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*78*
「UNO!」
「は!?美樹、マジかよ!」
逢坂くんが驚いた声を上げる。
私だって驚いた。
なぜなら、開始数分で、美樹の手札があと1枚になったからだ。
「ふふ〜ん!だから言ったでしょ。あたし、UNOだけは負けたことないから」
「こっから巻き返す」
逢坂くんが本気モードに入ったようだ。
…しかし数秒後。
「あっがり〜!お菓子奪還作戦成功〜!てなわけで、逢坂。返して」
美樹は逢坂に満々の笑みを浮かべながら手を差し出す。
逢坂くんは苦笑いしながら、先程貰ったばかりのお菓子を差し出す。
「美樹、本当に強いなぁ〜。何か手品でもあるの?」
「それ、俺も聞きてー」
「私も気になる」
私達3人の興味津々、と言うような目を見て美樹は少し身動ぎする。
しかし、すぐにポーカフェイスに戻って
「教えな〜い。というか、手品なんてないよ〜?勘ってやつ?」
なんて適当な事を言っている。
「教えてくれたっていいじゃないか」
「嫌だね。教えた瞬間、もう一回決闘を申し込まれそうだし」
「勿論さ」
「尚更無理ね」
そんな会話に笑い合っていると、ガイドさんの声が聞こえてきた。
「間もなく、ホテルに到着いたします。お荷物をおまとめください」
「わー、もうホテルに着くの?早いね〜」
美樹はお菓子が返ってきたからか、鼻歌を歌うような勢いで荷物をまとめ始める。
私達、他3人もそれにならって、荷物をまとめる。
「いやー、バスの中だけでかなり波乱の修学旅行を過ごした気がするよ」
逢坂くんが名残惜しそうに、美樹の手のひらに収まっているお菓子を見つめながら言う。
そんな逢坂くんの視線に気づいてか、気付かずか、美樹がお菓子をひらひらと周りに見せびらかすような動きを見せながらゆっくりとリュックへと終う。
「それは徹って言うより、お菓子の方が波乱だったろ」
凜がまともな突込みを挿む。
「確かに、そう言われればそうだね」
私はそれに賛同し、クスクスと先ほどのことも思い浮かべながら笑う。
「お菓子に感情はないじゃない」
そして何よりも現実な事を言う美樹。
「感情はないけど、比喩ってもんだよ」
前言撤回。
もっと現実的な人がいました。
「まぁ、そうだけどね!?」
そう言って、リュックを背に背負う美樹。
それと同時にバスが停車する。
「ホテルに到着いたしました。皆さん、足元に気を付けて下車してください」
ガイドさんの声と共に、バスの扉が開き、皆が一斉に降車し始める。
私達もその流れに乗って、バスの外へと出た。
そして、その第一声が…
「あっつ!!」
だった。