罪とDesert Eagle~

作者/檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc

第三話「学園長」


『待っていたよ、ガキ。早くこっちこい。』
――――体育館に入ったとたん言われた言葉がこれだ。まったくこれでも【学園長】かよ……――――
体育館には、防弾チョッキにヘルメット(どちらもケブラー。本格的だな)という服装の人間が五人。各自の武器を持っている神奈、灯。首から双眼鏡しか下げていない策士。それと長身の白衣の男、スーツケースを持っている。眼帯をかけているがっしりとした男。そして……
「和くん、おはよう!」
――――羽岬姫だ……――――
白い髪をサイドテールにしているチビがそこにいた。
「ああ、おはよう。姫。」
適当に挨拶をした途端、社に肩を叩かれた。
「君、今この状況をわかっていないのかな? 本当に君は……」
「やば! すいません。学園長」
「まったく、これだからガキは…… そこに並べ」
――――いずれか学園長をぶっとばす――――
俺らは一列に並んだ。そして学園長を見た。23班の面々を見てふと思った。
――――翆蘭と一緒にやりたかったな……――――
狼竜逮捕の後、やはり23班の突撃会が多いということで解散し翆蘭が抜けた。班の構成上無理があったのは認めるがやはり悲しくなる。
「今回の任務は……ま、この書類を読んでいるはずだから分かっているだろう。」
学園長は、紙を懐から出した。その紙は、神奈が無理やり剥がして持ってきたものだった
23班はそれを見た途端息をのんだ。


「任務……ランクS
任務の内容……受け入れてからいいます。大体の内容はテロリストの討伐です。
報酬……1000000の単位
受託単位……0
なお、この任務は危険ですので注意してください。もし亡くなった場合こちらは責任を負いません。
依頼人……公安専門学校。


「「こんなの知らねえよ! 帰らせてくれ!」」
俺と社が学園長に詰め寄った。
――――ふざけるな! 俺らを殺す気か?――――
――――まず、候補生がすることじゃないだろ! 自分は嫌だ!――――
「ええと、目標は『闇の医者』です。そいつらをなるべく捕まえてこい。あと能力についてだが……」
「「人の話を聞け! このババア!」」
「ババア!? まだ紅さんは若い!」
――――お! ババアが乗ってきたぜ。やってやろうじゃないか!――――
「年はどうしようもありません。今年中に死ぬでしょう」
「加齢臭がそろそろ出始めるだろう。自分にはよくわかる」
「……と……とにかく、能力は【一つの人格に一つだから】。そこのとこよろしく!」
ウインクをして学園長は舞台袖に歩いて行った。
「このままで許せるか? 策士、社」
「許せないな。だろ? 策士」
「同感」
自らの過ちを棚に上げることには天下一品の俺らは学園長に襲いかかった。
「「「ババア! 潔くクタバレ!」」」
学園長、いやババアは俺らを見てにやりと笑った。
「あ、そういえば。通信係は榊郁音だったけど? そんなことをしてて大丈夫なのか?」
俺らの反射神経が素早く動いた。
「は! 別に姉貴は関係ないし! しかし、今日は他の人がいるからここまでにしてやる。助かったと思え」
「「そうだ。」」
――――全然、大丈夫じゃねえ。 実験体(モルモット)にされたら俺は……――――
「じゃあ、伊月先生よろしく~」
スキップをしながら帰って行った…… ババア…… 覚えとけよ!
並んでいる俺らの前に白衣の男が立った。こいつ……俺らを見下していやがる!
「体育学部保健科教師 樫伊月だ。自己紹介は移動の時にしろ。まず作戦を伝えるから」
こうしてランクSの任務が始まった