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*46*
真奈はおどおどしながらも、ちゃんと説明することができたようだ。
彼女の話を聞き終わった後、浅井は笑みを浮かべていた。
しかし、浅井は満面の笑み、という感じではなかった。
そんな様子に気が付いた真奈が浅井の顔を心配そうに覗き込む。
だが、浅井は大丈夫、か何か言ったのだろうか。
真奈は頷いて浅井の後ろに並んでいた。
てか、浅井が泣きそうな笑いを浮かべてたのって、友達発言気にしてるからだよね?
あー、本当に真奈ってば面白いわ!
そんなことを思っているうちに、あたしは爆笑していた。
そんなあたしを真奈は見ていたようだ。
彼女と目があった。
しかし、彼女はあたしが爆笑している理由が全く分からないでいるらしい。
首を傾げている。
そんな彼女の様子を見て、険しそうな顔をしている隣のイケメンくんに声を掛けて、真奈の所へ向かった。
「いやー、真奈。あなた、傑作だわ!」
「け、傑作!?」
「こんなに天然な少女、あたし見たことなかったよー?」
「俺も初めて見た。いやー、でも何か嬉しいね。ライバルの位置が確定されてると」
「なんか悪い事言われてる気がします」
「大丈夫よー?褒めてるの」
「そうだよ?綾川さん。俺は褒めてるんだ」
「そ、そうなの」
逢坂くんに見詰められながら言われたからか、そう言って顔を真っ赤にしながら俯く真奈。
本当可愛いなぁ。
「どうしたの?」
逢坂くんが心配そうに真奈の顔を覗き込む。
お前も天然かい!
あたしは心の中で突っ込むが、天然ワールドは止まることを知らない。
真奈はそれに驚いて、暫く2人で見つめ合っていた。
そんな状況にあたしは耐えられず、思わず2人の間に割って入ってしまった。
「はい、そこー。イチャつかない」
「い、イチャついてなんかいないよー!」
「冗談よ、冗談」
「美樹ちゃんってば冗談言ってる風には見えなかったよー。絶対本気だった」
「どうしてそう言えるの?」
「目が本気だった」
「…あはは」
「え?何か間違ったこと言った!?」
「そんなに焦らなくても大丈夫よ。ただ、本当に真奈って面白いなーと思って」
「え!?私の!?どこが!?」
興味津々というような感じで真奈はあたしに詰め寄った。
そんな真奈の反応を見て、意外、と思って一瞬顔に出してしまったあたし。
でも、すぐに明るい笑顔に戻った。
「そんなの決まってるじゃん!裏表のないところ!」
「裏表のないところ…?」
「女子では珍しいよ〜?」
「そうなの!?それじゃあ、美樹ちゃんはどうなのっ!?」
真奈が意気込んでそう聞いてきた。
そんな直球で来るのか。やっぱり天然は天然ね。
そんなことを思いながら薄笑いを浮かべたあたし。
そんなあたしの笑顔の急変に真奈は驚いてか、
「どうしたの…?」
と心配そうに尋ねてきた。
あたしは、そんな彼女を見た後、浅井の方を見ながら言った。
「う、ううん。ただ、あたしにはさ…」
「あたしには?」
「裏表、あるよ」
そう言ったあたしは完全に自分の感情を制御しきれていなかった。
今まで被っていた仮面に少しひびが入ったような感覚だった。