二次創作小説(新・総合)

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【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】完
日時: 2019/06/06 18:55
名前: 内倉水火 (ID: Re8SsDCb)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12396

御尻川おしりかわスウィーツ様及び御友人の皆様
 この度皆様を、本日開業の音楽クラブ、ハウスオブ音羽おとわに御招待致します。
                       ハウスオブ音羽 支配人』

「ねぇ皆、これ見てよ!」
そう言って招待状を差し出したのは、受け取った張本人であり、竜宮小7年C組の学級委員、御尻川スウィーツであった。
クラスメイトである松田名作まつだめいさく、ウィンドウズノキオ、団栗林どんぐりばやしむすび、F・ボルト、そして今年入学したばかりの1年生、上井うえいつるこうが、スウィーツの手に握られたその仰々しい紙を見つめる。
「は、ハウスオブ音羽?」
「うん」
「めっちゃ高そうです…」
「大丈夫! この招待状が有ればタダで入れるんだよ!」
「「えぇ!?」」
スウィーツの爆弾発言に、残る5人の驚きの声が重なった。
「何故だ! 何故タダだ! 答えろ貴様!」
やたらと筋肉質な亀のボルトが、声を震わせる。
「何か脅迫してるみたいだぞ!?」
ツッコミ役の名作はボルトにツッコミを入れながら、内心こう思っていた。
_ディ○ニーに怒られる…!

Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.3 )
日時: 2018/10/20 12:49
名前: 内倉水火 (ID: BEaTCLec)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

そうして車の中で騒いでいる内に、お目当ての場所へと辿り着いたようだ。
6人はリムジンから降りると、まず目の前の光景に心を奪われた。
「「わぁ…!!」」
足下からロビーにまで真っ直ぐに続くレッドカーペットに、曇り1つ無い真新しいガラスの扉、その上には、落ち着いていながらも華やかな雰囲気を持つ【House of Otowa】の看板。
それ以外にも色々有ったのだが、一言で言えばリッチな外観だった。
「すげぇっす、マジリッチっす! やばばばばっすー!」
つる公は特有のギャル語を駆使して、一頻り歓喜の声をあげている。
「やばばばば?」
「ヤバいって事だろ。…にしてもマジでやべぇ!」
ギャル語で誰かが困惑するのも、6人には何時もの事である。
全員の表情が輝いていた。想像を超えるリッチさも相まって、最早此処だけで満足してしまう。
「早く入ろうぜ…」
しかし、ボルトがぼそぼそと囁く。
それには気付かなかった名作は、他には誰が来るのかと周囲を見渡す。
すると、名作達を側を通り過ぎて行く2人の男がいた。双子なのだろうか、全く見分けがつかない。
「けっ、彼奴らガキの癖にませてやがるぜ。大層な所に来やがって」
片方が此方を見て毒づく。名作もムッとして相手を見つめた。
「まぁまぁ。別に邪魔はして来ねぇだろ」
もう片方にたしなめられると、毒づいた男は軽く肩を竦めた。反抗しない辺り、毒づいたのは弟だろうか。
「…そういや、残りの連中はもう着いてるのか?」
「まぁな。変態に関しては直ぐ見つかるだろうぜ」
6人の事はもうどうでもいいのだろうか、双子は別の話題に切り替え、二度と此方を向く事はなかった。そのまま、ロビーへと消えて行く。
「嫌な人達だなぁ…皆見た?」
と言いながら、名作が振り向くと
「早く入ろうぜぇえ??」
至近距離で苛立つボルトがいた。
「うわぁ! 分かった! 分かったから!」
怒りなど直ぐに忘れてしまった名作であった。

Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.4 )
日時: 2018/10/22 18:00
名前: 内倉水火 (ID: 7dCZkirZ)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12396

ボルトに急かされ、ガラスの扉をくぐり抜けると、豪華なシャンデリアが見えた。
きらびやかにライトアップされたそれは、まるでやって来た客を迎え入れるように暖かくもあった。
全体的に赤色で統一されたロビーには、チケットの販売、招待状の確認をする受付カウンターや会場へと続く木製の扉等が在ったが、先程の双子の姿は見当たらない。
さっきの話題から考えるに、きっと会場内の待ち人でも探しにいったのだろう。名作はそう推測した。
「いらっしゃいませ。招待状は持ってますか」
「はい!」
黒髪で眼鏡を掛けた受付嬢に尋ねられると、スウィーツは威勢の良い返事と共に招待状を差し出した。受付嬢はその招待状を確認すると、
「あ、別の人に案内して貰うから、ちょっと待っててね」
とにこやかに告げる。それから受話器を取って、誰かに連絡事項を簡潔に伝えた。
「カナエ、御尻川君達が。うん、直ぐに来て」
どうやら案内役はカナエという名前らしい。
「御尻川君だってー。もっもっも…」
「パイセン、電話中っすよ」
慣れない呼び方に笑ってしまうスウィーツだが、後輩のつる公に注意され直ぐ様黙った。
そうしている内に、受付嬢に呼び出されたカナエさんが姿を現す。
開演に向けてだろうか、鮮やかなオレンジ色のミニドレスに身を包み、ショートカットの前髪もルビーのピンで留めている。
「こんばんは、ようこそハウスオブ音羽へ。支配人代理の音羽カナエです」
どう見ても10代にしか見えないカナエさんの肩書きに、6人は驚く。
「だ、代理!?」
「こんな若い人がですか?」
「バリ大変そうっす…」
彼等の様子に、カナエさんは思わず苦笑いする。
「はは…正直私も納得いってないんだけどね。トントン拍子で決まっちゃって」
「そりゃ断れないよなぁ、こんな大役」
ノキオがやや同情的に言ったが、カナエさんは大丈夫とでも言うように首を横に振った。
「まぁ、私の話はこれ位にして、早く会場に行きましょう。皆早く見たいでしょ?」
会場と聞くと、6人は大きく頷く。
「「はーい!!」」

Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.5 )
日時: 2018/10/23 18:38
名前: 内倉水火 (ID: xJyEGrK2)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

一同はカナエさんに会場へと案内された。
会場はかなり広々としていて、やはり豪華な装飾が施されていた。数え切れない程の来客で賑わっている。
奥のステージはライトアップされておらず、些か殺風景だったが、これからのショーに向けて綺麗に磨かれていた。
さらに、来客用にクロスの敷かれた丸テーブルもあり、音楽を楽しみながら食事も出来る形式である事が伺えた。殆どの人がそれに腰掛けている。
「いやぁ、何か緊張してきた…」
再び辺りをぐるりと見回した名作は、少し恐縮してしまう。先程の双子の言葉を認める訳では無いが、自分達が場違いな気もするのだ。
「正装でもして来れば良かったです」
「俺もそう思うまんねん」
むすびとボルトも同調する。
「2人とも服持ってるの?」
しかし、感じた違和感には即座にツッコミを入れる名作。
その様子を見て、カナエさんは溜め息を吐いた。
「やっぱり落ち着かないわよね。私も反対したんだけど」
その後話を聞いたが、どうやらハウスオブ音羽の会場やロビー、外装の設計をする際に、何人かが異常に張り切って、此処まで豪華な装飾を盛り込んだらしい。
肩書きといい設計といい、カナエさんが苦労人である事を物語っていた。
そんな事を話しながら、一同はカナエさんに導かれた丸テーブルに座る。ステージが見易い、見晴らしの良い席だ。
「そう言えば気になる事が有るんだけどさ」
一番に座ったノキオが、不思議そうに首を傾げていた。皆が彼に注目する。
「俺もむすびもボルトも人間じゃないのにさ、カナエさん全くリアクション無いよな」
「あぁ、確かに…って、ノキオは人間だろ」
名作にロボットである事を訂正されたノキオだが、その意見には一理ある。
名作とて、友人達に出会った時には酷く驚いたのだ。しかしカナエさんは、そんな素振りを見せない。
今度はカナエさんに、全員の視線が注がれる。
「…まぁ、皆より強烈な人を知ってるのも有るけど、一番はやっぱり…御尻川さんかな」
一寸の間が有った。
「…そうだよ! スウィーツのお父さん完全に桃なんだよ!」
「「それか!」」
殆どが納得したようだったが、スウィーツだけは
「そんなに桃じゃなくない?」
とでも言いたげな様子だった。

Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.6 )
日時: 2018/10/24 16:44
名前: 内倉水火 (ID: oN2/eHcw)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

ほぼ全員の意見が合致したその後、一同は他の事について談笑しつつ、名作がツッコミつつ開演までの時間を過ごしていた。
カナエさんも終始楽しそうに笑っていたが、ふと開演準備を進めているであろう舞台裏の様子を想像したようで、慌てふためき椅子から立ち上がった。
「いけない! ちゃんと準備出来てるか見て来なくちゃ! ごめんね、もうすぐ始まると思うから、このまま待ってて!」
名作達にはそう言い残し、ステージの方向へと駆けて行った。
「…忙しそうだな」
「そりゃ支配人代理っすよ? 当たり前田のクラッカーっしょ」
「クラッカーがどうしたですか?」
最早ギャル語であるかすら怪しい単語に困惑するむすび。
「当たり前って事じゃないかな」
名作の要約に対し、こくりと頷くつる公。
もう普通に言えよ、と言いたい所であるが、このギャル語こそがつる公のアイデンティティーでもあるのだ。今更どうしようもない。
程なくして、ステージがライトアップされる。
「あっ、始まるみたいだよ!」
スウィーツが叫んだ。さっきまでガヤガヤ騒がしかった客席はみるみる内に静まり返る。
『紳士淑女の皆さん、大変お待たせ致しました。これよりハウスオブ音羽、記念すべき第1回目の開演です!』
ライトの当たる中央でマイク越しに話すのは、鮮やかな青髪に燕尾服を着た青年である。恐らく司会なのだろう。
彼が恭しく御辞儀をすれば、客席からは盛大な拍手が巻き起こった。6人もそれに従い、手を叩く。
『私が司会を務めさせていただきます、何卒宜しくお願いします』
青髪の司会は顔を上げると、にっこりと笑った。
「すっごいイケメンですねー」
「そうだなー、ムカつく程になー」
ボルトとむすびが口々に感想述べる。しかし、その表情は一切笑っていない。
「早速嫉妬すんなよ…」
すっかり呆れる名作であった。

Re: 【クロスオーバー】ハウスオブ音羽【名作くん】 ( No.7 )
日時: 2018/10/25 17:06
名前: 内倉水火 (ID: 4V2YWQBF)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12396

『此処では、様々なジャンルの音楽アーティストを招いている他、シェフ自慢の料理等も用意しております。どうぞ、心往くまでお楽しみ下さい』
司会が簡単な説明をする。もしや、有名人もステージに立つのだろうか。しかし、シェフ自慢と言われると食欲がそそられる。6人は、一斉にごくりと唾を飲み込んだ。
すると、タイミング良く一同の席にウエイターが近付いた。あちこちに跳ねた癖のある白髪だが、何故かその白い頭にウサ耳のカチューシャを付けている。一見してヤバそうだ。
「すみませーん!」
しかし、料理の味が気になって仕方がないスウィーツは、お構い無しにベルを鳴らした。
「おい、スウィーツ!」
「あの人は止めた方が良いって!」
ノキオと名作が止めようとしたが、時既に遅し。ウサ耳のウエイターはすたすたと歩み寄って来た。
「もう注文なの?」
怪訝そうな表情で見つめられる。
「はい、えーと…」
スウィーツが大きく頷いて注文しようとすると、ウエイターは目にも止まらぬ速さで立ち去った。
その一連の動きを見て、一同は見事に呆気に取られた。
「…用事でも思い出したのか?」
「あの耳が気に食わなかったし、丁度良かったな」
兎そのものが好きではないボルトは言う。
しかし、ウエイターは再び此方へ来た。今度は手に銀のトレイを乗せている。
「変だねー、まだ注文して無かったのに」
スウィーツは呑気に呟いた。
「はい、どーぞ」
そう言って、ウエイターは1人1人の前にトレイの上の物を置く。それはどうにも、グラスに注がれたウィスキーや赤ワインのようだった。
「あ、あのー…僕達まだ未成年なんですけど」
と、名作が言ったが、ウエイターは笑って返した。
「大丈夫だよー。これ、ウィスキーっぽい麦茶と赤ワインっぽいブドウジュースだから」
「そうなの!? お酒っぽくする必要無くないですか?」
名作からのツッコミに、きょとんとした様子だ。
「そもそもまだ何も注文してなかったぞ!?」
ノキオも同調する。しかし、彼はこう返す。
「軽蔑しちゃうなー。僕のお酒ジョークも聞かないで注文するだなんて」
「聞いて欲しかったんだ! そうなんだ!」
「面倒臭いウエイターまんねん」
成人男性の癖に、と思いつつツッコミを入れる小学生達であった。


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