空色ばいく   チュチュ / 作


第1話    ~09~



「空色か。へー。いいな。その名前。」

「!!!・・・・えっ?」

顔が熱くなるのが分かる。

「俺さ、空が好きなんだよな。俺の名前に一文字
入れて欲しかったよ。空って字。」

倒れそうになるのを必死でこらえて
私はかえす。

「私は空より、海の方がすきだけどなぁ。
海っていろんなあおいろが見えるでしょ?
あのカーブからの海が一番素敵なの。」

「へぇ。俺の字にそういや海が入ってるな。」

「えっ!!そうなんだ。いいなぁ。」

(海憐君かぁ。いいなぁ。)


「で、バイク乗るか!?後ろ乗らせてやるぜ?」

バイクはどうでもいいのだが
私はすぐに答えた。

「うんっ!!乗らせてっ!!」

彼はヘルメットを私にかぶせて笑った。

「え??海憐君は??」

「俺は事故しねぇから。ノーヘルでもいんだよ。」

「駄目だよっ!!危ないでしょ??」

「まぁ、速く乗れっ!!」

「駄目だよっ!!家のヘルメット取ってくる。」

「へぇ、アンタの家あるんだ。」

「うん。自転車のだけど。」

「・・・・ッッはぁ!!?」

「えっ?何か問題ある??」

「あるだろ。ってかありすぎだろ。」


彼があり得ないモノを見るような目で見てきた。

(ウソーッッ!!!どうしよぅ。嫌われちゃった??)



「俺はいんだよ。別に。じゃっ、とばすぜ!
しっかりつかまってろよ!!!」

エンジンがかかる音がする。
バイクが揺れてる。


怖い。
自転車でさえ、二人乗りだなんて校則違反だから
したことがなかった。

揺れている。

「行くぜーー!!・・・・

「ストップーーーーーー!!!!!!」


(あっ、いっちゃった・・・)



「何だよ。」

「スローでお願いしていい?」

「はぁ???お前ホントにバイク好きなのか??」

「うん。好きだよ。ゆっくり景色見てのんびり
すすむのが大好き!!」

「お前さ、それじゃバイクの意味ねぇじゃん。
ひょっとして、お前、馬鹿か??」

「ばっ、馬鹿じゃないよ!!
海憐君が心配なだけ。ヘルメットかぶってないなんて
危なすぎるよ。」

「どうでもいいけど、海憐君はやめろ。
気持ち悪い。俺のことは海憐って呼べ。」

ドキッとする。
鼓動が速くなる。

ちがう、一瞬とまったのかもしれない。

「海憐。」

「そっ。俺のことはそう呼べ。」

「海憐。」

「そっ。」

「海憐。」

「そ。」

「海憐。」

「・・・。」

「海憐・・・??」

「しつけーんだよ。何だよ??」

「海憐って名前、私、好きだよ。」

「えっ?」


私と同じ反応。
少しだけ、ううん、とっても可愛い。
男の子のこと、いや
不良を可愛いなんて思えないけど私は思う。


「あ・・・どーも。」

「くすっ。」

「しっ、仕方ねーな。んじゃ、ゆっくりで
走ってやるよ。空色のために。」

(今、空色っていった? 海憐・・・・)

「ありがとっ、海憐。」



二人を乗せたバイクが走る。
海と空は同じあおいろをしていた。