完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~
*49*
四章残された希望論
誰もいない土地。風化した文化。そこに生きる魔物。殺伐としたその地に、狼は居た。かつては海辺の町として、穏やかな雰囲気をもったジュレットは、今や魔障が吹き出している。ウェディの姿はもうない。
「滅んじまえば、良い景色もクソもねぇな。」
光は届かず、暗く、淀んだ地。宿屋であったのか、ベットには無惨なほどに銃痕しかない。
「フ、クハハ・・・。何をやってるんだよ。俺は・・・・。」
雲は見えない。いや、わずかに暗くなったのは雲がかかったからか。
雨が降り始めた。頬を伝う水分は、魔障により黒く淀んでいる。闇に染まっている。雨に濡れる町に表情はない。もう、終わっているんだ。
「なぁ、神様ってのがいるなら・・・。教えてくれよ。何であんたを俺は・・・、越えちまったんだよ。」
降り注ぐ雨は、止んでしまった。すぐに、そうすぐに・・・。
それでも、淀んだ水は俺の頬を伝い、流れていく。雨なんかじゃ、水なんかじゃ、俺は清めらんない。滴る水を赤くしたって、黒は消えない。
背負った重荷は、人では収まらなくて・・・。
雨には、流れてはくれない。
PR