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五章空虚な持論
戒学李は、優秀な人間であった。心理学を研究し、人を救うこと信条としていた。
彼は平凡な家庭に生まれ、平凡な生活を行い、不自由なく暮らしていた。人は彼を尊敬し、彼は人を尊重していた。誰しも彼の実力を認めていた。彼も人を信じていた。
だが、それは揺らぐ。一人の男との出会いにより、揺らぐ。
‘それは、誰の意味を示すか、分かる人がいると思えるか?’
‘騙されたと信じられないのは、騙されることを信じていないからだろうか?’
‘自らが人であると定義する。それは間違いでないと定義できないはずではないと思わないか?’
回りくどく、印象深い言葉。自らを崩されるような空気を持つ男。その男の出会いがきっかけとなり、
戒学李は人でなくなった。
人の形をしたものに・・・。
知識欲を存在の主柱として・・・。
邪学者、戒学李は、
人を越えていた。
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