空色ばいく チュチュ / 作

第1話 ~03~
「ん?どした??」
「いえっ、何でもありません・・・。っていうか、自転車、自転車っ!!」
ふと前をみると大体20メートル先にそれらしき
モノが見える。
近づいてみると、なるほど
後ろのタイヤは見事につぶれ
もはや自転車ではない。
「ほんとに悪い。俺、金払うよ。
それに、もぅ、二輪には乗らねぇ。
免許取ってからにするよ。」
「えっ!?持ってなかったんですか??」
「まぁ、怒るなよ、って怒るか。」
「でも、あなたの歳ならとれるでしょう?
免許。どうして、取らないんですか?」
「面倒くせぇ。それに俺は17だ。
免許年齢は16。一個多いからいんだよ。」
(イヤ、駄目だと思う。この人、まず
考え方が間違ってると思う・・・)
「何だよ、何か言いたげだなー。
チャリの金、払うって言ってるだろ!?」
「違いますよっ!そういうことじゃなくて・・・」
「ま、姉さん、そういうことで後ろ乗んな。」
「後ろ??」
バイクの後ろを指で指してニカッと笑っていた。
「嫌です!それに私、姉さんじゃないし。
あなたと同じ17歳だよっ!!」
「・・・マジ??」
「・・・え?」
(何?私そんな変なこと言ったっけ?)
「俺と同じ17歳?アンタが??」
「そうですっ!」
(って、えっ??この人も17歳??私と同い年なの??)
*
しばらくの間、沈黙が続いた。
(この人も私と同い年なんだ。)
「よしっ、まぁ、それなら遠慮はいらねぇよな!
ほら、後ろあいてるから乗れよ!」
「そっ、そんなこと言われても・・・」
「何だよ。」
「いえ、私はこのまま自転車を引いて帰ります。
好意は受け取るけど、悪いので。」
私は歩きだした。
「おい、待てよ。エンジンは動くぜ?
アンタの家近いのか??」
「はい、すぐそこですから。」
「ふーん。ってか、敬語やめろよ。」
「えっ?」
「敬語だよ。俺ら、歳一緒じゃん。普通に話せよ。」
「はい。・・・分かった。」
「じゃ、家まで俺もついてくよ。金、返さなきゃ
いけねーし。」
「えっ、いいよ。別にそんな。あそこに置いてた
私の責任でもあるから。お金は別にいいよ?」
「・・・分かった。じゃ、日曜のここで待ってろ。」
「はぁ??何で??」
「金。返しにくるから。」
「あっ、うん、ありがとう。」
「本当に大丈夫か?」
「うんっ。私、こう見えても力はあるんだよ。
これくらい、平気だもん。」
「そっか。じゃ、ごめんな。また、今度な。」
「うん、じゃあね。」
彼は笑ってバイクにエンジンをかけた。
大きなバイク。
ぴかぴかに光って、かっこいい。
(もう、バイク乗らないって言ってたのに・・・)
彼はヘルメットをかぶってて顔がみえなかった
けどニカッと笑っているような気がした。

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