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*126*
「許す許さないなんてどうでもいい。只私は生きる意味を教えてくれたクローディア様のために。そしてこの国を壊すために働くだけ」
「それが違うって言ってんだ!」
「喋るな」
「が……っ」
バチィィィ……。
と、花京院が掴んでいる鎌に電流を送り込む。
彼の力が弱っている隙に力づくで鎌を引き抜く。
そしてその鎌を消し、翼に変換することで空を飛んだ。
「ここでなら空悟、お前の攻撃はわたしに届かない。どうする……?」
「……小癪な手を使うようになったなぁ、おい」
「戦術と言って頂戴」
――――ドォォォォォン!
と、雷撃が花京院に直撃する。
彼の体は全身黒焦げ、口からは黒い煙が吐き出されている。
「……この私のソウルブレイブ――雷の羽衣の際電力は1億ボルト。もうさよならね、空悟。今の電力は10000万ボルトだったもの……」
「なにがさよならだこの似非天使もどき。俺はまだ生きてるぜ」
「……!?どうして……!」
雷撃によって生み出された砂煙が段々薄くなっていく。
死んだはずの彼の声を聴いて思わずリムは驚嘆の声を上げる。
その問いにむすっとした様子で花京院は鼻の下をグイッと拭いた。
「……余計な奴らがしゃしゃり出たせい“おかげ”でな」
「来てよかったぜやっぱり!死にかけてるんだもんな、花京院さん!」
「まさか、外部によるシールド……!」
腰に手を置きながら聖が呆れたように花京院を横目で見る。
だが彼は極まりが悪いのか目をそらす。
「シールドはるならちゃんと貼れ。お前のシールドが中途半端なせいで俺が10万ボルトぐらい受けることになっちまっただろうが。そんなんだから竜堂に10本勝負でかてねぇんだ」
「おい!せっかく人が助けてやったのに!感謝しろよ恩知らずだな!てゆーかかぐやさんは今関係ないだろ!?」
「よそ見してる暇があるの?」
ギャーギャーと口論している2人に痺れを切らしたリムは雷を帯びた羽で遠隔攻撃をしようとした。
だが、スパァァン!と片翼が貫かれる感触がした。
「……よし、うまく命中!」
「よくやったぁ、櫟!」
「クソ……っ!」
殲滅者の死骸から櫟がストライクでリムの片翼を射撃したのだ。
リムは苦しげな表情を浮かべる。
そしてバランスを崩した彼女は真っ逆様に地へ落ちていく。
「さっきの櫟の敵だ!」
「しまっ……!」
―――ズバン!
と、交差するように聖はリムのもう片方の翼を如月で切り落とした。
体制が取れないリムはそれを受けるしかない。
「この……こんなことが……っ!」
ドシャッとリムは崩れ込む。
いえーいとハイタッチをする聖と櫟を見ながら花京院は呆れたような、感心した様子で2人に話しかける。
「……つーかよ、お前らにあの蛆虫の排除を頼んだんだけど」
「それなら全部倒したぜ!花京院さんがそいつと斬り合ってるうちに」
「……!」
聖の言葉に花京院は言葉を失う。
まさか、こんな子供らが成長しているとは。
だったら自分も――――……。
「――神宮寺、櫟」
「なに?」
どこか、覚悟を決めた様に花京院は立ち上がる。
そんな彼に櫟は首をかしげた。
「あとは全部俺がやる。だから―――そこで見てろ。今度こそ、決着をつける」
「どーぞご勝手に〜」
ひらりと櫟は手を振る。
そして聖と一緒に遠くの殲滅者の死骸に座る。
飄々としていながらも花京院の気持ちは分かっているのだろう。
だから2人は残っている。
息ぜえぜえのリムは背中が血塗れになりながらも立ち上がる。
「思い上がるなよ……!この程度で私は消えない!!絶対、この国を壊すまでは……!」
「そうかよ。じゃあ、俺はそんなお前ごと受け止めるよ」
そう言った花京院の顔はどこか儚げであった。