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五章空虚な持論
「全く、めんどくせぇ。やなことばっかだなぁ、世界ってのはよ。」
二人で風呂から上がり、今は腰にタオルを巻いた状態だ。そんな中、忌瀬は前触れもなく語り出す。右手には、ビールを握っていた。
「世界は大きい、とか言ってたのによ。統一はあっという間じゃねえか。まぁ、同僚はゴミみてぇに死んじまったけどよ。しかし、下からじゃわからねぇ、見えねぇもんはあるもんだな。っておい、それ・・・。」
忌瀬の愚痴に飽きたのか、狼は酒を探していた。ビールは好きではない。もっと、強めの度数・・・、そうだな、ウイスキーが良い。
「ウイスキーじゃねえか。」
「あぁ、要るか?」
悪びれもせず、酒を進める狼を忌瀬は見て、苦笑する。
「いらねぇよ。お前、風呂上がりに未成年がウイスキーって死ぬぜ。血圧上がりすぎってな。若いのは無謀なことをよくするが、これじゃぁただの自殺だぜ。」
忌瀬の忠告を聞くも気にせず、ウイスキーを口に運び、狼は笑いながら答える。
「そこまで、柔じゃねぇよ。ましてや、若者って年でもねぇしな。かはは、俺は肝臓を始めとする内臓器官まで化け物なんだよ。」
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