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*50*
四章残された希望論
かばが襲ってきた。正確にはかばの魔物である。ヒッポキングといえば、弱くはない。それが狼の前に立ちふさがっていた。血走った目は魔障により正気を失っていることを示している。それが五体。
「うぜぇ。」
狼は獲物を取る。黒くまがまがしい双剣である。彼しか使うことのできないそれは、光を黒く淀ませて反射し、見る者は戦慄する。
剣を構え、息を吐く。ヒッポキング達は、斧を強く握り、鼻息荒く彼を見据える。
「・・・消す。」
それが合図となった。狼は一体に近づき、ムーンサルトを決める。続けて、着地にあわせて剣を振るい、二体をその斬撃で切り裂く。斬撃は、ヒッポキングだけでなく、後ろの廃墟をも切り裂いた。残る二体の内、一体に駆け寄り首を切り飛ばす。そして、首の無い体を最後の一体に蹴り飛ばす。反応できずによろけたヒッポキングを蹴り飛ばした遺体ごと双刃で四つに切り裂いた。
一連の動作に無駄はない。躊躇いなど、微塵も感じさせない。その上、ヒッポキング達には動く隙さえも許さない。圧倒的な速度だった。
最も恐ろしきは、はじめの一体を絶命させたことである。普通、ムーンサルトごときではヒッポキングは死なない筈である。
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