム探しで出払っている。
__…本当、スタッフに連絡するとか、頭回らないのかよ、俺達は。
音羽は先程、楽屋がどうのと言っていたが、それはドラムが行方不明である事を把握していない証拠だろう。
無論、他のメンバーが音羽ではなく他のスタッフに報告した可能性も有る。しかし、眠気と闘っていた時の記憶があまりないので、確かめようもない。
「兎も角、本番まで後ちょっとなんですから、ちゃんと準備して下さいね。私はちょっと出ますけど、くれぐれも寝ないように」
音羽は最後に念を押すと、踵を返して部屋を後にした。只でさえ忙しい身分だ、1人にいつまでも構ってはいられない。
バタリ、と扉が閉じると、少年は眠っていた時のように再び1人になった。しかし、眠る気はない。
__さっさと合流しないと…いい加減まずいな。
少しばかり顔をしかめると、閉められたばかりの扉に手をかける。見つからない事は無いだろうが、出来るだけ合わせる時間は延ばしたい。
その時だ。
扉が勢い良く開き、突如として残りのバンドメンバーが姿を現す。そして、少年は開いた扉に思い切り手の指をぶつけた。
「いっつ…」
ぶつけた指をもう片方の手で押さえつつ、少年はメンバー達を一瞥した。此処までタイミングが良いと、呆気に取られてしまう。
奇怪な容姿のドラムに、殆ど見分けの付かない双子のベースとギター。間違いなく、全員が揃っていた。
因みに、メンバーの双子は、名作達が出会った蛇のような双子である。ベースが兄、ギターが弟だ。
説明はさておき、少しばかり唖然とした様子の少年に、バンドリーダーの兄は言う。
「さぁ、見ての通り変態は確保したぜ。大至急合わせるぞ」
「…分かった」
それに対して少年は、只頷く事しか出来なかった。
- Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.11 )
- 日時: 2018/10/29 14:13
- 名前: 内倉水火 (ID: 5VUvCs/q)
【キャラクターの名前についてですが、紹介をした方が調べやすいという結論に至りましたので、随時紹介するという方針に変更します。筆者の考え足らずで色々と不備が見られますが、緩い世界観としてお楽しみ下さい。すみませんでした。by筆者】
本番1時間前にして、ギリギリ全員が集合した子卯辰巳。刻一刻と時間が迫る中、最後のリハーサルや、MCの打ち合わせをしている。休む暇等微塵も無かった。
__もう少し真面目にやってたら、こんな事にはなってなかったか。
ハウスオブ音羽からのオファーが来るまで、暫くバンド活動をしていなかった彼等だが、それによりグループ自体の統率力が損なわれていたのは痛手であった。
ボーカル担当の少年、墨野継義からしてみても、他のメンバー達の考えは良く分からない。
リーダーでありベース担当の青年、積田長幸とその双子の弟でありギター担当の剛保は兎も角、さっきまで行方不明であったドラム担当の男、憂城の行動パターンは全く読めない。突拍子の無い事をしたと思えば、意外と正論も言う。
継義は今のところ、憂城の思考回路は勿論、本名も、経歴も、分からず仕舞いだった。訊いたとしてもはぐらかされて終わる。
かといって、残りの長幸と剛保が全く以て安心という訳でもない。剛保は異様な趣味を持っているし、長幸も主食がポテトチップスという噂が流れる程の不摂生だ。過度に信用は出来ない。
どうしてバンドを組んだのか、継義も良く覚えていない。そういう事は覚えておくべき事なのだろうが、忘れたものは忘れたのだ。
__記憶が、抜け落ちてるのか?
バンドを組んだ切っ掛け以外にも、色々と大事な事を忘れている気がする。しかし、それが何かは分からない。
今は、本番に向けて準備に専念するしかなかった。
- Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.12 )
- 日時: 2018/10/31 18:11
- 名前: 内倉水火 (ID: OSKsdtHY)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
【目次を追加しました。此処からはまた名作くんの話に戻ります。by筆者】
***
一方、観客達はステージ上で繰り広げられるライブに盛り上がっていた。聴いていれば元気が出てくるような歌詞と、激しいメロディ、勢いの有る演奏。曲の1つ1つが会場を湧かせる。
そんな曲を届けるのは、ツナギ姿の男2人組である。曲の合間のMCは非常にハイテンションで、暗い曲が1曲も無いのが納得出来た。
名前の書かれたうちわや、何人かが着ているTシャツを見る限りかなり人気が有るようだが、名作はその2人を全く知らなかった。先程その事を隣に座るつる公に言うと、
「名作ぱいせーん…この2人知らなかったとかマジテンサゲっすわ。何すか、ツナ義ーズのレジェンドギャグも知らないんすか?」
と嘲笑された。2人はツナ義ーズというらしい。
「仕方ないだろ? 知らないものは知らないんだから」
音楽関係には疎い名作はそう返した。
直後に曲が終わり、ハイテンションなMCが始まる。一言二言話した後、歌っていた方の男、佐藤太郎__最早名前に関してはノーコメントで__が後ろを向き、そのまま身体を反らせて叫ぶ。
「夜はー?!」
どうやら、観客に続きを促しているらしい。名作が何を言えば良いのか戸惑っていると、
「「焼き肉っしょー!!!!」」
見事に名作以外の全員の声が合わさった。
「いや、レジェンドギャグってこれ!? 一体感凄っ!」
このような名バンドに出会えなかったのを悔しがる反面、只驚くばかりであった。
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