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*125*
「……何だこの女……」
「どうみたって神光国家の遣いでしょ」
雷撃を浴びた櫟に肩を貸しながらリムを見て警戒する聖。
軽口を喋るところを見てあまりダメージは追っていないことが櫟から見られる。
だが、花京院はリムを見据えながら2人に言った。
「……お前らは後ろにいる無地虫どもを任せる」
「でもさ!そいつ、ソウルブレイブ使いなんだろ……?かぐやさんが言ってた!神光国家の6人は……」
「俺も今回は聖に賛成。3人でかかればすぐ片付く」
ごく、と生唾を飲みながら聖と櫟は何も言わない花京院の背中を見た。
リムは無表情に花京院を見つめるだけだ。
そして花京院は言った。
「CランクとそこらへんにいるBランクが笑わせんな。むしろ邪魔なんだよ。それに……こいつとはどんな意味でも決着を着けなきゃあいけねぇんだ。だから……」
「わかったよ」
むすっとしながら聖はため息をついた。
不満はあるが、納得した様子だった。
それは櫟も同じ。
「行くぞ」と小さく肩を貸している櫟に言うと、タン、と2人は高く舞い上がりその場から姿を消した。
No29 復讐
「……私は別に3人がかりでも構わなかったわ」
「はっ。ざけんな。足手まといなんだよあれは。1人“こっち”のほうがやりやすい」
リムの言葉に笑みを浮かべながら如月を構える。
その瞬間、リムの表情が冷たいものになった。
「ねえ、覚えてる?高校生の時、あなたも私も色々あったけど――何だかんだで恋人って呼ばれて、私もあの時凄く幸せだった。……でも今は……」
(……何か来る……!)
悲しそうに目を伏せるリム。
その瞬間、電気を帯びた翼がリムから飛び出す。
そしてその翼が花京院に襲い掛かる。
「ぐぁぁぁあああああああっ!!!!」
如月では防御しきれず攻撃の大半をその身に食らう。
バチバチ……。と帯電しながら花京院はよろめく。
「でも今は……それも全部…悪夢よ!!!この世の全て!!!!」
「リム!お前、両親が殺された数年に何があったんだ!」
「黙れ!」
ヴン、とリムは電気の鎌を作り上げる。
そして、その鎌を花京院に振りかざした。
――――ギィィィィン!
ギチギチと音を立てて花京院は彼女の鎌を受け止める。
そんな彼を見てリムは不愉快そうに顔を歪めた。
「空悟、あなたも随分と腑抜けたものね。私は復讐の為だけに生きてきたのに……」
そう言ってリムは鎌を見つめる。
花京院は牙をむき出しにした。
「……復讐…!?どういうことだ」
「全てよ!私から両親を奪ったこの日本!この世界!放電する粒子“パラポラレギンス”!」
「くっ……!」
小石のようなものが宙に浮かぶ。
そこから電流が四方左方に流れ込む。
花京院は素早くジャンプしたり転がったりしてその攻撃から逃れた。
リムの目は、殺意。それだけだった。
そして彼女は迷うことなく電気の鎌を花京院に斬りつける。
「空悟………くっ!お前も同類だ!!死ね!!」
――ザグッ。
花京院の肩が抉られる。
ハッとした様子でそれを見たリムは慌てて鎌を引こうとする。
だが、花京院はニィと笑ってその鎌を掴んでいた。
そしてリムをギッと睨みつけると大きく叫ぶ。
「確かに俺は腑抜けたかもしれねぇ……。けどな、こうなったのは竜堂かぐややその周りの人間のお蔭だ!けど俺はそれを腑抜けたとは思わねぇ!そんで、それをバカにしたリム!お前は許すわけにはいかねぇんだよ!」