幻想終着点 [ inzm11/BSR ]

作者/ 桃李 ◆J2083ZfAr.



【円まこ】



 太陽みたいな笑顔で、サッカーボールを蹴り続ける姿は私の目には輝いて見えた。
 じゃくしょーだから皆、俺とサッカーしてくれないんだ。そう語る哀しい瞳を見て、そんな情けない仲間の代わりになりたいと本気で思った。

 あたしが一番、円堂ちゃんのこと想ってるのに。
 どうして気付いてくれないの? あたし、サッカーしてる円堂ちゃんのことずーっと見てきたよ。あの髪がぴょんと跳ねた女の人よりも、大人っぽい顔して高飛車なことしか言わないお嬢様よりも、赤い眼鏡かけた藍色の髪の女の子よりも、か弱そうなラベンダー色のあの人よりも。あたしのほうがサッカー好きなのに。あたしのほうが、円堂ちゃんのサッカーも、円堂ちゃんも好きなのに!
 ねえ、どうして?

「俺、世界に行く。それで、もっと強いヤツとサッカーするんだ!」

 どうして皆、円堂ちゃんを遠くへ連れてっちゃうの? あの女の子たちは一緒に行けるのに。あたしだって行きたいのに。円堂ちゃんの隣に居たいのに。

「えんどーちゃん、」

 どうしてあたしには、モノクロのサッカーボールを蹴りながら待つことしかできないの? ――あの時も、今日も。