イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第10話



ここ、どこだっけ…。

たくさんの木が生い茂る中に、ひっそりと建っている家。

?「お父さん、かいと!はやくぅ!」

突然ひょっこりと、その家から少女が出てきた。

――思い出した。これは、4年前の光景。

これは、夢。分かっても、抜け出せないけど…。

父「ごめんな、今行くから。」

母「ほんっとに楽しみなのね。」

か「だってあいつら待たせてるもん!」

る「そうだよ、遅刻しちゃう」

お父さん、お母さん。そうだ、いつも見送ってくれてたっけ…。

瑠「…っ」

――すごく悲しくなってきた。もう会えないと思ってたのに。

る・か「行ってきます!」

瑠(ハッ)

8歳の私と4歳のかいと、そしてお父さんは歩きだした。

獣道を歩き、辿り着いた先。そこに居たのは…

る「フュイ、フェイ!お待たせ!」

か「準備できてるか?」

金髪で青い目の、双子の少年少女。

フェ「おじさん、今日もサッカー教えて下さい。」

フュ「準備なら3分前にできてるよっ!」

礼儀正しいフェイ、おてんばなフュイ。

私達は、いつもこの空き地で、このメンバーで、お父さんからサッカーを習っていた。

父「よおし、まずは準備運動だ!」

フュ・フェ「そんなのもうやったよ~!」

見事にはもった双子らしさに、笑いが起こった。

―そして1年後。

父「次はシュート練だ!」

フェ「よし、来いルリカ!」

る「行くよ!」

思いっきり蹴られたボールは、フェイごとネットに刺さった。

る「だっ、大丈夫?!」

あ~、もう一回謝りたい!

フェ「いまのシュート、すげーな!」

か「るりねえ、すごいっ!」

フュ「うん、やったね。」

る「やったねじゃないよ、ごめんね、フェイ。」

フェ「大丈夫!」

父「今のは世界に通用するシュートだな。」

なんてお父さんは言ったけど、6歳の子供に世界レベルのシュート食らわした私を怒って下さい、って思ってたな。

そんなこんなで月日は流れて、今から2年前。

この頃から、科学者である両親はやつれだした。一日に十回は会社の上司と連絡を取るようになって寝不足が続いていた。

必死に紙の山と戦っているように見えた。

私達には教えてくれない。

家と続く不思議な体育館のようなものを作った。

そしてなぜか安心していた。

母「いい、絶対に外に出ちゃだめよ?」

こうお母さんに言われ、時々フュイたちを呼びながら過ごした。

なぜ出てはいけないのか。あまり不審に思ってなかった。

ところが、この島は、私達姉弟の知らない所で、

狂い始めていた。

そのことを気にし始めたのは、フェイ達が泣いてやってきた日。

フェ「おどうざんとっ、おがあざんが…」

フュ「しんじゃったの…っ!」