完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~
*127*
「電球の燈火“ライトバーニング”!!!!」
「おらぁぁぁぁ!」
ヒュンヒュンと襲い掛かる電気の光球を花京院は全て斬り伏せる。
そしてすかさずリムは電気の鎌に変形させ、彼に斬りかかる。
が、先ほどの聖と櫟のダメージが残っているのか先ほどより確実にパワーは衰えていた。
「……くそっ!」
「………」
ダン!とリムは花京院の腹部を蹴り飛ばす。
だが、花京院は何も抵抗しようとはしなかった。
その様子にリムは眉をひそめた。
「……!なぜ避けない!私をバカにしているのか!手負いだからって!」
「……違ぇ」
「ふざけるな!」
―――ドンドンドン!
と、雷の光球を花京院に向けて放つ。
殺意と苛ただしさが彼女の脳内を支配していた。
「早く死ね!ここまで腑抜けているとは思わなかった」
――――お願い。×××……。
罵詈荘厳を浴びせなられながも空語は抵抗しようとはしない。
防御に徹する気だった。
それでもなおリムは攻撃を続ける。
「なぜ!なぜ……」
鎌で切り付けても。
光球で攻撃しても。
花京院は避けない。
だがリムは気が付かなかった。
目から涙が流れていることを――――……。
「……リム。俺もさ、高校の……お前といる時間が楽しかった。周りがなんと言おうと。でも、お前はつらかったんだよな……。親が強盗に殺されて、辛くて、死にたいぐらいもがいて……恩人…それがクローディアってやつなのが気に食わないけどよ……」
「やめろ……来るな……!」
フラフラと、花京院はリムに歩み寄る。
ついに、リムは彼に攻撃をすることを放棄した。
だが、ギッと彼を睨みつける。
そして両手を上にあげ雷を両掌に集中させる。
「私の悪夢め、此処で消えろ!!消えろ!!消えろぉぉぉぉぉぉ!!」
――――ズドオオオオオオオオオン!!!
確かに凄まじい雷撃は彼に直撃したはず、だった。
だが、その瞬間、彼女は抱きしめらる感触を覚えていた。
「……え……?」
「悪いな、リム。何が何でもずっとお前の傍にいてやればよかったんだ。今ならわかる。お前の気持ち……」
「離せ!今更何になる!」
――――お願い、空悟。私を―――――……。
―――ザシュッ。
抱きしめたまま、花京院は如月をリムの胸元に貫かせた。
リムは沈黙を続けたまま、うなだれた。
「……不意打ち、攻撃か。私も腐ったものね……」
「……っ。リム……」
「……ありがとう、空悟……」
リムは最後だけ、優しげに微笑んだ。
そして目を閉じるとそのまま動かなくなった。
―――お願い空悟。私を殺して……。
もう、復讐は疲れたの……。
幻だったかもしれない。
幻聴だったかもしれない。
だが、花京院はそうリムの心が聞こえたような気がした。
「―――――――っ!!!!!!」
花京院はリムを抱きながら大声を上げて泣いた。
だが、わかることはいくら泣いても彼女は帰ってこない。
それだけであった。
No30 秘めたる思ひ