罪とDesert Eagle

作者/檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc

どたばた短編集♪

『今年の年末は厳かに過ごすぞ!』


大晦日暗い部屋の奥で、ソファでゆっくり寝ている佐久穂轍。彼の顔は一目で【退屈】という顔をしていた。
「『ガキの使いあらへんで』という番組は我には合わん。もっと、カオスを求めようじゃないか」
 そうつぶやくと指を鳴らした。
この指がとんでもない大問題が起きることになる……




年越しはどうすごすか。これはとても重要事項だ。なぜなら――――

「くそ! 面白そうな番組が一緒だと! 鐘を突きに行くのに必要な時間は……」
すべてを楽しむには規則正しく生活しないといけない!!
なにがあっても、ハプニングだけはないように今日は生活するぞ!
「しかし、姉貴は遅いな~。いつの間に消えていたし…… ま、いいか!」
さァ、待ちに待った鐘つきだ!
温かいジャケットを羽織、そばのお寺に向かおうとしたときこの前新しくした(俺がぶっこわした)扉が開いた。
「姉貴、遅いよ。早……??  お前誰?」
茶色が混じった黒のポニーテールに、茶色の瞳をしている少女が扉の傍に立っていた。
「こっちも聞きたいよ。あなたはだれ!?」
少女が突っ込んできた。しょうがない女の子だからやさしく、やさしく。
「榊和という国家特殊公安官候補生だよ。お前の名は?」
「アリーよ。」
「迷子ですか?」
迷子の可能性もある。ちゃんと【保護】しなければ……
「あのね、私のことを少女扱いしないでよ! 私は15歳よ!」
「すいませんでした! 身長150cmぐらいだと思ったのでつい。」
150cmの女子に頭を下げる170cmの男って…… 姉貴の教育、恐るべし……
「まったく。で、国家特殊公安官って何?」
「はい?」
アリーは、国家特殊公安官を知らないだと!! なんということだ!!
「頭大丈夫ですか? 119しましょうか?」
「しなくていいわ。ここは私のいる世界とは違うみたいなの」
まさかの中二病ですか! せっかくの正月が……
「どこの世界から来たのですか?」
「天使や悪魔、堕天使もいる世界よ。ここでは、魔法の威力は小さいけどできるよ」
「ほう、やってみろよ」
ははは! 生き恥を書くがいい!
「ライアス!」
光が俺の体を包み、ふっとんだ。
椅子やテーブルの角に体のあちこちをぶつけた……
いてぇ…… なんだ? 能力か?
「これでわかったでしょう? さぁ、国家特殊公安官って何!」
「ちぇ。犯罪者から人々を守る職業だよ。」
「警察官みたいなもの?」
「確かにそうだな」
「ふ~ん」
アリーは腕組みをしてうなずいた。(じゃ、ルエを守ることもできるのね)
「他に聞きたいことはないか?」
もし、聞きたいなら詳しく話してあげようじゃないか。
「ないわ」
即答で答えた――――
そこまで興味ないのかい!
「じゃ、鐘つきに行こうか」
「いいね。行こうよ。」

出かけようとしたときだった。

ド~~~~~~~~~~~ン!

【新品のドア】がふっとんでいった。ドアはボコっとへこんでおり、どう見ても重機で殴った後があった。煙の中から茶色の髪に赤い目で剣を持った男と長髪の狩人が現れた。
「HAHAHA! まだまだ甘いぜ!」
「お前、これ壊していいのか?」
「HAHAHA! いいに決まっているだろ!」
そんなこと誰が決めた。
「俺の王道の邪魔するものはゆるさねぇ!」
ほう、邪魔してやろうか。
剣を持った男の前に俺はカッコつけながら現れた
「お前、なにものだ!」
「お前こそ、なにものだ!」
二人の目線がぶつかりあい火花が飛び散って見えるだろう。
「殺してやろうか!」
「『最凶の勇者』の名は伊達じゃねぇ」
「『主人公』の名は絶対だ!」
主人公が勝つ! これはもう決まっていることだ!
「まぁ、まぁ。二人とも落ち着いて。」
俺らの間に蜂蜜色の髪でロングヘアー。黒のリボンでひとつ縛りにしているどっかのRPGのキャラみたいなやつが割り込んできた。
「「うるせぇ!」」
俺らの喧嘩を邪魔するというのか。いい度胸だな。
「ちょっと休戦しないか?」
「おう、俺もちょうど思ったとこだ。」
「お前の名はなんだ?」
「ユウトだ。よろしくな。」
「和。榊和だ。よろしく」
俺とユウトは固い友情に結ばれた。よかった、よかった。
「ねぇ。なにやってるの? 早く鐘突きに行こうよ」
アリーが話しかけてきた。確かに行きたいのもやまやまだが、こっちにも【面子】がある。
「「お前、だれだ? 俺らの喧嘩を邪魔する奴は馬に蹴られて死んでもらおう」」
RPGキャラに向かって友情コンビは戦闘を仕掛けた。
「ま……待つんだ! 俺は、喧嘩を止めただけで……話せばわかる!」
「○ガト○パ○チ!」
「死亡フラグだわ!」
二人の固い拳は長髪に向かった。的確なほどにそろっている拳達は友情を表していた。
「やめなさい! 早くいくわよ!」
こうして俺ら(ユウト、俺、長髪)は光に包まれ吹っ飛んで行った……



「「「すみませんでした」」」
お寺で謝罪会見を行っている俺ら三人……
「落ち着けばいいのに…… まったくなんですぐ喧嘩になるのかな~」
溜息とともに笑ったアリー…… かわ…… いかん! 邪念を払うためにここに来たんだ!
「説明、遅れたね。俺の名は――――」






「男A」
「いや違う。長髪だ」
「RPGキャラでしょ」
「ちっがーう! なんだそりゃ男Aって。モブキャラか! 長髪なんて名前じゃないだろ! RPGキャラって……」
「「「よっ! ツッコミ!」」」
「……俺の名はフォンシエ・コンテスティなのに……」
「どんまいよ」
「ありがとう。後でお茶奢るよ」
ん? これは危険な雰囲気……
「いいの! フォンシエさんやさしいな~」
「いいえ。これぐらい普通のことですから」
正反対コンビが談笑しているぞ。これはいけないことじゃないのか?
「なァ、ユウト。」
「? なんだ?」
「天使のアリーと、くさった死体の男Aがいちゃついてるぞ」
「それはいけないことだな。すこしばかりお仕置きするか?」
「いいね! やっちゃおうぜ!」
俺は銃を片手に、ユウトは魔剣を手に飛びかかった。
「それでね…… ? お前ら、止めろ!  止めてく……」
同時に脳天へ武器をぶつけてやったぜ☆

俺らは、順番が来るまで楽しく自分の世界について話していた。
「ギルベルトというやつがさあ、これまた強いんだよ」
「そうなんだ! なんで?」
「勇者だからだってさ。もうチートでね」
「そいつと殴りあいたいな。俺『主人公』だし」
「俺は、『最凶の勇者』だし」
「なんで喧嘩になるの! まったく……」
こうして楽しく談話していた。

「次の方どうぞ!」
係員が柵を通らしてくれた。順番は俺、ユウト、アリー、フォンシエだ。
「じゃ、俺からな」
「待て、一緒にやろうぜ」
今、ユウト笑ったな。さては……
「○×△※%#‘&*+」
耳元でユウトがささやく。
「なるほど~さすがだな。ユウト。じゃやるか」
二人で仲良く綱を握り、【おもいっきり】綱を引いた
「「いけいけドンドン!!」」








【鐘楼がふっとんでいった】





「さぁ、帰ろうぜ」
「そうだな。ユウト!」
「「HAHAHAHA!」」
俺ら(二人)は仲良く帰った。呆然としている人々たちを残して


とはいかなかった。
「なにやってるの!」
「お前ら、ギル並みの馬鹿か?」
「「すいませんでした」」

こうして、年末を過ごした。

姉貴がどうなったか?
彼らと別れて帰ってきたら【鎖】を持って玄関で立ってたよ