完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~

*63*

そんなこんなで気付けば中間考査当日となっていた。
そして朝から美樹は

「真奈ー!どーしよー!あたし、他の教科、何の勉強もしてないよー!」

と、私に抱きついてくる感じで…。

「美樹、もうしょうがないよ。そこは授業中にやったことを思い出してやるしかないよ」
「もっとフォローしてよ…」
「フォローのしようがないなぁ。えーっと…」
「馬鹿正直に答えなくてよろしい」
「え?」

私が会話を理解できないでいると、後ろから声を掛けられた。
この声は凜だね。

「おはよ」
「おはよ、凜」
「おはよー!あ、浅井!浅井は勉強した?」
「は?テスト勉強ってことか?」
「うん、そう!」

そう言って、期待に目を輝かせる美樹。
しかし、彼はそんな彼女を見て憐みの色を含んだ目で見下ろしながら言った。

「俺が勉強してないわけねーだろ?」

そして、そのまま立ち去って行った。
美樹は凜の言葉に頭を抱えて蹲ってしまった。

「うわー、終わりだー!ついに終わりだー!」

なんて叫びながら。
しかし、そんな叫びを聞いても時間は冷酷だ。
刻々と秒針は進んでいき、いつの間にか私達は着席し、妙な緊張感を味わっていた。
何の音も聞こえない教室。
誰の息遣いも聞こえてこない。
聞こえてくるのは遠くの方で先生であろう人のスリッパが廊下を歩く音だけ。
やがて、先生の「始め!」の合図で一斉に問題用紙を開き、解答用紙に学年と名前を記入していく私達生徒。
そして、問題を解き始める。

今日の1時限目は国語?。
いきなりハードなものが来たものだ。

2時限目は数学?。
これは、大分前から問題を添削していたので、難なくクリア。

3時限目は物理。
最後の集中力が切れる頃になぜ持ってくる?と疑問を抱いてしまう教科だ。


――1日目の試験終了後

「ま、真奈。あたしは今日、死亡する」
「出来栄えが悪かったんだね」
「…うわーん」

そう言って、泣きつく美樹。
しかし、私には励ましの言葉が見つからない。

「ごめんね。何も言えなくて。私、こういうの慣れてなくって」

そう言って、力なく私が笑うと美樹は顔をあげながら

「大丈夫よ!そんなこと、気にしなくていって!あたしは真奈が隣に居てくれればそれで十分だから!」

と言ってくれた。
本当に、美樹は優しい。

もし彼女の心の中に闇があったのだとしても、私はそれを受け入れよう。
私は彼女の全てを受け止めたい。

そう決意した瞬間だった。

「ん?どうしたの、真奈?ぼーっとしちゃって。あ、また逢坂くんのこと考えてたんでしょー?」
「ち、違うよ」
「じゃあ、どうして動揺するの?」
「まさかそんなことを言われるとは思って」
「はい、考えてたねー。絶対考えてた!」

…前言撤回しようかな?

「ま、とにかく今日は帰って明日に備えないとねー!」

そんなことを呑気にいながら鞄を手に持った美樹。
私もそれに倣って鞄を背負う。

「よし、帰ろう!」


――こうして4日間続いた中間テストは終わりを告げた。





62 < 63 > 64