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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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*75*

――数時間後

「那覇空港、到着だぜー!」
「ついに沖縄、来たぁ――――!」

口々に感動を声に出しながら、那覇空港に到着した。
キャリーバックはというと、直接宿泊先のホテルへと輸送されている。

「はいはい、他のお客様に迷惑が掛かりますので、もう少し静かに」

日野先生が真面目な顔でそう言うと、女子も真剣な顔つきになった。

あれ…?
女子ってこんな単純な生き物でしたっけ?

「それでは、今からバスに乗りますよー。A組から着いてきてください」

A組の担任の先生が日野先生に代わって、先頭を申し出た。
その様子に、A組の女子は肩を落としていたが。

「あはは〜、皆可愛いね〜」

美樹が私の後ろで爆笑している。

ん?私の後ろ…?

「って、何で美樹がここに居るの!?」
「今更ですか」
「え?」
「大分前から居ましたけど?」
「え!?でも、石島くんは?」
「ふふふ。そこ、聞いちゃいます?」

怪しげな笑みを浮かべた美樹。
これは危険信号だ。
触れないでおこう。

「そういえば、美樹は…」

私は言葉を一度そこで区切り、前の人物を指差す。

「好きなんだよね?」

私の行動に少し動揺しながらも、美樹は茹蛸みたいに顔を真っ赤にしながらコクコクと頷く。

「じゃあ、私、順番変わるよ」

そう言って、私は美樹の後ろに並ぶ。

「え!?でも、それは駄目でしょ。仮にも名簿順なわけだし…」
「15番も順番抜かししてる美樹に言われても説得力ありません。そういうわけだから、美樹の位置はそこね!」

私は強引に美樹を私の前に留まらせた。

「絶対先生にバレルよ…」
「大丈夫だよ。日野先生に言っとくから」
「真奈さん、それだけはやめてください」
「…ふふふ、何それー」
「そっちこそ!」

こうして笑い合っていると、次はB組の移動となった。

「お!もう移動じゃん!」

美樹は凜が前に入るからか、少し上擦った声で嬉しそうに言う。
私もそんな美樹を見ているのが幸せで、自然と笑みが零れてしまう。

「ほらほら、真奈!早くいくよ!」

美樹が私の手を引いて歩き出す。
一瞬手を握られたことに嫌悪感を感じたが、美樹が私の手を握っているのは、なぜか許せてしまった。

今までは、凜でさえも握られたら嫌だったのに…

私は自分に疑問を感じながらも、手を握り返す。
すると、私が握り返したのに気が付いたのか、前を向いて歩いていた美樹がこちらを振り向いて笑っていった。

「大丈夫!あたしはここにいるからね!」

この瞬間に私は初めて”記憶の続き”を見た。
あの桜並木で交わした約束の続きを…。

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