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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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真奈はおどおどしながらも、ちゃんと説明することができたようだ。
彼女の話を聞き終わった後、浅井は笑みを浮かべていた。
しかし、浅井は満面の笑み、という感じではなかった。
そんな様子に気が付いた真奈が浅井の顔を心配そうに覗き込む。
だが、浅井は大丈夫、か何か言ったのだろうか。
真奈は頷いて浅井の後ろに並んでいた。

てか、浅井が泣きそうな笑いを浮かべてたのって、友達発言気にしてるからだよね?
あー、本当に真奈ってば面白いわ!

そんなことを思っているうちに、あたしは爆笑していた。
そんなあたしを真奈は見ていたようだ。
彼女と目があった。
しかし、彼女はあたしが爆笑している理由が全く分からないでいるらしい。
首を傾げている。
そんな彼女の様子を見て、険しそうな顔をしている隣のイケメンくんに声を掛けて、真奈の所へ向かった。

「いやー、真奈。あなた、傑作だわ!」

「け、傑作!?」

「こんなに天然な少女、あたし見たことなかったよー?」

「俺も初めて見た。いやー、でも何か嬉しいね。ライバルの位置が確定されてると」

「なんか悪い事言われてる気がします」

「大丈夫よー?褒めてるの」

「そうだよ?綾川さん。俺は褒めてるんだ」

「そ、そうなの」

逢坂くんに見詰められながら言われたからか、そう言って顔を真っ赤にしながら俯く真奈。

本当可愛いなぁ。

「どうしたの?」

逢坂くんが心配そうに真奈の顔を覗き込む。

お前も天然かい!

あたしは心の中で突っ込むが、天然ワールドは止まることを知らない。
真奈はそれに驚いて、暫く2人で見つめ合っていた。
そんな状況にあたしは耐えられず、思わず2人の間に割って入ってしまった。

「はい、そこー。イチャつかない」

「い、イチャついてなんかいないよー!」

「冗談よ、冗談」

「美樹ちゃんってば冗談言ってる風には見えなかったよー。絶対本気だった」

「どうしてそう言えるの?」

「目が本気だった」

「…あはは」

「え?何か間違ったこと言った!?」

「そんなに焦らなくても大丈夫よ。ただ、本当に真奈って面白いなーと思って」

「え!?私の!?どこが!?」

興味津々というような感じで真奈はあたしに詰め寄った。
そんな真奈の反応を見て、意外、と思って一瞬顔に出してしまったあたし。
でも、すぐに明るい笑顔に戻った。

「そんなの決まってるじゃん!裏表のないところ!」

「裏表のないところ…?」

「女子では珍しいよ〜?」

「そうなの!?それじゃあ、美樹ちゃんはどうなのっ!?」

真奈が意気込んでそう聞いてきた。

そんな直球で来るのか。やっぱり天然は天然ね。

そんなことを思いながら薄笑いを浮かべたあたし。
そんなあたしの笑顔の急変に真奈は驚いてか、

「どうしたの…?」

と心配そうに尋ねてきた。
あたしは、そんな彼女を見た後、浅井の方を見ながら言った。

「う、ううん。ただ、あたしにはさ…」

「あたしには?」

「裏表、あるよ」

そう言ったあたしは完全に自分の感情を制御しきれていなかった。
今まで被っていた仮面に少しひびが入ったような感覚だった。


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